全年1月3日の投稿[1件]
2021年 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
キスブラ版ワンドロライ第9回でのお題から『体温』を使って書いた話です。
事後かつ事前。
「うっわ……寒……」
夜中に目が覚めて、トイレに行って戻ってくるのに数分って程度だが、その数分ですっかり体が冷えちまった。
面倒だったから、寝る前にシャワー浴びたときに使ったバスローブだけ羽織っていったが、少し湿った状態だったから、かえって冷えたかもしれねぇ。
そういや、今夜はニュースでこの冬一番の冷え込みとか何とか言ってたっけか。
いっそ、一、二杯飲んで軽く体を温めてから寝直すかと思ったが、生憎、今日はブラッドが泊まってる。
このタイミングで飲んだら酒の匂いは絶対残るから、朝一番に小言スイッチが入るのは間違いねぇ。
かと言って、起きてる時ならまだしも、寝てる間にエアコンをつけておくのも躊躇う。
ま、ベッドに入ってりゃそのうち温まるだろと、大人しくベッドに戻って、さっさとバスローブを脱いで、ブラッドの隣に滑り込んだ。
ちょっとだけ体温をお裾分けして貰おうと、ヤツの臑に軽く爪先をくっつけたら、びく、とブラッドが身動いで目を開けた。
「…………キース。冷たい」
「悪ぃ。ちょっとくっつくくらいなら起きねぇかなって思ったんだけど」
マジで起こすつもりはなかったから、ブラッドから少し離れようとしたが、ブラッドの足が、ベッドの中でオレの足を挟み込んだ。
冷たさからか、一瞬だけブラッドが眉を顰めたが、足を離そうとはしない。
「…………温まるつもりなら、もう少し身を寄せろ」
「いや、お前が冷えるだろ」
「触れていれば、数分もしないうちに暖かくなる。ほら、手も寄越せ」
「あ、おい、ブラッド」
ブラッドがさっさとオレの手を探って、掴んだ手を自分の太股に触れさせた。
手も足と変わんねぇくらいに冷えてんのに、今度は眉一つ動かさない。
ここまでされたら、もう全身でくっついても変わんねぇかと、体ごとブラッドに近寄って、くっついた。
冷えていた部分がブラッドの体温でじわじわと温かくなっていくのがわかる。
ブラッドの言った通り、数分もしないうちにオレの体も温まっていった。
「あー……あったけぇ……」
「……少し、煙草の本数を減らしたらどうだ。昔よりお前の手足が冷えやすくなったのは、煙草のせいもあると思うが」
「あー……わかってんだけどなぁ……」
確かに煙草が一因だろうが、こうやって手足が冷えるのは今みたいな真冬くらいで、他の季節だとそんなに冷えることもねぇから、減らすってことに気が乗らねぇ。
「…………まぁ、少し言って減るくらいなら、とっくに本数など減っているか」
軽く溜め息を吐いたブラッドが目を閉じて、太股に触れさせていたオレの手に自分の手を重ねる。
体が温まったから、もうブラッドの手から伝わる体温と、オレの手の体温の差はほとんど感じられない。
オレの指の形でも確かめるかのように動いているブラッドの指の動きが、妙に気になる。
「…………怒んねぇの?」
「何だ、怒られたいのか?」
「そういうわけでもねぇけどさ」
ブラッドにしちゃ、やけにあっさり引き下がったように思えたのが気になる。
それが伝わったのか、ブラッドが微かに口元に笑みを浮かべた。
「お前の手足が冷えるのは今時期くらいだからな。これが一年中なら、どうにかして減らすことも考えるが、お前を温めるのが俺の特権だと思えば悪くはない」
「…………煽んなよ。そんなこと言われたら、もっと温まりたくなっちまうだろ」
温まるを通り越して、熱くなってしまう方法だってある。
つい、さっきだってそれを実践したところだ。
けど、これは……もしかしたら誘われてる?
そう考えると、絡めるように動いているブラッドの指にも納得がいく。
ブラッドの動いている指を捕まえて、指先を辿らせ、手のひらを擽るように動かすと、ブラッドが再び目を開けて、鮮やかなネオンピンクが挑発するように光った気がした。
「構わない、と言ったらどうする?」
「そりゃ……据え膳食わねぇ趣味はねぇからな。お前の中でもう一回温めさせて貰うけど」
何を、とまでは言わずに腰を擦り付けると、下着越しにもブラッドも反応しているのが伝わる。
やっぱり酒は飲まないでおいて正解だったと思いながら、サイコキネシスでエアコンのスイッチを入れ、キスを待ち構えて目を閉じたブラッドに口付けた。
Close
#キスブラ #ワンライ
事後かつ事前。
「うっわ……寒……」
夜中に目が覚めて、トイレに行って戻ってくるのに数分って程度だが、その数分ですっかり体が冷えちまった。
面倒だったから、寝る前にシャワー浴びたときに使ったバスローブだけ羽織っていったが、少し湿った状態だったから、かえって冷えたかもしれねぇ。
そういや、今夜はニュースでこの冬一番の冷え込みとか何とか言ってたっけか。
いっそ、一、二杯飲んで軽く体を温めてから寝直すかと思ったが、生憎、今日はブラッドが泊まってる。
このタイミングで飲んだら酒の匂いは絶対残るから、朝一番に小言スイッチが入るのは間違いねぇ。
かと言って、起きてる時ならまだしも、寝てる間にエアコンをつけておくのも躊躇う。
ま、ベッドに入ってりゃそのうち温まるだろと、大人しくベッドに戻って、さっさとバスローブを脱いで、ブラッドの隣に滑り込んだ。
ちょっとだけ体温をお裾分けして貰おうと、ヤツの臑に軽く爪先をくっつけたら、びく、とブラッドが身動いで目を開けた。
「…………キース。冷たい」
「悪ぃ。ちょっとくっつくくらいなら起きねぇかなって思ったんだけど」
マジで起こすつもりはなかったから、ブラッドから少し離れようとしたが、ブラッドの足が、ベッドの中でオレの足を挟み込んだ。
冷たさからか、一瞬だけブラッドが眉を顰めたが、足を離そうとはしない。
「…………温まるつもりなら、もう少し身を寄せろ」
「いや、お前が冷えるだろ」
「触れていれば、数分もしないうちに暖かくなる。ほら、手も寄越せ」
「あ、おい、ブラッド」
ブラッドがさっさとオレの手を探って、掴んだ手を自分の太股に触れさせた。
手も足と変わんねぇくらいに冷えてんのに、今度は眉一つ動かさない。
ここまでされたら、もう全身でくっついても変わんねぇかと、体ごとブラッドに近寄って、くっついた。
冷えていた部分がブラッドの体温でじわじわと温かくなっていくのがわかる。
ブラッドの言った通り、数分もしないうちにオレの体も温まっていった。
「あー……あったけぇ……」
「……少し、煙草の本数を減らしたらどうだ。昔よりお前の手足が冷えやすくなったのは、煙草のせいもあると思うが」
「あー……わかってんだけどなぁ……」
確かに煙草が一因だろうが、こうやって手足が冷えるのは今みたいな真冬くらいで、他の季節だとそんなに冷えることもねぇから、減らすってことに気が乗らねぇ。
「…………まぁ、少し言って減るくらいなら、とっくに本数など減っているか」
軽く溜め息を吐いたブラッドが目を閉じて、太股に触れさせていたオレの手に自分の手を重ねる。
体が温まったから、もうブラッドの手から伝わる体温と、オレの手の体温の差はほとんど感じられない。
オレの指の形でも確かめるかのように動いているブラッドの指の動きが、妙に気になる。
「…………怒んねぇの?」
「何だ、怒られたいのか?」
「そういうわけでもねぇけどさ」
ブラッドにしちゃ、やけにあっさり引き下がったように思えたのが気になる。
それが伝わったのか、ブラッドが微かに口元に笑みを浮かべた。
「お前の手足が冷えるのは今時期くらいだからな。これが一年中なら、どうにかして減らすことも考えるが、お前を温めるのが俺の特権だと思えば悪くはない」
「…………煽んなよ。そんなこと言われたら、もっと温まりたくなっちまうだろ」
温まるを通り越して、熱くなってしまう方法だってある。
つい、さっきだってそれを実践したところだ。
けど、これは……もしかしたら誘われてる?
そう考えると、絡めるように動いているブラッドの指にも納得がいく。
ブラッドの動いている指を捕まえて、指先を辿らせ、手のひらを擽るように動かすと、ブラッドが再び目を開けて、鮮やかなネオンピンクが挑発するように光った気がした。
「構わない、と言ったらどうする?」
「そりゃ……据え膳食わねぇ趣味はねぇからな。お前の中でもう一回温めさせて貰うけど」
何を、とまでは言わずに腰を擦り付けると、下着越しにもブラッドも反応しているのが伝わる。
やっぱり酒は飲まないでおいて正解だったと思いながら、サイコキネシスでエアコンのスイッチを入れ、キスを待ち構えて目を閉じたブラッドに口付けた。
Close
#キスブラ #ワンライ