若瀬尾二人が大学生で付き合っている前提。
晴れ着で姫初め。
初出:2015/01/03
文字数:2708文字 裏話知りたい場合はこちら。
「おー! 若、こっちこっち!」
「もう、先輩! 遅くなるなら遅くなるってメールくらいしてくださ……」
待ち合わせを予定していた時間から、実に30分以上。
つい、遅れてきた瀬尾先輩に文句を言いかけた俺の口は、先輩の姿を見た瞬間に固まった。
いや、そりゃ年明けなんだし、初詣ともなれば、参拝客にも晴れ着を着てる人が沢山いて、実際、さっきから何人も目の前を晴れ着姿の人が通っていったけど。
まさか、先輩まで晴れ着を着てくるとは思っていなかったので、正直なところ驚いた。
夕暮れ時の空の色を思わせる晴れ着は、華やかすぎず、かといって地味でもない。
ところどころにある金糸で縁取られた花の刺繍も、先輩が髪につけている簪の意匠と合っていて、目を引く。
凄く、先輩に似合っている晴れ着だった。
「遅くなって悪かったな、思ったよりこれ動きにくくて、移動に時間かかっちまった。……あ? どうしたよ、若?」
不審そうに俺を見上げて来た先輩が、ぺちぺちと俺の頬を叩いてきて、ようやく我に返る。
「あ、その、すみません。凄く……綺麗です」
「だろ? 成人式の着物はレンタルだったんだけど、それ言ったらじいちゃんが一枚くらい着物持っててもいいだろっつって、贈ってくれた。せっかくだから、着てみようと思って」
「……それ、俺に見せる為にって思っていいんですよね」
「他に何があんだよ。ま、いいや。さっさとお参りしてこようぜ。
で、終わったらおまえの家行くぞ。これ、綺麗だけど着てるの苦しくてさ-、とっとと脱ぎたい」
「脱……っ」
感動しかけていた思考は、脱ぎたいの一言でどこかにぶっとんでしまう。
脳内で何も身につけてない状態の先輩を思い浮かべて、目の前の晴れ着姿と重ね合わせてしまい、思わず顔が熱くなる。
「おまえ、知ってるか? 着物って凹凸ある体型だと着崩れしやすいから、タオル使って補正すんだぞ。もう、あちこちバスタオル使ってるから、キツいやら、しんどいやらで……」
「わーっ! 先輩、ここ外! 外でその発言止めて下さいって!」
これ以上、外ではどうかという発言をされる前に、慌てて先輩の口を手で塞いだ。
***
「……っと、に。やっぱり、脱いでからに、すれば、良かっ……ああ!」
「…………文句言う割りには、凄ぇ濡れてますけど、ね」
繋がったところから、先輩の愛液が溢れて、俺のモノだけでなく、その下にある袋の部分まで濡れて、シーツまでも伝っている。
指で繋がった場所を撫でると、先輩の中が細かく震えて、俺の方も気持ち良い。
着物着たままでするっていう、普段と違うセックスは思っていたよりもお互いに興奮するみたいだ。
騎乗位だと、普段先輩は積極的に動くのに、今日は何かを堪えるように、動きが大人しめになっている。
こんな先輩は珍しくて――凄く可愛い。
初詣が終わって、一人暮らしをしている俺の家に二人で向かい、いざ事に及ぼうとしたところで、気がついた。
――あの、先輩。そういえば着付けって出来るんですか?
――は? んなもん、出来るわけねぇだろ。親にやってもらったんだよ、これ。
――ちょっと、待って下さい! そんな状態で着物脱いだら何かあったって言わんばかりじゃないですか!
先輩の家族は、先輩が俺と付き合っていることは知っている。
顔を合わせて挨拶したこともあるし、割りと好意的に見て貰ってはいる方だと思うけれど、流石に正月早々、着物を脱がせて、普段の服で帰らせたら気まずい。
――気にするこたねぇだろ。私、家出るとき兄貴に人混みと避妊には気をつけとけって言われたくらいだし。
――そういう問題じゃないです!!
同列に並べる話じゃないだろうと思ったのは、この際おいておく。
――何だよ、若。したくねぇのかよ。
――したいに決まってるじゃないですか! でも、これ脱がすには流石に抵抗ありますって!!
――じゃ、脱がずにするか?
――え?
そんなやりとりの結果、現状に至る。
そして、何にびっくりしたって。
着物の裾を自分で捲った瀬尾先輩は、下着を履いていなかった。
何度も見て、触ってもいる場所だけど、衝撃的な光景にしばし絶句した。
――……外に響かない下着、履いてると思いました、俺。
――それも考えたんだけどな。どうせヤるなら、脱いでてもいいかって思って。
――どうせヤるなら、とか言わないで下さい……。
困惑しつつも、さらけ出された先輩の秘部に指を伸ばして、すじに沿わせるように指を動かすと、あっさりと温かい蜜が絡みついて、喉が鳴った。
先程の初詣の時にも着物の下は何もつけていなかったのかと、想像しただけで簡単に欲情した自分に笑うしかない。
大きくなりかけていたクリトリスにキスして、舌で蜜を舐めとるようにひだを弄って。
先輩も足を微かに震わせながら、切なげに声を零した。
普段のセックスよりも濡れるのが早かったと思う。
そう、時間の経たないうちに請われて、挿入した。
着物を汚さないように気をつけつつ動いて、いつもみたいにおっぱいを触れない分は下腹部を触る。
先端に突き当たっている感覚と比べて、子宮ってこの辺にあるんだろうか、なんて思いながら撫で回していると、先輩が腰の動きを止めた。
「わ……か、それ、やめろ……」
「嫌です」
「おまえより、先に、イッちまう……だろ……っ」
「……いいじゃないですか」
「うあ!」
柔らかいお腹を触っている手に力をこめながら、奥を突き上げると、今までで一番大きい悲鳴が上がった。
確か、隣の部屋の住人はまだ帰省していたな、なんて頭のどこかで思いながら、ここぞとばかりに突き上げる。
イッて、崩れ落ちそうになった先輩の身体を何とか支えながら、俺もゴム越しの先輩の中でイッた。
***
「……どうしよう。結局、言い訳出来なさそうだ、これ」
頭を抱えている俺を余所に、先輩はまだベッドで熟睡中だ。
セックスが終わった後、疲れたって言って、着物がシワになると必死で止めたのも聞かずに、そのまま眠りに落ちてしまった。
時々、寝返りなんてうったりするから、せっかく着物を乱さないようにと気をつけた努力は無駄になりつつある。
着物着てると苦しいなんて言ってた癖に、その苦しいはずの状態で目は覚めないってどういうことだろう。
「今年もこうやって、振り回されるんだろうなぁ……はぁ」
「ん……若」
「え、起きたんですか、先輩?」
声を掛けられた気がして、ベッドに近寄ったが、どうやらただの寝言だったらしい。
相変わらず、無防備な寝顔のままだ。
「……若」
「…………仕方ない人だなぁ、もう」
もう一度、俺の名前を呼んだ唇に口付けてから、せめてこれだけでもと、先輩の髪についたままだった簪だけ外しておいた。
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