2015/05/15のワンライで書いた話です。
(微妙にお題から逸れた感あるけど)
※社会人というか、中年に差し掛かったまゆみこ。一緒に住んでます。
ガンオン更新後、TLで騎乗位ダイエットって出てたのが影響されてる。
初出:2015/05/15
文字数:1926文字 裏話知りたい場合はこちら。
「……ヤベぇ」
風呂に入る前。
Tシャツを脱いだところで、ふと洗面所の鏡に写った自分の腹に軽く衝撃を覚えた。
パンツのゴム部分にちょっとだけだけど、肉が乗っかっているように見える。
そりゃ、年末年始となると飲み会が多くなるし、仕事は忙しいしで、この数日はほぼ外食ばかり。
ろくに自炊していなかったから、せめて食う量は腹八分目を心掛けていたつもりだが――これは予想以上に。
「弛みましたね」
「うわっ、つまむなよ! 地味に傷つくだろ!?」
いつの間にか、背後に来ていた真由が遠慮無しに俺の腹の肉をつまむ。
「だから、言ったじゃないですか。せめて、帰りに一駅分歩くようにするだけでも違ってくるって」
「分かっちゃいるけど、仕事で疲れてる時にそんな気力ねぇよ! 体力に余裕のあるおまえと一緒にすんな」
一応、早く帰れた時なんかは一駅分歩くこともあるが、飲み会帰りや残業がハードだった日にはそんな余裕はない。
大体、うちの最寄り駅の路線はちょっと駅と駅との間隔が空いているから、それを歩くとなると早足でも五十分、普通の歩き方でほぼ一時間ってくらいの距離だ。
疲れている時には正直怠い。
学生時代もずっと柔道部、会社に入ってからも柔道を継続してやってる真由と同じ体力で考えられても困る。
「仕方ないですね。……じゃ、俺も手伝いますから、後でちょっと運動しましょう」
「げ。明日はそりゃ休みだけど、程々にしてくれよ」
この時は、今日の帰りに引き取ってきたゲームで休みを過ごすことで頭が一杯で、真由の言う『手伝う』は単にストレッチ程度の話かと思ってた。
***
「手伝う……って、こういう、こと、かよ……っ!」
「四十二……って、あ、今のちょっと手抜きましたね? ちゃんと腹筋や背筋、太股の筋肉を意識して動いて下さいって言ったでしょう?」
「む……ちゃ、言うな、よ……っ! あっ、あ!」
スクワット十五回はウォーキング十分に相当するから、これなら運動の時間も短縮できるし、楽しめるしで一石二鳥じゃないですかと、真由が言って来た結果がこれだ。
そりゃ、騎乗位はスクワットに似ているし、体位としても嫌いじゃねぇけど、真由が真面目な顔で動く回数をカウントしているのが、どうにもシュールだ。
しかも、こうやって手を抜いたと言っては腹を撫でたり、太股を撫でたりしてくるから、快感でその都度真由の上に崩れ落ちてしまいたくなるのを必死で堪える。
ただでさえ、身体を繋げた場所からの衝撃もそろそろヤバいことになってきているってのに。
運動も兼ねているのだからと、真由のカウントに合わせてゆっくり動いているのもしんどい。
「……だから、日々少しでも動いて下さいって言ったのに」
「あ、やっ、そんな風にっ、触んな……って!」
さっきよりも少し押してくるような感じで、俺の腹を真由の手が撫でていき、嫌でもその奥に収まっている真由自身を意識してしまう。
「俺はこの触り心地も嫌いじゃないですけど。でも歳を考えても、ちゃんと節制した方がいいですよ」
出来るだけ長く、二人で元気に過ごして行きたいでしょう?と言われて、胸が温かいもので満たされていく。
そうだ、一緒に二人で長生きしようって言ったんだよな。けど。
「……頼む、そろそろ、場所変わってくれ……っ」
悦楽がそろそろと限界を訴えてくる。
自分じゃこの体勢だと上手く持って行けない。
真由に激しく動いて欲しい。
「まだ、予定していた数まで行ってないんですけど。……仕方ないですね」
「んっ、あ…………うあ!」
背を支えられて、寝かされ、間髪入れずに強い律動が始まる。
すっかり熟知されている弱い場所を重点的に擦られて。
「ひ、あ、あああ!!」
「実琴、さん……っ!」
頭の天辺から爪先まで、強い快感が走り抜け、自分の熱を吐き出しながら、真由の熱も俺の中で弾けたのを感じた。
***
「喉渇いた、腹減った……ビール飲みてぇ」
「……実琴さん。それがこうなってる原因の一つだって分かってます?」
「あ」
真由に腕枕されながら、もう一方の手で再び腹をつままれ、つい言葉が返せなくなる。
……そういや、晩酌する機会もいつの間にか増えていたな。
これもマズかったのか。
「飲んでもいいですよ。その後で飲んだ分のカロリーを消費するためにもう一回するなら、ですけど」
「…………う。いや、今日は水にしとく」
いくら気持ち良さがあっても、もう一度するには流石に身体がしんどい。
真由も察してくれたらしく、それ以上は言ってこなかった。
「少し休憩したら、水持ってきますね。一緒に飲みましょう」
「ん……」
喉の渇きと空腹は真由の体温と匂いを感じることで、気を逸らすことにして、少しだけと微睡みに身を委ねて目を閉じた。