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適度に歳取った既婚者堀&独身御子柴・その2

Immorality of targetシリーズのプロトタイプその2に相当します。

堀先輩が離婚を決めた辺りの話。11とか12あたりになるはず。

先輩も俺も、仕事の休みはほぼ土日だけど、先輩の方は家庭持ちだから、基本的には会えない。

せっかくの休みに一緒に過ごせないのが寂しいとは思うが、こればかりは仕方ない。

俺たちが会うなら平日でないと、怪しまれることは目に見えている。

土日、先輩がどう過ごしているかを考えるのは、付き合いを再開した頃は少しキツかったが最近は慣れてきた。

元々、過ごしていた休日と同じようにゲームしたり、買い物行ったり、普段行き届かない家事なんかしていたら、時間なんて足早に過ぎていく。

今日もそうやって一日が過ぎていくはずの土曜日だった。

珍しく、先輩が夕方に今から行ってもいいかと電話してくるまでは。

正直驚いた。

電話するにも、先にメッセージで状況を尋ねてからっていうのが、お互いの間での暗黙の了解だったのに、いきなりの電話だったから、何かあったのだろうかと胸騒ぎがする。

ただでさえ、この数日ほど、先輩が妙に疲れている様子だったのも、気にかかっていた。

そろそろ、先輩が到着する頃合いかと、コーヒーを淹れる準備をしていたら、来客を知らせるチャイムが部屋に鳴り響いた。

インターホンで確認してみると、マンションのエントランスにいたのはやっぱり先輩だった。

先輩には俺の家の合鍵を渡していない。

そこから、勘ぐられる可能性もあったから、渡さないでおいたから、こういう形でないと、先輩は俺の家には入れない。

 

「おう、俺だ」

「はい、今開けます」

 

オートロック解錠の操作をし、インターホンを切ると玄関の方に向かって、鍵を開ける。

廊下で足音が聞こえ始めたタイミングで、ドアを開けて迎えた。

 

「どうしたんすか、珍しいですね」

「あー……まぁな」

 

玄関で靴を脱ぎながら、俺に応じた先輩の声からは既に疲労感があった。

……マジで珍しいな。

 

「リビング行ってて下さい。今、お湯沸かしてたんでコーヒー淹れま……」

「実琴」

 

先輩に背を向けて、キッチンに行こうとした瞬間、後ろから抱き締められた。

両腕毎抱き締められて、身動きが取れなくなる。

背中にこつ、と先輩の頭が当たったのが伝わった。

 

「ちょ……っ、先輩!?」

「コーヒーはいい。膝枕してくれ」

「は!?」

「膝枕」

「……いや、まぁ、いいですけど。ベッドでいいっすか?」

「ああ」

 

調子が狂う。

いきなりの名前呼びかよ。

本当に何かあったんじゃねぇのかなって心配になる。

先輩が腕を俺から離したところで、一緒に寝室に向かった。

 

***

 

「……ホント何があったんすか」

 

ベッドの上に座って、膝枕の体勢になると、先輩は顔を俺の腹の方に向けて、腰に腕を回し、抱き付くような体勢になった。

普段なら、この体勢だとあちこち撫で回したりするのに、そういう気分じゃないらしい。

本当にただ抱き付いているだけだ。

甘えているっていうよりは、弱ってるなって印象だった。

何というか、普段の先輩の覇気がない。

先輩の髪を撫でていると、少し前まではなかったはずの白髪まで見つけてしまった。

先輩が一瞬だけ俺の方に視線を向けて、溜め息を吐く。

 

「…………本当は、ちゃんと片がついてからおまえに話そうって思ったんだけどな」

「? 話?」

「女房と別れることにした」

「…………は!?」

 

いきなり切り出された爆弾発言に、思わず声が裏返る。

 

「ちょっと待って下さい! 俺、先輩のとこが別れるのは望んでないって言いましたよね!?」

「言ったな」

 

全く望んでいないかと言えば嘘にはなるが、色々問題もある。

仕事上の人間関係だとか、子どものことだとか。

だからこそ、別れるまでは望んでないって言ったのに。

……このままでいいって言ったのに。

 

「だったら、何で! だって、先輩の奥さんって上司の娘さんでしょ!? 離婚したら仕事に差し障りだって出てくんじゃ……」

「そうだとしても、もうこれ以上は無理なんだよ。…………俺が苦しい」

 

先輩の顔が俺の腹に押しつけられた。

腰に回されている腕にも力が入る。

 

「せんぱ……」

「日毎に家の居心地が悪くなる。帰りたくなくなって来てるんだ。

俺がいるのはこっちじゃねぇだろって思っちまう」

「それ、は……でも、子どもだっているのに、どうするんすか」

「自分で選べる歳だ。選ぶだろ。ま、でも多分母親についていくんじゃねぇのかな。……浮気した父親は選ばねぇよ。詰られたしな」

「まさか、言ったんすか!?」

「相手がおまえとまでは言ってねぇけど、離婚切り出した理由は言った」

「そん……」

 

そこまで既に話を進めてしまってるなんて、思ってなかった。

しんどそうにしてた訳だ。

環境の大きな変化はストレスになる。

まして、それが離別に関してなら尚のことだ。

 

「どうして……言わなかったんすか」

「おまえがそんな風に自分を責めるような顔すんの、見たくなかったからな」

 

先輩が身体を起こして、俺の直ぐ横に座り、頬を撫でてくる。

……どんな表情してんだ、俺。

 

「けど、話し合いでちょっと揉めている。

俺はもう家も貯金も向こうに一通り譲るって言ってるのに、納得しねぇんだ。……悪い。おまえ巻き込むことはしたくなかったけど、もしかしたら巻き込んじまうかも知れねぇ」

「政行……さん」

 

再会してから請われて、偶に呼ぶようになった先輩の下の名前を呼ぶと先輩の表情が緩んだ。

 

「俺はこの先一緒に過ごしていくならおまえがいい。実琴。

……もう、おまえを手放すことになるのだけはごめんだ」

「……っ、政行、さ……っ」

 

止めようにも止まらない涙がぼろぼろと溢れ出してくる。

嬉しいのと申し訳ないのとがぐちゃぐちゃになって、自分でもどうしたらいいのか分からない。

先輩が重ねて来た唇が、妙にしょっぱくて、俺が泣いてるせいだってのは分かったけど、だからといって唇を離す気にはなれなかった。

 

***

 

多分、それまでに名前を呼んだ回数よりも多く、先輩を呼んだと思う。

政行さんって呼ぶ度に、先輩が興奮して俺の中で大きくなったり、動きが激しさを増したりして。

先輩も俺の名前を何度となく繰り返し呼んでくれた。

きっと、俺も先輩と同じように、名前を呼ばれることで身体が反応したんだろう。

めちゃくちゃ嬉しそうな顔が快楽に歪んで、これまた繰り返し可愛いって言われた。

お互いが出した精液で、繋がった場所も、俺の腹の上もどろどろになって、動けなくなった頃には、夕方だったはずの時間は、夜中に差し掛かっていた。

 

***

 

「……っと、元気っすよね」

 

つくづく明日が日曜だったことに感謝するほかない。

文字通り、足腰立たない状態にされてしまった。

いや、足腰どころか指一つ動かすのさえ、既におっくうだ。

月曜日まで引きずりそうなのが、少しばかり恐ろしい。

なのに、先輩の方はといえば、すっきりした表情さえ見せながら一服している。

俺の一つ上だってのに、どこからこの精力が沸いて出るのか、結構本気で問いただしたい。

 

「ん? そりゃ、おまえめちゃくちゃ反応良かったしな。

そんなの見たら、盛り上がっちまうに決まってんだろ」

「そんな……もんすか」

 

煙草吸いたいけど、身体起こすのもしんどい、なんて思っていたら、先輩が吸っていた煙草を一度灰皿に置いて、俺にキスしてくれる。

口の中で馴染んだ煙草の味が広がったのが心地いい。

 

「…………政行さん」

「ん?」

「俺も……巻き込んじまって下さい」

「…………実琴」

 

眠気で意識が飛びそうになりながらも、これだけはと言葉にする。

 

「一人で背負おうとか……しないで……俺も、一緒に背負いたい、か……ら」

「実琴」

 

眠気で意識が霞んでいく中、微かにありがとうな、って声が聞こえた気がした。

Memo
堀先輩側が離婚することを決めた、な流れ。
何だかんだで、シリーズの真ん中ちょっと過ぎくらいの展開部分。
pixivではImmorality of target another1に収録してます。

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