避難所 短編・書きかけ置き場

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オスカーと出会った時のキスブラ。
ビームス家に奉公人として約8年ってことは、出会いはルーキー時代→その場にキースも一緒にいてもおかしくないな、というとこから出来たネタ。
そのうちちゃんと仕上げたい。というかネタはいくつも浮かんでるけど書くのが追いついてない……。

俺たちに少年がぶつかった直後、キースがサイコキネシスを使って、走り去ろうとした少年を瞬時に抑え込んだ。

「なっ、離せっ!」
「……お前、ここら辺根城にしてるなら、警察とヒーローには手ぇ出すなって誰かに言われなかったか? それともこっちがルーキーだからと侮ったか。残念だったな」
「キース! 貴様、一般人相手に……っ」
「これ。お前のだろ?」
「っ!?」

キースが能力で俺のところに寄越した財布は見覚えがある、なんてものではなかった。
とっさに財布を入れていたはずのポケットを探ったが、あるべきものはそこにない。

「俺の、財布……?」
「一応、中確認してみろ。すぐ捕まえたから大丈夫だと思うけど」
「盗られた、のか」

全く気付かなかった。

「中は無事だ。だが――」

窃盗の現行犯だ。このまま見過ごすわけにはいかない。
キースと少年に近寄ろうとしたが、キースがこっちに来るなと手で指し示す。

「いいか。十番街のはずれにCieloって赤い看板出してるバーがある。夕方、店が開いたらそこのマスターにキース・マックスに聞いてきたって言えば、今晩の飯と寝床くらいはどうにかしてくれるはずだ。――行け。もうヒーローに手ぇ出すのはやめとくんだな」
「なっ、おい!」

キースが少年から手を離すと、少年が俺たちをちらっと見た後、直ぐに走り出した。
慌てて、後を追おうとしたが、そこでキースに腕を掴まれる。

「見逃してやれ、ブラッド」
「そうもいかん。俺の財布が無事でも、他の者に対して同じことをしないとは限らない」
「だろうな。手慣れてる様子だったから、まぁさっきのが初めてじゃねぇだろうさ」
「ならば、なおのこと――」
「けど、アイツらはそうしなきゃ生きていけねぇんだよ」
「っ……」

キースが俺の腕を掴んでいる手に力を籠めた。
俺の方を見ない目が宿している暗さに二の句が告げられない。

「ここにいるガキはみんな家がないか、あってもまともに帰れねぇヤツばかりだ。親の庇護なんてもんはねぇ。自分で生きていくための金をどうにかしねぇ限り、野垂れ死ぬしかねぇんだよ」
「…………キース」
「警察が保護して、収容施設にいれられたところで、結局一時的なもんだ。ま、ある程度金稼いで、喧嘩も強いってなりゃ、ヒーローを目指して、環境を変えるってことは出来るけどな。そうするまでに生き延びてなけりゃどうにもなんねぇ」
「…………それはお前の体験談か」

キースの育ってきた環境が、俺とは全く違うことは知っていた。
アカデミーに入る前は、人には堂々と言えないようなこともしたというのも聞いた。
詳細まではしらないが、恐らく今の少年のように窃盗などの経験があったということだろう。
キースが自嘲するような笑みを浮かべた。

「お前みたいな坊ちゃん育ちにゃ想像しにくいだろうけどさ」

その言葉に微かに胸の奥が痛んだ。
物心ついた頃から両親は忙しく、ゆっくり話も出来ず、一抹の寂しさこそあったが、与えられた生活そのものは恵まれた方だっただろうという自覚はある。
少なくとも衣食住の面において、不安を抱いたことは一度もない。
――走り去った少年の腕の細さと傷みが酷かった服を思い出す。
かつてのキースもそうだったのだろうか。
頼れるもののない中で、必死に生き延びてヒーローを目指し、今を手に入れて――。

「……先程の少年一人なら、家に事情を話せば、面倒をみてくれると思う」
「おい、ブラッド?」

俺の言った意味を理解し切れていないのか、キースが首を傾げる。

「ヒーローを目指せるだけの素質もありそうだしな。……お前があの少年に能力を使ったのは、そうでなければ逃げられると判断したからだろう?」
「ブラッド」
「――俺だって、誰も彼もを助けられるなどとは思っていない。だが、助けた一人がヒーローとなることで、いずれ他の誰かを助け、守っていくことなら出来るはずだ。先程の少年と似たような環境で過ごしただろうお前が、今はヒーローとしてそうであるように」

キースはアカデミーの頃から体術に長けている。生半可な相手なら抑えるのに能力を使うことなどしなかったはずだ。
そのキースに能力を使わせたという点で、素質は十分にあると判断出来る。

「……さっきのガキがヒーローを目指すとは限んねぇぞ。そもそも、オレが教えたバーに行くかどうかもわからねぇ」
「そうだな。だが、目指さないとも限らないだろう。今日の仕事が終わったら、Cieloとやらに行ってみる」
「――好きにしろよ。オレはもう知らねぇぞ」
「ああ」
「あー……お前も妙なとこで頑固だよな……。マスターが警戒しそうなら、オレの名前出しとけ。一応、伝えておいてはやる」
「感謝する」
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#キスブラ #書きかけ

キスブラで誕生日話を書こうとして没にしたもの。
来年、まともに書く。(覚えてたら)
誕生日ボイス元ネタだけど、何か謎時空になった。

廊下の先にキースの姿を見つけたが、俺と目が合った瞬間、キースがマズいと言いたげな表情を浮かべたのを見逃さなかった。手だけひらひらと振って立ち去ろうとしたところをすかさず近付いていく。
残念ながら予想した通り、キースからは微かに酒の匂いが漂った。
一体、何度言えばコイツは二日酔いの状態で出勤することをやめるのか。

「あー……おはよ、ブラッド」
「おはよう。……俺はあれを贈った時、任務に支障の無い程度で飲めと言ったはずだが」

数日前のキースの誕生日、常日頃からキースの飲酒について思うところはあるものの、結局はキースが喜ぶからと酒を贈った。
が、皆考えることは似たり寄ったりで、ジェイやリリーもキースを飲みに誘ったり、酒を贈ったりしていたらしく、数日は色んな酒が楽しめると嬉しそうにしていた。
そこまではいい。
問題はこうして翌日に残るような飲み方をするところにある。
休暇ならばともかく、仕事があるのにこれでは、他のヒーローたちに対して示しがつかない。

「お前から貰ったやつはまだ手ぇつけてねぇよ。昨日飲んだのはジェイから貰った分だ」
「誰から貰った酒だろうと同じことだ。翌朝に残るような飲み方をするなという話をしている。貴様、仕事を何だと――」
「ああ……悪ぃ、ちょっと声抑えてくれ……頭に響く」
「………………」

黙ったのは気遣いからではなく、呆れたのが半分七割、もう三割は――後ろめたさだ。
キースがここ数年で、酒に溺れるようになった理由の一端に心当たりはあるが、それを幾ばくかでも解消してやれそうなことを言ってやることが出来ない。
言えない代わりに、持っていた書類を軽く丸めてキースの肩をポンと叩く。

「……酒はすぐに傷むものでもないんだし、貰ったからと急いで飲む必要はないだろう。少しは自分の体への影響も考えろ」

サブスタンスの投与によって、ヒーローの回復力は一般の人々と比べて早くなっているが、かといって影響がないわけではない。

(中略)

「じゃあ、お前がくれた酒は来年のお前の誕生日まで取っておく。で、その時一緒に飲もうぜ」
「どうしてそうなる」
「だって、お前のこの前の誕生日だって一緒に飲みに行きたかったのに、結局仕事入っちまってダメになったじゃねぇか。来年の約束しとくくらいいいだろ」
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#キスブラ #書きかけ

5章のネタバレを含むキスブラ。
キスブラ+ディノでディノ視点。
※これをキース&ブラッド視点にしたのが『不器用で、だけど。』 になります。(リンク先は自サイト)
いや、マジで5章のキスブラ凄かった。
推しカプが強い。最高でした、ありがとうございます。
そのうち、もうちょっとちゃんと形にしたい。
 
※5章ED後、ディノの復帰が認められて、以降ウエストセクターにメンターとして所属する形になり、ウエストセクターのメンター部屋の空きに引っ越してきた、という想定で書いてます。
キスブラがアカデミー時代から体の関係持ってて、二人とも『付き合ってはいない』という認識なんだけど、ディノから見たら付き合っている以外の何でもないんだよなぁという。

***

「おーい、ディノ。このウェイトレスの衣装どうする?」
「あ、こっちの引き出しにしまっとくよ」
「しまうって……処分しねぇのかよ。いや、好きにすりゃいいけどさ。お前のもんなんだし」

キースから受け取った衣装を引き出しにおさめたところで、ブラッドが話し掛けてくる。

「ディノ。この置物はどうする。……昔、フューチャーランドに行った時に土産として買ったものだったか」
「そうそう。そこの棚に並べるよ。覚えてたんだね、ブラッド。懐かしいだろ?」
「そうだな。……俺は友人と泊まりがけで遠出したというのは、あの時が初めてだったからな。忘れようがない」

当時を思い出したのか、ブラッドの目が優しいものになった。
おじいちゃん――正確には【HELIOS】の方で俺の保護者兼監視者としてつけられた人だけど――ブラッドとキースを連れて行ったときに心なしか嬉しそうにしていたことを思い出す。

「あー、それってそん時のだっけ。妙に見覚えはあるけどなんだっけってずっと思ってた」
「ええ、キースは覚えてないのかよ。お前そういうとこあるよな」

対するキースは細かいことはあんまり覚えていない性質だ。
その時には凄く楽しんでいたのは間違いないから、あまり気にしないけど。

「ロストガーデンに忍び込んだ辺りはまぁ覚えてるけど、フューチャーランド自体の記憶はどうも曖昧なんだよなぁ」
「ディノ、コイツの記憶力に期待するだけ無駄だ」
「なんだよ。そういうお前はいらねぇことまで覚えすぎなんだよ。ああ、フューチャーランドのことがいらねぇことって言ってるわけじゃねぇけどさ」
「わかってる。ブラッドもキースも相変わらずだなぁ。あ、そうだ。二人ともする時は言ってね。席外すよ。ジェイのとことか、外に行くとかするから」

漂う二人の間の空気感は四年前から変わっていないし、多分、今も二人は関係があるんだろうと踏んで、そう言ってみる。

「あ? するって……いやいや、待て待て。タワーじゃしねぇからな!?」
「――おい、キース」
「なるほど、タワー『じゃ』しない、ね。ま、ここじゃ隣にルーキーたちもいるから難しいか。しかも、片方はブラッドの弟だもんね。今、ブラッドはメンターリーダーもやってるし、バレたら気まずいどころじゃないか」
「…………キース」
「何だよ……ちょっと口滑らしただけじゃねぇか。ディノは元々知ってるんだし、小言なら勘弁してくれって」
「普段からの心がけの問題だ。大体、お前というやつは――」
「ホント相変わらずだなぁ」

ああ、昔からこの二人はそうだった。
全然タイプが違うから、しょっちゅう揉めているように見えるし、実際揉めてもいるんだけど、根っこの深いところでは何か似てるんだよなぁ。
今だって、ブラッドは咎めたけど俺の言葉については否定しなかった。
俺の問いかけについて、暗に示した状態になっているのはブラッドの方もだ。
これでこそ帰ってきたって実感がする。
片付けの手が止まって言い争っている二人の声をBGMにしながら、残りの荷物を片付けていった。
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#キスブラ #書きかけ

友人の彼氏セックス終わるたびにプロテイン飲むの意識高すぎでは?→能動的な性行為の運動強度は卓球や太極拳と同程度なので、スポーツと同じ身体の扱い方するのは正しいといえる、という流れのツイートを見かけて思わず書いてしまったキスブラ。
キスブラの場合、効率重視でこういうのやるのブラッドの方だと思うw
R-18ではないけど事後。(色気はログアウト)

オレの自宅でセックスが終わった後、さっさとシャワーを浴びにいったブラッドが、バスルームを出るや否や、キッチンに直行して勝手知ったるなんとやらで、棚から常備してあるプロテインとシェーカーを取りだし、冷蔵庫からもミネラルウォーターを取り出し、飲むために作り始めた。
本来カクテル作るために買ったはずのシェーカーは、何だかんだブラッドがこうしてプロテインを溶かすときに使っていることが多い。
別にいいけどさ。片付けもしてくれるし。
粉が溶けたらしいことを確認して、ブラッドが二つのカップに中身を注ぎ、ベッドから出ないままのオレのとこまで持ってきた。

「ほら」
「……サンキュ」

体を起こしてカップを受け取り口にすると、ブラッドもベッドに腰掛けた状態で飲み始めた。
元々トレーニングの後に飲むことはあっても、セックスの後に飲むようになったのは少し前。
ブラッドがどっかからセックスの運動強度が何かのスポーツと匹敵するとかで、トレーニングの時と同じようにセックスが終わった後にプロテインを飲むことで効果が望める――なんてネタを仕入れてきたからだ。
トレーニング後に元々飲んではいたが、プロテインは味がついているのだと、妙に甘いやつばっかりだから、味のないのを選んでるが、それはそれで好んで飲みたいわけでもねぇから、飲む機会が増えたことに正直ちょっとげんなりしてる。
ブラッドはいつもの効率を考えれば飲まない手はない、みたいなこと言ってたが。

「どうせ飲むなら酒がいいんだけどなぁ」
「このタイミングでのアルコール摂取は、体内へ吸収されるスピードが早いから危ないと前にも言ったはずだが? 直ぐ酒に繋げるその思考をいい加減なんとかしろ」

今更、コイツとの間に甘ったるいピロートークなんて期待しちゃいねぇし、そもそもお互いそんなガラでもねぇとはいえ、セックス中の熱のこもった視線と、艶を含んだ甘い声はもう影も形もない。
風呂上がりだから肌こそ上気してるけど、表情は至って冷静だ。
ほんの数十分前のあれは夢だったかと思うくらい、コイツのいわゆる賢者タイムってやつは淡々としすぎている。
まぁ、そのギャップがセックス中はたまらねぇけど、こうして一段落しちまうと軽く引く勢いだ。
つい、飲みながらブラッドの横顔を見ていると、オレの視線に気付いたブラッドが首を傾げる。

「? なんだ?」
「……たまにお前がどこに情緒落っことしてきたんだか心配になるわ」
「いきなり何の話だ」
「気にすんな。独り言みてぇなもんだよ」
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#キスブラ #書きかけ

二次元のナマ中出しは昔からの性癖なので油断すると直ぐ書いてしまう……。
というわけで、キスブラのナマ中出し導入部。
5章の前にいちゃついているところを出しときたかっただけのやつ。
ちなみに前に置いたオーダースーツのやつのエロ部分でもあります。

「……コンドームは……なくていい。そのまま挿れて、欲しい」
「……中で出していいのかよ、今日余裕ねぇから多分外に出せねぇぞ」

本音を言えば、ナマで挿れていいならそうしたい。
ゴムつけた時との感覚が段違いだからだ。
あの柔らかく蠢きながら纏わり付いてくる感触は、何とも言えない気持ち良さで、いつまでだって繋がっていたくなる。
が、そうなった場合こっちはよくても、中に出される側のブラッドにはいつも以上に負担がかかる。
まして、明日はオフじゃない。
いくら掻き出したところで、影響がないわけがねぇって、コイツは十分過ぎるほど知ってるはずなのに。

「中に出されたい、から言って……いる。今日はそんな気分、だ」

まさに挿入するって段階で、その相手に熱っぽい目で中に出されたい、なんて言われて拒否できるやつがいたら、ソイツは鋼の精神どころかダイヤモンドレベルだ。
そして、勿論オレにはそんなものは備わっちゃいねぇ。
かろうじて残っていた理性はその一言で容易に焼き切れる。

「っ!」

だったら、一番奥を突いてやろうとブラッドの右足を肩に乗せて、開いた足の間に自分の足を挟み込むようにして挿れる。
バックも深く挿れられるが、それだとブラッドの顔が見えねぇ。

「ん……んんんっ!!」

先っぽを挿れただけで蕩けた目元が、奥まで突き入れたところで大きく見開かれる。
根元までぶち込むと、オレの足の付け根にはブラッドの玉袋が、ブラッドの足の付け根にはオレの玉袋が当たった。
中の感触から少しぐらい激しくしても大丈夫だろうと判断し、すぐに抽挿を始めた。

「……ったく、お前、時々しれっと自制心吹っ飛ばすこと言うから怖ぇ……っ!」
「あ、あっ、うあ!」

シーツを掴んだブラッドの手に自分の手を重ねて、腰を勢いのままに打ちつけると、ベッドが派手な音を立てて軋む。

「待っ、……強……ああっ!」
「あんな煽り方しといて、ゆっくり、とか、無理だって、の! わかれよ!」
「くっ、んうっ、んっ!」

零れた声の甘さに痛みは感じてねぇってのが伝わる。
肩に抱えた足にキスしたら、さらに甘さが増した。
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#キスブラ #R18 #書きかけ

オーダースーツネタ

ルーキー時代にキースのオーダースーツをブラッドと一緒に仕立てに行く話。
スーツイベやった時、オーダースーツを作る際チンポジ確認される的なツイートを思い出して、キスブラでやったら(私が)楽しいなと思ったネタ。
既に体の関係はある前提。
 
それをジェイから打診されたのは、じき深夜にさしかかろうという時間帯だった。
自室で本を読んでいたら、帰ってきたばかりのジェイがこちらの部屋に訪れ、キースのオーダースーツを仕立てるのに付き合ってくれないかと言ってきたのだ。

「キースのオーダースーツ?」
「ああ。一着ぐらいは持っておいた方がいいからな。最初、俺が仕立てに行くのに付き合うつもりだったんだが、生憎しばらくその時間が取れそうになくてな。お前ならいい店も知っているだろうし……どうだろう?」

確かにヒーローとなれば、何らかの折にレセプションに参加することは少なくない。
俺たちはまだルーキーの立場だから機会が限られているが、年々そういったものに参加する機会は増えていくことは容易に予想される。
その際に着るのはエリオスの制服を指定される場合もあるが、そうでなければスーツ、もしくは礼服だ。
礼服を指示されることは少ないだろうが、スーツはそれなりに必要とされる機会が多いし、仕立てのいいスーツを持っておけば、今後レセプションに限らず、何かと役に立つ。
キースはアカデミー時代に何かのバイトで使う機会があって、既製品のスーツを所持していた覚えはあるが、ヒーローは職業柄、人に注目される機会が多い。
恐らくジェイはその辺りを考慮し、今のうちにキースにオーダースーツを仕立てるようすすめたのだろう。
しかるべき店で仕立てて貰うのであれば、それなりに日数もかかる。
今日、ジェイがこの時間に帰ってきたというのを考えても、しばらく店に行く時間が取れなさそうなのも理解出来た。
キースも部屋にいて今のやりとりは聞こえていたはずだが、特に俺たちの会話に口を挟んで来ないということは、既にキースには話を通しているのだろう。

「俺はキースが構わないのであれば異存はない。明日はオフだし、明日店に行く形で問題はないが」

自分のベッドで雑誌を読んでいたキースを見ながらそう言うと、キースもすぐにこちらを向いた。

「俺も構わねぇし、明日でいいぜ」
「そうか! すまない、二人とも。せめて明日の昼食代は俺が出……」
「それは必要ない」
「それはいらねぇよ」

財布を出しかけたジェイを止めたのは二人同時だ。

「そもそもオレの着るもん買いに行くんだし、ジェイに出して貰う筋合いはねぇって」
「俺も同感だ。あなたが昼食代を出すことはない」
「そ、そうか? しかし、キースにオーダースーツを買うようすすめたのは俺だし、ブラッドに付き合うよう頼んだのも俺なんだが」
「いらねぇって」
「不要だ」

(中略)

「そういや、ジェイはああ言ったけどさ、店さえ教えてくれりゃ俺一人で行ってくるぜ?」
「いや。俺もそろそろ一着新調しようと考えていたところだったから好都合だった」

実際、アカデミー時代に作っていたオーダースーツは、体の成長に伴って少し窮屈になっていたから、近いうちに手直しして貰うか、もしくは新調しようと考えていた。
それがほんの少し早まっただけのことだ。

「そっか。ま、それならいいけどさ。車で行くか?」
「そのつもりでいた。店はブルーノースにあるしな。そういえば、予算はどのくらいで考えている?」
「あー、ジェイにこんくらいは出しとけって言われた。一張羅には金惜しむなって」

キースが指で示した額はオーダースーツの相場よりも少し高いくらいの金額だった。
シャツやネクタイもあわせて新調するとしても余裕がある。
ならば、選ぶのに困ることはなさそうだ。
馴染みのビスポーク・テーラーは祖父の代から世話になっている。
恐らく、俺が一緒に行くことで多少は融通もきかせてくれるだろう。
出発前にメールで連絡もしておけば、そう待たされることもないはずだ。

「わかった。では、店に先に到着予定時間と予算を知らせておく」
「悪ぃな。昼飯は奢るからさ」
「気にしなくていい。俺の用事でもある。どうしてもというなら帰りの運転を代われ」
「そんなんでいいのかよ」
「ああ」

(中略)

「いつもは左右どちらにされてますか?」
「は?」

下半身を採寸しながら、そう婉曲的に尋ねて来たテーラーの意図がキースには伝わらなかったらしい。
そういえば、既製の服であれば購入の際に聞かれることはないかと横から口を出す。

「……ポジションだ」

ちらりと股間に視線をやってそれだけ言う。
俺の視線でようやく言葉の意味は伝わったようだが、その理由まではわかっていないようで、キースの顔には疑問が浮かんでいる。

「え……ええ? 何で」
「余裕を作るためだ。動きやすさが変わってくる」
「はー、そういうもんか。ってことは、オレもお前も左ってことだよな」
「おい」
「いいじゃねぇか。どうせ、お前のデータなんざとっくにこの店にあるんだろ」

そういう問題ではないが、下手に言葉を返すとキースがいらんことを言いかねないので、ひとまず口を噤むことにした。
一流の店は店員の対応も一流だ。今の会話で何か思うところがあったとしても、おくびにも出さない。
ならば、話題は早々と終わらせるに限る。

「左ですね。かしこまりました。スーツのお色や素材にご希望はございますか?」
「素材は……動きやすいものでって思うけど、色……色なぁ」

キースの目が店内のマネキンを彷徨うが、これと思う色がないのか、迷っているようだ。

「……お前が今所持しているスーツは無地のブラックだったか?」
「あ? ああ」
「ならば、それと印象が被らないものの方が良いだろう。ダークグレー……いや、ダークブラウンなんかどうだ? ペンシルストライプが入っているものとか似合うと思うが」

年齢を考えると少し落ち着いた印象になりそうだが、この先数年は着るだろうことを考えれば悪くないはずだ。

「あと、ネクタイは……そうだな。明るめのエメラルドグリーンがいい。こちらは無地で。品のいい光沢が出るシルクだとなお良い」
「今おっしゃった感じに近いジャケットとネクタイを試着用にご用意出来ますが、お試しになりますか?」
「頼む」

テーラーが試着の用意をしに場を離れたところで、キースがぼそりと小声で呟く。

「……お前が話すすめんのかよ。いや、よく分かんねぇから助かるけどさ」
「参考程度に考えてくれればいい。合わないと思えば、他の色を指定しろ」

***

そりゃデータはあるけど、なぜあなたがブラッド様のポジションを当たり前のようにご存知なんですかね!?とひっそり心の中で叫ぶモブの店員になりたかった人生w
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#キスブラ #書きかけ

サイコキネシスの応用範囲の妄想

キースのサイコキネシス万能説。
実際、アレめちゃくちゃ便利なだけに余計な勘ぐり入れる人いそうだなっていう妄想から。
書いてる部分だとカプ成分薄い&ほぼウエストセクターでの会話だけど、最終的にはキスブラ。

「なぁ、キース。お前、どんだけの数サイコキネシスで同時に操れるんだ?」

共有スペースに置いてある冷蔵庫から、ビール缶を取りだしていたところで、ソファに座っていたジュニアがそう聞いてきた。

「ん? どんだけ……っつっても、動かすもんが無機物か生き物か、大きさや重さがどんくらいあるかってとこで色々変わってくるけどな。動かすもんが無機物で3キロぐらい、それを単調な動きだけでいいなら……ま、200ってとこか」
「「200!?」」

オレの答えにはフェイスも驚いたらしく、ジュニアと声が重なった。

「何だよ……ロストガーデン行ったときにオレが本気出しちまったとこ見てんだろ、お前ら」
「いや、見たけどさ……オーバーフロウじゃないんだよね、それ?」
「オレはオーバーフロウは使えねぇよ」
「使わねぇでそれって凄ぇんじゃ……」
「ま、こんでもメジャーヒーローだからなぁ。疲れるし、そんな数一気に動かす機会もまずねぇけど」
「なぁ、動かすのって生き物がやっぱり大変なのか?」
「まぁな。オレが抱きかかえたり、背負ったりすりゃ、負担は軽くなるけど、そうでないなら力加減が結構面倒くさかったりすんだよな。あと、複雑な動きな。そうだな、例えば……」

ちょうど手にしていたビール缶を浮かし、ついでにグラスも棚から力を使って取り出す。
触らないままでビール缶のプルタブを開け、飲み口から中のビールをやはり浮かせたままのグラスに放物線を描くようにして注いだ。

「うお」
「へぇ」
「こうなるとちょっと複雑な動きって感じだな。蓋閉めたままなら浮かしときゃ楽なもんだが、一回蓋開けると缶っていう固体とビールっていう液体に分かれちまう感覚になるから、開けた時はちょっと面倒になる。ま、見ての通りコントロール出来ない範囲じゃねぇけどな」

中身を全部注いだビール入りのグラスと空き缶になったビール缶を同時にテーブルに置く。
オレもソファに移動してジュニアの隣に座り、グラスを手にし、いざ飲もうとしたところでフェイスが話し掛けてきた。

「…………これが出来るってことは、キースなら怪我をした人の傷口から血を抜き出して、そのまま絶命させちゃうっていうのも可能ってこと?」
「…………え」

フェイスの目が据わってる。ああ、こういう表情するとやっぱブラッドに結構似てるよな。
つうか、着眼点なんかも似るもんなんかね、兄弟ってやつは。

――キース。無闇にヒーロー能力は使わない方がいい。勤務時間外はなおさらだ。

まだルーキーだった頃、能力がどこまで使えるかを試す意味もあって、普段から気軽にサイコキネシスを使っていたが、ある時ブラッドがそう忠告してきた。

――お前の能力は応用がきくだけに、何かあった際に変に勘ぐられる可能性も出て来る。人目につくところではやめておいた方がいい。能力を使うことによる体への負担もだが、畏怖の対象となりかねん。……証拠を残さずに色々出来ると思われてしまう。
――……やんねーよ、んなめんどくせぇこと。
――わかっている。わかっているからこそ、余計な疑念を人に抱かせることはやめておけという話だ。

そういや、ブラッドは必要な時以外には全く能力を使わねぇってことにその時気付いた。
ブラッドの能力がそもそも戦闘向きで日常で使う類のじゃねぇっていうのも大きいが、金属を自在に操れるということはやりようによっちゃ犯罪にも活用出来てしまう。
オレの能力ならなおさらだ。
勿論、ブラッドの場合は元来の性格上絶対変な事なんてやらかさねぇだろうが、オレの場合はアカデミー入学前を考えると後ろ暗いこともあるから、疑念を抱かせるってのはあるなと自分でも納得したから、以降は知らねぇヤツがいるようなところでは能力を使わねぇようにした。
ブラッドはホントは二人きりの時でもあんま使って欲しくねぇみてぇだけど、一定の線引きはしているのは伝わっているらしく、たまに小言が出るくらいだ。
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#キスブラ #書きかけ

共闘するキスブラ

怪我で一時的に見えなくなってるキースとサポートする形のブラッドで共闘するキスブラ。
※キースの能力が目で捉えたものなら何でも動かせる、なのが発覚したので、このパターン難しいかもしれん。

「げっ! しまった」

蜂型イクリプスを撃破したものの、その際に砕けた羽がこっちに飛んできたのを避け損ねた。
僅かに薄皮一枚で済んだとはいえ場所が悪く、額を切った際に流れ落ちてきた血が視界を塞ぐ。
くそ、見えねぇとサイコキネシスの力加減が上手く出来ねぇんだよな。
ここが郊外なら周囲丸ごと吹っ飛ばすってやり方でも構わねぇが、生憎ここは市街地だ。
市民の避難が済んでいるとはいえ、近くで対処しているヒーローは他にもいるし、下手に家や店を吹っ飛ばすわけにもいかねぇ。
かといって、近くに寄ってきた気配を狙って攻撃するにも、タイミングが遅れりゃこっちがヤバい。
どうしたもんかと思っていたところに声が掛かった。

「キース。何をして……、目をやられたのか?」
「ブラッド」

さすがにブラッドの声と気配なら見えなくともわかる。
すぐ近くにきたのが分かって少しほっとした。
コイツが傍にいるなら必要以上に気を張る必要はなくなる。

「目そのものはやられてねぇ。が、血が目に入っちまって見えてねぇんだ」
「なるほど。手当……といきたいところだが、先にここのヤツらを掃討してからだな。指示を出せば能力を使うのは可能か?」
「力加減は難しいが、場所さえ教えてくれりゃ多分いける」
「では、右に15度、20ヤード先」
「こう、かっ!?」

およその勘で言われた場所目掛けて、上から押しつぶすようなイメージで圧をかけると断末魔の声が上がる。

「ふむ。いけそうだな。ならば、俺が鎖である程度の数を纏めて位置を知らせるから、そこに全力でいけ」

ブラッドが俺の左側に回って、肩に手を置く。

「へぇへぇ。怪我人なのに休ませてくれないわけね」
「大した怪我でもないし、動けるのもわかっているのに休ませると思うか? いくぞ。…………左に60度、32ヤード先だ」
「ほらよ……っと!」

ブラッドの能力による鎖の音が止んだ直後に言われた場所に向けて、サイコキネシスを使った。
ブラッドが肩に触れてるからか、コイツが能力を使うときの感覚が何となく伝わる。

「出来れば、もう少し能力が影響する範囲を狭くしろ。建築物を破壊しかねん」
「あー……そうしたいけど、それやるとこの周囲にまで気が回らねぇよ」
「それは俺の方でやる。お前は指示した場所に攻撃することだけに集中してくれればいい。……不安か?」

ブラッドで不安になるなら、誰だってダメに決まってる。
隣にいるのが心強く思えるのは、ブラッドだからこそだ。

「いーや。そういうことなら任せるぜ」
「ああ。右に5度、15ヤード先の上空来るぞ」
「あいよ」
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#キスブラ #書きかけ

48手にチャレンジしようとするキスブラ

48手にチャレンジしようとするキスブラ。
エロコメで軽快なリズムにしたいけど、48手全部やるの大変なんだよな……(堀鹿でやったけど)

「四十八手というのを試してみたいのだが」
「は?」

シャワーをお互い浴び終わって、いざセックスを始めようとした時、開口一番にブラッドが口にしたのは初めて聞いた単語だった。

「しじゅーはって? 何だそれ」
「先日、日本の文化についての本を読んでいたら、性行為の際の体位を様々な形で表し、それを纏めて四十八手というものがあると知ってな」
「……セックスの体位のバリエーションを集めたやつってことか?」
「そうなる。こんな感じだが」

ブラッドが端末をオレに見せてきたから覗き込むと、書かれてる言葉はよくわからないながらも、イラストの一覧から何を表しているかが一目瞭然ってなサイトが表示されていた。
イラストっつってもデフォルメされたやつだから、いやらしさとかは感じないし、寧ろ淡々と指し示すブラッドと相俟って興奮とかはしなかったものの、元来男女で想定されてることを差し引いても、どう考えても体勢に無理あんだろこれっていうものもある。

「うわ……なんか凄ぇ体キツそうなもんもあんだけど。出来んのかよ、これ」
「俺も無理のある体勢ではと思ったが、こうして形として残っているということは何か意味があるのではと思ってな。ルーツを辿れば江戸時代――ああ、1600~1800年代の半ばくらいまでの時期だが――その頃にはあったというし、意外に悪くないのかもしれん」

ブラッドとはいい加減長い付き合いだし、その分色々試しても来たから今更だし、ちょっとした気分転換に楽しむと思えば悪かねぇが。

「……なんで、お前そんなとこまで勉強熱心なの」
「一度気になった以上、些細なことでも調べないと気が済まないからな」
「あー……そういうヤツだったよな、お前……」

時々、この情緒のなさから色気がぶっとんじまうものの、調べたがりな性格と二言目には口をついて出る効率を追求した結果、ブラッドはかなりの床上手だ。
特にフェラなんか、天地がひっくり返ってもコイツが浮気とかねぇだろっていうクソ真面目な性格がなけりゃ、どっかで練習でもしてんじゃねぇかと疑ってたんじゃねぇかってくらいに上手い。
また、顔立ちが整ってるもんだから、妙にいやらしくて、うっかり挿れる前にイカされたのも何度もある。
勿論、もれなくその後イカせるまでがセットだが。

「つうか、試したいヤツってどれだよ。一度にやれるのって限度あんだろ」
「? 今日だけでなく、数回に渡って試せば良い話だろう。そもそも改めて試さずとも既に経験のあるものも含まれるし」
「待て待て、まさかやったことないやつを片っ端から試していくつもりかよ!?」
「そのつもりで言った。無論、お前の気が向かないというならその限りではないが」
「マジか。気が向かないわけじゃねぇよ。……ちょっと色々感心しちまうだけで」
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#キスブラ #書きかけ

Would you like to marry me?

※ブラッドが先天性女体化。つきあってる前提のキスブラ♀。
ブラッドから結婚を持ちかける話。
今となってはやや解釈違いの箇所があるので、ちょっとあちこち変わると思う。

[Keith's Side]

『仕事が片付いた。一時間後にはそちらに着く』

ブラッドからそんなメッセージが届いてから、既に一時間と二十分が経とうとしてた。
少しでも予定の時間から遅れる時には、先にそれを知らせてくるブラッドにしては珍しく、まだ遅れるという連絡が入っていない。
ブラッドはマメというか、オレからすると少し過剰なくらいに連絡を寄越してくる傾向があるから、こうなると何かあったんじゃねぇかと心配になる。
もうちょっと待ってみても連絡がないようなら、こっちから電話してみるか。

明日は久し振りに二人揃ってオフだったから、今日はオレの自宅で泊まろうってことになっていた。
ブラッドはメンターリーダーって立場もあるから、基本的にオレよりもこなさなきゃならない仕事の量が多い。
今日もオレの方の仕事が終わっても、ブラッドはまだ仕事が残ってるってことで、ヤツの方は仕事が終わり次第ここに来ることになっていた。
ブラッドを待ってる間、どうにも手持ち無沙汰だし、一本くらい飲んじまいたいところだが、ブラッドに今夜は絶対に飲むなって言われてるしなぁ。
まぁ、オレとしても、久々に二人きりで過ごせるってタイミングで、アイツの小言をわざわざ聞く気にもならねぇ。
どうしたもんかと思ってると、インターホンから来客を告げるチャイムが鳴った。
時間を考えても十中八九ブラッドだ。
この家の合い鍵はとうの昔に渡してあるが、妙なところで律儀なもんだから、オレが家にいるとわかっている時は鍵を使わない。気にしなくていいのにな。
今更気を遣う間柄じゃないなんて口では言いながら、気遣うのがブラッドだ。
インターホンに出るより先に玄関に行って鍵を開けると、予想通りの相手がいた。

「おう。遅かったな。おかえり」
「待たせてすまない。ここに向かっている最中に面倒な電話に捕まってな。上がるぞ」
「お? おう……ってどうしたよ、お前」

ブラッドが俺の手を引いて、どんどん部屋の奥へと進んでいく。
進むに任せていたら、突き当たった先はベッドだった。
不意に腕を強く引かれ、予想してなかった動きにバランスを崩してベッドの上に転がされる。
起き上がるよりも、ブラッドがオレの上に覆い被さってくる方が早かった。
日に当たると綺麗な紫がかったような色合いになる黒髪がばさりとオレの胸の上に掛かる。

「おわっ!?」
「既成事実を作りたい」
「…………は?」

一瞬、言われた意味を理解出来なくて、間抜けな声を出してしまう。
既成事実? ブラッドとオレが付き合っていること自体は第十三期の研修チーム始め、周りの連中はとっくに把握してる。
ってことは、この言葉が指す意味は。

「わからなければ、もっと直接的な表現をした方がいいか? 子作りに協力しろという話だ」
「………………あ?」

多分、出した声はさっきよりさらに間抜けなものだっただろう。
いくらブラッドと付き合ってそこそこの年月が経って、とっくにその体で知らない場所なんざ残ってないっつっても、この展開に思考が追いついてこない。

「子が出来てしまえば、くだらん縁談なんぞも持ち込まれずに済む」
「おい」
「今日は恐らく排卵日だ。上手くいけば今夜でどうにかなる」
「ブラッド、待て」
「お前は何もしなくていい。私がや……」
「待てっつってんだろ、話を聞け、落ち着け!」

俺の着ていたシャツのボタンを外し、今にもオレのスラックスのファスナーを下ろそうとしていたブラッドの手を掴んで止めて――気付いた。
ブラッドからはいつもの石鹸の匂いだけでなく、微かだが酒の匂いがする。頬と耳も少し赤く染まっていた。
ブラッドが自分から飲むようなことはほとんどない。
確かに明日はオフだから飲む可能性は普段に比べりゃあるが、今日のブラッドに飲み会の予定は入ってなかったはずだし、オレに飲むなって言っておいて自分だけが飲むなんてことも余程の理由がなけりゃしない。
っていうことは。

「……面倒な電話ってのは親父さんか?」

それを理由に飲んで勢いつけたってことぐらいしか考えられない。
そして、ブラッドはオレの言葉に頷くと、溜め息を吐きながらオレの肩に頭を預けてきた。

「そうだ。交際相手ならいると、もう何度も断っているのに聞きやしない」
「……まぁ……なぁ」

オレたちはもう二十八だ。
二十八と言えば、オレたちがルーキーとしてジェイのメンティーになった時のジェイがその位の歳だったし、ちょうど息子が生まれたばかりって頃合いだったのを考えれば、縁談は沸いて当然っちゃ当然だ。
いくらブラッドが都度断りを入れてたとしてもキリがねぇんだろうな。
多分、オレの知らないところで、もっと話を持ち込まれているだろう。
何しろブラッドは名門ビームス家の生まれで親は外交官、家庭教師や使用人なんかに囲まれて裕福に育ったご令嬢って立場だ。
かたや、こっちは貧乏の出。平気で身内に暴力を振るうようなろくでなしの親父と、それに愛想を尽かして蒸発した母親持ちと来た。
俺自身もアカデミーに入る前には、警察の世話になったり、ストリートキッズの収容施設にぶち込まれたりなんかしてる。
いくら、ブラッドとは同期でメジャーヒーローって肩書きがあっても、真っ当な親ならちょっと調べりゃ付き合い、ましてや結婚に良い顔はしねぇだろうってことは容易に察しがつく。
察しがつくからこそ、俺も中々この先の一歩が踏み切れずにいる。

(中略)

「キース。……下も脱ぎたい。汚してしまう」
「じゃ、脱がすぞ。…………お、なるほどな」
「…………っ」

黒のパンツのファスナーを下ろし、膝の辺りまで脱がす。
形のいい脚の奥で下着がすっかり濡れて、性器に貼り付き形を露わにしていた。勃ってるクリトリスの位置までハッキリとわかる。
下着の上から撫でると、布地に染みこんだ蜜が指を濡らした。
脱がしたパンツの方はともかく、下着は完全に手遅れだ。
指先に少しだけ力を入れて、クリの付け根あたりを引っ掻くように擽ったら、ブラッドがびくりと体を震わせた。

「ん……っ」
「凄ぇな。今触るまで、こっち全然触ってなかったのに」
「……悪い、か」
「悪いわけねぇだろ。オレが嬉しいだけだ」
「……あっ、うあっ!」

自分の女が自らの手によって興奮し、感じてるのがわかって嬉しくない男がいるかよ。
クロッチの部分から指を中に入れ、直接割れ目の部分を触って、膣口から蜜を掬うと包皮越しにクリを刺激した。
下から上へと緩く指を滑らす。

「中途……っ、半端に脱がせたまま、触……んん!」
「悪ぃ。反応可愛くてつい続けちまった。……ちゃんと脱がすから、ここ舐めていいか?」
「…………私にも口でさせてくれる、なら」

ブラッドがスラックスごしにオレのモノを触る。
とっくに勃っていたが、伝わる手の温もりにそこがさらに熱くなるのが分かった。
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#キスブラ #女体化 #R18 #書きかけ

■Information

@yukiha_hrksの書きかけ&pixivUP前の短編置き場。ジャンルもカプも雑多。
しばらくはエリオス(キスブラ他)が多くなりそう。
完成するかもしれないし、しないかもしれない。
らくがきは適度な頃に消し。
各ワンドロライで書いた分については後日サイト等にも置きます。
※こちらはポイピクが重いときの避難所です。
置いているものは大体一緒です。
Junkや未整頓だったサイトのEntryからも移行作業中。
タイムスタンプはサイトに置いている分はサイトの記録から、置いてない分は元ファイルの作成日。
https://whitealice.xyz/

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