カテゴリ「キスブラ」に属する投稿[33件]
世界の果てまで共に
天使×堕天使のキスブラ。
報酬フレームのテキストからイメージしたパロ。
厨二設定しかないので、ポイピクではフォロ限ですが、こっちは見る人自体が少ないのでそのまま置いときます。
ブラッド視点も追加。神(モブ)が出ます。
[Keith's Side]
「……何で逃げねぇの」
オレがブラッドの胸元に突きつけた剣は堕天使を討伐するためだけに作られたもので、僅かでも触れれば存在が消滅するように出来ている。
コイツがそれを知らねぇはずはない。
なのに、抵抗する素振りも見せねぇ。
「…………ここで逃げたところで他の追っ手が来るのだろう。ならば、お前の手に掛かって終わるのも悪くないと思ったまでだ」
そう言葉にしたブラッドの目には迷いがない。
かつて、天界でもっとも神に近い天使と言われていたあの当時となんら変わりのない目だ。
――下界の争いごとにより、人間たちが……幼い子どもたちも含めた命が日々失われている。だが、神はそれは淘汰であり、必要な犠牲だと言う。だから、手出しは不要だと。俺はそれが納得出来ん。
そう言って、ブラッドは神の元へと直談判に出向いたが、直後知らされたのはブラッドが堕天したとの報告だった。
誰もが耳を疑ったし、オレも信じられなかった。
再会して、堕天した証である黒い翼を見るまでは。
だが、それ以外は何も変わっちゃいない。
融通のきかないカタブツ。己の信念のままに突き進む、以前と同じブラッドがいた。
下界で失われる命の数が減ったというのは間違いなくコイツによるものだろう。
「一応、聞くけど後悔は」
「していない」
「だよなぁ」
剣を引いて、そのまま手放す。
地に落ちた剣の衝撃音がやけに甲高く響いた。
ブラッドが失ったのは左の羽根か。
だったら、オレは右だなと手を背の方に回して、勢いに任せて自分の右の羽根をもぎ取った。
「いっ……!」
「なっ、キース!!」
ずっと平然としていたブラッドの目に初めて動揺の色が浮かぶ。
自分だってつい先日同じようなことしただろうがよ。
身体から離れた羽根は白から黒へと色を変え――気付けば視界に映る残った左の羽根も漆黒に染まっていた。
なるほどな、堕天するとこうなんのか。
背の痛みが少し和らいだのはブラッドの力だな。
堕天しても天使として持っていた力は健在ってことか。
「……馬鹿な真似を」
「いや、お前にだけは言われたくないわ、それ。……ったく、一人でさっさと決めやがって。肝心なとこで一人でどうにかしようとするのやめろよな」
普段冷静な癖にブチ切れると見境ねぇよな、全く。
「――共に来てくれるのか」
「一人より二人の方が逃げやすいだろ。オレは左側の羽根残したし、肩組んで呼吸合わせりゃ何とか飛べんじゃねぇの。能力も残ってんだし」
「なるほどな」
ブラッドと肩を組み、幾度か羽根を羽ばたかせ、タイミングを合わせて地を蹴ると呆気ないほど楽に飛び立てた。
悪いな、カミサマ。
オレももうアンタには従えねぇよ。
二度と触れなくなった剣を一瞥し、オレも天界に別れを告げた。
[Brad's Side]
――何故、介入しないのですか。あの地域は今明らかに度を超えた殺戮が行われている。放置していいはずがない。
――人は増えすぎたのだよ、ブラッド。故に世界の生態系全てに弊害を及ぼし始めている。あれは必要な犠牲だ。
――必要…………?
――全てを救い上げることなど出来ない。弱い生命が淘汰されていくのはこれまでの歴史でも繰り返されてきたことだ。浄化だと思えば良い。それでもなお、争いがやまないなら、それは世界の寿命だ。
だから、見捨てるというのか。
祝福され生まれたばかりの赤子も無残に殺されることも珍しくなくなりつつあるあの地を。
浄化、という言葉にこれほど嫌悪感を覚えたことはない。
いつだったか、キースが胡散臭いと評したその言葉の意味が今はわかる。
神が見放すというのであれば。
――せめて、この手で救えるだけでも俺が救う。
――ブラッ……!?
片翼をむしり取り、それをそのまま目の前の神に叩きつけた。
瞬く間に黒く変化した羽根にこんなに簡単だったのかと苦笑いする。
――貴方にはもう従えない。俺は俺の信じる道を行く。それを堕天と言うのなら好きに言えばいい。
――ブラッド!!
羽根を失った背の痛みを堪え、急いでその場を立ち去る。
キースに別れを告げる間もなかったことだけが心残りだったが、ここで捕らえられては本末転倒だ。
幸い、堕天しても天使の能力は失われなかったから、それを利用し、可能な限り殺戮を食い止めていたが――キリがなかった。
生命を救いつつ、堕天使を討つ天界の追っ手からも身を隠し続けるのは容易ではなく、消耗が激しくなってきたタイミングで俺の前に現れたのはキースだった。
「本当に堕ちたんだな、お前」
「…………キース」
ほんの一瞬だけ泣きそうに見えた表情に動けなくなった。
キースの掲げている剣が天界の最終兵器と謳われる堕天使を消滅させるものだと気付いても、その剣先が胸元に触れそうなところに定められても。
キースの実力は俺が誰より知っている。
そもそも、この剣を扱えるのは天界でも一握りの天使だけだ。
万事休す。
他の者の手に掛かるよりは、キースにならば――。
「……何で逃げねぇの」
「…………ここで逃げたところで他の追っ手が来るのだろう。ならば、お前の手に掛かって終わるのも悪くないと思ったまでだ」
「一応、聞くけど後悔は」
「していない」
俺の命運もここまでか、という悔いはあれど、堕天したことについての後悔は微塵もない。
「だよなぁ」
知っていた、と言わんばかりの口調でキースが剣を引き、そのまま持っていた剣を地面に落とす。
どういうつもりかと問い質そうとした刹那、キースが自らの片翼をもぎ取った。
「いっ……!」
「なっ、キース!!」
もぎ取られ、地に落ちたキースの翼が黒く染まる。
そのまま残っている方の羽根も、あっという間に全て黒くなった。
急いで膝をついたキースに駆け寄り、回復の術を使う。
「……馬鹿な真似を」
「いや、お前にだけは言われたくないわ、それ。……ったく、一人でさっさと決めやがって。肝心なとこで一人でどうにかしようとするのやめろよな」
普段冷静な癖にブチ切れると見境ねぇよなとぼやかれて、一瞬返す言葉に詰まる。
「――共に来てくれるのか」
「一人より二人の方が逃げやすいだろ。オレは左側の羽根残したし、肩組んで呼吸合わせりゃ何とか飛べんじゃねぇの。能力も残ってんだし」
「なるほどな」
キースの飛び方の癖は知っているし、逆も然りだ。
肩を組んで、羽根の動きを合わせ、音が重なったところで地を蹴る。
自分一人で両翼で飛んでいたときとそう変わらずに飛ぶことが出来た。
「お、いけたいけた。よし。あの剣を回収しに来られる前にとりあえずここから離れようぜ」
「ああ」
一人ではなくなったという心強さに口元が緩みそうになりながら、晴れ渡る空を二人で飛び続けた。Close
#キスブラ
天使×堕天使のキスブラ。
報酬フレームのテキストからイメージしたパロ。
厨二設定しかないので、ポイピクではフォロ限ですが、こっちは見る人自体が少ないのでそのまま置いときます。
ブラッド視点も追加。神(モブ)が出ます。
[Keith's Side]
「……何で逃げねぇの」
オレがブラッドの胸元に突きつけた剣は堕天使を討伐するためだけに作られたもので、僅かでも触れれば存在が消滅するように出来ている。
コイツがそれを知らねぇはずはない。
なのに、抵抗する素振りも見せねぇ。
「…………ここで逃げたところで他の追っ手が来るのだろう。ならば、お前の手に掛かって終わるのも悪くないと思ったまでだ」
そう言葉にしたブラッドの目には迷いがない。
かつて、天界でもっとも神に近い天使と言われていたあの当時となんら変わりのない目だ。
――下界の争いごとにより、人間たちが……幼い子どもたちも含めた命が日々失われている。だが、神はそれは淘汰であり、必要な犠牲だと言う。だから、手出しは不要だと。俺はそれが納得出来ん。
そう言って、ブラッドは神の元へと直談判に出向いたが、直後知らされたのはブラッドが堕天したとの報告だった。
誰もが耳を疑ったし、オレも信じられなかった。
再会して、堕天した証である黒い翼を見るまでは。
だが、それ以外は何も変わっちゃいない。
融通のきかないカタブツ。己の信念のままに突き進む、以前と同じブラッドがいた。
下界で失われる命の数が減ったというのは間違いなくコイツによるものだろう。
「一応、聞くけど後悔は」
「していない」
「だよなぁ」
剣を引いて、そのまま手放す。
地に落ちた剣の衝撃音がやけに甲高く響いた。
ブラッドが失ったのは左の羽根か。
だったら、オレは右だなと手を背の方に回して、勢いに任せて自分の右の羽根をもぎ取った。
「いっ……!」
「なっ、キース!!」
ずっと平然としていたブラッドの目に初めて動揺の色が浮かぶ。
自分だってつい先日同じようなことしただろうがよ。
身体から離れた羽根は白から黒へと色を変え――気付けば視界に映る残った左の羽根も漆黒に染まっていた。
なるほどな、堕天するとこうなんのか。
背の痛みが少し和らいだのはブラッドの力だな。
堕天しても天使として持っていた力は健在ってことか。
「……馬鹿な真似を」
「いや、お前にだけは言われたくないわ、それ。……ったく、一人でさっさと決めやがって。肝心なとこで一人でどうにかしようとするのやめろよな」
普段冷静な癖にブチ切れると見境ねぇよな、全く。
「――共に来てくれるのか」
「一人より二人の方が逃げやすいだろ。オレは左側の羽根残したし、肩組んで呼吸合わせりゃ何とか飛べんじゃねぇの。能力も残ってんだし」
「なるほどな」
ブラッドと肩を組み、幾度か羽根を羽ばたかせ、タイミングを合わせて地を蹴ると呆気ないほど楽に飛び立てた。
悪いな、カミサマ。
オレももうアンタには従えねぇよ。
二度と触れなくなった剣を一瞥し、オレも天界に別れを告げた。
[Brad's Side]
――何故、介入しないのですか。あの地域は今明らかに度を超えた殺戮が行われている。放置していいはずがない。
――人は増えすぎたのだよ、ブラッド。故に世界の生態系全てに弊害を及ぼし始めている。あれは必要な犠牲だ。
――必要…………?
――全てを救い上げることなど出来ない。弱い生命が淘汰されていくのはこれまでの歴史でも繰り返されてきたことだ。浄化だと思えば良い。それでもなお、争いがやまないなら、それは世界の寿命だ。
だから、見捨てるというのか。
祝福され生まれたばかりの赤子も無残に殺されることも珍しくなくなりつつあるあの地を。
浄化、という言葉にこれほど嫌悪感を覚えたことはない。
いつだったか、キースが胡散臭いと評したその言葉の意味が今はわかる。
神が見放すというのであれば。
――せめて、この手で救えるだけでも俺が救う。
――ブラッ……!?
片翼をむしり取り、それをそのまま目の前の神に叩きつけた。
瞬く間に黒く変化した羽根にこんなに簡単だったのかと苦笑いする。
――貴方にはもう従えない。俺は俺の信じる道を行く。それを堕天と言うのなら好きに言えばいい。
――ブラッド!!
羽根を失った背の痛みを堪え、急いでその場を立ち去る。
キースに別れを告げる間もなかったことだけが心残りだったが、ここで捕らえられては本末転倒だ。
幸い、堕天しても天使の能力は失われなかったから、それを利用し、可能な限り殺戮を食い止めていたが――キリがなかった。
生命を救いつつ、堕天使を討つ天界の追っ手からも身を隠し続けるのは容易ではなく、消耗が激しくなってきたタイミングで俺の前に現れたのはキースだった。
「本当に堕ちたんだな、お前」
「…………キース」
ほんの一瞬だけ泣きそうに見えた表情に動けなくなった。
キースの掲げている剣が天界の最終兵器と謳われる堕天使を消滅させるものだと気付いても、その剣先が胸元に触れそうなところに定められても。
キースの実力は俺が誰より知っている。
そもそも、この剣を扱えるのは天界でも一握りの天使だけだ。
万事休す。
他の者の手に掛かるよりは、キースにならば――。
「……何で逃げねぇの」
「…………ここで逃げたところで他の追っ手が来るのだろう。ならば、お前の手に掛かって終わるのも悪くないと思ったまでだ」
「一応、聞くけど後悔は」
「していない」
俺の命運もここまでか、という悔いはあれど、堕天したことについての後悔は微塵もない。
「だよなぁ」
知っていた、と言わんばかりの口調でキースが剣を引き、そのまま持っていた剣を地面に落とす。
どういうつもりかと問い質そうとした刹那、キースが自らの片翼をもぎ取った。
「いっ……!」
「なっ、キース!!」
もぎ取られ、地に落ちたキースの翼が黒く染まる。
そのまま残っている方の羽根も、あっという間に全て黒くなった。
急いで膝をついたキースに駆け寄り、回復の術を使う。
「……馬鹿な真似を」
「いや、お前にだけは言われたくないわ、それ。……ったく、一人でさっさと決めやがって。肝心なとこで一人でどうにかしようとするのやめろよな」
普段冷静な癖にブチ切れると見境ねぇよなとぼやかれて、一瞬返す言葉に詰まる。
「――共に来てくれるのか」
「一人より二人の方が逃げやすいだろ。オレは左側の羽根残したし、肩組んで呼吸合わせりゃ何とか飛べんじゃねぇの。能力も残ってんだし」
「なるほどな」
キースの飛び方の癖は知っているし、逆も然りだ。
肩を組んで、羽根の動きを合わせ、音が重なったところで地を蹴る。
自分一人で両翼で飛んでいたときとそう変わらずに飛ぶことが出来た。
「お、いけたいけた。よし。あの剣を回収しに来られる前にとりあえずここから離れようぜ」
「ああ」
一人ではなくなったという心強さに口元が緩みそうになりながら、晴れ渡る空を二人で飛び続けた。Close
#キスブラ
キスブラ版ワンドロライ第100回は『一番好きなシチュエーション』とのことで、『キースがつまみを作って一緒にお酒を飲むキスブラ』で書きました。
第100回開催おめでとうございます!
そして、100回という長い間、企画の運営を続けて頂き、本当にありがとうございました!!
美味いと評判の日本酒を手に入れたから、その代わりに美味い和食のつまみを用意して欲しいと、ブラッドから言われたのが先週。
で、互いに明日がオフだからとオレの家で飲むことになったのが今日だ。
普段はこっちから飲みに誘っても、滅多に応じちゃくれねぇくせに、交換条件みてぇに日本酒を持ってくるから、オレはつまみを作れという形だと時々向こうから誘ってくるんだよな。
勿論、美味い酒がブラッドと飲めるとくりゃ断る理由はねぇけど。
例によって、オレより仕事が多く、やることが積み上がってるブラッドが仕事を一通り片付けてから、うちに来るまでにはまだ時間がある。
急な飲みだと用意出来るつまみにも限りはあるが、今回みてぇに数日前から予定を立てるなら、出来上がるまでに時間のかかるタイプのつまみも用意出来るから、今日はそんなつまみを幾つか出してやろうと、あらかじめ仕込んでおいた。
ブラッドは和食は一品、二品で構わないと口では言うが、実際数があれば目の輝きが違ってくるもんだから、たまにならいいだろと、こんな機会にはつい作っちまっう。
「お。良い感じじゃねぇか」
数日前に漬けておいた、豆腐の味噌漬けを味見ついでに軽くつまむと、つい冷蔵庫にストックしてあるビール缶を開けたくなったが、そこはどうにか堪えて、ナスとキュウリの漬物も味見する。
使った唐辛子の量がちょうど良かったらしく、これまたビールが飲みたくなる一品に仕上がってた。
日本の漬物ってヤツは何でこう酒に合うように出来てんだ?
いっそ、ブラッドが来る前に一缶だけビール飲んじまおうかなと思った矢先、手元のスマホがブラッドからのメッセージの着信を知らせる。
『仕事が終わった。今からそちらに向かう』
当初、予想していた時間よりは早い。
恐らくは、ブラッドが今日の飲みの為に、仕事を早めに片付けた結果だろう。
もうこっちに向かってるんだったら、温かいつまみを作り始めるにはちょうどいいと、どうにかビールの誘惑をおさえて、だし巻き玉子と揚げ物の用意をする。
ブラッドが持ち込むせいで、どんどん増える日本の調味料はもう結構な種類があるから、食材と時間さえあれば、何だかんだ色々な和食が作れちまうんだよな。……面倒くさいのはなるべく避けてぇけど。
ブラッドが好む味付けのだし巻き玉子も、すっかり作り方を覚えちまったなぁと出来ただし巻き玉子を皿に(これまたブラッドが持ち込んだ日本の食器だ)盛り、温度の様子を見ながら揚げ物をやってたところで、玄関の鍵が開く音がした。
オレがつまみの支度で手を離せないだろうと予想して、最初から合鍵を使うあたり、アイツもすっかり慣れたもんだ。
「おう、お帰り。仕事お疲れさん」
「ただいま。……ほう。お前に作って貰ったことのないものが並んでいる」
テーブルの上を確認したブラッドの声が、期待からか微かに弾んだのがわかる。
チラッと表情も窺うと、ブラッドは目元も綻ばせていた。
……こういうとこ可愛いんだよな。
小言を畳みかけてくるときと同一人物とは思えねぇ。
「あー、日数かけた漬物、試してみたかったからなぁ。味は保証出来るぜ」
「お前が手懸けた料理で味に不満があったものもないがな。何かやることはあるか?」
「お前が持ってきた日本酒の器用意してくれ。まだそっちまで手が回ってねぇ」
「わかった」
ブラッドが酒を注いでいる間に、オレの方も揚げ物が終わり、良い感じに飲む準備は完了ってヤツだ。
二人でテーブルについて、確か江戸切子とかいった、繊細な細工のグラスを軽く合わせ乾杯する。
「……かーっ……美味っ……!」
グラスを口につける手前でわかった薫りから期待はしてたが、口当たりも良い。いくらでも飲めそうな酒だった。
一方でブラッドは一口飲んだ後は、つまみの方に次々と手を出していく。
「……やはり美味いな。お前の作る料理は」
「だったら、良かったぜ。あ、漬物は結構量作ったけど、明日帰るとき持ってくか?」
「貰おう。酒だけでなく米にも合いそうだ」
「あー、じゃ明日の朝は飯炊いて米に合わせて食ってみるか」
「そうしよう。味噌汁も――」
「はいはい。ちゃんと作ってやるっての」
こんな日にブラッドが泊まっていくのは、もう暗黙の了解ってヤツだ。
ただ酒を酌み交わすためだけに泊まるわけじゃないってことも。
……酔いすぎねぇようにしとかねぇとな。
後に控えてる楽しみも頭の隅に置きつつ、まずは二人きりの晩酌を楽しむことにした。
Close
#キスブラ #ワンライ
第100回開催おめでとうございます!
そして、100回という長い間、企画の運営を続けて頂き、本当にありがとうございました!!
美味いと評判の日本酒を手に入れたから、その代わりに美味い和食のつまみを用意して欲しいと、ブラッドから言われたのが先週。
で、互いに明日がオフだからとオレの家で飲むことになったのが今日だ。
普段はこっちから飲みに誘っても、滅多に応じちゃくれねぇくせに、交換条件みてぇに日本酒を持ってくるから、オレはつまみを作れという形だと時々向こうから誘ってくるんだよな。
勿論、美味い酒がブラッドと飲めるとくりゃ断る理由はねぇけど。
例によって、オレより仕事が多く、やることが積み上がってるブラッドが仕事を一通り片付けてから、うちに来るまでにはまだ時間がある。
急な飲みだと用意出来るつまみにも限りはあるが、今回みてぇに数日前から予定を立てるなら、出来上がるまでに時間のかかるタイプのつまみも用意出来るから、今日はそんなつまみを幾つか出してやろうと、あらかじめ仕込んでおいた。
ブラッドは和食は一品、二品で構わないと口では言うが、実際数があれば目の輝きが違ってくるもんだから、たまにならいいだろと、こんな機会にはつい作っちまっう。
「お。良い感じじゃねぇか」
数日前に漬けておいた、豆腐の味噌漬けを味見ついでに軽くつまむと、つい冷蔵庫にストックしてあるビール缶を開けたくなったが、そこはどうにか堪えて、ナスとキュウリの漬物も味見する。
使った唐辛子の量がちょうど良かったらしく、これまたビールが飲みたくなる一品に仕上がってた。
日本の漬物ってヤツは何でこう酒に合うように出来てんだ?
いっそ、ブラッドが来る前に一缶だけビール飲んじまおうかなと思った矢先、手元のスマホがブラッドからのメッセージの着信を知らせる。
『仕事が終わった。今からそちらに向かう』
当初、予想していた時間よりは早い。
恐らくは、ブラッドが今日の飲みの為に、仕事を早めに片付けた結果だろう。
もうこっちに向かってるんだったら、温かいつまみを作り始めるにはちょうどいいと、どうにかビールの誘惑をおさえて、だし巻き玉子と揚げ物の用意をする。
ブラッドが持ち込むせいで、どんどん増える日本の調味料はもう結構な種類があるから、食材と時間さえあれば、何だかんだ色々な和食が作れちまうんだよな。……面倒くさいのはなるべく避けてぇけど。
ブラッドが好む味付けのだし巻き玉子も、すっかり作り方を覚えちまったなぁと出来ただし巻き玉子を皿に(これまたブラッドが持ち込んだ日本の食器だ)盛り、温度の様子を見ながら揚げ物をやってたところで、玄関の鍵が開く音がした。
オレがつまみの支度で手を離せないだろうと予想して、最初から合鍵を使うあたり、アイツもすっかり慣れたもんだ。
「おう、お帰り。仕事お疲れさん」
「ただいま。……ほう。お前に作って貰ったことのないものが並んでいる」
テーブルの上を確認したブラッドの声が、期待からか微かに弾んだのがわかる。
チラッと表情も窺うと、ブラッドは目元も綻ばせていた。
……こういうとこ可愛いんだよな。
小言を畳みかけてくるときと同一人物とは思えねぇ。
「あー、日数かけた漬物、試してみたかったからなぁ。味は保証出来るぜ」
「お前が手懸けた料理で味に不満があったものもないがな。何かやることはあるか?」
「お前が持ってきた日本酒の器用意してくれ。まだそっちまで手が回ってねぇ」
「わかった」
ブラッドが酒を注いでいる間に、オレの方も揚げ物が終わり、良い感じに飲む準備は完了ってヤツだ。
二人でテーブルについて、確か江戸切子とかいった、繊細な細工のグラスを軽く合わせ乾杯する。
「……かーっ……美味っ……!」
グラスを口につける手前でわかった薫りから期待はしてたが、口当たりも良い。いくらでも飲めそうな酒だった。
一方でブラッドは一口飲んだ後は、つまみの方に次々と手を出していく。
「……やはり美味いな。お前の作る料理は」
「だったら、良かったぜ。あ、漬物は結構量作ったけど、明日帰るとき持ってくか?」
「貰おう。酒だけでなく米にも合いそうだ」
「あー、じゃ明日の朝は飯炊いて米に合わせて食ってみるか」
「そうしよう。味噌汁も――」
「はいはい。ちゃんと作ってやるっての」
こんな日にブラッドが泊まっていくのは、もう暗黙の了解ってヤツだ。
ただ酒を酌み交わすためだけに泊まるわけじゃないってことも。
……酔いすぎねぇようにしとかねぇとな。
後に控えてる楽しみも頭の隅に置きつつ、まずは二人きりの晩酌を楽しむことにした。
Close
#キスブラ #ワンライ
キスブラ版ワンドロライ第50回でのお題から『お節介』を使って書いた話です。
ロスゼロ後、微妙に探ってる状態でメジャーヒーローの昇格試験を控えたキスブラ。
第50回の開催おめでとうございます!
午後のパトロール前、タワーを出ようとしたところでブラッドに呼び止められた。
「キース。今夜、時間は取れるか」
「…………今夜ね。はいよ。夕食も一緒か? それとも夕食後?」
「夕食後だ。ノースチーム内でのミーティングがあるから、その後になる」
「わかった。家で待ってるぜ」
「……待っている間に飲むなよ」
「わあってるっての。じゃあまた夜な」
オレたちが【AAA】のヒーローとなってから二年近く。
メジャーヒーローへの昇格試験が受験可能になるからと、この数ヶ月というもの、ブラッドは時間が出来た傍から試験勉強の為にオレを誘い続けている。
試験なんてもんが昔から大嫌いなオレとしちゃ、試験勉強なんて面倒くさくて仕方ねぇんだが、ブラッドが頑として今回の試験でオレと一緒に昇格すると言って譲らねぇ。
最初は面倒さに試験勉強から逃げていたものの、ブラッドがしつこく逃げた先のバーだったり、ビリヤード場だったりまで来て、試験勉強の誘いを続けるもんだから、結局折れたのはこっちだった。
一旦応じてしまえば、ずっと試験勉強漬けってわけでもなく、時にはビリヤードに付き合ってくれたり、ベッドの中でもいつもよりサービスしてくれたりなんかする辺り、この暴君は飴と鞭の使い方が上手い。
……まぁ、メジャーヒーローになれば給料も上がるし、何よりヒーローとしては最上級の格付けになるから、今度の試験に合格し、メジャーヒーローに昇格したら、以降は昇格試験なんてものはない。
一応、昇格後にメジャーヒーローとしての実力を保持出来ているかどうかのチェックは時折入るが、そっちはほぼサブスタンスによる能力の確認や、実技によるものだから、筆記試験となると確かに合格さえしちまえば次で最後になる。
――メジャーヒーローとしての実力は申し分ない以上、昇格しないままでいると今後ずっと昇格試験があるたびに、上層部から声も掛かるだろう。その方がお前にとっては面倒ではないのか。
ジェイ曰くの『ミラクルトリオ』と称されるオレたちは、上層部からの期待の声が高いらしい。
アカデミー時代から常に優秀で期待されていたブラッドは勿論、早々とイクリプス部隊に配属されたディノ。そして、ディノがいなくなって以降、オーバーフロウなしでも強力なサイコキネシスを使えるオレにも注目が集まっているのだという。
――さっさと昇格してしまった方が、必要以上に干渉されずに済む。……その方がお前にとっても都合がいいと思うが。
――……お前の好きな『効率的』ってヤツ?
――そうだ。
『お前にとっても』という言葉の裏には、ブラッドにとってもという意味が含まれているような気がしたのは、多分間違ってねぇ。
ただでさえ、第十二期研修チームのメンターの一員として、少なくともオレより忙しい立場にあるはずのブラッドが、時間をやりくりしてでもオレと一緒にメジャーヒーローに昇格したがるのは、それだけの理由があるはずだが、それが何かまではわからねぇ。
ディノがいなくなってから、ただでさえわかりにくいコイツの真意はさらにわかりにくくなっている。
単なる怠惰な同期へのお節介なのか、それとも――。
「ま、メジャーヒーローって響きも悪くねぇしな」
昇格しちまえば、多少は何かを隠しているらしいブラッドの真意の欠片が見えてくるかもしれねぇ。
去って行くブラッドの背中を見ながら、今日の夜は試験勉強中に軽くつまめる、ヤツの好きそうなもんでも用意しとくかと決めて、オレもその場を後にした。
Close
#キスブラ #ワンライ
ロスゼロ後、微妙に探ってる状態でメジャーヒーローの昇格試験を控えたキスブラ。
第50回の開催おめでとうございます!
午後のパトロール前、タワーを出ようとしたところでブラッドに呼び止められた。
「キース。今夜、時間は取れるか」
「…………今夜ね。はいよ。夕食も一緒か? それとも夕食後?」
「夕食後だ。ノースチーム内でのミーティングがあるから、その後になる」
「わかった。家で待ってるぜ」
「……待っている間に飲むなよ」
「わあってるっての。じゃあまた夜な」
オレたちが【AAA】のヒーローとなってから二年近く。
メジャーヒーローへの昇格試験が受験可能になるからと、この数ヶ月というもの、ブラッドは時間が出来た傍から試験勉強の為にオレを誘い続けている。
試験なんてもんが昔から大嫌いなオレとしちゃ、試験勉強なんて面倒くさくて仕方ねぇんだが、ブラッドが頑として今回の試験でオレと一緒に昇格すると言って譲らねぇ。
最初は面倒さに試験勉強から逃げていたものの、ブラッドがしつこく逃げた先のバーだったり、ビリヤード場だったりまで来て、試験勉強の誘いを続けるもんだから、結局折れたのはこっちだった。
一旦応じてしまえば、ずっと試験勉強漬けってわけでもなく、時にはビリヤードに付き合ってくれたり、ベッドの中でもいつもよりサービスしてくれたりなんかする辺り、この暴君は飴と鞭の使い方が上手い。
……まぁ、メジャーヒーローになれば給料も上がるし、何よりヒーローとしては最上級の格付けになるから、今度の試験に合格し、メジャーヒーローに昇格したら、以降は昇格試験なんてものはない。
一応、昇格後にメジャーヒーローとしての実力を保持出来ているかどうかのチェックは時折入るが、そっちはほぼサブスタンスによる能力の確認や、実技によるものだから、筆記試験となると確かに合格さえしちまえば次で最後になる。
――メジャーヒーローとしての実力は申し分ない以上、昇格しないままでいると今後ずっと昇格試験があるたびに、上層部から声も掛かるだろう。その方がお前にとっては面倒ではないのか。
ジェイ曰くの『ミラクルトリオ』と称されるオレたちは、上層部からの期待の声が高いらしい。
アカデミー時代から常に優秀で期待されていたブラッドは勿論、早々とイクリプス部隊に配属されたディノ。そして、ディノがいなくなって以降、オーバーフロウなしでも強力なサイコキネシスを使えるオレにも注目が集まっているのだという。
――さっさと昇格してしまった方が、必要以上に干渉されずに済む。……その方がお前にとっても都合がいいと思うが。
――……お前の好きな『効率的』ってヤツ?
――そうだ。
『お前にとっても』という言葉の裏には、ブラッドにとってもという意味が含まれているような気がしたのは、多分間違ってねぇ。
ただでさえ、第十二期研修チームのメンターの一員として、少なくともオレより忙しい立場にあるはずのブラッドが、時間をやりくりしてでもオレと一緒にメジャーヒーローに昇格したがるのは、それだけの理由があるはずだが、それが何かまではわからねぇ。
ディノがいなくなってから、ただでさえわかりにくいコイツの真意はさらにわかりにくくなっている。
単なる怠惰な同期へのお節介なのか、それとも――。
「ま、メジャーヒーローって響きも悪くねぇしな」
昇格しちまえば、多少は何かを隠しているらしいブラッドの真意の欠片が見えてくるかもしれねぇ。
去って行くブラッドの背中を見ながら、今日の夜は試験勉強中に軽くつまめる、ヤツの好きそうなもんでも用意しとくかと決めて、オレもその場を後にした。
Close
#キスブラ #ワンライ
キスブラ版ワンドロライ第49回(Webオンリーとのコラボ回)でのお題から『キス』を使って書いた話です。
アカデミー時代から体の関係があった前提。R-15くらいで。執筆時間大体1時間(多分)
ただ二人が朝からいちゃいちゃしてるだけの話になったw
…………懐かしい夢を見ていた。
目が覚めた時、真っ先に視界に入った天井でさっきまでのは夢だったと直ぐに認識出来たが、妙にリアリティがあったように思う。
夢の内容はアカデミーの頃のキースと共に夜を過ごしていたもの。
つい先程まで夢にいた相手は、現実ではごく近くで気持ち良さそうに寝息を立てている。
夢を見た理由には心当たりがあった。
昨夜はキースの家に泊まったが、シャワーを借りた際、アカデミー時代にヤツが使用していたボディソープ――いや、体だけではなく髪も顔も洗えるというものだからボディソープというのとは少し違うのだろうが――を久し振りに使ったせいだろう。
――キース、あのボディソープは……。
――ああ、メーカーの何周年だかで復刻したんだってよ。懐かしくてつい買っちまった。そうそう、こんな匂いだったよな。
――んっ…………。
俺より先に風呂から上がっていたキースは、俺を待っていた間に煙草を吸っていなかったらしく、いつもならキスすると一層強く香ってくる煙草の匂いではなく、微かな歯磨き粉の味と共に懐かしいボディソープの匂いが纏わり付いてきた。
安物で嫌いじゃないが、香りが強いんだと当時言ってもいたからか、ヒーローとして【HELIOS】に勤務するようになってからはいつの間にか使わなくなっていたが、久し振りにかいだ匂いは様々な記憶を引き摺り出して、昨夜は気分がいつもより昂ぶってしまった。
キースもそうだったのか、やけに密着するような体位をしたがっていたように思う。
……キースと最初に肌を重ねてから、もう十年以上経つのか。
最初はキス一つでも随分とぎこちなかったはずだが、年月を経た今はもう良くも悪くも慣れたものだ。
寝顔はあの頃とあまり変わらないなと思いながら、少しだけ体を起こして、キースの髪に口付ける。
眠る前に散々かいだ匂いを感じながら、指でもそっと髪に触れた。
あくまでも起こさないように静かに触れたつもりだったが、キースから離れようとした寸前で、ベッドの中でキースの手が俺の腰に回され、閉ざされていた目が開く。
「……っ、すまない、起こしたか」
「んー……まぁ起こされたっていうか、ちょうど目が覚めたって感じだな。もうちょっとだけ寝ようぜ、まだ起き出すにはちぃと早いだろ」
「んっ」
腰に置かれていた手が上へと移動し、肩を掴んで起こしていた体をベッドの中に戻せと言わんばかりに力が籠められた。
大人しく従えば、顔が寄せられて、自然と目を閉じる。
当たり前のように触れてきたキースの唇は少し乾いていたが、唇を触れ合わせているうちに気にならなくなってくる。
少しだけ舌で唇の間からつついたら、その舌に吸い付かれて、甘い刺激が体を突き抜けていった。
これ以上は戯れで済まなくなると唇を離そうとしたが、キースにはやめるつもりがないらしく、離しかけた唇は追われ、再び重なって、今度はそのまま舌が口内を撫でていく。擽るように、または突くように、と動きを少しずつ変化させながら。
「…………っ……ふ」
つい零れてしまう声に、笑った気配がし、つられて目を開けて――もう寝直すつもりなど、キースにはないのを悟った。
ペリドットの目は明らかな情欲の色を映している。
いや、キースが口にした『寝よう』という意味が、そもそもそちらを示していたのかもしれない。
ならば、俺の方からもキースの口内を舌で刺激しようと動き始めると、キースの方は舌の動きを止めた。
好きにしろということだろうと解釈して、しばらく舌を動かしていると、キースも微かに吐息を零した。
「ん…………お前、ホント上手くなったよなー、キス」
キースも俺と同じようにボディソープの匂いから、過去を懐かしく思ったのか、そんな言い方をする。
「……誰がそうしたと」
「まぁ、俺しかいねぇよな。……ブラッド。今日オフだし、このまま続けていいだろ? 朝飯、白飯と味噌汁にしてやるからさ」
普段なら朝から作るのは面倒がるメニューを口にしながら、キースの手が俺の背中を滑り落ちていった。
数時間前も散々触れられているのに、それだけでも体の芯が熱くなっていくのを実感する。
「…………卵焼き、もだ」
震えてしまいそうになる声をどうにかおさえて、要求をつけくわえると間近にある目が笑った。
「つけてやるって。だし巻きな。目玉焼きでもいいけど」
「……だし、巻き…………が、いい」
「はいよ。あとは……ほうれんそうのおひたしだっけ? あれも作るか」
「っ……」
再び、唇が重なったのと腰が触れ合ったのは同時。
お互いに張り詰めているのがしっかりと伝わる。
微かに薫ったボディソープの匂いを始まりの合図に本格的に動き始めた。
Close
#キスブラ #ワンライ
アカデミー時代から体の関係があった前提。R-15くらいで。執筆時間大体1時間(多分)
ただ二人が朝からいちゃいちゃしてるだけの話になったw
…………懐かしい夢を見ていた。
目が覚めた時、真っ先に視界に入った天井でさっきまでのは夢だったと直ぐに認識出来たが、妙にリアリティがあったように思う。
夢の内容はアカデミーの頃のキースと共に夜を過ごしていたもの。
つい先程まで夢にいた相手は、現実ではごく近くで気持ち良さそうに寝息を立てている。
夢を見た理由には心当たりがあった。
昨夜はキースの家に泊まったが、シャワーを借りた際、アカデミー時代にヤツが使用していたボディソープ――いや、体だけではなく髪も顔も洗えるというものだからボディソープというのとは少し違うのだろうが――を久し振りに使ったせいだろう。
――キース、あのボディソープは……。
――ああ、メーカーの何周年だかで復刻したんだってよ。懐かしくてつい買っちまった。そうそう、こんな匂いだったよな。
――んっ…………。
俺より先に風呂から上がっていたキースは、俺を待っていた間に煙草を吸っていなかったらしく、いつもならキスすると一層強く香ってくる煙草の匂いではなく、微かな歯磨き粉の味と共に懐かしいボディソープの匂いが纏わり付いてきた。
安物で嫌いじゃないが、香りが強いんだと当時言ってもいたからか、ヒーローとして【HELIOS】に勤務するようになってからはいつの間にか使わなくなっていたが、久し振りにかいだ匂いは様々な記憶を引き摺り出して、昨夜は気分がいつもより昂ぶってしまった。
キースもそうだったのか、やけに密着するような体位をしたがっていたように思う。
……キースと最初に肌を重ねてから、もう十年以上経つのか。
最初はキス一つでも随分とぎこちなかったはずだが、年月を経た今はもう良くも悪くも慣れたものだ。
寝顔はあの頃とあまり変わらないなと思いながら、少しだけ体を起こして、キースの髪に口付ける。
眠る前に散々かいだ匂いを感じながら、指でもそっと髪に触れた。
あくまでも起こさないように静かに触れたつもりだったが、キースから離れようとした寸前で、ベッドの中でキースの手が俺の腰に回され、閉ざされていた目が開く。
「……っ、すまない、起こしたか」
「んー……まぁ起こされたっていうか、ちょうど目が覚めたって感じだな。もうちょっとだけ寝ようぜ、まだ起き出すにはちぃと早いだろ」
「んっ」
腰に置かれていた手が上へと移動し、肩を掴んで起こしていた体をベッドの中に戻せと言わんばかりに力が籠められた。
大人しく従えば、顔が寄せられて、自然と目を閉じる。
当たり前のように触れてきたキースの唇は少し乾いていたが、唇を触れ合わせているうちに気にならなくなってくる。
少しだけ舌で唇の間からつついたら、その舌に吸い付かれて、甘い刺激が体を突き抜けていった。
これ以上は戯れで済まなくなると唇を離そうとしたが、キースにはやめるつもりがないらしく、離しかけた唇は追われ、再び重なって、今度はそのまま舌が口内を撫でていく。擽るように、または突くように、と動きを少しずつ変化させながら。
「…………っ……ふ」
つい零れてしまう声に、笑った気配がし、つられて目を開けて――もう寝直すつもりなど、キースにはないのを悟った。
ペリドットの目は明らかな情欲の色を映している。
いや、キースが口にした『寝よう』という意味が、そもそもそちらを示していたのかもしれない。
ならば、俺の方からもキースの口内を舌で刺激しようと動き始めると、キースの方は舌の動きを止めた。
好きにしろということだろうと解釈して、しばらく舌を動かしていると、キースも微かに吐息を零した。
「ん…………お前、ホント上手くなったよなー、キス」
キースも俺と同じようにボディソープの匂いから、過去を懐かしく思ったのか、そんな言い方をする。
「……誰がそうしたと」
「まぁ、俺しかいねぇよな。……ブラッド。今日オフだし、このまま続けていいだろ? 朝飯、白飯と味噌汁にしてやるからさ」
普段なら朝から作るのは面倒がるメニューを口にしながら、キースの手が俺の背中を滑り落ちていった。
数時間前も散々触れられているのに、それだけでも体の芯が熱くなっていくのを実感する。
「…………卵焼き、もだ」
震えてしまいそうになる声をどうにかおさえて、要求をつけくわえると間近にある目が笑った。
「つけてやるって。だし巻きな。目玉焼きでもいいけど」
「……だし、巻き…………が、いい」
「はいよ。あとは……ほうれんそうのおひたしだっけ? あれも作るか」
「っ……」
再び、唇が重なったのと腰が触れ合ったのは同時。
お互いに張り詰めているのがしっかりと伝わる。
微かに薫ったボディソープの匂いを始まりの合図に本格的に動き始めた。
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#キスブラ #ワンライ
お絵かき会で書いた短いキスブラ。
(お題が夏の推し)
ブラッド女体化してます。短い。30分クオリティ。
「…………お前、何その水着」
「余計な装飾がない方が泳ぐのに効率がいい」
「いいかもしんねぇけどさぁ……」
泳ぐのが任務の類でならな、と続けそうになったのは飲み込んだ。
今日は一応オフでこのホテルのプールに遊びで来てるんだが、それを言ったところで、オフとはいえ、いつ何があるかわからないだろうと返ってくるのは容易に想像がつく。
ブラッドが今着ているのは競泳用じゃねぇのかっていうくらい、飾り気のないシンプルなネイビーの水着だ。
かろうじてワンショルダーにこそなっているが、色気とか遊び心みたいなのが全くなく、あまり遊びに来たって印象を持たせるような類のものじゃない。
ただ、水着がシンプルなだけに、ツラの良さもスタイルの良さもこれでもかってくらい強調されちまってて、さっきから人目を引いている。
ブラッド本人は他者からの視線に対し妙に鈍感なところが昔からあって、今も視線を気にしている様子はねぇが、こっちの方が気になっちまう。
特にこんなシンプルな水着なんて、体の線が丸わかりだ。
日々鍛えているから引き締まってはいるが、かといってゴツいわけじゃなく、胸や尻なんかは綺麗な丸みを帯びている。
他のヤツに無遠慮に見られ続けるのは気分悪ぃ。
多分、オレが傍を離れた途端、声を掛けようとするヤツも絶対いるはずだ。
確か、ここ最上階の部屋に小さめのプライベートプールあったよなと思いだし、プールに向かっていたブラッドの手を引いて、来た道を戻り始める。
「おい、何だ。泳ぎに来たんじゃなかったのか」
「こんなジロジロ見られながら泳げるかっつーの。上行くぞ。そっち借りて泳ごうぜ」
「…………まぁ、構わんが」
オレが提案した意図をやっぱりイマイチ掴みかねているらしいブラッドは、疑問を表情に出していたが、それでも大人しくオレについてくる。
ブラッドと二人きりになって理性がどこまでもつかな、なんてちょっとだけ思いながら、プライベートプールのある部屋が空いているかをスマホで確認して、ホテルのフロントへと歩いて行った。
Close
#キスブラ #ハーフワンライ#女体化
(お題が夏の推し)
ブラッド女体化してます。短い。30分クオリティ。
「…………お前、何その水着」
「余計な装飾がない方が泳ぐのに効率がいい」
「いいかもしんねぇけどさぁ……」
泳ぐのが任務の類でならな、と続けそうになったのは飲み込んだ。
今日は一応オフでこのホテルのプールに遊びで来てるんだが、それを言ったところで、オフとはいえ、いつ何があるかわからないだろうと返ってくるのは容易に想像がつく。
ブラッドが今着ているのは競泳用じゃねぇのかっていうくらい、飾り気のないシンプルなネイビーの水着だ。
かろうじてワンショルダーにこそなっているが、色気とか遊び心みたいなのが全くなく、あまり遊びに来たって印象を持たせるような類のものじゃない。
ただ、水着がシンプルなだけに、ツラの良さもスタイルの良さもこれでもかってくらい強調されちまってて、さっきから人目を引いている。
ブラッド本人は他者からの視線に対し妙に鈍感なところが昔からあって、今も視線を気にしている様子はねぇが、こっちの方が気になっちまう。
特にこんなシンプルな水着なんて、体の線が丸わかりだ。
日々鍛えているから引き締まってはいるが、かといってゴツいわけじゃなく、胸や尻なんかは綺麗な丸みを帯びている。
他のヤツに無遠慮に見られ続けるのは気分悪ぃ。
多分、オレが傍を離れた途端、声を掛けようとするヤツも絶対いるはずだ。
確か、ここ最上階の部屋に小さめのプライベートプールあったよなと思いだし、プールに向かっていたブラッドの手を引いて、来た道を戻り始める。
「おい、何だ。泳ぎに来たんじゃなかったのか」
「こんなジロジロ見られながら泳げるかっつーの。上行くぞ。そっち借りて泳ごうぜ」
「…………まぁ、構わんが」
オレが提案した意図をやっぱりイマイチ掴みかねているらしいブラッドは、疑問を表情に出していたが、それでも大人しくオレについてくる。
ブラッドと二人きりになって理性がどこまでもつかな、なんてちょっとだけ思いながら、プライベートプールのある部屋が空いているかをスマホで確認して、ホテルのフロントへと歩いて行った。
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#キスブラ #ハーフワンライ#女体化
キスブラ版ワンドロライ第21回でのお題から『ヒーロー能力』を使って書いた話です。
ルーキー時代にヒーロー能力を使ってセックスする話。(前戯まで)R-18。
多分、コトが済んだ後は怒濤のお小言タイムw
一度試したが最後、二度目はまず許さねぇだろうなという確信だけはあったから、本来の目的は言葉にせず、ブラッドに目隠しした状態で一度ヤッてみねぇかと話を持ちかけた。
ブラッドとはアカデミー時代から何度かセックスしてきたものの、そう奇をてらったようなことはしなかった。
が、元々は気になることがあれば、すぐに調べたがるヤツのことだ。
まして、若い男ともなればいくらブラッドといえど、普段は試さないやり方に興味が全く無いということもないだろうとの読みは外してなかったらしい。
オレの提案に訝しむ様子は見せたが、即却下とはならなかった。
本気で嫌ならブラッドは一瞬の躊躇いもなしに一刀両断するところだが、それがないのなら、これはチャンスだとここぞとばかりに畳みかけてみる。
「動きが見えねぇことで、次はどこ触ったりするのかっていう予測が出来ねぇってのも悪くねぇだろ? 絶対に体に傷つけるような真似はしねぇからさ」
「当たり前だ。されてたまるか。…………目隠しは最後までしておくのか」
「いーや? お前が嫌だって思ったら、その時点で外していいぜ。ま、外すなら出来るだけ遅い方がいいけどな。どうだ?」
「…………いいだろう。不快だと思ったら、その時点で外す」
「おう。サンキュ」
終わった後がちょっと怖ぇなと内心で思いながらも、アカデミー時代にバイトで必要になって買った安物の黒いネクタイを目隠しに使う。
オレがブラッドの視界を遮るのには、抵抗もせずに大人しいもんだ。
「目のとこキツくねぇか? あと、コレ見えたりしてねぇ?」
「問題ない。見えてもいない」
「よし。じゃ、始めるぞー」
「ん…………っ!?」
ブラッドの顎に指を這わせて、これからキスすると思わせたところで触るのはペニスだ。
バスローブの上から撫でてやると、まだ柔らかかったそこが布地越しにも芯を持っていくのが伝わる。
さりげなく裾を割って、直接指を局部に滑りこませ、タマんとこを擽るようにしてやるとブラッドが吐息をこぼしながらも、オレの位置を手探りで確認しながら触ってくる。
このぐらいはまだ予想の範疇だろう。
ブラッドがオレの首筋に手を這わせているうちに、音を立てねぇよう気をつけながら、こっそり隠して置いたヤツをサイコキネシスを使って手元に引き寄せる。
シリコン製のローターを電源を入れないままでブラッドの乳首近くまで寄せて、乳首に触れさせると同時にスイッチを入れた。
一番弱い振動のはずだが、衝撃からかブラッドの体が跳ねる。
「ひっ! なんっ、あっ……!?」
「お、悪くなさそうだな」
「何を、持ち込ん、だ」
「大人の玩具ってヤツだな。シリコンだし、痛くはねぇだろ?」
「そんなもの使うとは聞いて――」
「言ってねぇけど、使わねぇとも言ってないだろ」
「うあ!」
一段階振動の強度を上げると、首筋に触れてたブラッドの指が離れて、乳首に触れさせてるローターを外そうとしたから、その前にローターを一旦避けて、ブラッドに口付ける。
「っ、キー、ス……」
多分、抗議の声を上げてぇんだろうけど、そうするには少し早いとも思ったのかも知れない。
絡めた舌は拒まれず、少しの躊躇の後にブラッドも舌の動きに応じて動かしてきた。
そんな状態につけこむような真似をするのもちょっとばかり気が咎めたが、多分次は許してくれねぇだろうからと開き直って、先程避けたローターを今度はブラッドのペニスの付け根に触れさせた。
声こそ上げなかったが、舌の動きは完全に止まってる。
再び振動を弱くして、付け根から先っぽへとローターをサイコキネシスで動かしながら、バスローブの腰紐を解いて、乳首を軽く摘まむとブラッドの眉が吊り上がった。
「きさ、ま。ヒーロー能力、をこんな……っ、こと、に使う、など……!」
「あ、やっぱバレたか」
この動きは両手だけじゃ無理だもんな。
ま、小言は後で聞くから、もうしばらくは楽しませてくれと、心の中でだけ呟いて行為をそのまま続けた。
Close
#キスブラ #ワンライ #R18
ルーキー時代にヒーロー能力を使ってセックスする話。(前戯まで)R-18。
多分、コトが済んだ後は怒濤のお小言タイムw
一度試したが最後、二度目はまず許さねぇだろうなという確信だけはあったから、本来の目的は言葉にせず、ブラッドに目隠しした状態で一度ヤッてみねぇかと話を持ちかけた。
ブラッドとはアカデミー時代から何度かセックスしてきたものの、そう奇をてらったようなことはしなかった。
が、元々は気になることがあれば、すぐに調べたがるヤツのことだ。
まして、若い男ともなればいくらブラッドといえど、普段は試さないやり方に興味が全く無いということもないだろうとの読みは外してなかったらしい。
オレの提案に訝しむ様子は見せたが、即却下とはならなかった。
本気で嫌ならブラッドは一瞬の躊躇いもなしに一刀両断するところだが、それがないのなら、これはチャンスだとここぞとばかりに畳みかけてみる。
「動きが見えねぇことで、次はどこ触ったりするのかっていう予測が出来ねぇってのも悪くねぇだろ? 絶対に体に傷つけるような真似はしねぇからさ」
「当たり前だ。されてたまるか。…………目隠しは最後までしておくのか」
「いーや? お前が嫌だって思ったら、その時点で外していいぜ。ま、外すなら出来るだけ遅い方がいいけどな。どうだ?」
「…………いいだろう。不快だと思ったら、その時点で外す」
「おう。サンキュ」
終わった後がちょっと怖ぇなと内心で思いながらも、アカデミー時代にバイトで必要になって買った安物の黒いネクタイを目隠しに使う。
オレがブラッドの視界を遮るのには、抵抗もせずに大人しいもんだ。
「目のとこキツくねぇか? あと、コレ見えたりしてねぇ?」
「問題ない。見えてもいない」
「よし。じゃ、始めるぞー」
「ん…………っ!?」
ブラッドの顎に指を這わせて、これからキスすると思わせたところで触るのはペニスだ。
バスローブの上から撫でてやると、まだ柔らかかったそこが布地越しにも芯を持っていくのが伝わる。
さりげなく裾を割って、直接指を局部に滑りこませ、タマんとこを擽るようにしてやるとブラッドが吐息をこぼしながらも、オレの位置を手探りで確認しながら触ってくる。
このぐらいはまだ予想の範疇だろう。
ブラッドがオレの首筋に手を這わせているうちに、音を立てねぇよう気をつけながら、こっそり隠して置いたヤツをサイコキネシスを使って手元に引き寄せる。
シリコン製のローターを電源を入れないままでブラッドの乳首近くまで寄せて、乳首に触れさせると同時にスイッチを入れた。
一番弱い振動のはずだが、衝撃からかブラッドの体が跳ねる。
「ひっ! なんっ、あっ……!?」
「お、悪くなさそうだな」
「何を、持ち込ん、だ」
「大人の玩具ってヤツだな。シリコンだし、痛くはねぇだろ?」
「そんなもの使うとは聞いて――」
「言ってねぇけど、使わねぇとも言ってないだろ」
「うあ!」
一段階振動の強度を上げると、首筋に触れてたブラッドの指が離れて、乳首に触れさせてるローターを外そうとしたから、その前にローターを一旦避けて、ブラッドに口付ける。
「っ、キー、ス……」
多分、抗議の声を上げてぇんだろうけど、そうするには少し早いとも思ったのかも知れない。
絡めた舌は拒まれず、少しの躊躇の後にブラッドも舌の動きに応じて動かしてきた。
そんな状態につけこむような真似をするのもちょっとばかり気が咎めたが、多分次は許してくれねぇだろうからと開き直って、先程避けたローターを今度はブラッドのペニスの付け根に触れさせた。
声こそ上げなかったが、舌の動きは完全に止まってる。
再び振動を弱くして、付け根から先っぽへとローターをサイコキネシスで動かしながら、バスローブの腰紐を解いて、乳首を軽く摘まむとブラッドの眉が吊り上がった。
「きさ、ま。ヒーロー能力、をこんな……っ、こと、に使う、など……!」
「あ、やっぱバレたか」
この動きは両手だけじゃ無理だもんな。
ま、小言は後で聞くから、もうしばらくは楽しませてくれと、心の中でだけ呟いて行為をそのまま続けた。
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#キスブラ #ワンライ #R18
キスブラ版ワンドロライ第20回でのお題から『きんぴら』を使って書いた話です。
西のドラマCD試聴で、キースが禁ピザをきんぴらに聞き間違えたのって絶対ブラッドの影響ですよね……w
「キンピラ?」
和食はだしをとったり、切り方に拘りがあったりと、何かと手順が面倒くさいから作れねぇ、と前々からブラッドには言ってあったが、ヤツはどうにも諦めきれなかったらしい。
ある日、前触れもなしにこれなら和食でも簡単な方だから、とブラッドが持ってきたレシピがキンピラゴボウって料理だった。
根菜類をメインにし、甘辛く炒めた料理だという。
「これなら、だしは使わずに出来る料理だがどうだ? 切り方も繊細な類のものではない。調味料もゴボウもリトルトーキョーなら購入出来る。ご飯のおかずだけでなく、酒のつまみとしても合う料理だそうだ」
酒のつまみという言葉に興味をひかれ、レシピに目を通すと確かに手順としてはそう面倒なものじゃなかった。
ただ、ゴボウって野菜には馴染みがない上に、画像を見た限りじゃあんまり美味そうに見えねぇ。
泥がこびりついていて、ぱっと見は木の根っこみてぇだ。
「ゴボウ……ってこれちゃんと食えんのか?」
「食材にしているのは日本ぐらいらしいな。だが、食物繊維が豊富でミネラルも含まれるし、リトルトーキョーなら問題なく手に入る。勿論、他にも必要なものはこちらで一通り用意するから――」
作って欲しいと言われちまうと、断るのも気が引ける。
酒のつまみとしても合うとなれば、正直興味もあるし。
何より、ブラッドがどうにかオレが作りそうな和食を探して、こうしてレシピを持ってきたってことを考えると、中々可愛いことすんなって思っちまったのもあった。
今も表情はそう変わってないが、凄ぇ期待した目でこっちを見てる。
しゃーねぇなぁ。
「んー……ま、いいか。今度のオフの時でいいよな? そのレシピのファイル、後でオレのとこに送っといてくれ」
「ああ。感謝する。日本酒も何か調達して行こう」
「お。マジか。そっちが楽しみだわ」
ふわ、と目元を綻ばせたブラッドに、だったら、もう一品ぐらいそのゴボウを使った料理探して作ってみるかとこっそり内心で決めた。
***
オフ当日。
オレは朝から休みだったが、午前中は仕事だったブラッドが、仕事終わりに食材を調達してくれたから、夕食に合わせてブラッドご希望のキンピラゴボウ、そしてそれと一緒に作ったもう一品の和食を出すとブラッドが明らかに目を輝かせた。
「これ、は」
「ゴボウに関してのレシピ探してたら、牛肉の八幡巻きってのがあって、使う調味料もキンピラゴボウとほぼ被ってたから一緒に作ってみた。まぁ、調味料が被ってるだけあって、ベースの味にそう変化があるわけじゃねぇけど、こっちはこっちで赤ワインにも合うとか見かけちまったからさ」
ついでとばかりに白飯と吸い物の一つも用意しちまった。
まぁ、白飯はブラッドが家に持ち込んだ炊飯器使ったし、吸い物も白だしって調味料をベースにしていて、わざわざだしをとったやつじゃねぇから、かなり手軽なもんではあるが、結局は完全に和食の献立だ。
ブラッドが持ってきた日本酒と、こっちで用意してあった赤ワインも一緒にテーブルに出して並べると、ブラッドがまだ酒も飲んでねぇのに、微かに頬を染めている。
思ったよりテンション上がったみてぇだな、こりゃ。
こんな反応をされるのは正直悪くない。
「…………ありがとう、キース」
「おう。じゃ早速食おうぜ。初めて作ったヤツだから、出来までは保証しねぇけど」
「そう言って、お前の料理が失敗していた記憶もないがな。いただきます」
「いただきますっと」
すっかりブラッドの影響で覚えちまった日本式のあいさつをしながら、たまには和食もいいかとこっそり思ったりなんかした。
Close
#キスブラ #ワンライ
西のドラマCD試聴で、キースが禁ピザをきんぴらに聞き間違えたのって絶対ブラッドの影響ですよね……w
「キンピラ?」
和食はだしをとったり、切り方に拘りがあったりと、何かと手順が面倒くさいから作れねぇ、と前々からブラッドには言ってあったが、ヤツはどうにも諦めきれなかったらしい。
ある日、前触れもなしにこれなら和食でも簡単な方だから、とブラッドが持ってきたレシピがキンピラゴボウって料理だった。
根菜類をメインにし、甘辛く炒めた料理だという。
「これなら、だしは使わずに出来る料理だがどうだ? 切り方も繊細な類のものではない。調味料もゴボウもリトルトーキョーなら購入出来る。ご飯のおかずだけでなく、酒のつまみとしても合う料理だそうだ」
酒のつまみという言葉に興味をひかれ、レシピに目を通すと確かに手順としてはそう面倒なものじゃなかった。
ただ、ゴボウって野菜には馴染みがない上に、画像を見た限りじゃあんまり美味そうに見えねぇ。
泥がこびりついていて、ぱっと見は木の根っこみてぇだ。
「ゴボウ……ってこれちゃんと食えんのか?」
「食材にしているのは日本ぐらいらしいな。だが、食物繊維が豊富でミネラルも含まれるし、リトルトーキョーなら問題なく手に入る。勿論、他にも必要なものはこちらで一通り用意するから――」
作って欲しいと言われちまうと、断るのも気が引ける。
酒のつまみとしても合うとなれば、正直興味もあるし。
何より、ブラッドがどうにかオレが作りそうな和食を探して、こうしてレシピを持ってきたってことを考えると、中々可愛いことすんなって思っちまったのもあった。
今も表情はそう変わってないが、凄ぇ期待した目でこっちを見てる。
しゃーねぇなぁ。
「んー……ま、いいか。今度のオフの時でいいよな? そのレシピのファイル、後でオレのとこに送っといてくれ」
「ああ。感謝する。日本酒も何か調達して行こう」
「お。マジか。そっちが楽しみだわ」
ふわ、と目元を綻ばせたブラッドに、だったら、もう一品ぐらいそのゴボウを使った料理探して作ってみるかとこっそり内心で決めた。
***
オフ当日。
オレは朝から休みだったが、午前中は仕事だったブラッドが、仕事終わりに食材を調達してくれたから、夕食に合わせてブラッドご希望のキンピラゴボウ、そしてそれと一緒に作ったもう一品の和食を出すとブラッドが明らかに目を輝かせた。
「これ、は」
「ゴボウに関してのレシピ探してたら、牛肉の八幡巻きってのがあって、使う調味料もキンピラゴボウとほぼ被ってたから一緒に作ってみた。まぁ、調味料が被ってるだけあって、ベースの味にそう変化があるわけじゃねぇけど、こっちはこっちで赤ワインにも合うとか見かけちまったからさ」
ついでとばかりに白飯と吸い物の一つも用意しちまった。
まぁ、白飯はブラッドが家に持ち込んだ炊飯器使ったし、吸い物も白だしって調味料をベースにしていて、わざわざだしをとったやつじゃねぇから、かなり手軽なもんではあるが、結局は完全に和食の献立だ。
ブラッドが持ってきた日本酒と、こっちで用意してあった赤ワインも一緒にテーブルに出して並べると、ブラッドがまだ酒も飲んでねぇのに、微かに頬を染めている。
思ったよりテンション上がったみてぇだな、こりゃ。
こんな反応をされるのは正直悪くない。
「…………ありがとう、キース」
「おう。じゃ早速食おうぜ。初めて作ったヤツだから、出来までは保証しねぇけど」
「そう言って、お前の料理が失敗していた記憶もないがな。いただきます」
「いただきますっと」
すっかりブラッドの影響で覚えちまった日本式のあいさつをしながら、たまには和食もいいかとこっそり思ったりなんかした。
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#キスブラ #ワンライ
キスブラ版ワンドロライ第19回でのお題から『花見酒』『温泉』を使って書いた話です。
※数年後の時間軸で、既に二人とも研修チームのメンターではない&キスブラが一緒に住んでるというのを想定の下に書いてます。
オレとブラッド、二人が同時に取れた長期休暇は少し桜の時期には早く、花見酒を楽しむのはちょっとばかり難しいと予想していたが、ここ数日で急に暖かくなったとかで、いざ目的地に訪れてみれば、ちょうど満開のタイミングだったのは運が良かった。
今回泊まる宿は客室に温泉を引いた露天風呂がついていて、しかも一杯だけなら風呂で酒を飲んでもいいとくれば、飲まない手はねぇ。
まだ外は明るいが、日が沈んじまう前にまず一回風呂に入って飲もうって提案はブラッドも断らなかったから、宿に着いて早々に二人で風呂に浸かっている。
露天風呂からは大きめの桜の木が見えて、単純にその桜を眺めるのもいいが、風向きのせいで時折桜の花片がこっちまで飛んできて、湯船に浮かぶのもいい。
こういうのを『風流』とか言うんだっけか?
ブラッドも景色をちゃんと見たいのか、コンタクトは外してるが風呂用の眼鏡を持ち込んで来ている。
「あー……酒は美味いし、風呂からの眺めもいいし最高だなぁ。これで酒がもう一杯飲めりゃ言うことねぇんだけど」
「温泉に浸かりながら飲むのは一度に一杯まで、がこの旅館のルールだ」
「わあってるって。一杯だけだから、こうしてちびちび飲んでんじゃねぇか」
そうは言っても個室だから、こっそり飲めばわかんねぇだろうけど、まぁそういうのをブラッドが許すはずねぇんだよな。
せっかくの旅行でお小言を聞きたくはねぇし、ここは大人しくしとくに限る。
今回みたいに二人揃っての長期休暇なんて、今度いつ取れるかわかんねぇし、ブラッドにしてみりゃ念願の日本旅行だ。
空港降りた時から、どことなく楽しげにしているブラッドの機嫌を損ねるようなことをするのも気が咎める。
「…………ただ、一度に一杯ということは、夜にまた温泉に浸かるのであれば、その時にもう一杯飲む分には構わないということだろう。お前が夕食後にやたらに飲み過ぎなければの話だが」
「お、いいねぇ。夜桜を肴に一杯! せっかくだし、次は何か違う銘柄の酒持ってきて貰って、温泉に入った後は部屋でそのまま飲み明か……」
そこまで言って、ふと気付いた。
日本を旅行するなら、訪れる場所はブラッドの好きにしていいが、美味い日本酒を楽しみたいと言ったのはオレだ。
結果、訪れる場所や宿を決めたのはほぼブラッドだが――。
「……もしかして、お前さ。温泉に入りながら飲める宿、わざわざ探してくれたの?」
普段は家で風呂に入りながら酒を飲むのは極力やめておけとブラッドに言われている。
ブラッドと一緒に住むようになったとき、ブラッドの希望で浴室は日本風のものにしたが、入浴しながらの飲酒はどうしても体への負担もかかるから、せめて自分がいるときに少し飲むだけにしろと。
実際、下手に風呂場で酔っ払って寝たとしたら世話になる相手は間違いなくブラッドだし、そうなったらブラッド側としちゃ面倒だよなと、あんまり家で風呂に入りながら飲むことはしてこなかったんだけど。
「美味い日本酒を楽しみたいと言ったのはお前だろう。今回の旅行は場所にしろ、食事にしろ、ほとんど俺の希望を通したのだし、そのくらいはと思ってな」
「おお……マジか。嬉しいことしてくれるねぇ」
ブラッドの頬が紅く染まってるのは風呂で上気してるだけとも取れるが、微かにオレから視線を逸らしたあたり、多分照れてる。
オレが飲んでいる一方、ブラッドがほとんど酒に手をつけてないのも、恐らくオレの様子を気にしてのことだ。
ホントは旅行先で酔い潰れられるのなんざごめんだろうに。
「サンキュ、ブラッド」
「……そう思うのなら、酒は適度にしておけ。夜は長い」
「へいへい」
その長い夜は夜桜だけを楽しむなってことだろう。適度、ってのはその後に動ける余力を残せって意味だ。
ブラッドは表情がわかりにくいことも多いが、いい加減長い付き合いだ。そんくらいは察する。
わかってると言う代わりに、酒を一度盆の上に置き、ブラッドの眼鏡を外してキスを交わした。
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#キスブラ #ワンライ
※数年後の時間軸で、既に二人とも研修チームのメンターではない&キスブラが一緒に住んでるというのを想定の下に書いてます。
オレとブラッド、二人が同時に取れた長期休暇は少し桜の時期には早く、花見酒を楽しむのはちょっとばかり難しいと予想していたが、ここ数日で急に暖かくなったとかで、いざ目的地に訪れてみれば、ちょうど満開のタイミングだったのは運が良かった。
今回泊まる宿は客室に温泉を引いた露天風呂がついていて、しかも一杯だけなら風呂で酒を飲んでもいいとくれば、飲まない手はねぇ。
まだ外は明るいが、日が沈んじまう前にまず一回風呂に入って飲もうって提案はブラッドも断らなかったから、宿に着いて早々に二人で風呂に浸かっている。
露天風呂からは大きめの桜の木が見えて、単純にその桜を眺めるのもいいが、風向きのせいで時折桜の花片がこっちまで飛んできて、湯船に浮かぶのもいい。
こういうのを『風流』とか言うんだっけか?
ブラッドも景色をちゃんと見たいのか、コンタクトは外してるが風呂用の眼鏡を持ち込んで来ている。
「あー……酒は美味いし、風呂からの眺めもいいし最高だなぁ。これで酒がもう一杯飲めりゃ言うことねぇんだけど」
「温泉に浸かりながら飲むのは一度に一杯まで、がこの旅館のルールだ」
「わあってるって。一杯だけだから、こうしてちびちび飲んでんじゃねぇか」
そうは言っても個室だから、こっそり飲めばわかんねぇだろうけど、まぁそういうのをブラッドが許すはずねぇんだよな。
せっかくの旅行でお小言を聞きたくはねぇし、ここは大人しくしとくに限る。
今回みたいに二人揃っての長期休暇なんて、今度いつ取れるかわかんねぇし、ブラッドにしてみりゃ念願の日本旅行だ。
空港降りた時から、どことなく楽しげにしているブラッドの機嫌を損ねるようなことをするのも気が咎める。
「…………ただ、一度に一杯ということは、夜にまた温泉に浸かるのであれば、その時にもう一杯飲む分には構わないということだろう。お前が夕食後にやたらに飲み過ぎなければの話だが」
「お、いいねぇ。夜桜を肴に一杯! せっかくだし、次は何か違う銘柄の酒持ってきて貰って、温泉に入った後は部屋でそのまま飲み明か……」
そこまで言って、ふと気付いた。
日本を旅行するなら、訪れる場所はブラッドの好きにしていいが、美味い日本酒を楽しみたいと言ったのはオレだ。
結果、訪れる場所や宿を決めたのはほぼブラッドだが――。
「……もしかして、お前さ。温泉に入りながら飲める宿、わざわざ探してくれたの?」
普段は家で風呂に入りながら酒を飲むのは極力やめておけとブラッドに言われている。
ブラッドと一緒に住むようになったとき、ブラッドの希望で浴室は日本風のものにしたが、入浴しながらの飲酒はどうしても体への負担もかかるから、せめて自分がいるときに少し飲むだけにしろと。
実際、下手に風呂場で酔っ払って寝たとしたら世話になる相手は間違いなくブラッドだし、そうなったらブラッド側としちゃ面倒だよなと、あんまり家で風呂に入りながら飲むことはしてこなかったんだけど。
「美味い日本酒を楽しみたいと言ったのはお前だろう。今回の旅行は場所にしろ、食事にしろ、ほとんど俺の希望を通したのだし、そのくらいはと思ってな」
「おお……マジか。嬉しいことしてくれるねぇ」
ブラッドの頬が紅く染まってるのは風呂で上気してるだけとも取れるが、微かにオレから視線を逸らしたあたり、多分照れてる。
オレが飲んでいる一方、ブラッドがほとんど酒に手をつけてないのも、恐らくオレの様子を気にしてのことだ。
ホントは旅行先で酔い潰れられるのなんざごめんだろうに。
「サンキュ、ブラッド」
「……そう思うのなら、酒は適度にしておけ。夜は長い」
「へいへい」
その長い夜は夜桜だけを楽しむなってことだろう。適度、ってのはその後に動ける余力を残せって意味だ。
ブラッドは表情がわかりにくいことも多いが、いい加減長い付き合いだ。そんくらいは察する。
わかってると言う代わりに、酒を一度盆の上に置き、ブラッドの眼鏡を外してキスを交わした。
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#キスブラ #ワンライ
忙しくて数日ほど趣味の文章を全然書けてなかったので、ただ推しのエロが書きたかった。
書きたいとこだけ書いたキスブラで69。
時間出来たらまともに仕上げる。多分。
普段の姿からは中々想像出来ないだろう、快感に溺れて乱れてるブラッドのツラを見るのが一番興奮するのは確かだが、こうしてシックスナインしてる状態で相手の顔が見えねぇままにジワジワ責めてやるのも中々にくるもんがある。
一方的にフェラされるとなると、ブラッドは結構上手いからあっさりこっちがイカされる、なんてパターンもあったりするが、シックスナインだと自分も一緒に口でされることで余裕がなくなるらしく、かなりの確率で途中で音を上げる。
今日もじきにそうなりそうだ。
さっきからブラッドの舌の動きがたどたどしいものになってる。
このタイミングのブラッドの顔見られねぇのがつくづく惜しい。
「キー、ス」
「ん? どうした? そろそろギブアップか?」
わざと煽るような言い方をしながらそう返すと、ブラッドが一瞬息を飲んだのが聞こえたが、オレが一旦ヤツのペニスから口を離したことでちょっと余裕を取り戻したのか、舌が再び動き出す。
「…………まだ、だ……っ」
「あっそ」
「っ……!」
やや深めにブラッドのモノを咥え込んで、カリの辺りを舌先でくすぐるように動かすと、またブラッドの舌が動きを止める。
わざと唾液を多めに絡ませて吸い込むと同時に、ひくついてる孔を指先で軽く叩いてやった。
「キースっ、そっちは、触ら……」
「ねぇ、なんて約束はしてねぇし、今一緒に触っといた方が時間の短縮にもなるだろ? お前の好きな『効率的』ってヤツでさ」
「あ、うあ!」
ブラッドのペニスを緩く咥えたまま、ローションのボトルをサイコキネシスを使って手元に引き寄せ、指先に少し垂らしてから孔の周囲を撫でる。
「ふ……うっ…………んんっ」
ブラッドの口が完全にオレのモノから離れて、顔が太股に押し当てられてるのが伝わった。
内股の肌を吸っているのは、なけなしの意地なのか、少しでもオレに快感を与えようとしてるのか、まぁ多分両方か。
鈴口を舌先で突きながら、指も一本だけ挿れて浅いところで動かすと、ブラッドが小さい悲鳴を上げた。
こりゃ、そろそろだな。
「やめ、ろ。……もう、十分、だ」
「何が? 十分?」
「……口も、指も、だ」
「そうか? もうちょっと慣らした方がいいんじゃねぇの? こっちはさ」
「んうっ!」
口はペニスから離して、浅いところだけで動かしていた指を付け根までつっこんで、奥を軽くノックする。
「や、めっ、キース、それ以上されたら、出て、しま、う……っ」
「別に出してもい……うおっ!?」
抗議のつもりか、ブラッドの手がオレのペニスの根元を強めに掴む。
さすがに加減はされてるが、ちょっと痛いくらいの刺激に一瞬身が竦んだ。
「お前、それ潰す気かよ!?」
「潰されたくなければ、さっさと挿れろ。ローションを多めにつければもう挿入る」
「へぇへぇ……っとに、この暴君が」
今ので萎えなかったのを幸いに思えよ、コイツと思いはしたが、口には出さない。
体勢を変える寸前、先っぽにキスされたので固さを増した自覚があったからだ。
オレも大概だよなと思いながら、ゴムを着けて、ローションをまぶす。
足を開いたブラッドの中心に目をやると、白い肌がほんのりピンクに染まっている中で唯一と言っていい微かに黒ずんだ孔がひくひくと誘うように動いている。
先っぽをくっつけてやれば、期待を秘めた吐息が零れた。
「やらし……」
「ん……んんっ!」
そうしたのはオレなんだよな、と思いながら熱いブラッドの中に体を沈めていった。
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#キスブラ #R18
書きたいとこだけ書いたキスブラで69。
時間出来たらまともに仕上げる。多分。
普段の姿からは中々想像出来ないだろう、快感に溺れて乱れてるブラッドのツラを見るのが一番興奮するのは確かだが、こうしてシックスナインしてる状態で相手の顔が見えねぇままにジワジワ責めてやるのも中々にくるもんがある。
一方的にフェラされるとなると、ブラッドは結構上手いからあっさりこっちがイカされる、なんてパターンもあったりするが、シックスナインだと自分も一緒に口でされることで余裕がなくなるらしく、かなりの確率で途中で音を上げる。
今日もじきにそうなりそうだ。
さっきからブラッドの舌の動きがたどたどしいものになってる。
このタイミングのブラッドの顔見られねぇのがつくづく惜しい。
「キー、ス」
「ん? どうした? そろそろギブアップか?」
わざと煽るような言い方をしながらそう返すと、ブラッドが一瞬息を飲んだのが聞こえたが、オレが一旦ヤツのペニスから口を離したことでちょっと余裕を取り戻したのか、舌が再び動き出す。
「…………まだ、だ……っ」
「あっそ」
「っ……!」
やや深めにブラッドのモノを咥え込んで、カリの辺りを舌先でくすぐるように動かすと、またブラッドの舌が動きを止める。
わざと唾液を多めに絡ませて吸い込むと同時に、ひくついてる孔を指先で軽く叩いてやった。
「キースっ、そっちは、触ら……」
「ねぇ、なんて約束はしてねぇし、今一緒に触っといた方が時間の短縮にもなるだろ? お前の好きな『効率的』ってヤツでさ」
「あ、うあ!」
ブラッドのペニスを緩く咥えたまま、ローションのボトルをサイコキネシスを使って手元に引き寄せ、指先に少し垂らしてから孔の周囲を撫でる。
「ふ……うっ…………んんっ」
ブラッドの口が完全にオレのモノから離れて、顔が太股に押し当てられてるのが伝わった。
内股の肌を吸っているのは、なけなしの意地なのか、少しでもオレに快感を与えようとしてるのか、まぁ多分両方か。
鈴口を舌先で突きながら、指も一本だけ挿れて浅いところで動かすと、ブラッドが小さい悲鳴を上げた。
こりゃ、そろそろだな。
「やめ、ろ。……もう、十分、だ」
「何が? 十分?」
「……口も、指も、だ」
「そうか? もうちょっと慣らした方がいいんじゃねぇの? こっちはさ」
「んうっ!」
口はペニスから離して、浅いところだけで動かしていた指を付け根までつっこんで、奥を軽くノックする。
「や、めっ、キース、それ以上されたら、出て、しま、う……っ」
「別に出してもい……うおっ!?」
抗議のつもりか、ブラッドの手がオレのペニスの根元を強めに掴む。
さすがに加減はされてるが、ちょっと痛いくらいの刺激に一瞬身が竦んだ。
「お前、それ潰す気かよ!?」
「潰されたくなければ、さっさと挿れろ。ローションを多めにつければもう挿入る」
「へぇへぇ……っとに、この暴君が」
今ので萎えなかったのを幸いに思えよ、コイツと思いはしたが、口には出さない。
体勢を変える寸前、先っぽにキスされたので固さを増した自覚があったからだ。
オレも大概だよなと思いながら、ゴムを着けて、ローションをまぶす。
足を開いたブラッドの中心に目をやると、白い肌がほんのりピンクに染まっている中で唯一と言っていい微かに黒ずんだ孔がひくひくと誘うように動いている。
先っぽをくっつけてやれば、期待を秘めた吐息が零れた。
「やらし……」
「ん……んんっ!」
そうしたのはオレなんだよな、と思いながら熱いブラッドの中に体を沈めていった。
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#キスブラ #R18
キスブラ版ワンドロライ第15回でのお題から『本音』『バレンタインデー』を使って書いた話です。
バレンタインデー限定のホームボイスネタが含まれます。
「…………何だ、この有様は」
バレンタインデーから数日後。
お互いのオフに合わせる形でキースの家を訪れたら、そこには解かれた包装と酒瓶で山が出来上がっていた。
元々、整理整頓の得意ではないキースの家やタワーの研修チーム部屋が散らかっているのは日常茶飯事だが、今日は特に酷い状態だ。
足の踏み場もないとはこのことだろう。
雑多に散らばっている包装に使われていた箱や包み紙を軽く纏め、どうにか道を作ってキースの元まで行くと、俺が来るのを待っている間に少し飲んでいたらしいキースが、少し赤みがかった顔でニヤリと笑った。
「バレンタインデーに市民から貰ったヤツだよ。オレなんかに贈って寄越すような市民はちゃんと好み覚えててくれてんだよなー。大体が酒かウイスキーボンボンをくれたんだよ。これでしばらくは飲むのに困らねぇ」
「……そういうことか」
キースは積極的にファンサービスを行うタイプではないが、曲がりなりにもメジャーヒーローだ。
特にルーキー研修終了後からはずっとウエストセクターに所属し、ここ数年はウエストセクターのバーを中心に日々飲み歩いていることもあって、他地域はともかくウエストではそれなりに知名度が高い。
キースが甘い物を好まず、酒を好むことは、特にバーでキースを見かけることがある者なら容易にわかるだろう。
よくよく見れば、確認出来る範疇の酒は大体が良いものだとラベルからわかるし、別途分けて置かれていたメッセージカードも結構な量になっている。
どれもキースのことを考えた上で贈られているのが伝わって来た。
ウエストのセクターランキングが順調なのもあってか、例年よりも多いような気がする。
恐らく、タワーの部屋にもまだプレゼントはあるはずだ。
「今年は随分貰ったようだな」
「はぁ? お前がそれ言うのかよ? アカデミー時代から抱えきれない量のプレゼント貰ってたお前が。今回だってどうせ沢山貰ってるんだろうが」
「否定はしない。少なくはないだろうな」
「だよなー。知ってた。ま、それはそれとしてお前もくれるんだろ?」
当たり前のように手を差し出して来た相手に、つい溜め息を吐きながら、持参していた紙袋ごと渡す。
受け取ったキースが直ぐさま袋から中身を取りだし、包装を取り除く。
箱を開けた途端にキースの目の色が変わった。
「おお、日本酒とチョコの組み合わせか」
「ああ。そのチョコは同梱されている日本酒を使って作られたものだそうだ」
日本酒であれば、他の者からのプレゼントとは恐らく被らないだろうと選んだ一品だ。
「いいねぇ。サンキュ。じゃ、早速……っと。お、チョコの方も甘さ控えめでいいな。こりゃ、日本酒の方も期待出来そうだ。なぁブラッド」
「? 何…………っ!」
手招きされて、キースにもう少し近寄ると頭をおさえられ、唇を重ねられる。
酒とチョコの混じった香りを纏った舌が唇をこじ開け、俺の口の中に溶けかけたチョコを押し込んできた。
ふわ、と甘い香りが一際強くなる。
口の中のチョコを転がすのと同時に、舌で歯茎や上顎も擦られて、チョコが溶けきった頃にはすっかり息が上がってしまい、気付いた時にはいつの間にかベッドの上だった。
どうやら、口付けを交わしている間にサイコキネシスで移動させられていたらしい。
油断のならない男だ。
「……酔っ払いとはしたくないが」
「大して酔ってねぇのくらいわかってんだろ。記憶飛ぶほど飲んじゃいねぇし、勿論、勃たなくなるような状態でもねぇ」
「んっ」
俺に覆い被さったキースが腰を押し付けてくる。
布地越しでも既に固さも熱も持っていると伝わるそれに、こっちもつられて反応してしまう。
「キー、ス」
「プレゼントは有り難いけど、どうしてもこの時期はカロリーオーバーが気になるよなー。ってことで、早速運動して消費するとしようぜ。俺からお前にやる分のチョコはもうちょっと冷蔵庫で冷やしときたいしさ」
「……何か作ってくれたの、か」
早くも体を這い始めた指に翻弄される前に確認したくて問いかけたら、キースが目を細めた。
バレンタインデーに何かを贈りあうことはしても、それが手作りだったことはまだない。
イベントごとは面倒がる傾向もあるし、何かをくれるだけでも十分だと思っていたのだが、どうやら今年は少し勝手が違うようだ。
「まぁな。何かは後のお楽しみってやつだけど。――楽しみだろ?」
「ああ。楽しみ、だ」
キースの作るものに外れはない。
冷蔵庫にあるというチョコが楽しみというのは紛う方ない本音だ。
だが、それ以上にわざわざ手をかけて作ってくれたことが嬉しい。
きっと、俺が他の者とのプレゼントとは被らないようにと選んだのと同じように、キースも他者とは被らないようにとそれを作ってくれたのだろうから。
癖のあるアッシュブロンドを撫でながら、俺からもキスを仕掛け、部屋の惨状には一先ず目を瞑り、束の間の行為に没頭しようと決めた。
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#キスブラ #ワンライ
バレンタインデー限定のホームボイスネタが含まれます。
「…………何だ、この有様は」
バレンタインデーから数日後。
お互いのオフに合わせる形でキースの家を訪れたら、そこには解かれた包装と酒瓶で山が出来上がっていた。
元々、整理整頓の得意ではないキースの家やタワーの研修チーム部屋が散らかっているのは日常茶飯事だが、今日は特に酷い状態だ。
足の踏み場もないとはこのことだろう。
雑多に散らばっている包装に使われていた箱や包み紙を軽く纏め、どうにか道を作ってキースの元まで行くと、俺が来るのを待っている間に少し飲んでいたらしいキースが、少し赤みがかった顔でニヤリと笑った。
「バレンタインデーに市民から貰ったヤツだよ。オレなんかに贈って寄越すような市民はちゃんと好み覚えててくれてんだよなー。大体が酒かウイスキーボンボンをくれたんだよ。これでしばらくは飲むのに困らねぇ」
「……そういうことか」
キースは積極的にファンサービスを行うタイプではないが、曲がりなりにもメジャーヒーローだ。
特にルーキー研修終了後からはずっとウエストセクターに所属し、ここ数年はウエストセクターのバーを中心に日々飲み歩いていることもあって、他地域はともかくウエストではそれなりに知名度が高い。
キースが甘い物を好まず、酒を好むことは、特にバーでキースを見かけることがある者なら容易にわかるだろう。
よくよく見れば、確認出来る範疇の酒は大体が良いものだとラベルからわかるし、別途分けて置かれていたメッセージカードも結構な量になっている。
どれもキースのことを考えた上で贈られているのが伝わって来た。
ウエストのセクターランキングが順調なのもあってか、例年よりも多いような気がする。
恐らく、タワーの部屋にもまだプレゼントはあるはずだ。
「今年は随分貰ったようだな」
「はぁ? お前がそれ言うのかよ? アカデミー時代から抱えきれない量のプレゼント貰ってたお前が。今回だってどうせ沢山貰ってるんだろうが」
「否定はしない。少なくはないだろうな」
「だよなー。知ってた。ま、それはそれとしてお前もくれるんだろ?」
当たり前のように手を差し出して来た相手に、つい溜め息を吐きながら、持参していた紙袋ごと渡す。
受け取ったキースが直ぐさま袋から中身を取りだし、包装を取り除く。
箱を開けた途端にキースの目の色が変わった。
「おお、日本酒とチョコの組み合わせか」
「ああ。そのチョコは同梱されている日本酒を使って作られたものだそうだ」
日本酒であれば、他の者からのプレゼントとは恐らく被らないだろうと選んだ一品だ。
「いいねぇ。サンキュ。じゃ、早速……っと。お、チョコの方も甘さ控えめでいいな。こりゃ、日本酒の方も期待出来そうだ。なぁブラッド」
「? 何…………っ!」
手招きされて、キースにもう少し近寄ると頭をおさえられ、唇を重ねられる。
酒とチョコの混じった香りを纏った舌が唇をこじ開け、俺の口の中に溶けかけたチョコを押し込んできた。
ふわ、と甘い香りが一際強くなる。
口の中のチョコを転がすのと同時に、舌で歯茎や上顎も擦られて、チョコが溶けきった頃にはすっかり息が上がってしまい、気付いた時にはいつの間にかベッドの上だった。
どうやら、口付けを交わしている間にサイコキネシスで移動させられていたらしい。
油断のならない男だ。
「……酔っ払いとはしたくないが」
「大して酔ってねぇのくらいわかってんだろ。記憶飛ぶほど飲んじゃいねぇし、勿論、勃たなくなるような状態でもねぇ」
「んっ」
俺に覆い被さったキースが腰を押し付けてくる。
布地越しでも既に固さも熱も持っていると伝わるそれに、こっちもつられて反応してしまう。
「キー、ス」
「プレゼントは有り難いけど、どうしてもこの時期はカロリーオーバーが気になるよなー。ってことで、早速運動して消費するとしようぜ。俺からお前にやる分のチョコはもうちょっと冷蔵庫で冷やしときたいしさ」
「……何か作ってくれたの、か」
早くも体を這い始めた指に翻弄される前に確認したくて問いかけたら、キースが目を細めた。
バレンタインデーに何かを贈りあうことはしても、それが手作りだったことはまだない。
イベントごとは面倒がる傾向もあるし、何かをくれるだけでも十分だと思っていたのだが、どうやら今年は少し勝手が違うようだ。
「まぁな。何かは後のお楽しみってやつだけど。――楽しみだろ?」
「ああ。楽しみ、だ」
キースの作るものに外れはない。
冷蔵庫にあるというチョコが楽しみというのは紛う方ない本音だ。
だが、それ以上にわざわざ手をかけて作ってくれたことが嬉しい。
きっと、俺が他の者とのプレゼントとは被らないようにと選んだのと同じように、キースも他者とは被らないようにとそれを作ってくれたのだろうから。
癖のあるアッシュブロンドを撫でながら、俺からもキスを仕掛け、部屋の惨状には一先ず目を瞑り、束の間の行為に没頭しようと決めた。
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#キスブラ #ワンライ