作品
せめてネタにしよう 武力丹編
「おーい、嬢! 支援物資持ってきたぜ!!
他領の領主からの差し入れだ」
一旦、前線から退いて、本陣に戻って来た私の所に蒼が駆け寄る。
「ありがとう、お疲れ様。
どちらのご領主からのお預かりもの?」
「三成様んとこの……何っつったっけ……自分で確かめな」
手渡された矢文を確認する。
差出人とは知己ではなかったが、ご本人はもう戦場には向かえないとの事で、支援してくれたようだった。
「後でお礼を申し上げなければなりませんね。物資は何ですか?」
「おう、手ぇ出しな」
掌を上にし、蒼に向かって差し出した。
乗せられたのは、赤い懐紙に包まれた武力丹。
越後屋が品切れを起こしてしまった現在、一つでも増えるのは有り難い。
「これでまた殿のお役に立てる。大事に使わなければ……」
「おい、まだあるんだ。手ぇ、引っ込めんな」
「え? ちょっ……」
一つ、二つ、三つ、四つ、五つ――驚いている間に、どんどん武力丹は増え、結局片手だけには乗せ切れず、両手に乗った武力丹は――。
「ほい、これで最後っと」
実に全部で十五。
「いやー、太っ腹な領主もいたもんだ。
次々と武力丹付きの矢文が送り込まれて、びっくりしたぜ。
ん? どしたよ、嬢。口元引きつってんぞ?」
「……何でも……ないわ」
まさか、かつての悪い癖で余分に何処かから盗ってきたのではないか――と
喉元まで出かけた言葉は必死で飲み込んだ。
2009/12 up
当時やっていた合戦イベント時に起きたエラーが元ネタの半実話w
有り難く使わせて頂きましたが、送って下さった領主様から余計に貰っていないかと最初は不安でした(^_^;
それにしても、あの合戦のエラーは酷かった……。
- 2013/10/24 (木) 00:15
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