> Novel > 月刊少女野崎くん<CP要素なし> > お絵かき会テーマ【推しに異性の格好をさせる】

お絵かき会テーマ【推しに異性の格好をさせる】

いいね送信フォーム (0)

お絵かき会でのテーマで、【推しに異性の格好をさせる】が出たので、演劇部絡みで御子柴にメイド服を着せてみた話になります。

※お題は私が提出したものの一つ。

一応、CP要素なしのつもりで書きましたが、ほんのりほりかしみこっぽいとこはあるかと。

執筆時間およそ一時間。

初出:2018/02/04

文字数:1836文字

 

「……演劇部の手伝いでチョイ役をやってくれとはききましたが、それが女装なんて一言もきいてないんすけど」

前に一度、演劇部の手伝いをしたことがあるから、今回も出来ないかと頼まれて、今度は二回目だし、鹿島もいるからまぁ大丈夫かと思って話を受けたが、それがメイド服を着て演じる話だなんてのはきいてない。
いや、メイド服自体は好きだし、見る分にはいい。
寧ろ、可愛い女の子がメイド服着てご主人様♡なんて言うところは見てみたい。
ただ、自分が着てそれをやるかどうかってなると話は全く変わってくる。

「言ったらおまえ来なかっただろ」

しれっと悪気なさげに言ってのけたのは堀先輩だ。他人事だと思って気軽に言ってくれる。

「大丈夫! 御子柴ならきっと似合うよ」

そして、笑顔で堀先輩の言葉に続いたのは鹿島。

「鹿島。おまえも他人事だと思って無責任な……ってメイド役させるなら、普通に女の鹿島でいいじゃないっすか! いや鹿島でなくても他に演劇部に女の部員いるでしょうに!!」
「いや、鹿島はやっぱり王子役だろ。おまえも王子に悪くはねぇと思うけど、堂々とした風格がねぇから迫力負けするんだよなぁ」
「いや、そりゃ元々俺演劇部でもないですし、風格とかあるわけないっす。だから、なんで俺がメイド役なんすか!」
「前に野崎の家でちょっと読み合わせやったことあっただろ? 佐倉もいたときに」
「読み合わせ? あ」

思い出した。
野崎の家に行ったら、佐倉と堀先輩が言い合いしてて、一体何の修羅場かと思った時のやつだ。
そういや、あの時に俺も途中からメイド役やらされたっけか。

「……って、まさかあれが元ですか」
「おう。あのメイドは悪くなかった。ちょっとおどおどした感じが今度の劇のメイドにちょうどいいんだよな。おまえならイケメンだし、女装してもそんな違和感ねぇだろ」
「い、いやどうっすかね……女装なんてしたことねぇし」

つい先輩の迫力にじりじりと後ずさりしてしまったが、方向を間違った。こっちは壁だ。後がない。
メイド服を手にした鹿島と、ウィッグとメイクボックスを手にした堀先輩が少しずつ近付いてくる。

「まぁ、やってみてマジで似合わねぇなら諦めるけどよ」
「ものは試しってね。私も正直御子柴だと可愛くなると思うし、演じるのも楽しそうなんだよねぇ」

部室の入り口を見るも、演劇部員が数人塞ぐかのように固まっている。
――観念するしかなさそうだった。

***

「衣装のサイズ……は大丈夫そうですね。御子柴、どこかキツいとことかない?」
「何でこんなサイズが合ってるのか不思議なくらいねぇよ」

別に男としては普通のよくある体型だと思うけど、着替えさせられたメイド服は全然違和感がなくて逆に複雑だ。
あえていうなら、足元から風が入ってくる感じが慣れねぇってくらい。

「じゃ、あとは髪と顔作るぜ。鹿島。御子柴にウイッグ被せてから梳かしてくれ。セットは俺がやる」
「はーい」

鹿島が俺の背後に回ると、頭にウイッグを被された。
そして、堀先輩はメイクボックスを開けて、中からパレットみてぇなのと、筆を手にする。

「御子柴。俺がいいっていうまで目ぇ閉じとけ」
「ういっす」

完全に諦めの境地というか、まな板の上の鯉だ。
しばらく、顔で何か塗られていたり、柔らかい感触のもんがポンポンと動いていたが、やがて動きが止まった。

「鹿島。口紅だけ任す。俺が髪セットするわ」
「了解です! じゃ、御子柴。軽くでいいから唇開いて」
「ん……こう、か?」
「そうそう。あ、先輩。これ口紅の色、もう少しオレンジ入ってる方が良くないですか?」
「ん? あー……そうかも知れねぇ。じゃそっちで頼む」
「はーい」

目を閉じているから状況は把握出来ねぇけど、前も後ろも手がややあって止まった。

「こんなもんか」
「そうですね。御子柴、目開けていいよ」
「おう。…………え」

目を開けた直後、鏡を渡されて見てみれば、ギャルゲーに出て来そうなメイドがいた。
それが自分だと認識するのに数十秒。

「ええええ!?」

ようやく認識したときには思わず叫んじまった。
いや、何だコレ。思ってたより――。

「おう。中々いいじゃねぇか。やっぱりこのままいこうぜ」
「そうですね。大丈夫だよ、御子柴。キャラ的にちょっとくらい舞台の上で固まっちゃっても問題ないし、そうなったときはちゃんとフォローするから」
「う……そう言ったからにはフォローしてくれよ、鹿島」
「うん、任せて!」

……これならセーラー服なんかもいけるかもしれねぇと思ったのは絶対に言わないでおこうと決めた。

 

 

タグ:月刊少女野崎くんCP要素なしお絵かき会サイトのみ演劇部ネタ500~3000文字御子柴視点