2002年か2003年あたりに攻めカノ同盟発足記念で書いたものです。
エロはかなりぬるめ。今ならもっとねちっこく書いている気がする。
カノサガよりですがサガカノも美味しいというか、もうリバでいい。双子はもうそれだけで美味しいと思う。
初出:2002年か2003年
文字数:1338文字
窓からは僅かに薄くなった月の明かりが差し込む。
表情は薄っすらとしかわからない闇の中で、やけに大きく響くのはベッドの軋む音。
そして。
「……っつ……あ……っ……!」
何度聴いても、心地良い響きのサガの嬌声。
同じ細胞から出来た、俺の片割れであり半身。
こうして、いくら身体を繋いだところで元の一つに戻ることはないと知っている。
知ってはいるが、一つになるように溶けてしまいたくなる衝動は、身体を重ねるたびに募る一方だ。
これも快楽に溺れているというのだろうか?
「カノ……もっと……っ……ゆっく……り……!」
「……嘘だろう?」
「うわああっ!!」
中から抜けそうになるぎりぎりまで身体を引いて、すぐに深いところを突いてやる。
わからないわけがない。
自分の半身の反応だ。
言葉はサガが我を忘れそうな快感に恐れを感じているゆえのもの。
本人さえ知らない、いや知らない振りをしているかも知れない、秘められた欲望。
自ら曝け出すことには躊躇いがあっても、心の奥底では望んでいるはずの悦楽。
手加減などしてやらない。
「カノ……ンッ……カノン……!」
そうして、行為が終末に近づく。
達した瞬間は互いの熱が本当に溶け合ったように思えるのに、波が引くと互いが別個の人間であるのを自覚してしまう。
そんな一抹の哀しさも感じることを知っているのに。
止まらない快感をただ、開放させるため。
一瞬の絶頂感に浸るために。
サガの奥深くで達した。
***
行為が終わってしばらくの後。
伏せていたサガが起きあがる。
先ほどまで日の光と同じ色をしていた髪は、今は夜の闇に溶けるような漆黒になっている。
……もう一人のサガ。
「……お前か」
「機嫌が悪そうだな」
「お前が出てきたからだ」
サガ本人には違いないが、こいつは俺と一緒に生きてきたサガじゃない。
ある時、不意に生まれたサガの別人格。
性質的には俺と近い部分はある。
が、こいつが出ると俺とサガは別個の人間だと強く認識させられる。
それがすごく嫌だった。
同じでありたいのに。
等しくありたいのに。
こいつの存在はそれを邪魔する。
「ふ……私も『サガ』には違いないのだがな。お前の片割れの、な」
「サガと一緒にするな。俺の片割れはあのサガだけだ。お前じゃない」
腹が立つ。
サガと同じ声で、色合いこそ違うけど同じ身体で話すこいつが。
「消えろよ。今日はいつにも増してお前と話したくない気分だ」
容赦のない口調で告げるも、相手はどこ吹く風で苦笑と共にやりすごした。
「仕方ない。今日はおとなしく引き下がってやろう。……可愛い弟のために」
「! 消えやがれ!!」
あいつに弟なんて言われたくない。
もう一言文句を言ってやろうとしたが、気配は既に消えていた。
闇の色になっていた髪が、また光の色に戻っていく。
最後の一筋の髪まで、元のサガに戻ったところで口付けた。
「……ん…………カノ……ン……? どう……した?」
夢うつつの状態のサガが優しく微笑む。
この笑みはあいつには出来ないものだ。
「……なんでもない」
それだけ答えて、俺もサガの横に寝転がった。
明日こそ、あいつがサガの中から消えてしまっていればいいと。
そう願いながら。
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