付き合い始めてまもなくのタイミングで、(受攻が)まだ決まっていない、という野堀野。
同軸リバでの扱きあいになりますので、それでも大丈夫な方で。
2015/05/09のワンライで書いた話です。
初出:2015/05/09
文字数:2013文字 裏話知りたい場合はこちら。
「で、何でごく当たり前におまえが俺を押し倒してるんだ?」
野崎と付き合い始めてから三ヶ月。
先日、初めてのキスはしてみたものの、それ以上の段階までは進められず、かといって健康な若い男二人では、一度走り始めた欲望を抑えることも出来ず、いざセックスしてみようってなったら、押し倒されたのはこっちだった。
見上げた野崎の顔も困惑の表情を浮かべている。
「え、先輩が俺を押し倒す気だったんですか」
「少なくとも、俺はそのつもりだったけどな。こっちの方が年上だし」
「年下攻ってありらしいですし、年齢では決まらないと思いますよ。大体、俺の腕の中にすっぽり収まってしまうような体格の人が何言ってるんですか」
「それを言ったら、体格で決まるわけでもねぇだろ。そもそも、そこらの女より女子力の高いおまえに言われたくねぇ」
今日日、おせちまで手作り出来るような男子高校生なんざ、そうはいない。
料理の面を抜きにしても、仕事場は余程の修羅場じゃない限りは綺麗に整頓されているし、洗濯にしてもちゃんとやっている。
こういう表現も適切なのかどうか分かんねぇけど、行動パターンからすると『嫁』というイメージが浮かぶのは、俺より野崎の方な気がする。
「ぶちまけついでに正直なとこ言えば、おまえのモノデカそうだからなー……。こっちが挿れられる側になると結構キツそうだ」
「そこは愛の力があれば大きさなんて関係ない、とか言う場面じゃないんですか」
「とりあえず、ネタ用のメモを見ながら言うのはよせ」
絶対に挿れられるのが嫌かといえば、そういう訳じゃない。
相手が野崎である限り、挿れる方だろうが、挿れられる方だろうが、まぁ、最終的にはどうにかなるだろうっていうのもなくはない。
が、男の身体の本能がそう思わせるのか、好きな相手には挿れたいっていう思いもやっぱり強かったりするんだよな。
野崎も何となくこっちの意図を察してくれたのか、それ以上何かしてこようとはしなかった。
だけど、本音は触りたいんだろうなって思いは何となく伝わってくる。
その点に関しては俺の方だって同じことだ。
しかし、どっちが挿れる方に回るかっていうのは、悩みどころだった。
お互いに何も言わずに、ただしばらく見つめ合っていると、ややあって、野崎が溜め息を吐き、困ったように呟いた。
「……埒が明きませんね」
「……いっそ、じゃんけんででも決めてみるか?」
それはそれである意味公平だろうと、提案して見るも野崎はイマイチ乗り気じゃなさそうだ。
「……うーん。とりあえず挿れる挿れないは今日は置いといて、お互いのを触ってみるっていうのはどうですか?」
「あー……そうして見るか」
いつまでもこうしていても仕方ない。
野崎が一度俺の上からよけると、そのまま俺の横に転がった。
「ファスナー下ろしていいか」
「はい。こっちもいいですか?」
「ああ」
双方、相手のスラックスに手を伸ばして、ファスナーを下ろし、中から勃っているモノを取り出す。
やっぱ、こいつの予想通りデカいななんて思っていたら、自分のモノに這わされた指に、つい声を上げてしまった。
「……っ」
「ん……」
触るだけ、なんて思っていたけど、自分の手で触るのと、他の人間の手に触られるのとでは意外に違うもんだ。
野崎の手に擦られていると、思っていたよりも早く興奮が高まっていくのが分かる。
野崎の方も、熱っぽい吐息を零していた。
「……っとに、何て、顔してるんですか……っ」
「おまえ、こそ……っ、はっ、鏡で、見せてやり、てぇ」
男だから気持ち良さのポイントはおよそ分かるけど、さらにどこら辺がより弱いだろうかと、反応を見ながら探っていく。
けど、その一方、こっちも触られる気持ち良さにそろそろ限界が来そうだ。
「せん、ぱ……そろそろっ……く、あ!」
「あ、ヤベ……俺ももた、ね……っ」
迫り上がってきた射精感に任せて、そのまま熱を吐き出した。
それと同時に、野崎の方も俺の手の中で達したのが分かる。
二人揃って、呼吸を整えて、快感が引き始めたところで、やらかしたのに気付いた。
「あ……せめて、シャツだけでも脱いどきゃ良かったな。げ、ネクタイまで飛んでる」
「です、ね。ネクタイはドライモードで洗えばどうにかなるでしょう。洗ってきますから、脱いで下さい」
「ああ。頼む」
どうせ、今日は泊まりだ。
今から洗えば、明日学校に行くまでには間に合う。
お互い、自分のモノを拭って再びスラックスにしまうと、ネクタイを外し、ワイシャツを脱ぎ、ついでにインナーも脱いで上半身裸になった。
……何かこう、別に男の上半身なんて見慣れてるけど、さっきの今だからか気恥ずかしい。
「先輩」
「ん?」
「……どっちか決めるまで、しばらくこれでいってみましょうか」
「……そうだな」
今度はモノだけじゃなく、全身触りあってみようぜ、なんて言いながら、もうどっちがどっちでもいいか、なんて気分になっていたことは黙っておくことにした。