避難所 短編・書きかけ置き場

全年全月27日の投稿3件]

2021年3月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

ブラキス版ワンドロ&ワンライ第12回(最終回)でのお題から『指切り』+第11回のお題の『キス』を使って書いた話です。
ロスト・ゼロ後、ディノがいなくなってから間もなくくらいの頃。+20分ほど。
企画&運営ありがとうございました!

ディノがいなくなって以降、キースはそれまであまり口にしなかった酒に溺れるようになり、よく酔い潰れるようになった。
今日もキースがよく訪れるバーで酔い潰れたと連絡を貰い、キースを迎えに行き、ヤツの家までこうして連れて帰ってきた。
10期生としてタワーで数年の共同生活を送った後、キースは所属することになったウエストに家を借りて生活するようになったが、ここ数ヶ月は訪れる度に床に転がる酒瓶の数が増えているような気がする。
あれほど、酒に溺れるのはごめんだと、父親のようにはなりたくないと言っていたというのに。
キースの飲み方は酒を楽しむというよりも、自分を傷つけているようにも見える。
微かに胸の奥に感じた痛みを押し込め、ベッドにキースを放り込み、キッチンから水を持ってこようとしたところで、酔い潰れていたはずのキースが俺の腕を掴んだ。
予想していなかった動きに加え、思いの外、力が籠められていたことで、よろめいてキースに覆い被さるような形になる。
とっさに腕をついて、キースを潰さないようにはしたが、キースの方が俺の体に腕を回して体を密着させた。

「おい、キース離せ」
「やだ、行くなって……」
「水を持ってくるだけだ。すぐ戻る」
「行くなよ、ブラッド……お前は……ここ、に……いて」

益々、力の籠められた腕。
強引に腕を振りほどくことも出来ただろうが、行くなと口にしたときの響きが妙にもの悲しく聞こえたせいか、振りほどくことに躊躇いが生じた。
数分もすれば、完全に眠りに落ちて力も入らなくなるだろうと諦め、体の力を抜いて体重をそのままキースに預ける。
自分と大して変わらない体格の男だ。結構な重さを感じているだろうに、キースが笑ったのが伝わった。
――キースの笑い声を聞いたのは久し振りのような気がする。
ただ、やはりどこかその笑う声に悲しい響きが混じっているように思えた。
表情を確認しようと思ったが、頭を上げようとしたところでキースがそれを止める。
今の顔を見られたくないのかと判断して、再び体の力を抜いた。

「…………これでいいか」
「ん……そうそう、これでいい……お前はどこにもいかない……ってやく、そく……」
「キース」
「おいて、いくな……よ……約束した、からな……」

キースの指が俺の小指を握りこんだ。
約束、と言いながらの行動だから、本人はこれで指切りのつもりなのかもしれない。
もっとも、酔っ払っているキースに行動の如何を問いかけたところで無駄だろう。
明日にはきっと何もかも忘れている。
俺がこの家までキースを運んだことも、キースが俺に行くなとねだったことも、一方的に投げつけた約束も。
読み通り、キースが眠りに落ちて、力の緩み始めた指からそっと小指を抜き取り、そのまま指を離す前に少しだけキースの小指に自分の小指を絡めた。

「――置いてなどいくものか」

ディノについて本当のことを告げてやれない後ろめたさはあるが、それでもキースに今言うわけにはいかない。
事実を言ってしまえば、俺を置いていってしまうのはきっとお前だ。
それだけはさせない。させてたまるものか。

「お前を置いてなどいかないから、お前も俺を置いていくな」
「…………ん……」

キースに聞かせるためではなく、自分に言い聞かせるように呟いた言葉にキースが反応した。
まともな返事などではないとわかっているが、それでも少しだけ心が落ち着いたのを自覚する。
置いていくなと、もう一度心の中で呟きながら、すっかり煙草と酒の匂いが纏わり付いたキースの髪を軽く撫でてからそっと口付けた。
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#ブラキス #ワンライ

2020年12月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

キスブラ版ワンドロライ第8回でのお題から『ぬいぐるみ』を使って書いた話です。
ルーキー時代のキスブラ。ジェイやディノもちょっと出て来ます。

「ヒーローをデフォルメしたぬいぐるみ?」

第10期生ルーキーとして【HELIOS】に入所してから、早数ヶ月。
日々の仕事にも共同生活にも慣れてきた、ある日の夕食後にジェイがそんな話を切り出した。

「そう。ブロマイドやポスターの撮影を少し前にしたかと思うが、今度新たに商品を展開するってことで、子どもを主に対象として各ヒーローのぬいぐるみを作ることになったらしい」
「えええ……そんないい大人をぬいぐるみにしたヤツとか欲しがるもんかぁ?」
「デフォルメの仕方によっては結構人気あったりするみたいだよ。アイドルやアーティストでも出てたりするのあるよね、キースは見たことない?」
「興味ねぇから、知らねぇよ」

入所時にヒーローを使って作成するグッズに関しては、全て商品開発部に一任するという誓約書にサインしてある。
ヒーローとしての仕事の一つだ。
今更それに異議を唱えるつもりもないが、ぬいぐるみが作られようとは予想していなかった。

「何のグッズであろうと問題ない。どんなものに仕上がるかは興味があるが」
「それが、商品開発部の話ではもう試作品は出来ているようでな。そろそろジャックが持ってきてくれるはず……お」
「失礼シマス。商品開発部からぬいぐるみの試作品を持ってきマシタ」

ちょうど、そのタイミングでジャックがぬいぐるみの試作品が入ったカートを引き摺って持ってきた。
が、ぬいぐるみの大きさが予想していたよりも大きく、全員が恐らく同じ理由から一瞬言葉を失った。

「デ……デカくねぇ?」
「俺もクレーンゲームとかでよくあるような大きさだと思ってた……」
「ふむ……小さな子どもくらいの大きさがありそうだな」

カートの中から自分がデフォルメされたと思しきぬいぐるみを取り、持ってみた。
俺がアカデミーに入学する頃のフェイスがこのくらいの大きさだったような気がする。
勿論、ぬいぐるみだからフェイスよりもずっと軽いが。

「ジャック。この試作品はこのまま俺たちが貰うってことで合っているか?」
「ハイ。何か訂正して欲しいところがアレバ、商品開発部にメールを送ってクダサイ。十日後までにメールがなけレバ、問題ないという形で処理サレマス」
「えー、別にいらねぇんだけど。自分のぬいぐるみとかあってもなぁ。こんだけ大きいと置き場にも困るし」

キースがぼやきながら自分のぬいぐるみの頭をポンポンと叩く。
置き場に困るというのはわからなくもない。少なくとも、この研修チーム部屋に置くにはスペースに余裕がないように思える。

「俺はこれ、おじいちゃんとおばあちゃんのところに送ろうっと。俺の代わりだと思ってって言えばきっと喜んでくれるし! ちょっと実家に電話してくる!」

ディノがスマホを手に部屋を出ると、ジェイもぬいぐるみをソファに置いて軽くその頭を叩いた。

「ふむ。家に置けば、息子のおもちゃになってくれるだろう。俺も家に連絡してこよう」

研修チーム部屋は共同生活を送る場ということもあって、各自プライベートな電話をするときは、タワー内の談話スペースの一角を使うことになっている。
あっという間に、部屋の中には俺とキースが残された。
俺も近いうちに実家にこれを送ろうと考えていると、キースが溜め息を吐く。

「いや……マジでこれいらねぇんだけど。とはいえ、発売前の試作品は処分したらさすがにまずい……よなぁ。いや、細かくバラしたらわかんねぇか?」

キースが自分のぬいぐるみを抱きかかえながらそんなことを言うが、細かくバラすというのを想像すると、どうにもいたたまれなくなり、気付けばキースの腕からそのぬいぐるみを取り上げていた。

「ブラッド?」
「そんなことをするぐらいなら、俺がこれを譲り受けよう。いらないというぐらいだ、構わんな?」
「いいけど……マジでいるか? それ?」
「……試作品にしては、お前の特徴をよく捉えている。デフォルメも悪くない」

それに素材がいいのか、抱き心地も良い。
ぬいぐるみの頭を撫でると、キースが複雑そうな表情を見せた。

「お前がいいなら、いいけどさ。……でも、それをこの部屋に置かれるとなんか恥ずかしいから、お前もどっか他のとこに送ってくれよ」
「何だ、妬いてるのか?」
「そうじゃねぇよ。恥ずかしいっつっただろ。…………何で…………だよ」
「? 今、何と言った?」

キースの言葉がよく聞こえなかったから聞き返したが、キースは何でもねぇよと話を打ち切る。
耳が赤くなっていたことには言及しないでおくかわりに、腕の中のぬいぐるみを少し強めに抱きしめた。
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#キスブラ #ワンライ

2020年10月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

友人の彼氏セックス終わるたびにプロテイン飲むの意識高すぎでは?→能動的な性行為の運動強度は卓球や太極拳と同程度なので、スポーツと同じ身体の扱い方するのは正しいといえる、という流れのツイートを見かけて思わず書いてしまったキスブラ。
キスブラの場合、効率重視でこういうのやるのブラッドの方だと思うw
R-18ではないけど事後。(色気はログアウト)

オレの自宅でセックスが終わった後、さっさとシャワーを浴びにいったブラッドが、バスルームを出るや否や、キッチンに直行して勝手知ったるなんとやらで、棚から常備してあるプロテインとシェーカーを取りだし、冷蔵庫からもミネラルウォーターを取り出し、飲むために作り始めた。
本来カクテル作るために買ったはずのシェーカーは、何だかんだブラッドがこうしてプロテインを溶かすときに使っていることが多い。
別にいいけどさ。片付けもしてくれるし。
粉が溶けたらしいことを確認して、ブラッドが二つのカップに中身を注ぎ、ベッドから出ないままのオレのとこまで持ってきた。

「ほら」
「……サンキュ」

体を起こしてカップを受け取り口にすると、ブラッドもベッドに腰掛けた状態で飲み始めた。
元々トレーニングの後に飲むことはあっても、セックスの後に飲むようになったのは少し前。
ブラッドがどっかからセックスの運動強度が何かのスポーツと匹敵するとかで、トレーニングの時と同じようにセックスが終わった後にプロテインを飲むことで効果が望める――なんてネタを仕入れてきたからだ。
トレーニング後に元々飲んではいたが、プロテインは味がついているのだと、妙に甘いやつばっかりだから、味のないのを選んでるが、それはそれで好んで飲みたいわけでもねぇから、飲む機会が増えたことに正直ちょっとげんなりしてる。
ブラッドはいつもの効率を考えれば飲まない手はない、みたいなこと言ってたが。

「どうせ飲むなら酒がいいんだけどなぁ」
「このタイミングでのアルコール摂取は、体内へ吸収されるスピードが早いから危ないと前にも言ったはずだが? 直ぐ酒に繋げるその思考をいい加減なんとかしろ」

今更、コイツとの間に甘ったるいピロートークなんて期待しちゃいねぇし、そもそもお互いそんなガラでもねぇとはいえ、セックス中の熱のこもった視線と、艶を含んだ甘い声はもう影も形もない。
風呂上がりだから肌こそ上気してるけど、表情は至って冷静だ。
ほんの数十分前のあれは夢だったかと思うくらい、コイツのいわゆる賢者タイムってやつは淡々としすぎている。
まぁ、そのギャップがセックス中はたまらねぇけど、こうして一段落しちまうと軽く引く勢いだ。
つい、飲みながらブラッドの横顔を見ていると、オレの視線に気付いたブラッドが首を傾げる。

「? なんだ?」
「……たまにお前がどこに情緒落っことしてきたんだか心配になるわ」
「いきなり何の話だ」
「気にすんな。独り言みてぇなもんだよ」
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#キスブラ #書きかけ

■Information

@yukiha_hrksの書きかけ&pixivUP前の短編置き場。ジャンルもカプも雑多。
しばらくはエリオス(キスブラ他)が多くなりそう。
完成するかもしれないし、しないかもしれない。
らくがきは適度な頃に消し。
各ワンドロライで書いた分については後日サイト等にも置きます。
※こちらはポイピクが重いときの避難所です。
置いているものは大体一緒です。
Junkや未整頓だったサイトのEntryからも移行作業中。
タイムスタンプはサイトに置いている分はサイトの記録から、置いてない分は元ファイルの作成日。
https://whitealice.xyz/

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