タグ「R15」を含む投稿[4件]
仕上げる予定のない堀みこ
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
殺伐としてる堀みこ。
「何だよ、もう帰んのか?」
ベッドに腰掛けながら服を着ていると、背後からそんな声がかかって、腕を掴まれた。
「……帰りますよ。もう用済んだっすよね?」
後ろは振り向かずにそれだけ告げる。
今、先輩がどんな顔してるか、想像出来る。
出来るからこそ、顔を見たくない。
「つれねぇなぁ。さっきまで、散々俺にしがみついて啼いてた癖に」
「……好きで先輩とヤッてるわけじゃないのも、知ってますよね」
さっきまでの行為を思い出すと、勝手に顔が赤くなる。
――ちょ……っ、そんなに強…………くっ!
――おまえ、力入れすぎるからキツい思いすんだよ。もうちょっと、力抜いとけ。
――やめ……くあっ!!
ああ、くそ。
詳細なんて、思い出したくもねぇ。
思い出したくねぇのに、つい身体のあちこちに触られた舌や指の感触が蘇ってきて舌打ちしたくなる。
心では絶対に反応したくないのに、身体の方は嫌なくらいに反応させられてしまっている。
同性ゆえのツボを押さえているってだけじゃなく、多分、堀先輩はこの手のことが上手いんだろう。
悔しいことに。
だから、この人に――俺も鹿島も絡め取られている。
まさに、堀先輩の掌の上で踊らされているのだ。
「なぁ、御子柴」
「何……っ!?」
ぐいっと後ろから、肩に腕を回されて。
見たくなかった顔が直ぐ近くにあった。
やっぱり予想していたように、嫌みなくらいに余裕の笑みを浮かべてやがる。
「そこ。しっかり反応してるのに、このまま帰れるのか?」
「……っ!」
知られたくなかった事を指摘されて、余計に自分の顔が熱くなる。
「そのうち収まりますんで、ほっといて下さい!」
「ほっとくより、もう一度出した方が収まるの早いんじゃねぇの?」
「う……」
先輩のもう一方の手が、俺の中心に伸びて、ぐっと握ってきやがった。
「御子柴」
もう一度、名前を呼ばれて。
……俺は帰ることを諦めた。
Close
#堀みこ #ネタメモ #R15
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
殺伐としてる堀みこ。
「何だよ、もう帰んのか?」
ベッドに腰掛けながら服を着ていると、背後からそんな声がかかって、腕を掴まれた。
「……帰りますよ。もう用済んだっすよね?」
後ろは振り向かずにそれだけ告げる。
今、先輩がどんな顔してるか、想像出来る。
出来るからこそ、顔を見たくない。
「つれねぇなぁ。さっきまで、散々俺にしがみついて啼いてた癖に」
「……好きで先輩とヤッてるわけじゃないのも、知ってますよね」
さっきまでの行為を思い出すと、勝手に顔が赤くなる。
――ちょ……っ、そんなに強…………くっ!
――おまえ、力入れすぎるからキツい思いすんだよ。もうちょっと、力抜いとけ。
――やめ……くあっ!!
ああ、くそ。
詳細なんて、思い出したくもねぇ。
思い出したくねぇのに、つい身体のあちこちに触られた舌や指の感触が蘇ってきて舌打ちしたくなる。
心では絶対に反応したくないのに、身体の方は嫌なくらいに反応させられてしまっている。
同性ゆえのツボを押さえているってだけじゃなく、多分、堀先輩はこの手のことが上手いんだろう。
悔しいことに。
だから、この人に――俺も鹿島も絡め取られている。
まさに、堀先輩の掌の上で踊らされているのだ。
「なぁ、御子柴」
「何……っ!?」
ぐいっと後ろから、肩に腕を回されて。
見たくなかった顔が直ぐ近くにあった。
やっぱり予想していたように、嫌みなくらいに余裕の笑みを浮かべてやがる。
「そこ。しっかり反応してるのに、このまま帰れるのか?」
「……っ!」
知られたくなかった事を指摘されて、余計に自分の顔が熱くなる。
「そのうち収まりますんで、ほっといて下さい!」
「ほっとくより、もう一度出した方が収まるの早いんじゃねぇの?」
「う……」
先輩のもう一方の手が、俺の中心に伸びて、ぐっと握ってきやがった。
「御子柴」
もう一度、名前を呼ばれて。
……俺は帰ることを諦めた。
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#堀みこ #ネタメモ #R15
仕上げる予定のない野堀
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
書く予定なしとはあるけど、どうにか出来たらちゃんと話にしたい気はする。(これもか)
「野崎。おまえの家のシュレッダー、CDやDVDも裁断出来たよな? 処分したいから、悪いがちょっと貸してくれ。裁断したゴミは持ち帰る」
いい加減、増えてきたAVを多少処分しようと、野崎の家に持ち込ませて貰った。
俺の家にはシュレッダーなんてものはないし、下手な処分の仕方をすると家族に見つかる。
一応、事前にシュレッダーを使わせて貰いたい旨は告げてあったが、野崎は不機嫌そうに俺が持ってきたAVを手にした。
「処分したいってこういうのだったんですか」
「……何だよ、何が言いたい」
奥歯に物が挟まったような言い方に、こっちも少し苛立ちを感じた。
俺が持ってきたAVのラインナップは『魅惑のガーターベルト』とか、『悩殺! 婦人警官の美脚』とか、まぁそんな好みが分かりやすい類なんだが。
野崎とセックスするような仲になって、それなりに経つが、こいつだって俺が足というパーツが好きなことくらい知っている。
だから、問題ねぇだろうと思ったんだが、野崎の方はそうでもないらしい。
「……先輩は、俺とのセックスに不満なんですか」
「はぁ? おまえだって男ならオナニーとセックスが別物なぐらい分かんだろ!? 別におまえとのセックスに不満があるから、こういうの使ってるわけじゃねぇぞ!?」
「分かります。……分かりますけど、分かりたくないです」
「おい!」
肩を押されて、よろめかされて。
あっという間に、俺の視界は部屋の天井としかめ面した野崎の顔で埋められた。
「……俺は先輩とセックスするようになってから、一人でする時も大体先輩のこと考えながらしてるんですが、先輩はそうじゃないってことですか」
「野崎」
やべぇ。こいつ目が据わってる。
こんな時にこいつとセックスすると、後でまともに動けない羽目になるから、しんどいんだがな。
さて、どうしたもんか。
Close
#野堀 #ネタメモ #R15
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
書く予定なしとはあるけど、どうにか出来たらちゃんと話にしたい気はする。(これもか)
「野崎。おまえの家のシュレッダー、CDやDVDも裁断出来たよな? 処分したいから、悪いがちょっと貸してくれ。裁断したゴミは持ち帰る」
いい加減、増えてきたAVを多少処分しようと、野崎の家に持ち込ませて貰った。
俺の家にはシュレッダーなんてものはないし、下手な処分の仕方をすると家族に見つかる。
一応、事前にシュレッダーを使わせて貰いたい旨は告げてあったが、野崎は不機嫌そうに俺が持ってきたAVを手にした。
「処分したいってこういうのだったんですか」
「……何だよ、何が言いたい」
奥歯に物が挟まったような言い方に、こっちも少し苛立ちを感じた。
俺が持ってきたAVのラインナップは『魅惑のガーターベルト』とか、『悩殺! 婦人警官の美脚』とか、まぁそんな好みが分かりやすい類なんだが。
野崎とセックスするような仲になって、それなりに経つが、こいつだって俺が足というパーツが好きなことくらい知っている。
だから、問題ねぇだろうと思ったんだが、野崎の方はそうでもないらしい。
「……先輩は、俺とのセックスに不満なんですか」
「はぁ? おまえだって男ならオナニーとセックスが別物なぐらい分かんだろ!? 別におまえとのセックスに不満があるから、こういうの使ってるわけじゃねぇぞ!?」
「分かります。……分かりますけど、分かりたくないです」
「おい!」
肩を押されて、よろめかされて。
あっという間に、俺の視界は部屋の天井としかめ面した野崎の顔で埋められた。
「……俺は先輩とセックスするようになってから、一人でする時も大体先輩のこと考えながらしてるんですが、先輩はそうじゃないってことですか」
「野崎」
やべぇ。こいつ目が据わってる。
こんな時にこいつとセックスすると、後でまともに動けない羽目になるから、しんどいんだがな。
さて、どうしたもんか。
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#野堀 #ネタメモ #R15
仕上げる予定のない堀鹿:その3
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
ただの(やや下品な)バカップルネタ。
夜中、ふと目を覚ますと隣の先輩はまだ眠ってた。
枕元に置いてあったスマホで時間を確認してみたところ、現在時刻は午前四時を回ったところ。
起きるには早いし、二度寝をするにはちょっと目がさえてしまった。
少しの間、先輩の様子を窺ってみるも、先輩の方は起きる気配はない。
……これは、今のうちかな。
そうっと先輩を起こさないようにベッドから出て、静かにベッドサイドに置いてあるゴミ箱を探ってみる。
上の方にあった、ティッシュを避けてみると――使用済みで口の部分を縛ったゴムが出てきた。
先輩、いつもさっさと処理して、私に見せないように捨てちゃうから、使い終わった後、どうなってるのかを見るのは実は初めてだ。
そうか、男の人が一回に出す量ってこの位なのかぁ。
興味深くじっとそれを眺めていたら。
「…………一体何やってるんだよ、おまえ」
「え」
いつの間に起きてきたのか、私の直ぐ後ろに、些か不機嫌そうな先輩がいた。
「いや、その、終わった後のゴムがどうなってるのか見たことなかったから気になって」
「わざわざゴミ箱漁ってまで見るなよ、バカかおまえ。んなもん、見るようなものでもねぇだろ!?」
「だって、先輩、直ぐ処理しちゃうじゃないですか。だから、どうなってるのかなーって」
「見られたくないから、見せないようにしてんだろうが! こっちにだって羞恥心ってもんがなぁ」
呆れた口調で言うのに、ちょっとカチンと来た。
こっちには散々恥ずかしいことさせまくってるのに、自分だけ羞恥心とか言い出すって何!?
「あー! いっつも私が恥ずかしいから、自分で濡れたとこ拭きますって言ってるのに、やりたいからって強引に拭いちゃう人がそれ言いますか!? 私だって、あれ凄く恥ずかしいのに!」
「うるせぇ! そっちはいいんだよ」
「良くないです!」
Close
#堀鹿 #ネタメモ #R15
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
ただの(やや下品な)バカップルネタ。
夜中、ふと目を覚ますと隣の先輩はまだ眠ってた。
枕元に置いてあったスマホで時間を確認してみたところ、現在時刻は午前四時を回ったところ。
起きるには早いし、二度寝をするにはちょっと目がさえてしまった。
少しの間、先輩の様子を窺ってみるも、先輩の方は起きる気配はない。
……これは、今のうちかな。
そうっと先輩を起こさないようにベッドから出て、静かにベッドサイドに置いてあるゴミ箱を探ってみる。
上の方にあった、ティッシュを避けてみると――使用済みで口の部分を縛ったゴムが出てきた。
先輩、いつもさっさと処理して、私に見せないように捨てちゃうから、使い終わった後、どうなってるのかを見るのは実は初めてだ。
そうか、男の人が一回に出す量ってこの位なのかぁ。
興味深くじっとそれを眺めていたら。
「…………一体何やってるんだよ、おまえ」
「え」
いつの間に起きてきたのか、私の直ぐ後ろに、些か不機嫌そうな先輩がいた。
「いや、その、終わった後のゴムがどうなってるのか見たことなかったから気になって」
「わざわざゴミ箱漁ってまで見るなよ、バカかおまえ。んなもん、見るようなものでもねぇだろ!?」
「だって、先輩、直ぐ処理しちゃうじゃないですか。だから、どうなってるのかなーって」
「見られたくないから、見せないようにしてんだろうが! こっちにだって羞恥心ってもんがなぁ」
呆れた口調で言うのに、ちょっとカチンと来た。
こっちには散々恥ずかしいことさせまくってるのに、自分だけ羞恥心とか言い出すって何!?
「あー! いっつも私が恥ずかしいから、自分で濡れたとこ拭きますって言ってるのに、やりたいからって強引に拭いちゃう人がそれ言いますか!? 私だって、あれ凄く恥ずかしいのに!」
「うるせぇ! そっちはいいんだよ」
「良くないです!」
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#堀鹿 #ネタメモ #R15
Fiamma silenziosaの視点変更版書きかけから。
Fiamma silenziosaの第一話『E affogato liberamente da due notte di persone. ~夜は二人で溺れるままに』の視点変更版、前半のみ。
元サイトの拍手から。
昔、通販&オンリーでのお取り置き&購入先着順に配ったペーパーに記載していた特設ページに載せる予定で書きかけだったものです。
特設ページを上げないまま、放置プレイでした。ごめんなさい。(放置プレイ多すぎる)
「やっぱりこういうのも何かの采配というべきだろうね」
「馬鹿馬鹿しい。唯の偶然だろう」
別に運命論者でも何でもないから、こうなったのは運命だ、などと言うつもりはない。
が、あまりにつれない玄冬の言葉には少しばかり哀しくなった。
「そうかね。私には偶然ではなく必然に思えるよ。 ……うん、美味しいね、これは。やっぱり君の果実酒は最高だな」
「褒めてくれるのは有り難いが、飲みすぎるなよ。お前、酔っている時しつこいから」
玄冬から受け取ったざくろ酒の炭酸割りを口にすると、そんなことまで言われてしまった。
ますます面白くない。
確かに酔いが回ると達きにくいから、ついつい行為がしつこくなってしまうのは事実だが、私としては長く楽しめるのは悪くないと思っているのに。
『玄冬』と『黒の鳥』は互いがあってこその存在。
そんな相手をより深く感じられるのは至福の一時に他ならない。
選択された、というのは何かの意図さえ感じられるように思うのに、それを偶然、だけで片付けられてしまっていいものだろうか。答えは否だ。
「そういう場合は長く楽しめる、と言ってくれないか、情緒の無い」
「今更情緒なんてものを求めるのか、お前は」
つれない。
虫の居所が悪いというわけでもなさそうなのに、どうしてか今日の玄冬は対応がつれない。
確かに今夜はその気だったし、今更といえばそれまでかも知れないが……だからこそ、そっけなくなるのはつまらないのに。
少しばかり意地の悪い気分で思いついたことを実行することにした。
「何だか、そんな事を言われてしまうと少し寂しいね。 まぁ、情緒を感じられないというのなら、実力行使で感じさせれば良い話だが」
「……ちょ……おい、黒た……」
玄冬のグラスを持っていなかった方の手を取り、長くて形の良い指先に口付けを落とした。
唇で全体に弱い刺激を与え、表情を探りながら今度は舌を使って指を味わう。
この子が指の間を愛撫されるのに弱いと気付いたのは比較的最近だ。
多分まだ本人にも自覚はないだろうけれど。
目の前の顔がほんのり赤くなってきているのは酒によるものではないのを知っている。
「……っ」
「酒に酔わないなら、私に酔って溺れてしまえばいい。……おお、何か良い事言ったと思わないかね」
「馬鹿。ここ、居間なんだ……ぞ。小さいのがもし起きてきたら、どうする、つもりだっ……言い訳出来ない、のに……っ」
小さいの、とは先日から箱庭のシステムの歪みで現れたいつかの時代の幼い『玄冬』だ。
同じ『玄冬』とはいえ、同一人物というのとも違うからタイムパラドックスというのもないらしい。
便宜上こくろ、と呼んではいるが、一緒に住んでいると玄冬とは色々な面で違うことに気付かされて中々面白い。
息子が二人に増えたのも、まるで玄冬に兄弟が出来たみたいで微笑ましい。
まぁ、それでも抱きたいと思うのは玄冬だけだ。
言い訳は確かに出来ないかも知れないが、そもそも言い訳の必要もないと思っている。
羞恥心の強い玄冬には中々理解できないだろうが。
手首の脈打つ部分を強く吸うと、玄冬が身体を竦めた。
玄冬が手にしていたグラスをテーブルに置いて、私の頭を押さえつけようとしているが、あまり力は入っていない。
もう時間の問題だな、これは。
ちらりと目にした玄冬の身体の中心は布地をせり上げている。
「あの子が起きてきたって、まだ誤魔化せる範囲だと思うがね。 私が触れているのは手だけだしな。……誤魔化せないのは君の方じゃないのかい」
「やっ……触る、な」
そっと服の上からその部分に触れる。
てのひらに感じる固い感触が微かに震えた。
玄冬が羞恥からか身を引いたが、そのまま玄冬に覆い被さった。
染まった目元と潤みかけた青の瞳が私の情欲も引き出す。
まったく、可愛いったらないね。
「ふふ、情緒がどう、とか言うのは私の触れ方次第であっさり昂ぶるからかな」
「……誰の、所為だと……っ」
「私だな。……場所を変えよう。飲み足りないのは些か残念だが、まぁ、いいさ。 君の作ってくれた果実酒は確かに美味しいが、君自身はもっと美味しいからね」
玄冬の手を取って立ち上がらせたときに妙な顔をしていたのは、キスをしなかったからだろう。
違和感を覚えさせるようにしたのは私だ。
だって、何もかも全て。
私が玄冬に教えたのだから。
Close
#黒玄 #書きかけ #R15
Fiamma silenziosaの第一話『E affogato liberamente da due notte di persone. ~夜は二人で溺れるままに』の視点変更版、前半のみ。
元サイトの拍手から。
昔、通販&オンリーでのお取り置き&購入先着順に配ったペーパーに記載していた特設ページに載せる予定で書きかけだったものです。
特設ページを上げないまま、放置プレイでした。ごめんなさい。(放置プレイ多すぎる)
「やっぱりこういうのも何かの采配というべきだろうね」
「馬鹿馬鹿しい。唯の偶然だろう」
別に運命論者でも何でもないから、こうなったのは運命だ、などと言うつもりはない。
が、あまりにつれない玄冬の言葉には少しばかり哀しくなった。
「そうかね。私には偶然ではなく必然に思えるよ。 ……うん、美味しいね、これは。やっぱり君の果実酒は最高だな」
「褒めてくれるのは有り難いが、飲みすぎるなよ。お前、酔っている時しつこいから」
玄冬から受け取ったざくろ酒の炭酸割りを口にすると、そんなことまで言われてしまった。
ますます面白くない。
確かに酔いが回ると達きにくいから、ついつい行為がしつこくなってしまうのは事実だが、私としては長く楽しめるのは悪くないと思っているのに。
『玄冬』と『黒の鳥』は互いがあってこその存在。
そんな相手をより深く感じられるのは至福の一時に他ならない。
選択された、というのは何かの意図さえ感じられるように思うのに、それを偶然、だけで片付けられてしまっていいものだろうか。答えは否だ。
「そういう場合は長く楽しめる、と言ってくれないか、情緒の無い」
「今更情緒なんてものを求めるのか、お前は」
つれない。
虫の居所が悪いというわけでもなさそうなのに、どうしてか今日の玄冬は対応がつれない。
確かに今夜はその気だったし、今更といえばそれまでかも知れないが……だからこそ、そっけなくなるのはつまらないのに。
少しばかり意地の悪い気分で思いついたことを実行することにした。
「何だか、そんな事を言われてしまうと少し寂しいね。 まぁ、情緒を感じられないというのなら、実力行使で感じさせれば良い話だが」
「……ちょ……おい、黒た……」
玄冬のグラスを持っていなかった方の手を取り、長くて形の良い指先に口付けを落とした。
唇で全体に弱い刺激を与え、表情を探りながら今度は舌を使って指を味わう。
この子が指の間を愛撫されるのに弱いと気付いたのは比較的最近だ。
多分まだ本人にも自覚はないだろうけれど。
目の前の顔がほんのり赤くなってきているのは酒によるものではないのを知っている。
「……っ」
「酒に酔わないなら、私に酔って溺れてしまえばいい。……おお、何か良い事言ったと思わないかね」
「馬鹿。ここ、居間なんだ……ぞ。小さいのがもし起きてきたら、どうする、つもりだっ……言い訳出来ない、のに……っ」
小さいの、とは先日から箱庭のシステムの歪みで現れたいつかの時代の幼い『玄冬』だ。
同じ『玄冬』とはいえ、同一人物というのとも違うからタイムパラドックスというのもないらしい。
便宜上こくろ、と呼んではいるが、一緒に住んでいると玄冬とは色々な面で違うことに気付かされて中々面白い。
息子が二人に増えたのも、まるで玄冬に兄弟が出来たみたいで微笑ましい。
まぁ、それでも抱きたいと思うのは玄冬だけだ。
言い訳は確かに出来ないかも知れないが、そもそも言い訳の必要もないと思っている。
羞恥心の強い玄冬には中々理解できないだろうが。
手首の脈打つ部分を強く吸うと、玄冬が身体を竦めた。
玄冬が手にしていたグラスをテーブルに置いて、私の頭を押さえつけようとしているが、あまり力は入っていない。
もう時間の問題だな、これは。
ちらりと目にした玄冬の身体の中心は布地をせり上げている。
「あの子が起きてきたって、まだ誤魔化せる範囲だと思うがね。 私が触れているのは手だけだしな。……誤魔化せないのは君の方じゃないのかい」
「やっ……触る、な」
そっと服の上からその部分に触れる。
てのひらに感じる固い感触が微かに震えた。
玄冬が羞恥からか身を引いたが、そのまま玄冬に覆い被さった。
染まった目元と潤みかけた青の瞳が私の情欲も引き出す。
まったく、可愛いったらないね。
「ふふ、情緒がどう、とか言うのは私の触れ方次第であっさり昂ぶるからかな」
「……誰の、所為だと……っ」
「私だな。……場所を変えよう。飲み足りないのは些か残念だが、まぁ、いいさ。 君の作ってくれた果実酒は確かに美味しいが、君自身はもっと美味しいからね」
玄冬の手を取って立ち上がらせたときに妙な顔をしていたのは、キスをしなかったからだろう。
違和感を覚えさせるようにしたのは私だ。
だって、何もかも全て。
私が玄冬に教えたのだから。
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#黒玄 #書きかけ #R15