No.19
オーダースーツネタ
ルーキー時代にキースのオーダースーツをブラッドと一緒に仕立てに行く話。
スーツイベやった時、オーダースーツを作る際チンポジ確認される的なツイートを思い出して、キスブラでやったら(私が)楽しいなと思ったネタ。
既に体の関係はある前提。
それをジェイから打診されたのは、じき深夜にさしかかろうという時間帯だった。
自室で本を読んでいたら、帰ってきたばかりのジェイがこちらの部屋に訪れ、キースのオーダースーツを仕立てるのに付き合ってくれないかと言ってきたのだ。
「キースのオーダースーツ?」
「ああ。一着ぐらいは持っておいた方がいいからな。最初、俺が仕立てに行くのに付き合うつもりだったんだが、生憎しばらくその時間が取れそうになくてな。お前ならいい店も知っているだろうし……どうだろう?」
確かにヒーローとなれば、何らかの折にレセプションに参加することは少なくない。
俺たちはまだルーキーの立場だから機会が限られているが、年々そういったものに参加する機会は増えていくことは容易に予想される。
その際に着るのはエリオスの制服を指定される場合もあるが、そうでなければスーツ、もしくは礼服だ。
礼服を指示されることは少ないだろうが、スーツはそれなりに必要とされる機会が多いし、仕立てのいいスーツを持っておけば、今後レセプションに限らず、何かと役に立つ。
キースはアカデミー時代に何かのバイトで使う機会があって、既製品のスーツを所持していた覚えはあるが、ヒーローは職業柄、人に注目される機会が多い。
恐らくジェイはその辺りを考慮し、今のうちにキースにオーダースーツを仕立てるようすすめたのだろう。
しかるべき店で仕立てて貰うのであれば、それなりに日数もかかる。
今日、ジェイがこの時間に帰ってきたというのを考えても、しばらく店に行く時間が取れなさそうなのも理解出来た。
キースも部屋にいて今のやりとりは聞こえていたはずだが、特に俺たちの会話に口を挟んで来ないということは、既にキースには話を通しているのだろう。
「俺はキースが構わないのであれば異存はない。明日はオフだし、明日店に行く形で問題はないが」
自分のベッドで雑誌を読んでいたキースを見ながらそう言うと、キースもすぐにこちらを向いた。
「俺も構わねぇし、明日でいいぜ」
「そうか! すまない、二人とも。せめて明日の昼食代は俺が出……」
「それは必要ない」
「それはいらねぇよ」
財布を出しかけたジェイを止めたのは二人同時だ。
「そもそもオレの着るもん買いに行くんだし、ジェイに出して貰う筋合いはねぇって」
「俺も同感だ。あなたが昼食代を出すことはない」
「そ、そうか? しかし、キースにオーダースーツを買うようすすめたのは俺だし、ブラッドに付き合うよう頼んだのも俺なんだが」
「いらねぇって」
「不要だ」
(中略)
「そういや、ジェイはああ言ったけどさ、店さえ教えてくれりゃ俺一人で行ってくるぜ?」
「いや。俺もそろそろ一着新調しようと考えていたところだったから好都合だった」
実際、アカデミー時代に作っていたオーダースーツは、体の成長に伴って少し窮屈になっていたから、近いうちに手直しして貰うか、もしくは新調しようと考えていた。
それがほんの少し早まっただけのことだ。
「そっか。ま、それならいいけどさ。車で行くか?」
「そのつもりでいた。店はブルーノースにあるしな。そういえば、予算はどのくらいで考えている?」
「あー、ジェイにこんくらいは出しとけって言われた。一張羅には金惜しむなって」
キースが指で示した額はオーダースーツの相場よりも少し高いくらいの金額だった。
シャツやネクタイもあわせて新調するとしても余裕がある。
ならば、選ぶのに困ることはなさそうだ。
馴染みのビスポーク・テーラーは祖父の代から世話になっている。
恐らく、俺が一緒に行くことで多少は融通もきかせてくれるだろう。
出発前にメールで連絡もしておけば、そう待たされることもないはずだ。
「わかった。では、店に先に到着予定時間と予算を知らせておく」
「悪ぃな。昼飯は奢るからさ」
「気にしなくていい。俺の用事でもある。どうしてもというなら帰りの運転を代われ」
「そんなんでいいのかよ」
「ああ」
(中略)
「いつもは左右どちらにされてますか?」
「は?」
下半身を採寸しながら、そう婉曲的に尋ねて来たテーラーの意図がキースには伝わらなかったらしい。
そういえば、既製の服であれば購入の際に聞かれることはないかと横から口を出す。
「……ポジションだ」
ちらりと股間に視線をやってそれだけ言う。
俺の視線でようやく言葉の意味は伝わったようだが、その理由まではわかっていないようで、キースの顔には疑問が浮かんでいる。
「え……ええ? 何で」
「余裕を作るためだ。動きやすさが変わってくる」
「はー、そういうもんか。ってことは、オレもお前も左ってことだよな」
「おい」
「いいじゃねぇか。どうせ、お前のデータなんざとっくにこの店にあるんだろ」
そういう問題ではないが、下手に言葉を返すとキースがいらんことを言いかねないので、ひとまず口を噤むことにした。
一流の店は店員の対応も一流だ。今の会話で何か思うところがあったとしても、おくびにも出さない。
ならば、話題は早々と終わらせるに限る。
「左ですね。かしこまりました。スーツのお色や素材にご希望はございますか?」
「素材は……動きやすいものでって思うけど、色……色なぁ」
キースの目が店内のマネキンを彷徨うが、これと思う色がないのか、迷っているようだ。
「……お前が今所持しているスーツは無地のブラックだったか?」
「あ? ああ」
「ならば、それと印象が被らないものの方が良いだろう。ダークグレー……いや、ダークブラウンなんかどうだ? ペンシルストライプが入っているものとか似合うと思うが」
年齢を考えると少し落ち着いた印象になりそうだが、この先数年は着るだろうことを考えれば悪くないはずだ。
「あと、ネクタイは……そうだな。明るめのエメラルドグリーンがいい。こちらは無地で。品のいい光沢が出るシルクだとなお良い」
「今おっしゃった感じに近いジャケットとネクタイを試着用にご用意出来ますが、お試しになりますか?」
「頼む」
テーラーが試着の用意をしに場を離れたところで、キースがぼそりと小声で呟く。
「……お前が話すすめんのかよ。いや、よく分かんねぇから助かるけどさ」
「参考程度に考えてくれればいい。合わないと思えば、他の色を指定しろ」
***
そりゃデータはあるけど、なぜあなたがブラッド様のポジションを当たり前のようにご存知なんですかね!?とひっそり心の中で叫ぶモブの店員になりたかった人生w
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#キスブラ #書きかけ
ルーキー時代にキースのオーダースーツをブラッドと一緒に仕立てに行く話。
スーツイベやった時、オーダースーツを作る際チンポジ確認される的なツイートを思い出して、キスブラでやったら(私が)楽しいなと思ったネタ。
既に体の関係はある前提。
それをジェイから打診されたのは、じき深夜にさしかかろうという時間帯だった。
自室で本を読んでいたら、帰ってきたばかりのジェイがこちらの部屋に訪れ、キースのオーダースーツを仕立てるのに付き合ってくれないかと言ってきたのだ。
「キースのオーダースーツ?」
「ああ。一着ぐらいは持っておいた方がいいからな。最初、俺が仕立てに行くのに付き合うつもりだったんだが、生憎しばらくその時間が取れそうになくてな。お前ならいい店も知っているだろうし……どうだろう?」
確かにヒーローとなれば、何らかの折にレセプションに参加することは少なくない。
俺たちはまだルーキーの立場だから機会が限られているが、年々そういったものに参加する機会は増えていくことは容易に予想される。
その際に着るのはエリオスの制服を指定される場合もあるが、そうでなければスーツ、もしくは礼服だ。
礼服を指示されることは少ないだろうが、スーツはそれなりに必要とされる機会が多いし、仕立てのいいスーツを持っておけば、今後レセプションに限らず、何かと役に立つ。
キースはアカデミー時代に何かのバイトで使う機会があって、既製品のスーツを所持していた覚えはあるが、ヒーローは職業柄、人に注目される機会が多い。
恐らくジェイはその辺りを考慮し、今のうちにキースにオーダースーツを仕立てるようすすめたのだろう。
しかるべき店で仕立てて貰うのであれば、それなりに日数もかかる。
今日、ジェイがこの時間に帰ってきたというのを考えても、しばらく店に行く時間が取れなさそうなのも理解出来た。
キースも部屋にいて今のやりとりは聞こえていたはずだが、特に俺たちの会話に口を挟んで来ないということは、既にキースには話を通しているのだろう。
「俺はキースが構わないのであれば異存はない。明日はオフだし、明日店に行く形で問題はないが」
自分のベッドで雑誌を読んでいたキースを見ながらそう言うと、キースもすぐにこちらを向いた。
「俺も構わねぇし、明日でいいぜ」
「そうか! すまない、二人とも。せめて明日の昼食代は俺が出……」
「それは必要ない」
「それはいらねぇよ」
財布を出しかけたジェイを止めたのは二人同時だ。
「そもそもオレの着るもん買いに行くんだし、ジェイに出して貰う筋合いはねぇって」
「俺も同感だ。あなたが昼食代を出すことはない」
「そ、そうか? しかし、キースにオーダースーツを買うようすすめたのは俺だし、ブラッドに付き合うよう頼んだのも俺なんだが」
「いらねぇって」
「不要だ」
(中略)
「そういや、ジェイはああ言ったけどさ、店さえ教えてくれりゃ俺一人で行ってくるぜ?」
「いや。俺もそろそろ一着新調しようと考えていたところだったから好都合だった」
実際、アカデミー時代に作っていたオーダースーツは、体の成長に伴って少し窮屈になっていたから、近いうちに手直しして貰うか、もしくは新調しようと考えていた。
それがほんの少し早まっただけのことだ。
「そっか。ま、それならいいけどさ。車で行くか?」
「そのつもりでいた。店はブルーノースにあるしな。そういえば、予算はどのくらいで考えている?」
「あー、ジェイにこんくらいは出しとけって言われた。一張羅には金惜しむなって」
キースが指で示した額はオーダースーツの相場よりも少し高いくらいの金額だった。
シャツやネクタイもあわせて新調するとしても余裕がある。
ならば、選ぶのに困ることはなさそうだ。
馴染みのビスポーク・テーラーは祖父の代から世話になっている。
恐らく、俺が一緒に行くことで多少は融通もきかせてくれるだろう。
出発前にメールで連絡もしておけば、そう待たされることもないはずだ。
「わかった。では、店に先に到着予定時間と予算を知らせておく」
「悪ぃな。昼飯は奢るからさ」
「気にしなくていい。俺の用事でもある。どうしてもというなら帰りの運転を代われ」
「そんなんでいいのかよ」
「ああ」
(中略)
「いつもは左右どちらにされてますか?」
「は?」
下半身を採寸しながら、そう婉曲的に尋ねて来たテーラーの意図がキースには伝わらなかったらしい。
そういえば、既製の服であれば購入の際に聞かれることはないかと横から口を出す。
「……ポジションだ」
ちらりと股間に視線をやってそれだけ言う。
俺の視線でようやく言葉の意味は伝わったようだが、その理由まではわかっていないようで、キースの顔には疑問が浮かんでいる。
「え……ええ? 何で」
「余裕を作るためだ。動きやすさが変わってくる」
「はー、そういうもんか。ってことは、オレもお前も左ってことだよな」
「おい」
「いいじゃねぇか。どうせ、お前のデータなんざとっくにこの店にあるんだろ」
そういう問題ではないが、下手に言葉を返すとキースがいらんことを言いかねないので、ひとまず口を噤むことにした。
一流の店は店員の対応も一流だ。今の会話で何か思うところがあったとしても、おくびにも出さない。
ならば、話題は早々と終わらせるに限る。
「左ですね。かしこまりました。スーツのお色や素材にご希望はございますか?」
「素材は……動きやすいものでって思うけど、色……色なぁ」
キースの目が店内のマネキンを彷徨うが、これと思う色がないのか、迷っているようだ。
「……お前が今所持しているスーツは無地のブラックだったか?」
「あ? ああ」
「ならば、それと印象が被らないものの方が良いだろう。ダークグレー……いや、ダークブラウンなんかどうだ? ペンシルストライプが入っているものとか似合うと思うが」
年齢を考えると少し落ち着いた印象になりそうだが、この先数年は着るだろうことを考えれば悪くないはずだ。
「あと、ネクタイは……そうだな。明るめのエメラルドグリーンがいい。こちらは無地で。品のいい光沢が出るシルクだとなお良い」
「今おっしゃった感じに近いジャケットとネクタイを試着用にご用意出来ますが、お試しになりますか?」
「頼む」
テーラーが試着の用意をしに場を離れたところで、キースがぼそりと小声で呟く。
「……お前が話すすめんのかよ。いや、よく分かんねぇから助かるけどさ」
「参考程度に考えてくれればいい。合わないと思えば、他の色を指定しろ」
***
そりゃデータはあるけど、なぜあなたがブラッド様のポジションを当たり前のようにご存知なんですかね!?とひっそり心の中で叫ぶモブの店員になりたかった人生w
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