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離れたくない、離したくない

[御子柴Side]

 

「ふ……あっ」

「……っ、おまえ、動き、凄ぇエロい、なっ」

「誰、のせ……っ、あ、あああっ!!」

 

先輩の腰に片足を絡みつけるようにしながら、腰を先輩の動きに合わせるように動かすと、乱れた呼吸の先輩が嬉しそうに囁く。

十数年ぶりに先輩と再会して、またこうして身体を重ねるようになってからというもの、しばらくセックスしていなかったのが嘘だったみたいに、身体が先輩を欲していた。

そういえば、十数年前もそうだったんだよな。

最初は先輩を受け入れるのが痛くて堪らなかったのに、どんどん慣らされていって、一人じゃ得られないような悦楽に溺れていった。

先のことなんて考えられずに、ずるずると関係を続けて。

我に返ったのは、先輩が上司に娘さんを紹介されたって聞いたときだった。

 

――結婚して、家庭作って、妻子養って。そんなの考える歳なんだよなぁ、俺たち。

 

俺の頭の中には、先輩の言葉を聞くまでそんなのは全然考えていなかった。

そして、結婚したとしても関係はこのまま続けていけないか、なんて言った先輩に俺は出来ないって言った。

周囲も自分も誤魔化してやっていけるほど、器用な人間じゃないって。

他の人間を抱いたのと同じ腕で俺を抱くかと思うと、嫉妬で焦げてぐちゃぐちゃになりそうだったし、何より籍を入れている相手の方がずっと立場は強い。

子どもだって持てる。

同性の時点で、俺は先輩の妻になるであろう相手には敵わないことが色々あるってのを思い知らされた。

だから、離れなくちゃ人としてダメになるって思って、別れを告げ、連絡手段の類を色々と変えた。

…………なのに、今の状況はどうだ。

 

「せ……んぱ……っ、そ、こ……うああ!! ひっ、あっ、やあ!!」

「おまえ、ここ擦られるのにホント弱いよなぁ。凄ぇ可愛い」

 

久々にセックスした後、奥さんとは数年レスだって聞いた。

その事実がどれほど俺を喜ばせたのか、この人はきっと知らない。

この熱を今は俺だけが先輩と共有している。

平日に偶に会ってするのは、せいぜい食事とセックスぐらいだっていうのに、この時間をどれだけ待ち焦がれてしまっているか。

そして――。

 

「ダメ……っ、それ、以上……そこっ、擦ったらっ、イッちま……う!」

「イケばいい、だろっ、気持ち良いならっ……!」

「あ、あ、やっ、ああっ!! せん、ぱ……あああ!!!」

 

快感の頂点は確かに望んでいたものだけど、それは同時にこの時間の終わりを告げるものでもある。

昔みたいに、先輩が俺の家に泊まって、そのまま夜を過ごしていくことはないっていう部分で思い知らされる。

今のこの人が、俺のものだけではないってことを。

離れたくないのに、離さなくてはいけない。

……離したくなんかないのに。

このまま帰らないで欲しい、って言えたらどんなにいいだろうか、なんて意識の片隅で思いながらイッて、中に先輩が吐き出した熱を感じていた。

 

[堀Side]

 

「ふ……あっ」

 

御子柴が色っぽい面をしながら、俺の腰に足を巻き付け、こっちの動きに合わせて淫らに腰を振る。

腹で擦れている御子柴のモノから滴る先走りも随分な量だ。

 

「……っ、おまえ、動き、凄ぇエロい、なっ」

「誰、のせ……っ、あ、あああっ!!」

 

言われるまでもなく、俺のせいだ。

こいつは俺以外の身体を知らない。

反応の全てが俺とのセックスで身体に刻み込まれたものだ。

弱いところも熟知しているし、そもそも色々開発したのも俺だ。

歳を重ねても端正な顔が快感で乱れて、切ない声を上げ、全身で俺を求めてくる。

興奮しないわけがない。

 

――御子柴の連絡先なら知ってますけど、教えられません。教えるなって言われましたから。

 

十数年前、一度御子柴と別れた際に、あいつは俺との関わりを断つように、住所やら、電話番号やら、メアドやら色々変えた。

鹿島なら知っているだろうと尋ねてみたら、笑顔でそうバッサリと断られた。

 

――それに……大事な親友泣かす人には私としても教えたくないです。

 

そう、棘を含めた言葉にそれ以上は聞けなかった。

聞く資格がないことくらいは流石に悟った。

御子柴を傷つけて、あいつに別れるって選択をさせたのは俺が結婚を決めたからだ。

 

――俺は、周囲も自分も誤魔化してやっていけるほど、器用な人間じゃありません。演じられる先輩と一緒にしないで下さい。

――嫉妬の一つもしないって思ってるんすか? 先輩の腕が他の人間抱くって分かってて平気なわけねぇだろ……っ!?

 

あの言葉を聞く瞬間までは、おまえの方こそ俺との関係を割り切ったものだと捉えているって思っていた。

……なぁ、御子柴。おまえ知らねぇだろう?

おまえは連絡手段は色々断っていったが、勤務先までは変えなかった。

だから数年掛けて、仕事上で会うのを不自然じゃない形で持っていき、再会に漕ぎ着けた。

結婚していたり、恋人がいたりしても、奪い取るつもりだったのが、どうだ。

俺と別れてから、誰とも付き合わず、身体は俺しか知らないままだって聞いて、どれほど興奮して――嬉しかったか。

 

「せ……んぱ……っ、そ、こ……うああ!! ひっ、あっ、やあ!!」

「おまえ、ここ擦られるのにホント弱いよなぁ。凄ぇ可愛い」

 

こうやって快感で喘いで、足を踊らせ、俺の背にしがみついてくる可愛さと言ったらない。

女房とはレスになったことで、かえって気が楽になったくらいだったのに、御子柴は何度でも抱きたくなる。

出来るものなら家に帰らずに、このままここでこいつと過ごしたいなんて思う。

味気ないセックスと食事だけの時間じゃ物足りない。

昔みたいに他愛ないことで話をしたり、一緒に何処かに出掛けたり、そんな時間を共有したい。

離れたくない。

 

「ダメ……っ、それ、以上……そこっ、擦ったらっ、イッちま……う!」

「イケばいい、だろっ、気持ち良いならっ……!」

「あ、あ、やっ、ああっ!! せん、ぱ……あああ!!!」

 

背中に食い込む御子柴の爪が心地良い痛みだ。

――二度と離してたまるかよ。

離れるなと言わんばかりに締め付けた御子柴の中に、熱を吐き出しながら、俺は女房にどう離婚を切り出そうかと考えていた。

Memo
3つの恋のお題にあった中から。
Immorality of targetシリーズのプロトタイプ的なもの。
原稿中の長いエロの息抜きに短いエロを書く矛盾w

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