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堀みこで姫初めその1

「何か……今日……」

「ん?」

「……いや、何でもないっす」

 

見上げた顔が不審そうな表情になったのは一瞬で、直ぐにまた俺の身体を探り始める。

鎖骨を辿っていく先輩の指と唇が妙に熱くて、じわじわと快感が沸き上げる。

 

「……っ、あ、は……っ」

 

普段だったら、先輩はこんな風に丁寧に触ってきたりなんてしないのに、今日はどういう風の吹き回し何だか、やたらにじっくりと触れてくる。

 

――明けましておめでとうございます。

――おう、おめでとう。おまえ、この後時間あるか?

 

初詣で訪れた神社で、ちょうど先輩と会ったら、今日は家に誰もいないからと、そのまま先輩の家に連れてこられた形だ。

 

――みんな、親戚んとこに挨拶に行ってるんだよ。で、俺は受験勉強ってことで、一人で家に残ってたってわけだ。

 

そんな状況でセックスなんかしていいのかよ、新年早々盛ってんなとは思ったが、流石に受験を優先していて、先輩とセックスするのは久しぶりだったから、つい流されてしまった。

実際、誘われた時の拒否権なんて、まともにこの人はくれたことなんてないから諦め半分で身を任せたら、久々にするせいなのか、随分と丁寧な触り方をされて驚いた。

こういう風に触られたことなんて、ほとんどないから困惑する。

 

「っ!?」

 

先輩の唇が腹の方まで辿ってきて、俺の反り返ってるモノの先端に触れる。

先輩のモノを口でしろって促されたことは何度もあるけど、先輩の口が其処に触れるなんて初めてだ。

驚いて先輩を見ると、俺の視線とがっちり重なり合う。

何も言わずに、にやりと口元に笑みを浮かべた先輩は、そのまま舌先を出して――俺のちんちんの先端に這わせた。

ざらついた熱い舌の感覚は、予想以上にこっちに快感を与えてきてヤバい。

単純な身体の快感もだけど、先輩が口でしてるって考えるだけで、今にも出しそうだ。

 

「ひ! うあ!! ちょっ、せん、ぱっ……!」

「……おまえ、ホント先っぽ弱ぇよなぁ」

「知って、るじゃ、ないっす、か……! 口、離し……っ! イッちま、うからっ……!!」

「イケばいいだろ。イクななんて言ってねぇんだから」

「うああ!!」

 

口だけでなく、先輩の手も俺のモノに刺激を与え始める。

付け根を緩く扱かれた後に、袋の方を優しく撫でられて、腰が浮いてしまう。

腰が浮いた隙に先輩の指が後ろ側に回って、穴を探り始めたところで限界だった。

気持ち良さに息を吐きながら、ふと今どこに出したのかが気になって、身体を起こす。

 

「すみませ……っ、今のかけ……」

「避けた。でもって、手で受け止めた」

「あ……」

 

先輩がたった今、俺が出した精液塗れになった手のひらを俺に見せてきた。

 

「まだ、後ろ側、指も挿れてなかったのにな。触ってただけだぞ」

「だ……って、口でなんてされたら、興奮しますって」

「…………可愛いな、御子柴」

「っ!?」

 

いや、ホントに今日はどうしたってんだよ、先輩。

真っ直ぐに顔を見つめられた状態で、そんな事を言われて冷めていた興奮がまた頭をもたげ始める。

先輩が精液のかかっていない方の手で、俺の片足を持ち上げると、先輩の肩に乗せた。

 

「もう一方の足も俺の肩に乗せろ」

「え、あ、はい」

 

促されて、つい言われた通りに先輩の肩に足を乗せたが、これ、先輩から見たら凄ぇ格好だよな。

先輩が精液のついた手で後ろ側を探り始めて、ごくりと喉がなった。

そっと入って来た指がいつもより気持ち良くて、勝手に声が食いしばった歯の間から零れていく。

 

「……っ、せん、ぱ……」

「ローションも使うか? 何か大丈夫そうっぽくはあるけど」

「多分、なく、ても平気……っす」

「じゃ、このまま挿れるぞ。痛かったら言えよ」

「……っとに、今日はどうしたん、すか」

 

痛かったら、なんて最初の時でも聞かれなかったのに。

 

「何でも、ねぇ、よっ……」

「ん、あ……うああ……あっ!」

 

まして、こんな風に気遣うように動かれるなんて、本当に雨、いや雪でも降るんじゃないだろうか。

背中を駆け上がっていく衝動は、早くも限界の近さを伝えている。

さっきの今だってのに、あっさりイキそうな自分もどうなんだよ。

 

「……御子柴」

「ん……ふっ」

 

なのに、先輩が唇を寄せてきて、重ねられて。

温かくて柔らかい感触に、我慢するのがキツくて身体が震えてしまう。

くそ、こんなとこでイクとか早すぎんだろ、俺。

 

「堪えなくていいぞ。気持ち良いなら、そのままイッとけ、よ……っ」

「あ、ふあ、やっ、あああっ!!!」

 

唇が軽く触れ合うような距離でそんな事を言われて、理性の糸は容易く切れた。

 

***

 

「……本当に、今日はどうしたってんですか、先輩」

「あー……何が」

「いや、そりゃ久しぶりだったのは確かですけど。

妙に優しくありませんでし……痛て!」

「妙にってのは余計だ、妙にってのは」

 

目の据わった先輩に、頬を遠慮なく引っ張られて情けなくも声を上げる。

 

「だって、珍しいじゃないっすか、実際! 何かあったんすか?」

「……姫初め」

「は?」

「いや、新年最初のセックスが姫初めってのは知ってるか?」

「まぁ、それは一応」

「その姫初めってのは、優しく抱かないと不幸になるんだってよ。

真偽の程までは分からねぇけど」

 

わざわざおまえを不幸にしようとも思わねぇし、それでなくても久々だったしな、とさらっというのを信じられない思いで聞く。

 

「…………その、俺の為に、だったんすか?」

「あー……まぁ、そうなるな」

 

そして、珍しく先輩が目元をほんの少し赤く染める。

……照れてるのかよ、この人が。

そんな様子を見てると、こっちまで顔がどんどん熱くなってしまっているのが分かる。

気恥ずかしくて、先輩の胸に顔を埋めると、先輩も自分の顔を見られたくないのか、俺の頭をぎゅっと抱き締めてきた。

 

「御子柴。ちょっと休憩したら、もう一回するか」

「ん……先輩の時間が大丈夫なようでしたら」

 

どうにも、調子の狂う言葉を交わしながら、俺も先輩の背中に腕を回した。

Memo
姫初めは優しく抱かないと不幸になるから、と優しく抱くバージョン。
pixivでは姫初め×10に収録してあります。

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