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X・サンプル<月刊少女野崎くん・堀鹿・R-18>

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X 2015/02/08(別冊ラブロマンス2)発行

ジャンル:月刊少女野崎くん・堀鹿(R-18)

仕様:新書判・112P・500円・完全書き下ろし・完売済。

当方で数本書いてる社会人及び大学生設定の堀鹿による、初体験話となっております。
完全書き下ろしになりますが、支部での過去作を読んで下さってる方には、ニヤリとして頂けるかもな過去作で触れたエピソードがちらほら入っていたり。

(勿論、過去作を読まなくても話として成立しております)

また、のざちよ、若瀬尾も前提にあるので、ほんのちょっとだけ話に絡みます。あと、モブも出てきます。

 

一覧

Prologue<堀Side>より抜粋

Chapter 1<堀Side>より抜粋

Chapter 2-1<堀Side>より抜粋

Chapter 2-2<鹿島Side>より抜粋

Chapter 3-1<堀Side>より抜粋

Chapter 3-2<鹿島Side>より抜粋

 

Prologue

「……どうした?」
「はい?」
「いや、コート脱がねぇから。何かあったのか」
「あー……目敏いですねぇ、先輩」
「脱ごうとして止めたの見りゃ、何かあると思うだろ」

まして、店内はそれなりに空調も効いているから、コートを着たままで温かい飲み物を飲むとなると体温も上がる。
そこで敢えて脱がないのなら、不自然さを感じるのは当たり前だ。

「あー、それもそうですね。……ちょっと今、コートは脱ぐに脱げないというか、脱いだら私も困りますけど、一緒にいる先輩がそれ以上に誤解されてしまうというか」
「誤解?」
「ほら、よく卒業式に好きな人から第二ボタンを貰うとか、ああいう類の話があるじゃないですか」

それを聞いただけで、何となく察せられた。こいつなら十分有り得る話だ。

「ああ。なるほど、第二ボタンどころじゃなく、色々な物を取られたか?」
「その通りです。まぁ、どうせ最後だからと思って、人に渡せるものは一通り渡してきましたけど!」

本人は大変なんだろうが、流石鹿島だなと思った。

『学園の王子様』は卒業するまで、お姫様方の期待を裏切らずに王子様を貫き通したと見える。

「渡せるものってどれぐらいだ」
「予め、替えのブラウスとか、夏服も持っていったんですが、ネクタイや、カーディガンとかは勿論、ブレザーやブラウスのボタンも細かく分けて持って行かれました。脱ぐに脱げない理由はそれです」

鹿島がコートの上の方だけボタンを外して、広げて俺に見せてきた。ブラウスは襟元が開いていて、よくよく見ると上から三つほどはボタンがない。そんだけ襟元開いてりゃ、普通胸の谷間とか見えそうなもんなのに、全然わからないあたりが何とも、だ。
いやらしさは感じないが、こんな状態で家に送り届けるのは、俺の所為ではなくとも気が引ける。

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Chapter 1

「あのさぁ、堀ちゃん。聞いてもいい?」
「? 何すか?」

それは、新歓コンパから数日後。
研究会で親しくしている先輩の一人から、尋ねられた。

「堀ちゃんってさー、鹿島ちゃんと付き合ってんの?」
「は!?」

青天の霹靂ってヤツだ。
予想していなかった質問の内容に、思わず間抜けな声を出してしまう。

「いや、付き合ってないっすけど」
「え? でも、研究会の帰りとか決まって二人で一緒に帰ってるし、研究会なくても、良く構内で一緒に過ごしてたりするよね? そんで、付き合ってないの? マジで??」
「はぁ、まぁ」

帰りが一緒になるのは家の方向が同じだからだし、構内で一緒に過ごしていることがあるのは、知らない仲じゃないなら良くあることだろう。
高校時代にも結構似たようなことを言われた経験はあるが、大学でも言われるとはなぁ。

「鹿島ちゃんだって、口開けば堀ちゃんの事ばっかり言ってるしさー。それにこの前の新歓コンパにしたって、堀ちゃんのあれ、嫉妬からやったんじゃないの? 違う??」
「……嫉妬?」

嫉妬なんだろうか。
確かに杉本が鹿島に気安く触ろうとしたのには、もの凄くムカついたが。

「だって、堀ちゃん。普段冷静な感じするのに、何か鹿島ちゃんに対する時って、ちょっと違うんだよね。あ、悪い意味じゃなくてさ」

こっちの考えすぎだったら、気にするなよと先輩が言って、その場を去った。

――堀ちゃんが鹿島くんに対するのって、やっぱ他の人とはちょっと違うよなぁ。

高校の時に同じ演劇部の友人に言われたその言葉が、不意に脳裏を過ぎって行った。
俺が鹿島を演劇部にスカウトしたってのもあるからな、ってその時は返したが、相手は納得していない様子で苦笑いしていた。

――堀ちゃんはそう言うけどさ。そればかりでもないんじゃないの? 鹿島くんにちょっとの間、無視されただけで、随分凹んでたじゃん。
――凹むっていうほどだったか、あれ?
――凹んでなきゃ、なんで毎朝鹿島くんに電車の時間合わせて登校しているのか、聞きたいんだけど俺。

そこを突かれると、自分でも何となく鹿島から目を離す気になれなかったからだ、と答えるしかなかった。
あの時は、俺だって戸惑ったのだ。

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Chapter 2-1

「……先輩」
「ん?」
「俺、鹿島は好きですけど、あくまで親友としてであって、女としては見てないっすからね。変に勘ぐるとか勘弁して下さいよ」
「……勘ぐってるように思えたのか?」
「なんつーか……勘ぐるっていうか、先輩に嫉妬されてんのかな……とか思ったんで」

違ってたらすみません、と付け加えた御子柴の言葉に、つい溜め息を吐いてしまった。
これでも、元は舞台で役者もやっていたから、『演じる』ということにはそれなりの自信がある。
ポーカーフェイスとまではいかないが、本心を悟らせないようにくらいは振る舞えているつもりでいた。
しかし、どうやら、今の俺はそんな感情を隠し通せていないらしい。
御子柴とはそれなりに仲が良いからってのもあるかも知れないが。
いや、待てよ。
だったら、鹿島なんか口にしないだけで、もっと悟っているんじゃないだろうか。
情けねぇな、俺なんて思いながら、周囲に人が居ないのを幸いに、つい溜め息交じりのぼやきが口をついて出る。

「何というか……それまでとの関係を変えるっていうのは、思っていたよりもやっかいだな。俺が意識しすぎなのかもしんねぇけど」
「あぁ……そういうのもあるかもっすね」
「御子柴」
「何すか」
「……おまえ、鹿島から何か聞いてんのか」
「え、いや、あの、その」

びく、と顔を引き攣らせた上に、俺から目を逸らした時点で察しがついた。
まぁ、親友同士の二人は結構電話やメッセージのやりとりも頻繁にやっていたはずだから、何一つ言ってないっていう方がかえって不自然な位なんだが。
しかし、どうにも嫌な予感がした。

「言えよ。……あいつ、おまえに何言ってるんだ?」
「や、流石にプライバシーの問題っていうかですね、せんぱ……」
「言え」

ここぞとばかりに先輩風を吹かして、御子柴に詰め寄る。
御子柴が二、三歩後ずさりしたが逃さずに腕を掴んだ。
しばらく、無言が続いたが――御子柴が溜め息と共に折れた。

「……あー……鹿島には俺が言ったことは言わない。でもって、俺が言うことに対して怒らないって約束して貰えます?」
「話の内容による」
「そんなこと言われたら、言えないんすけど」

まぁ、それもそうかと納得して、先を促した。

「……わかった。言わないし、怒らないようにする」
「頼みますよ、ホント。……鹿島がぼやいてました。付き合い出したはいいものの、キスはおろか、手を握ることさえしてこないから……あー、その」
「してこないから、何だ?」
「……先輩が、その、不能……なんじゃないか、とか……うわあ! 怒らないって約束したじゃないっすか!」
「怒らないようにする、だったろ!?」

思わず、御子柴の胸ぐらを掴んでしまった手に自分でもしまったと思いながら止められない。

「だから、言いたくなかったんすよ!」
「だったら、言葉巧みに誤魔化せよ!」
「俺がそれ出来ない性格なのを分かってて聞いといて、そりゃないでしょう!? 理不尽にも程がありますって!!」
「…………悪かった。つい頭に血が上った」

理不尽って言葉に、がつんと頭を殴られた気がして、一気に頭が冷えた。
確かに今のは、一方的に俺が悪い。

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Chapter 2-2

「そりゃ、よっぽど堀ちゃん先輩がおまえに女を感じてないんじゃねぇの?」
「ちょ……っ、結月!!」

遠慮のない結月の言葉がぐさりと胸に突き刺さる。
先輩が私に女を感じてない。
ハッキリ言って、有り得ない話じゃない。
先輩は付き合おうって言ってくれたけど、いざ付き合ってみたら女として見ることが出来てないんじゃないかっていうのは、自分でもどこかで恐れていたことだった。

「そうなんだよね……実際、私の背丈は先輩より十センチ以上も高くて可愛くないし、胸だって全然ないし、ついでに大学も主席入学しちゃって、大学でも相変わらずの王子様扱いだし」
「自慢かよ」
「そうじゃないよ! 可愛げのない女だっていうこと!!」
「鹿島くん」
「先輩は私の顔や足は好きだって言ってくれるけど。……女の子らしいなんて言われたことないし、そもそもそんな要素なんて、全くないのは、自分でだって、分かってるんだよ……」

千代ちゃんみたいに、どこから見ても可愛い女の子って容姿でもないし、結月みたいな女性の羨望の的になるようなナイスバディでもない。
いざ、女性として見たら、自分の評価って相当低くなってしまうんじゃないだろうか。

「鹿島くん……」
「だー! うっぜぇなぁ。そんなに気になるなら、直接本人に聞きゃいいだろ!! 私じゃちんちん勃たないんですか、くらいさぁ!」

『たたないんですか』と言った結月の言葉が、正しく『勃たないんですか』と脳で処理されるのに少し手間取った。
……いやいや、いくらなんでもダイレクト過ぎるでしょう、それは!! 
そりゃ、もしかしたらなんて、思わなくもないし、御子柴に言っちゃったこともあるけど、本当にそうだとしたら、先輩を傷つけてしまう。

「わーっ!? 結月落ち着いて! いくら聞くにしたって、その聞き方はないよ!」
「そうか? 逆にスパっと聞いた方が分かりやすいんじゃねぇの? だって、おまえ、実際そういうとこが気になってんだろ?」
「う…………」

結月の言うことは極論だけど、頷ける部分もある。
先輩に気遣わせてしまっているのなら、逆にキッパリと聞いてしまった方が良いような気もする。
先輩から答えを聞くのが、どういう形であれ、少し怖くもあるけれど。

「それに千代にしたって。野崎にストレートに言わなきゃ伝わらなかったじゃねぇか」
「いや、ストレートはストレートだけど、そんなアレが……た、勃たないとかそんな言い回しじゃないし!! 野崎くんは大丈夫だから!!」
「……千代」
「な、何?」

結月がニヤリと笑って、千代ちゃんのおでこをつんと突いた。

「おまえ、野崎とヤッたろ。ずっと痛いから無理っつってたのにようやく出来たのか」
「え!?」
「え、あの、いや、その………………うん。ようやく、その、どうにか」

千代ちゃんが顔を真っ赤にしながら俯いた。
少し前まで、体格差があるからか、いざするとなるとちょっと大変で、中々先に進めないっていうのは聞いてた。
でも、いつの間にか、ちゃんとコトを済ませていたらしい。
その事が羨ましいって思ってしまって、ほんの微かに胸を刺す痛みがある。

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Chapter 3-1

しかし、改めて足の全体像を見ると、俺の理想そのものとしか言い様のない足だ。
ガリガリでもなければ、余分な肉もついていない。
形もすらっとしているし、肌も綺麗で触り心地が良さそうだ。
晒された素足のまず右の踵を持ち上げて、爪先にキスしてみる。
爪の形も指の形も歪みがなく、完璧と言っていい。
目につく範囲では、傷跡も痣も見当たらない、暗がりにも真っ白な肌が目に眩しい。
流石に足の指をいきなり舐めしゃぶったら引かれるかと、足の甲の骨をなぞっていくように唇を滑らせるだけに留めた。
手入れをしてるのかどうかまでは分からないが、こんな場所まで滑らかな質感の肌なんだなと、ちょっとした感動さえ覚える。

「んっ」

足首まで辿り着いたところで、軽く踝の辺りに歯を立ててみる。
鹿島の骨と俺の歯が擦れて、ごり、と小さな音がした。
口を離して見てみると、俺の歯形が赤く残っている。
その残った歯形に口付けて鹿島を見上げると。戸惑った顔で俺を見ていた。

「悪い、痛かったか?」
「あ、いえ……痛いって程ではなかったです。ちょっと、妙な感じというか」
「そうか。……なぁ、鹿島」
「はい?」
「何処をどんな風に触ったら感じるか言ってくれ。全部覚えるから」
「覚える……って」

一度には無理かも知れないが、鹿島の身体は隅々まで触りたいし、反応を知りたい。

「出来るだけ感じさせたい。感じてるおまえの顔が見たい」
「……っ」

こんな風に耳まで赤く染めた鹿島を初めて見た。
こいつでも余裕を無くしてしまう事がちゃんとあるんだっていうのが嬉しい。
お姫様方を上手くあしらっていたこいつには、飄々としたところさえ感じられたのに、今はそんな様子が全くない。鹿島の余裕を無くしているのは俺だって考えるだけで、こっちまでどうにかなりそうだ。
再び、足首に口付けると、今度は臑の骨に唇を沿わせていく。そして、踵に触れていた手も撫で上げて、膨ら脛を触ってみた。
ここも触り心地が滑らかで、何往復もしたくなる。
膝まで唇が辿り着いたところで、今度は舌も使ってみた。
膝の皿を舌でなぞって、ここでも軽く歯を立てる。
鹿島の吐息は少し乱れたが、そんなに感じるってわけでもなさそうだ。
だったら、この先はどうだろうか。
一度唇を離して、太股を手のひらで優しく擦ってみると、今度は吐息に混じって小さく声が零れた。
こっちの方が、まだ感じていそうだな。
しかし、本当に肌触り最高だ、この足。
内側の方に唇をあてて、少しずつ足の付け根の方へとずらしていく。

「や、あの、せん、ぱ……っ」

そのまま、付け根近くまで唇を滑らせて、際どい部分に届いた時点で強めにその場所の肌を吸ってみる。

「ひ、あ、ああっ!!」
「ここ、感じるか?」
「い、言わないと、ダメ、ですか……?」

困ったような顔をした鹿島が可愛かった。
こいつのこんな反応、貴重過ぎて絶対誰にも見せたくない。

「……あー、出来れば言って欲しいけど、今ので何となくわかった気もするから、ま、いいわ」
「え、その、わかったって……あ、ん!」

太股を撫で回しながら、内側の肌を吸っていく。
時々は舌も使って突いてみると、鹿島の足が震える。
ちらりと表情を確認してみるが、悪くはなさそうだ。
今度は左足だ。
こっちもさっきと同じようにしようかと思ったが、誘惑に負けて、左足の親指を口に含んだ。

「っ!? ちょっ……先輩」
「嫌か? これ」
「い、嫌なわけじゃないですけど、その」
「嫌じゃねぇなら、続ける」
「え、あの、その」

声から判断するに大丈夫そうだと思ったから、そのまま親指から人差し指、中指、薬指と口に含んで弄んでみる。
小指になったところで、軽く歯で噛んでみた。

「あっ!」

甘い声の響きに、身体の中心にさっきよりも熱が集まったのを自覚する。
まだ、履いたままだったジーンズが何とも窮屈だ。
……この足、あちこち咬んで全部舐めてぇ。
雪原みたいな肌に歯形を残していきたいし、キスマークももっと、見えるような場所にも付けてみたい。とにかく、痕跡を残したくて堪らない。
唇でわざと音を立てながら、足の甲にキスしていくと、鹿島がシーツを掴んでこらえているのが見えた。
ぞくぞくと、自分の中で何とも言えない興奮が高まっていく。
さっき、鹿島は自分が女らしくないから、なんて言ったが、こういった反応は十分女のものだろう。
再び、際どい部分に顔を寄せると、さっきよりも甘い匂いがした。
直ぐ近くの下着の中心が濡れていて、匂いの元はそこからだと分かった瞬間、そこに手を重ねた。
軽く指で形を確認するように撫でてみると、鹿島の身体がびく、と反応する。

「……脱がせていいよな?」
「………………はい」

ごく小さい声の返事。
指を下着のウエスト部分の両サイドに掛けて、滑り下ろした。

「っ」

あえて、下着が完全に脱げるまでは足の間は見ないようにし、下着を脱がせ終えたところで、ようやくその場所に目を向けた。
アダルトビデオやネットの動画でモザイクが入っている状態でなら見たことはあったが、何一つ遮るものがないありのままの女の性器を見るのは初めてだ。ほんのり赤くなっている其処が、よく下の口なんて称される理由は即理解出来た。
これは確かに唇に似ている。
とっくにセックスを経験した友人の誰だかが、女のアソコはグロいなんて言ってたのを聞いたことはあったが、そんな印象はない。
逆にイケメンだとこんな部分のパーツまで綺麗に出来てるもんなのかと、思ってしまうくらいに造形は整っていた。
あまり濃くはない毛が覆う恥丘の下で、微かに開きかけている割れ目の周囲はちゃんと濡れている。
ちょこんと割れ目の上にある小さな突起が、クリトリスになるんだよな。
直ぐに触ってみたくなったが、まずは自分の方も残っていたジーンズと下着を纏めて脱ぐ。これでお互いに何も身に着けない状態になった。
そのまま、鹿島に覆い被さって、肩のところに頭を乗せた。
腕である程度身体を支えて、鹿島が重くならないよう、でも体温はちゃんと感じ取れるだろう位に調整しながら、全身を重ね合わせてみる。

「……あ」
「……柔らけぇなぁ、おまえ」

服の上から抱き締めた時にも、柔らかいとは思ったが、こうして直に触れ合うともっと柔らかい。
ちゃんとどこもかしこも『女』なんだよなぁ、こいつ。
直接肌を重ねて、伝わってくる体温と柔らかさは格別だ。

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Chapter 3-2

「うあ、ああ! ダメっ、そこ、おかしくなるっ、ダメ……!」
「おかしくなるようなこと、してんだろうが」
「ひあああ!!」

中に指が収められた状態で、敏感な部分を先輩の唇が吸う。
外と内から、それぞれに強い刺激が襲って、それこそ声をはしたなくあげた。
先輩の指が中から抜けた瞬間、パズルのピースが欠けたかのような物足りなさを感じてしまったことに自分でびっくりした。
ああ、ちゃんとこの場所は先輩を受け止めるように出来てるんだって、胸が高鳴る。
抜いた指を先輩が舐めたのが、やけに色っぽい。
先輩の腕が私の頭の横を通っていって、小さな包装を一つ取り出した。
高校の授業で見ていたから、コンドームだってのは直ぐに分かったけど、先輩がしっかり用意していた事が何となく嬉しい。
包装を破いて、先輩が中身を取り出して――それまで、直視していなかった先輩のモノをちゃんと見た。
比較対象がないから、分からないけど、これ大きくない? 
さっき、指でも形が何となく分かるくらいだったのに、ホントにこの太さと長さで入るの!?
そんな風に私が内心、戸惑っていたら、先輩の視線が私の顔に向いた。

「……いいな?」
「…………」

それでも、ここまで来て、ダメ、なんて言うつもりは全くない。
先輩の真剣な顔に頷くと、足の間に先輩のモノが触れた。
先輩の熱さってゴム越しでも分かるものなんだって思っていたら、それが割り開くように中に入り始めた、けど。

「い……った!」
「……っ」

待って、これ、しゃれにならないくらい痛い! 裂ける!! 無理無理!!
つい、腰が逃げそうになったのを先輩に捕まえられたけど、それ以上は動いて来なかった。

「……まだ、先っぽしか挿れてねぇぞ」
「そ……なんです、か」

みんな、ホントに最初はこんなんなのかと思うと、血の気が引く。
先だけしか入ってないのに、全部入れたらどうなるのだろう。
まして、それで動くってなったら――。
ごくりと喉がなった。

「…………なぁ、続きは今度改めるか?」

私の戸惑いが分かったのか、先輩はそんな事を言ってきたけど。

「……嫌です」

痛いし、キツいだろうなって思う一方で、やめたいとも思えなかった。

「無理しなくてもいいんだぞ」
「私は無理してでも続けたい、です」
「鹿島」

先輩の腕を掴んで、目を見ながらハッキリと告げる。

「だって……後回しにしたって、その時に痛いのは変わらないでしょうし」

実際、千代ちゃんだって、ちゃんと出来るまでに数回チャレンジしたって言うし、何度かセックスした段階でもまだ痛いって言っていた。
だったら、タイミングを変えたって結果は一緒だと思う。
それに。

「……その、やっと先輩に触れた、のに……ここで止めたくない、です」

痛みは痛みとしても、自分の中を埋めて欲しいというのも何処かにある。
何かが足りなくて、満たして欲しい。
きっとそれは、先輩にしか出来ない。
先輩から離れたくなかった。
この身体を離したくない。
先輩の顔が一瞬和らいで、口元に笑みが浮かんだ。

「…………ちょっと、強引にいくぞ。痛けりゃ、俺に捕まっとけ。爪立てたり、引っ掻いたりしたって構わねぇから」
「すみま、せん」
「――謝んなよ」

唇を重ねると、舌を舌で引き出された。
さっきも思ったけど、舌って意外に感じる場所なんだと考えていたら、先の部分しか入っていなかった其処に強い痛みが走った。

「っつ、い、いた……んん!! いた、痛いっ、先ぱ……!!」
「はっ……」

どうにか腰が逃げないように、思わず掴んでいた先輩の腕に縋りついた。
身体が引き裂かれそうな痛みに涙が出そう。
先輩の吐息に意識を集中して、なるべく痛みのことを考えないようにしようとするけど、足の間が痛みと熱で脈打ってる感じがする。
いつかは気持ち良くなるって言われても、信じられないくらい痛い。

「……鹿島。全部、入った」
「あ……」

先輩の指が私の目元を拭っていって、本当に泣いてしまっていたのに気付いた。
けど、今全部入ったって言ったよね?

「……先輩、繋がってるとこ、見られます、か……?」
「ああ。ちょっと腰持ち上げるぞ」
「ん……うわ……」

先輩が私の腰を支えて、持ち上げてくれた。
動いた瞬間にまた痛みがあったけど、さっきほどの衝撃ではない。
――本当にちゃんと先輩と繋がってる。
繋がっている場所に指を伸ばして触ってみると、先輩のも自分のも熱く感じられた。

「ちゃんと……入っているんです、ね」
「そうだな。……何か、凄ぇな」

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