No.51
キスブラ版ワンドロライ第20回でのお題から『きんぴら』を使って書いた話です。
西のドラマCD試聴で、キースが禁ピザをきんぴらに聞き間違えたのって絶対ブラッドの影響ですよね……w
「キンピラ?」
和食はだしをとったり、切り方に拘りがあったりと、何かと手順が面倒くさいから作れねぇ、と前々からブラッドには言ってあったが、ヤツはどうにも諦めきれなかったらしい。
ある日、前触れもなしにこれなら和食でも簡単な方だから、とブラッドが持ってきたレシピがキンピラゴボウって料理だった。
根菜類をメインにし、甘辛く炒めた料理だという。
「これなら、だしは使わずに出来る料理だがどうだ? 切り方も繊細な類のものではない。調味料もゴボウもリトルトーキョーなら購入出来る。ご飯のおかずだけでなく、酒のつまみとしても合う料理だそうだ」
酒のつまみという言葉に興味をひかれ、レシピに目を通すと確かに手順としてはそう面倒なものじゃなかった。
ただ、ゴボウって野菜には馴染みがない上に、画像を見た限りじゃあんまり美味そうに見えねぇ。
泥がこびりついていて、ぱっと見は木の根っこみてぇだ。
「ゴボウ……ってこれちゃんと食えんのか?」
「食材にしているのは日本ぐらいらしいな。だが、食物繊維が豊富でミネラルも含まれるし、リトルトーキョーなら問題なく手に入る。勿論、他にも必要なものはこちらで一通り用意するから――」
作って欲しいと言われちまうと、断るのも気が引ける。
酒のつまみとしても合うとなれば、正直興味もあるし。
何より、ブラッドがどうにかオレが作りそうな和食を探して、こうしてレシピを持ってきたってことを考えると、中々可愛いことすんなって思っちまったのもあった。
今も表情はそう変わってないが、凄ぇ期待した目でこっちを見てる。
しゃーねぇなぁ。
「んー……ま、いいか。今度のオフの時でいいよな? そのレシピのファイル、後でオレのとこに送っといてくれ」
「ああ。感謝する。日本酒も何か調達して行こう」
「お。マジか。そっちが楽しみだわ」
ふわ、と目元を綻ばせたブラッドに、だったら、もう一品ぐらいそのゴボウを使った料理探して作ってみるかとこっそり内心で決めた。
***
オフ当日。
オレは朝から休みだったが、午前中は仕事だったブラッドが、仕事終わりに食材を調達してくれたから、夕食に合わせてブラッドご希望のキンピラゴボウ、そしてそれと一緒に作ったもう一品の和食を出すとブラッドが明らかに目を輝かせた。
「これ、は」
「ゴボウに関してのレシピ探してたら、牛肉の八幡巻きってのがあって、使う調味料もキンピラゴボウとほぼ被ってたから一緒に作ってみた。まぁ、調味料が被ってるだけあって、ベースの味にそう変化があるわけじゃねぇけど、こっちはこっちで赤ワインにも合うとか見かけちまったからさ」
ついでとばかりに白飯と吸い物の一つも用意しちまった。
まぁ、白飯はブラッドが家に持ち込んだ炊飯器使ったし、吸い物も白だしって調味料をベースにしていて、わざわざだしをとったやつじゃねぇから、かなり手軽なもんではあるが、結局は完全に和食の献立だ。
ブラッドが持ってきた日本酒と、こっちで用意してあった赤ワインも一緒にテーブルに出して並べると、ブラッドがまだ酒も飲んでねぇのに、微かに頬を染めている。
思ったよりテンション上がったみてぇだな、こりゃ。
こんな反応をされるのは正直悪くない。
「…………ありがとう、キース」
「おう。じゃ早速食おうぜ。初めて作ったヤツだから、出来までは保証しねぇけど」
「そう言って、お前の料理が失敗していた記憶もないがな。いただきます」
「いただきますっと」
すっかりブラッドの影響で覚えちまった日本式のあいさつをしながら、たまには和食もいいかとこっそり思ったりなんかした。
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#キスブラ #ワンライ
西のドラマCD試聴で、キースが禁ピザをきんぴらに聞き間違えたのって絶対ブラッドの影響ですよね……w
「キンピラ?」
和食はだしをとったり、切り方に拘りがあったりと、何かと手順が面倒くさいから作れねぇ、と前々からブラッドには言ってあったが、ヤツはどうにも諦めきれなかったらしい。
ある日、前触れもなしにこれなら和食でも簡単な方だから、とブラッドが持ってきたレシピがキンピラゴボウって料理だった。
根菜類をメインにし、甘辛く炒めた料理だという。
「これなら、だしは使わずに出来る料理だがどうだ? 切り方も繊細な類のものではない。調味料もゴボウもリトルトーキョーなら購入出来る。ご飯のおかずだけでなく、酒のつまみとしても合う料理だそうだ」
酒のつまみという言葉に興味をひかれ、レシピに目を通すと確かに手順としてはそう面倒なものじゃなかった。
ただ、ゴボウって野菜には馴染みがない上に、画像を見た限りじゃあんまり美味そうに見えねぇ。
泥がこびりついていて、ぱっと見は木の根っこみてぇだ。
「ゴボウ……ってこれちゃんと食えんのか?」
「食材にしているのは日本ぐらいらしいな。だが、食物繊維が豊富でミネラルも含まれるし、リトルトーキョーなら問題なく手に入る。勿論、他にも必要なものはこちらで一通り用意するから――」
作って欲しいと言われちまうと、断るのも気が引ける。
酒のつまみとしても合うとなれば、正直興味もあるし。
何より、ブラッドがどうにかオレが作りそうな和食を探して、こうしてレシピを持ってきたってことを考えると、中々可愛いことすんなって思っちまったのもあった。
今も表情はそう変わってないが、凄ぇ期待した目でこっちを見てる。
しゃーねぇなぁ。
「んー……ま、いいか。今度のオフの時でいいよな? そのレシピのファイル、後でオレのとこに送っといてくれ」
「ああ。感謝する。日本酒も何か調達して行こう」
「お。マジか。そっちが楽しみだわ」
ふわ、と目元を綻ばせたブラッドに、だったら、もう一品ぐらいそのゴボウを使った料理探して作ってみるかとこっそり内心で決めた。
***
オフ当日。
オレは朝から休みだったが、午前中は仕事だったブラッドが、仕事終わりに食材を調達してくれたから、夕食に合わせてブラッドご希望のキンピラゴボウ、そしてそれと一緒に作ったもう一品の和食を出すとブラッドが明らかに目を輝かせた。
「これ、は」
「ゴボウに関してのレシピ探してたら、牛肉の八幡巻きってのがあって、使う調味料もキンピラゴボウとほぼ被ってたから一緒に作ってみた。まぁ、調味料が被ってるだけあって、ベースの味にそう変化があるわけじゃねぇけど、こっちはこっちで赤ワインにも合うとか見かけちまったからさ」
ついでとばかりに白飯と吸い物の一つも用意しちまった。
まぁ、白飯はブラッドが家に持ち込んだ炊飯器使ったし、吸い物も白だしって調味料をベースにしていて、わざわざだしをとったやつじゃねぇから、かなり手軽なもんではあるが、結局は完全に和食の献立だ。
ブラッドが持ってきた日本酒と、こっちで用意してあった赤ワインも一緒にテーブルに出して並べると、ブラッドがまだ酒も飲んでねぇのに、微かに頬を染めている。
思ったよりテンション上がったみてぇだな、こりゃ。
こんな反応をされるのは正直悪くない。
「…………ありがとう、キース」
「おう。じゃ早速食おうぜ。初めて作ったヤツだから、出来までは保証しねぇけど」
「そう言って、お前の料理が失敗していた記憶もないがな。いただきます」
「いただきますっと」
すっかりブラッドの影響で覚えちまった日本式のあいさつをしながら、たまには和食もいいかとこっそり思ったりなんかした。
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