No.92
おむおこ2での展示作品。
とあるオフの日の朝の一幕。朝チュンブラキス。
<Keith's Side>
けたたましく鳴り響いたアラートの音に続いて、イクリプスが現れたことを告げるジャックの声が聞こえ、ぼんやりしてた意識が一気に覚醒した。
……出現数が多くはなさそうだが、ここからまぁまぁ近ぇ場所だな。
本来、今日はオフだったとはいえ、緊急事態となりゃそんなの関係ねぇのもヒーローだ。
しゃあねぇな、一仕事してから寝直すかと身体をベッドから起こしかけたところで、先に身体を起こしていたブラッドに制止された。
「あ?」
「お前はそのまま寝てろ」
「は? どういうことだよ」
「…………ジャックの報告通りなら、俺一人で十分だ。直ぐに片をつけてくる」
オレから視線を逸らすようにベッドから出ようとしたブラッドの腕を掴む。
「……お前、オレがそんなヤワだと思ってんのかよ」
昨夜オレが単純に飲み明かしての二日酔いとかなら、ブラッドは絶対にこんなこと言わねぇ。
自業自得だ、ヒーローとしての自覚はあるのか貴様、ぐらいの小言を浴びせて、無理矢理にでも現場に引きずっていくとこだろう。
今日に限って、そんならしくねぇことを言うのは。
「思ってはいない。が、昨夜は無茶をさせたという自覚はある」
――お互いのオフが久々に重なって、セックスも久々で、随分盛り上がっちまったからだ。
下手に双方体力がそれなりにあるもんだから、スイッチが入ると中々歯止めがきかなくなるんだよな。
何回イッたか忘れたが、さすがに限界と寝たのは空が白み始めた頃だった。
「『させた』ねぇ……お互い様だろうがよ、あんなん」
本当に無理だと思ったら、こっちだってそもそも応じねぇし、そうなったら無理を通すなんてことは絶対にやらねぇヤツだ。
そりゃ、身体の負担はどうしたって受け入れるこっちの方がデカくなるとはいえ、オレだってそれなりに煽った結果だってのに。
どうも、ブラッドは自分に負い目があると一人で抱えようとする癖があるんだよな。
ディノの時だってそうだった。
ずっとオレには黙って、一人で抱えて、真相を確かめるために動いて。
普段はあんなに暴君だってのに、どうもその辺りは本人の自覚も薄いような気がする。
……不器用にも程があるだろ。
掴んだ腕を支えにオレも身体を起こして、ブラッドの背中をぽんと叩いた。
昨晩ブラッドの背中に散々つけちまった爪痕やら指の痕は大分薄くなっている。オレの身体についてるキスマークなんかも多分そうだろう。
サブスタンスの効力で回復が常人より早いのはこういう時助かる。
まだ寝足りねぇとは思うが、それでも体力もある程度は回復してるから、イクリプス数体相手にするぐらいじゃ、ちょっとした運動ってとこだ。
「一人より二人で片付けた方が効率もいいだろ? とっとと終わらせて寝直そうぜ」
「――そうか。そうだな」
ブラッドの目元が微かに綻んだのを確認しつつ、着替え始めた。
せっかくのオフの邪魔をしてくれたヤツには思い知らせてやらねぇとな。
なぁ、ブラッド。
<Brad's Side>
目が覚め、枕元に置いていたスマートフォンで時間を確認しようとした瞬間に鳴り響いたのは、イクリプスの出現を知らせるアラート。
ついで、3Dホログラムで映し出されたジャックがイクリプスの出現した位置とおよその数を知らせてくる。
多くはないが、現場は昨夜泊まったこのキースの家からは比較的近い。
少なくともタワーに住んでいるヒーロー達よりは早く現場に到着し、対応することが出来るだろう。
直ぐに出動しなければ。
キースも今のアラートで目を覚ましたらしく、起きようとしていたが、反射的にそれを押しとどめた。
「あ?」
「お前はそのまま寝てろ」
「は? どういうことだよ」
「…………ジャックの報告通りなら、俺一人で十分だ。直ぐに片をつけてくる」
昨夜は久し振りのセックスだったせいもあって、箍が外れた。
交わる熱の心地良さに浮かれていたと言っても良い。
引き際を見極められず、眠りについたのは結局早朝だ。
受け入れる側のキースには結構な負担がかかったはずで、もう少し休ませてやりたい。
だが、ベッドから出ようとしたところで、キースが俺の腕を掴んで引き止めた。
「……お前、オレがそんなヤワだと思ってんのかよ」
「思ってはいない。が、昨夜は無茶をさせたという自覚はある」
「『させた』ねぇ……お互い様だろうがよ、あんなん」
「………………」
セックスは一人では成り立たない。
当然、合意の上での行為とはいえ、身体への負担にはどうしたって差がある。
キースの方は本来セックスに使う器官ではない場所を慣らして、身体を重ねているのだから。
…………これでキースが飲み過ぎて酔い潰れた等であれば、キースもこれ幸いにとオレは休んどくわとでも言うだろうし、そんな貴様の都合など知らんと突っぱねて本来のヒーローとしての仕事をさせるだけだが――。
どう返したものかと思案していると、キースが微かに苦笑いを浮かべて身体を起こし、俺の背を軽く叩く。
気にするなとでも言うかのように。
「一人より二人で片付けた方が効率もいいだろ? とっとと終わらせて寝直そうぜ」
「――そうか。そうだな」
言外に一人でやろうとするんじゃねぇよと含められた気がして、引き下がることにした。
キースの言うように二人で対応した方が実際早く片付く。
休ませてやるのはその後でいい。
出来るだけ早く片付けて、残り少ないオフを満喫することとしよう。
Close
#ブラキス
とあるオフの日の朝の一幕。朝チュンブラキス。
<Keith's Side>
けたたましく鳴り響いたアラートの音に続いて、イクリプスが現れたことを告げるジャックの声が聞こえ、ぼんやりしてた意識が一気に覚醒した。
……出現数が多くはなさそうだが、ここからまぁまぁ近ぇ場所だな。
本来、今日はオフだったとはいえ、緊急事態となりゃそんなの関係ねぇのもヒーローだ。
しゃあねぇな、一仕事してから寝直すかと身体をベッドから起こしかけたところで、先に身体を起こしていたブラッドに制止された。
「あ?」
「お前はそのまま寝てろ」
「は? どういうことだよ」
「…………ジャックの報告通りなら、俺一人で十分だ。直ぐに片をつけてくる」
オレから視線を逸らすようにベッドから出ようとしたブラッドの腕を掴む。
「……お前、オレがそんなヤワだと思ってんのかよ」
昨夜オレが単純に飲み明かしての二日酔いとかなら、ブラッドは絶対にこんなこと言わねぇ。
自業自得だ、ヒーローとしての自覚はあるのか貴様、ぐらいの小言を浴びせて、無理矢理にでも現場に引きずっていくとこだろう。
今日に限って、そんならしくねぇことを言うのは。
「思ってはいない。が、昨夜は無茶をさせたという自覚はある」
――お互いのオフが久々に重なって、セックスも久々で、随分盛り上がっちまったからだ。
下手に双方体力がそれなりにあるもんだから、スイッチが入ると中々歯止めがきかなくなるんだよな。
何回イッたか忘れたが、さすがに限界と寝たのは空が白み始めた頃だった。
「『させた』ねぇ……お互い様だろうがよ、あんなん」
本当に無理だと思ったら、こっちだってそもそも応じねぇし、そうなったら無理を通すなんてことは絶対にやらねぇヤツだ。
そりゃ、身体の負担はどうしたって受け入れるこっちの方がデカくなるとはいえ、オレだってそれなりに煽った結果だってのに。
どうも、ブラッドは自分に負い目があると一人で抱えようとする癖があるんだよな。
ディノの時だってそうだった。
ずっとオレには黙って、一人で抱えて、真相を確かめるために動いて。
普段はあんなに暴君だってのに、どうもその辺りは本人の自覚も薄いような気がする。
……不器用にも程があるだろ。
掴んだ腕を支えにオレも身体を起こして、ブラッドの背中をぽんと叩いた。
昨晩ブラッドの背中に散々つけちまった爪痕やら指の痕は大分薄くなっている。オレの身体についてるキスマークなんかも多分そうだろう。
サブスタンスの効力で回復が常人より早いのはこういう時助かる。
まだ寝足りねぇとは思うが、それでも体力もある程度は回復してるから、イクリプス数体相手にするぐらいじゃ、ちょっとした運動ってとこだ。
「一人より二人で片付けた方が効率もいいだろ? とっとと終わらせて寝直そうぜ」
「――そうか。そうだな」
ブラッドの目元が微かに綻んだのを確認しつつ、着替え始めた。
せっかくのオフの邪魔をしてくれたヤツには思い知らせてやらねぇとな。
なぁ、ブラッド。
<Brad's Side>
目が覚め、枕元に置いていたスマートフォンで時間を確認しようとした瞬間に鳴り響いたのは、イクリプスの出現を知らせるアラート。
ついで、3Dホログラムで映し出されたジャックがイクリプスの出現した位置とおよその数を知らせてくる。
多くはないが、現場は昨夜泊まったこのキースの家からは比較的近い。
少なくともタワーに住んでいるヒーロー達よりは早く現場に到着し、対応することが出来るだろう。
直ぐに出動しなければ。
キースも今のアラートで目を覚ましたらしく、起きようとしていたが、反射的にそれを押しとどめた。
「あ?」
「お前はそのまま寝てろ」
「は? どういうことだよ」
「…………ジャックの報告通りなら、俺一人で十分だ。直ぐに片をつけてくる」
昨夜は久し振りのセックスだったせいもあって、箍が外れた。
交わる熱の心地良さに浮かれていたと言っても良い。
引き際を見極められず、眠りについたのは結局早朝だ。
受け入れる側のキースには結構な負担がかかったはずで、もう少し休ませてやりたい。
だが、ベッドから出ようとしたところで、キースが俺の腕を掴んで引き止めた。
「……お前、オレがそんなヤワだと思ってんのかよ」
「思ってはいない。が、昨夜は無茶をさせたという自覚はある」
「『させた』ねぇ……お互い様だろうがよ、あんなん」
「………………」
セックスは一人では成り立たない。
当然、合意の上での行為とはいえ、身体への負担にはどうしたって差がある。
キースの方は本来セックスに使う器官ではない場所を慣らして、身体を重ねているのだから。
…………これでキースが飲み過ぎて酔い潰れた等であれば、キースもこれ幸いにとオレは休んどくわとでも言うだろうし、そんな貴様の都合など知らんと突っぱねて本来のヒーローとしての仕事をさせるだけだが――。
どう返したものかと思案していると、キースが微かに苦笑いを浮かべて身体を起こし、俺の背を軽く叩く。
気にするなとでも言うかのように。
「一人より二人で片付けた方が効率もいいだろ? とっとと終わらせて寝直そうぜ」
「――そうか。そうだな」
言外に一人でやろうとするんじゃねぇよと含められた気がして、引き下がることにした。
キースの言うように二人で対応した方が実際早く片付く。
休ませてやるのはその後でいい。
出来るだけ早く片付けて、残り少ないオフを満喫することとしよう。
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#ブラキス
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