避難所 短編・書きかけ置き場

2023年5月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

おむおこ2での展示作品。
とあるオフの日の朝の一幕。朝チュンブラキス。

<Keith's Side>

けたたましく鳴り響いたアラートの音に続いて、イクリプスが現れたことを告げるジャックの声が聞こえ、ぼんやりしてた意識が一気に覚醒した。
……出現数が多くはなさそうだが、ここからまぁまぁ近ぇ場所だな。
本来、今日はオフだったとはいえ、緊急事態となりゃそんなの関係ねぇのもヒーローだ。
しゃあねぇな、一仕事してから寝直すかと身体をベッドから起こしかけたところで、先に身体を起こしていたブラッドに制止された。

「あ?」
「お前はそのまま寝てろ」
「は? どういうことだよ」
「…………ジャックの報告通りなら、俺一人で十分だ。直ぐに片をつけてくる」

オレから視線を逸らすようにベッドから出ようとしたブラッドの腕を掴む。

「……お前、オレがそんなヤワだと思ってんのかよ」

昨夜オレが単純に飲み明かしての二日酔いとかなら、ブラッドは絶対にこんなこと言わねぇ。
自業自得だ、ヒーローとしての自覚はあるのか貴様、ぐらいの小言を浴びせて、無理矢理にでも現場に引きずっていくとこだろう。
今日に限って、そんならしくねぇことを言うのは。

「思ってはいない。が、昨夜は無茶をさせたという自覚はある」

――お互いのオフが久々に重なって、セックスも久々で、随分盛り上がっちまったからだ。
下手に双方体力がそれなりにあるもんだから、スイッチが入ると中々歯止めがきかなくなるんだよな。
何回イッたか忘れたが、さすがに限界と寝たのは空が白み始めた頃だった。

「『させた』ねぇ……お互い様だろうがよ、あんなん」

本当に無理だと思ったら、こっちだってそもそも応じねぇし、そうなったら無理を通すなんてことは絶対にやらねぇヤツだ。
そりゃ、身体の負担はどうしたって受け入れるこっちの方がデカくなるとはいえ、オレだってそれなりに煽った結果だってのに。
どうも、ブラッドは自分に負い目があると一人で抱えようとする癖があるんだよな。
ディノの時だってそうだった。
ずっとオレには黙って、一人で抱えて、真相を確かめるために動いて。
普段はあんなに暴君だってのに、どうもその辺りは本人の自覚も薄いような気がする。
……不器用にも程があるだろ。
掴んだ腕を支えにオレも身体を起こして、ブラッドの背中をぽんと叩いた。
昨晩ブラッドの背中に散々つけちまった爪痕やら指の痕は大分薄くなっている。オレの身体についてるキスマークなんかも多分そうだろう。
サブスタンスの効力で回復が常人より早いのはこういう時助かる。
まだ寝足りねぇとは思うが、それでも体力もある程度は回復してるから、イクリプス数体相手にするぐらいじゃ、ちょっとした運動ってとこだ。

「一人より二人で片付けた方が効率もいいだろ? とっとと終わらせて寝直そうぜ」
「――そうか。そうだな」

ブラッドの目元が微かに綻んだのを確認しつつ、着替え始めた。
せっかくのオフの邪魔をしてくれたヤツには思い知らせてやらねぇとな。
なぁ、ブラッド。

<Brad's Side>

目が覚め、枕元に置いていたスマートフォンで時間を確認しようとした瞬間に鳴り響いたのは、イクリプスの出現を知らせるアラート。
ついで、3Dホログラムで映し出されたジャックがイクリプスの出現した位置とおよその数を知らせてくる。
多くはないが、現場は昨夜泊まったこのキースの家からは比較的近い。
少なくともタワーに住んでいるヒーロー達よりは早く現場に到着し、対応することが出来るだろう。
直ぐに出動しなければ。
キースも今のアラートで目を覚ましたらしく、起きようとしていたが、反射的にそれを押しとどめた。

「あ?」
「お前はそのまま寝てろ」
「は? どういうことだよ」
「…………ジャックの報告通りなら、俺一人で十分だ。直ぐに片をつけてくる」

昨夜は久し振りのセックスだったせいもあって、箍が外れた。
交わる熱の心地良さに浮かれていたと言っても良い。
引き際を見極められず、眠りについたのは結局早朝だ。
受け入れる側のキースには結構な負担がかかったはずで、もう少し休ませてやりたい。
だが、ベッドから出ようとしたところで、キースが俺の腕を掴んで引き止めた。

「……お前、オレがそんなヤワだと思ってんのかよ」
「思ってはいない。が、昨夜は無茶をさせたという自覚はある」
「『させた』ねぇ……お互い様だろうがよ、あんなん」
「………………」

セックスは一人では成り立たない。
当然、合意の上での行為とはいえ、身体への負担にはどうしたって差がある。
キースの方は本来セックスに使う器官ではない場所を慣らして、身体を重ねているのだから。
…………これでキースが飲み過ぎて酔い潰れた等であれば、キースもこれ幸いにとオレは休んどくわとでも言うだろうし、そんな貴様の都合など知らんと突っぱねて本来のヒーローとしての仕事をさせるだけだが――。
どう返したものかと思案していると、キースが微かに苦笑いを浮かべて身体を起こし、俺の背を軽く叩く。
気にするなとでも言うかのように。

「一人より二人で片付けた方が効率もいいだろ? とっとと終わらせて寝直そうぜ」
「――そうか。そうだな」

言外に一人でやろうとするんじゃねぇよと含められた気がして、引き下がることにした。
キースの言うように二人で対応した方が実際早く片付く。
休ませてやるのはその後でいい。
出来るだけ早く片付けて、残り少ないオフを満喫することとしよう。
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#ブラキス

2023年4月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

世界の果てまで共に

天使×堕天使のキスブラ。
報酬フレームのテキストからイメージしたパロ。
厨二設定しかないので、ポイピクではフォロ限ですが、こっちは見る人自体が少ないのでそのまま置いときます。
ブラッド視点も追加。神(モブ)が出ます。

[Keith's Side]

「……何で逃げねぇの」

オレがブラッドの胸元に突きつけた剣は堕天使を討伐するためだけに作られたもので、僅かでも触れれば存在が消滅するように出来ている。
コイツがそれを知らねぇはずはない。
なのに、抵抗する素振りも見せねぇ。

「…………ここで逃げたところで他の追っ手が来るのだろう。ならば、お前の手に掛かって終わるのも悪くないと思ったまでだ」

そう言葉にしたブラッドの目には迷いがない。
かつて、天界でもっとも神に近い天使と言われていたあの当時となんら変わりのない目だ。

――下界の争いごとにより、人間たちが……幼い子どもたちも含めた命が日々失われている。だが、神はそれは淘汰であり、必要な犠牲だと言う。だから、手出しは不要だと。俺はそれが納得出来ん。

そう言って、ブラッドは神の元へと直談判に出向いたが、直後知らされたのはブラッドが堕天したとの報告だった。
誰もが耳を疑ったし、オレも信じられなかった。
再会して、堕天した証である黒い翼を見るまでは。
だが、それ以外は何も変わっちゃいない。
融通のきかないカタブツ。己の信念のままに突き進む、以前と同じブラッドがいた。
下界で失われる命の数が減ったというのは間違いなくコイツによるものだろう。

「一応、聞くけど後悔は」
「していない」
「だよなぁ」

剣を引いて、そのまま手放す。
地に落ちた剣の衝撃音がやけに甲高く響いた。
ブラッドが失ったのは左の羽根か。
だったら、オレは右だなと手を背の方に回して、勢いに任せて自分の右の羽根をもぎ取った。

「いっ……!」
「なっ、キース!!」

ずっと平然としていたブラッドの目に初めて動揺の色が浮かぶ。
自分だってつい先日同じようなことしただろうがよ。
身体から離れた羽根は白から黒へと色を変え――気付けば視界に映る残った左の羽根も漆黒に染まっていた。
なるほどな、堕天するとこうなんのか。
背の痛みが少し和らいだのはブラッドの力だな。
堕天しても天使として持っていた力は健在ってことか。

「……馬鹿な真似を」
「いや、お前にだけは言われたくないわ、それ。……ったく、一人でさっさと決めやがって。肝心なとこで一人でどうにかしようとするのやめろよな」

普段冷静な癖にブチ切れると見境ねぇよな、全く。

「――共に来てくれるのか」
「一人より二人の方が逃げやすいだろ。オレは左側の羽根残したし、肩組んで呼吸合わせりゃ何とか飛べんじゃねぇの。能力も残ってんだし」
「なるほどな」

ブラッドと肩を組み、幾度か羽根を羽ばたかせ、タイミングを合わせて地を蹴ると呆気ないほど楽に飛び立てた。

悪いな、カミサマ。
オレももうアンタには従えねぇよ。
二度と触れなくなった剣を一瞥し、オレも天界に別れを告げた。

[Brad's Side]

――何故、介入しないのですか。あの地域は今明らかに度を超えた殺戮が行われている。放置していいはずがない。
――人は増えすぎたのだよ、ブラッド。故に世界の生態系全てに弊害を及ぼし始めている。あれは必要な犠牲だ。
――必要…………?
――全てを救い上げることなど出来ない。弱い生命が淘汰されていくのはこれまでの歴史でも繰り返されてきたことだ。浄化だと思えば良い。それでもなお、争いがやまないなら、それは世界の寿命だ。

だから、見捨てるというのか。
祝福され生まれたばかりの赤子も無残に殺されることも珍しくなくなりつつあるあの地を。
浄化、という言葉にこれほど嫌悪感を覚えたことはない。
いつだったか、キースが胡散臭いと評したその言葉の意味が今はわかる。
神が見放すというのであれば。

――せめて、この手で救えるだけでも俺が救う。
――ブラッ……!?

片翼をむしり取り、それをそのまま目の前の神に叩きつけた。
瞬く間に黒く変化した羽根にこんなに簡単だったのかと苦笑いする。

――貴方にはもう従えない。俺は俺の信じる道を行く。それを堕天と言うのなら好きに言えばいい。
――ブラッド!!

羽根を失った背の痛みを堪え、急いでその場を立ち去る。
キースに別れを告げる間もなかったことだけが心残りだったが、ここで捕らえられては本末転倒だ。
幸い、堕天しても天使の能力は失われなかったから、それを利用し、可能な限り殺戮を食い止めていたが――キリがなかった。
生命を救いつつ、堕天使を討つ天界の追っ手からも身を隠し続けるのは容易ではなく、消耗が激しくなってきたタイミングで俺の前に現れたのはキースだった。

「本当に堕ちたんだな、お前」
「…………キース」

ほんの一瞬だけ泣きそうに見えた表情に動けなくなった。
キースの掲げている剣が天界の最終兵器と謳われる堕天使を消滅させるものだと気付いても、その剣先が胸元に触れそうなところに定められても。
キースの実力は俺が誰より知っている。
そもそも、この剣を扱えるのは天界でも一握りの天使だけだ。
万事休す。
他の者の手に掛かるよりは、キースにならば――。

「……何で逃げねぇの」
「…………ここで逃げたところで他の追っ手が来るのだろう。ならば、お前の手に掛かって終わるのも悪くないと思ったまでだ」
「一応、聞くけど後悔は」
「していない」

俺の命運もここまでか、という悔いはあれど、堕天したことについての後悔は微塵もない。

「だよなぁ」

知っていた、と言わんばかりの口調でキースが剣を引き、そのまま持っていた剣を地面に落とす。
どういうつもりかと問い質そうとした刹那、キースが自らの片翼をもぎ取った。

「いっ……!」
「なっ、キース!!」

もぎ取られ、地に落ちたキースの翼が黒く染まる。
そのまま残っている方の羽根も、あっという間に全て黒くなった。
急いで膝をついたキースに駆け寄り、回復の術を使う。

「……馬鹿な真似を」
「いや、お前にだけは言われたくないわ、それ。……ったく、一人でさっさと決めやがって。肝心なとこで一人でどうにかしようとするのやめろよな」

普段冷静な癖にブチ切れると見境ねぇよなとぼやかれて、一瞬返す言葉に詰まる。

「――共に来てくれるのか」
「一人より二人の方が逃げやすいだろ。オレは左側の羽根残したし、肩組んで呼吸合わせりゃ何とか飛べんじゃねぇの。能力も残ってんだし」
「なるほどな」

キースの飛び方の癖は知っているし、逆も然りだ。
肩を組んで、羽根の動きを合わせ、音が重なったところで地を蹴る。
自分一人で両翼で飛んでいたときとそう変わらずに飛ぶことが出来た。

「お、いけたいけた。よし。あの剣を回収しに来られる前にとりあえずここから離れようぜ」
「ああ」

一人ではなくなったという心強さに口元が緩みそうになりながら、晴れ渡る空を二人で飛び続けた。Close


#キスブラ

2022年10月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

キスブラ版ワンドロライ第100回は『一番好きなシチュエーション』とのことで、『キースがつまみを作って一緒にお酒を飲むキスブラ』で書きました。
第100回開催おめでとうございます!
そして、100回という長い間、企画の運営を続けて頂き、本当にありがとうございました!!

美味いと評判の日本酒を手に入れたから、その代わりに美味い和食のつまみを用意して欲しいと、ブラッドから言われたのが先週。
で、互いに明日がオフだからとオレの家で飲むことになったのが今日だ。
普段はこっちから飲みに誘っても、滅多に応じちゃくれねぇくせに、交換条件みてぇに日本酒を持ってくるから、オレはつまみを作れという形だと時々向こうから誘ってくるんだよな。
勿論、美味い酒がブラッドと飲めるとくりゃ断る理由はねぇけど。
例によって、オレより仕事が多く、やることが積み上がってるブラッドが仕事を一通り片付けてから、うちに来るまでにはまだ時間がある。
急な飲みだと用意出来るつまみにも限りはあるが、今回みてぇに数日前から予定を立てるなら、出来上がるまでに時間のかかるタイプのつまみも用意出来るから、今日はそんなつまみを幾つか出してやろうと、あらかじめ仕込んでおいた。
ブラッドは和食は一品、二品で構わないと口では言うが、実際数があれば目の輝きが違ってくるもんだから、たまにならいいだろと、こんな機会にはつい作っちまっう。

「お。良い感じじゃねぇか」

数日前に漬けておいた、豆腐の味噌漬けを味見ついでに軽くつまむと、つい冷蔵庫にストックしてあるビール缶を開けたくなったが、そこはどうにか堪えて、ナスとキュウリの漬物も味見する。
使った唐辛子の量がちょうど良かったらしく、これまたビールが飲みたくなる一品に仕上がってた。
日本の漬物ってヤツは何でこう酒に合うように出来てんだ?
いっそ、ブラッドが来る前に一缶だけビール飲んじまおうかなと思った矢先、手元のスマホがブラッドからのメッセージの着信を知らせる。

『仕事が終わった。今からそちらに向かう』

当初、予想していた時間よりは早い。
恐らくは、ブラッドが今日の飲みの為に、仕事を早めに片付けた結果だろう。
もうこっちに向かってるんだったら、温かいつまみを作り始めるにはちょうどいいと、どうにかビールの誘惑をおさえて、だし巻き玉子と揚げ物の用意をする。
ブラッドが持ち込むせいで、どんどん増える日本の調味料はもう結構な種類があるから、食材と時間さえあれば、何だかんだ色々な和食が作れちまうんだよな。……面倒くさいのはなるべく避けてぇけど。
ブラッドが好む味付けのだし巻き玉子も、すっかり作り方を覚えちまったなぁと出来ただし巻き玉子を皿に(これまたブラッドが持ち込んだ日本の食器だ)盛り、温度の様子を見ながら揚げ物をやってたところで、玄関の鍵が開く音がした。
オレがつまみの支度で手を離せないだろうと予想して、最初から合鍵を使うあたり、アイツもすっかり慣れたもんだ。

「おう、お帰り。仕事お疲れさん」
「ただいま。……ほう。お前に作って貰ったことのないものが並んでいる」

テーブルの上を確認したブラッドの声が、期待からか微かに弾んだのがわかる。
チラッと表情も窺うと、ブラッドは目元も綻ばせていた。
……こういうとこ可愛いんだよな。
小言を畳みかけてくるときと同一人物とは思えねぇ。

「あー、日数かけた漬物、試してみたかったからなぁ。味は保証出来るぜ」
「お前が手懸けた料理で味に不満があったものもないがな。何かやることはあるか?」
「お前が持ってきた日本酒の器用意してくれ。まだそっちまで手が回ってねぇ」
「わかった」

ブラッドが酒を注いでいる間に、オレの方も揚げ物が終わり、良い感じに飲む準備は完了ってヤツだ。
二人でテーブルについて、確か江戸切子とかいった、繊細な細工のグラスを軽く合わせ乾杯する。

「……かーっ……美味っ……!」

グラスを口につける手前でわかった薫りから期待はしてたが、口当たりも良い。いくらでも飲めそうな酒だった。
一方でブラッドは一口飲んだ後は、つまみの方に次々と手を出していく。

「……やはり美味いな。お前の作る料理は」
「だったら、良かったぜ。あ、漬物は結構量作ったけど、明日帰るとき持ってくか?」
「貰おう。酒だけでなく米にも合いそうだ」
「あー、じゃ明日の朝は飯炊いて米に合わせて食ってみるか」
「そうしよう。味噌汁も――」
「はいはい。ちゃんと作ってやるっての」

こんな日にブラッドが泊まっていくのは、もう暗黙の了解ってヤツだ。
ただ酒を酌み交わすためだけに泊まるわけじゃないってことも。
……酔いすぎねぇようにしとかねぇとな。
後に控えてる楽しみも頭の隅に置きつつ、まずは二人きりの晩酌を楽しむことにした。
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#キスブラ #ワンライ

2021年10月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

キスブラ版ワンドロライ第50回でのお題から『お節介』を使って書いた話です。
ロスゼロ後、微妙に探ってる状態でメジャーヒーローの昇格試験を控えたキスブラ。
第50回の開催おめでとうございます!
 
午後のパトロール前、タワーを出ようとしたところでブラッドに呼び止められた。

「キース。今夜、時間は取れるか」
「…………今夜ね。はいよ。夕食も一緒か? それとも夕食後?」
「夕食後だ。ノースチーム内でのミーティングがあるから、その後になる」
「わかった。家で待ってるぜ」
「……待っている間に飲むなよ」
「わあってるっての。じゃあまた夜な」

オレたちが【AAA】のヒーローとなってから二年近く。
メジャーヒーローへの昇格試験が受験可能になるからと、この数ヶ月というもの、ブラッドは時間が出来た傍から試験勉強の為にオレを誘い続けている。
試験なんてもんが昔から大嫌いなオレとしちゃ、試験勉強なんて面倒くさくて仕方ねぇんだが、ブラッドが頑として今回の試験でオレと一緒に昇格すると言って譲らねぇ。
最初は面倒さに試験勉強から逃げていたものの、ブラッドがしつこく逃げた先のバーだったり、ビリヤード場だったりまで来て、試験勉強の誘いを続けるもんだから、結局折れたのはこっちだった。
一旦応じてしまえば、ずっと試験勉強漬けってわけでもなく、時にはビリヤードに付き合ってくれたり、ベッドの中でもいつもよりサービスしてくれたりなんかする辺り、この暴君は飴と鞭の使い方が上手い。
……まぁ、メジャーヒーローになれば給料も上がるし、何よりヒーローとしては最上級の格付けになるから、今度の試験に合格し、メジャーヒーローに昇格したら、以降は昇格試験なんてものはない。
一応、昇格後にメジャーヒーローとしての実力を保持出来ているかどうかのチェックは時折入るが、そっちはほぼサブスタンスによる能力の確認や、実技によるものだから、筆記試験となると確かに合格さえしちまえば次で最後になる。

――メジャーヒーローとしての実力は申し分ない以上、昇格しないままでいると今後ずっと昇格試験があるたびに、上層部から声も掛かるだろう。その方がお前にとっては面倒ではないのか。

ジェイ曰くの『ミラクルトリオ』と称されるオレたちは、上層部からの期待の声が高いらしい。
アカデミー時代から常に優秀で期待されていたブラッドは勿論、早々とイクリプス部隊に配属されたディノ。そして、ディノがいなくなって以降、オーバーフロウなしでも強力なサイコキネシスを使えるオレにも注目が集まっているのだという。

――さっさと昇格してしまった方が、必要以上に干渉されずに済む。……その方がお前にとっても都合がいいと思うが。
――……お前の好きな『効率的』ってヤツ?
――そうだ。

『お前にとっても』という言葉の裏には、ブラッドにとってもという意味が含まれているような気がしたのは、多分間違ってねぇ。
ただでさえ、第十二期研修チームのメンターの一員として、少なくともオレより忙しい立場にあるはずのブラッドが、時間をやりくりしてでもオレと一緒にメジャーヒーローに昇格したがるのは、それだけの理由があるはずだが、それが何かまではわからねぇ。
ディノがいなくなってから、ただでさえわかりにくいコイツの真意はさらにわかりにくくなっている。
単なる怠惰な同期へのお節介なのか、それとも――。

「ま、メジャーヒーローって響きも悪くねぇしな」

昇格しちまえば、多少は何かを隠しているらしいブラッドの真意の欠片が見えてくるかもしれねぇ。
去って行くブラッドの背中を見ながら、今日の夜は試験勉強中に軽くつまめる、ヤツの好きそうなもんでも用意しとくかと決めて、オレもその場を後にした。
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#キスブラ #ワンライ

キスブラ版ワンドロライ第49回(Webオンリーとのコラボ回)でのお題から『キス』を使って書いた話です。
アカデミー時代から体の関係があった前提。R-15くらいで。執筆時間大体1時間(多分)
ただ二人が朝からいちゃいちゃしてるだけの話になったw

…………懐かしい夢を見ていた。
目が覚めた時、真っ先に視界に入った天井でさっきまでのは夢だったと直ぐに認識出来たが、妙にリアリティがあったように思う。
夢の内容はアカデミーの頃のキースと共に夜を過ごしていたもの。
つい先程まで夢にいた相手は、現実ではごく近くで気持ち良さそうに寝息を立てている。
夢を見た理由には心当たりがあった。
昨夜はキースの家に泊まったが、シャワーを借りた際、アカデミー時代にヤツが使用していたボディソープ――いや、体だけではなく髪も顔も洗えるというものだからボディソープというのとは少し違うのだろうが――を久し振りに使ったせいだろう。

――キース、あのボディソープは……。
――ああ、メーカーの何周年だかで復刻したんだってよ。懐かしくてつい買っちまった。そうそう、こんな匂いだったよな。
――んっ…………。

俺より先に風呂から上がっていたキースは、俺を待っていた間に煙草を吸っていなかったらしく、いつもならキスすると一層強く香ってくる煙草の匂いではなく、微かな歯磨き粉の味と共に懐かしいボディソープの匂いが纏わり付いてきた。
安物で嫌いじゃないが、香りが強いんだと当時言ってもいたからか、ヒーローとして【HELIOS】に勤務するようになってからはいつの間にか使わなくなっていたが、久し振りにかいだ匂いは様々な記憶を引き摺り出して、昨夜は気分がいつもより昂ぶってしまった。
キースもそうだったのか、やけに密着するような体位をしたがっていたように思う。
……キースと最初に肌を重ねてから、もう十年以上経つのか。
最初はキス一つでも随分とぎこちなかったはずだが、年月を経た今はもう良くも悪くも慣れたものだ。
寝顔はあの頃とあまり変わらないなと思いながら、少しだけ体を起こして、キースの髪に口付ける。
眠る前に散々かいだ匂いを感じながら、指でもそっと髪に触れた。
あくまでも起こさないように静かに触れたつもりだったが、キースから離れようとした寸前で、ベッドの中でキースの手が俺の腰に回され、閉ざされていた目が開く。

「……っ、すまない、起こしたか」
「んー……まぁ起こされたっていうか、ちょうど目が覚めたって感じだな。もうちょっとだけ寝ようぜ、まだ起き出すにはちぃと早いだろ」
「んっ」

腰に置かれていた手が上へと移動し、肩を掴んで起こしていた体をベッドの中に戻せと言わんばかりに力が籠められた。
大人しく従えば、顔が寄せられて、自然と目を閉じる。
当たり前のように触れてきたキースの唇は少し乾いていたが、唇を触れ合わせているうちに気にならなくなってくる。
少しだけ舌で唇の間からつついたら、その舌に吸い付かれて、甘い刺激が体を突き抜けていった。
これ以上は戯れで済まなくなると唇を離そうとしたが、キースにはやめるつもりがないらしく、離しかけた唇は追われ、再び重なって、今度はそのまま舌が口内を撫でていく。擽るように、または突くように、と動きを少しずつ変化させながら。

「…………っ……ふ」

つい零れてしまう声に、笑った気配がし、つられて目を開けて――もう寝直すつもりなど、キースにはないのを悟った。
ペリドットの目は明らかな情欲の色を映している。
いや、キースが口にした『寝よう』という意味が、そもそもそちらを示していたのかもしれない。
ならば、俺の方からもキースの口内を舌で刺激しようと動き始めると、キースの方は舌の動きを止めた。
好きにしろということだろうと解釈して、しばらく舌を動かしていると、キースも微かに吐息を零した。

「ん…………お前、ホント上手くなったよなー、キス」

キースも俺と同じようにボディソープの匂いから、過去を懐かしく思ったのか、そんな言い方をする。

「……誰がそうしたと」
「まぁ、俺しかいねぇよな。……ブラッド。今日オフだし、このまま続けていいだろ? 朝飯、白飯と味噌汁にしてやるからさ」

普段なら朝から作るのは面倒がるメニューを口にしながら、キースの手が俺の背中を滑り落ちていった。
数時間前も散々触れられているのに、それだけでも体の芯が熱くなっていくのを実感する。

「…………卵焼き、もだ」

震えてしまいそうになる声をどうにかおさえて、要求をつけくわえると間近にある目が笑った。

「つけてやるって。だし巻きな。目玉焼きでもいいけど」
「……だし、巻き…………が、いい」
「はいよ。あとは……ほうれんそうのおひたしだっけ? あれも作るか」
「っ……」

再び、唇が重なったのと腰が触れ合ったのは同時。
お互いに張り詰めているのがしっかりと伝わる。
微かに薫ったボディソープの匂いを始まりの合図に本格的に動き始めた。
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#キスブラ #ワンライ

2021年7月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

お絵かき会で書いた短いキスブラ。
(お題が夏の推し)
ブラッド女体化してます。短い。30分クオリティ。

「…………お前、何その水着」
「余計な装飾がない方が泳ぐのに効率がいい」
「いいかもしんねぇけどさぁ……」

泳ぐのが任務の類でならな、と続けそうになったのは飲み込んだ。
今日は一応オフでこのホテルのプールに遊びで来てるんだが、それを言ったところで、オフとはいえ、いつ何があるかわからないだろうと返ってくるのは容易に想像がつく。
ブラッドが今着ているのは競泳用じゃねぇのかっていうくらい、飾り気のないシンプルなネイビーの水着だ。
かろうじてワンショルダーにこそなっているが、色気とか遊び心みたいなのが全くなく、あまり遊びに来たって印象を持たせるような類のものじゃない。
ただ、水着がシンプルなだけに、ツラの良さもスタイルの良さもこれでもかってくらい強調されちまってて、さっきから人目を引いている。
ブラッド本人は他者からの視線に対し妙に鈍感なところが昔からあって、今も視線を気にしている様子はねぇが、こっちの方が気になっちまう。
特にこんなシンプルな水着なんて、体の線が丸わかりだ。
日々鍛えているから引き締まってはいるが、かといってゴツいわけじゃなく、胸や尻なんかは綺麗な丸みを帯びている。
他のヤツに無遠慮に見られ続けるのは気分悪ぃ。
多分、オレが傍を離れた途端、声を掛けようとするヤツも絶対いるはずだ。
確か、ここ最上階の部屋に小さめのプライベートプールあったよなと思いだし、プールに向かっていたブラッドの手を引いて、来た道を戻り始める。

「おい、何だ。泳ぎに来たんじゃなかったのか」
「こんなジロジロ見られながら泳げるかっつーの。上行くぞ。そっち借りて泳ごうぜ」
「…………まぁ、構わんが」

オレが提案した意図をやっぱりイマイチ掴みかねているらしいブラッドは、疑問を表情に出していたが、それでも大人しくオレについてくる。
ブラッドと二人きりになって理性がどこまでもつかな、なんてちょっとだけ思いながら、プライベートプールのある部屋が空いているかをスマホで確認して、ホテルのフロントへと歩いて行った。
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#キスブラ #ハーフワンライ#女体化

2021年5月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

第二百八十四回紅敬版深夜の創作一本勝負、お題『ハグ』『キス』『手を繋ぐ』『撫でる』『ごはん』を全部使ってみました。

星奏館は部屋によって二人から四人で住んでいる。俺の部屋は一応四人部屋なんだが、斎宮も瀬名も拠点は海外だから部屋にいる方が珍しい上に、残った衣更や俺にしても時々実家の様子を見に帰っていたりするから、他の部屋に比べると一人になれる機会は案外多い方だろう。
今日もこの部屋は俺一人になることがわかっていたから、夜までは衣装を作るのに専念出来るなと、ずっと作業をしていた。
夜は蓮巳の旦那が来て、夕飯を一緒に食ってからこっちの部屋に泊まっていくってことになっていたから、それまでに衣装作りをやれるところまでやっちまおうって心積もりだったんだが。

「ん……? ヤベぇ、思ってた以上に寝ちまっ……あ?」

衣装を縫っている途中で眠気が来て、ちょっとだけ休憩するつもりで壁に寄りかかってウトウトしていたら、日差しで明るかった部屋はすっかり暗くなっていた。
一旦裁縫道具は片付けて、夕飯の用意でもと思ったところで、肩に寄りかかっている重さと温もりに気付く。
旦那が俺の肩を枕に寝入っていた。
いつの間に部屋に来ていたのか、いつから寄りかかって寝ていたのかもさっぱり覚えちゃいねぇが、多分、俺を起こすのを躊躇った結果、自分も少しだけ寝ようと思ったんだろうな、こいつ。
眼鏡は外されていて、俺が避けておいた裁縫道具と一緒に置かれている。
蓮巳は特に意識しちゃいねぇのかもしれねぇが、蓮巳曰く『生涯の伴侶』と称している眼鏡を、俺の裁縫道具に預けるように置いているっていうのは何となく気分がいい。
旦那は疲労がピークに達すると外でも寝ちまったりするが、その場合ほとんど眼鏡は外さずにそのままだ。
蓮巳は視力がかなり悪いから、寝るとき以外は極力眼鏡を外したがらねぇし、その寝るときにしたって、ちょっとウトウトするって程度ならまず外さねぇ。
俺の傍だから安心して外して眠りについたんだろうなっていうのは、きっとうぬぼれじゃないはずだ。
そっと旦那の髪を撫でると、微かに身動いだから今ので起こしちまったかと手を止めたが、旦那は相変わらず俺の肩に寄りかかったまま。
起こさずに済んだかと思ったが、蓮巳の指が床についたままの方の俺の手首に絡みつく。寝惚けての行動だと思えなくもないが、これは多分目を覚ましてる。

「……狸寝入りかよ、旦那」
「言っておくが、先程までは本当に寝ていたぞ。……予定より早く用事が済んだから来てみたらおまえが寝ていたから、俺も少しくらいはと」

旦那が頭を俺の肩から起こし、眼鏡に手を伸ばそうとしたところで、その手首を掴んで止める。
そして、蓮巳がこっちを向いたところで唇を重ねた。
眼鏡をかけちまうとキスしにくくなるから、その前にってやつだ。

「……ん」

蓮巳の目が驚きの色を浮かべたのは一瞬だ。直ぐに力を抜いて、目を閉じる。
部屋には他に誰もいねぇし、部屋の外も割と静かだから、キスしても問題ねぇって判断したんだろう。
掴んでいた手首を離すと、旦那の方から俺の手を追って指を絡めて来た。
手を繋いで、指先でお互いの手を弄んでいると、触れているのが唇と手だけじゃ物足りなくなる。
一度唇を離して、蓮巳の身体に腕を回すと、やつの方も身体を寄せてこっちに腕を回してきた。
阿吽の呼吸ってやつなのか、こんなところはもう言葉にしなくても何となく通じるもんがあるってことに嬉しくなっちまう。
あやすようにぽんぽんと背中を叩くと、蓮巳の旦那が笑ったのが伝わった。

「予定より早く用事済んだってんなら、おまえも夕飯作りに手ぇ貸してくれるんだよな?」

当初の予定では、旦那の帰りを待ちがてら俺が二人分の夕飯を作るって流れだったが、その本人がもういるなら話は変わってくる。

「ああ。当然だ。で、何を作る予定だ?」
「デミグラスソースのオムライスとオニオンスープ。椎名に美味いデミグラスソースのレシピ聞いたから、それ一回試してみようと思ってな」
「なるほど。それは楽しみだ。食堂に行くか」
「おう」

身体を離す前に一度、旦那を強く抱きしめてから離れる。
温もりを手放すのはちょっと惜しいが、夕飯後にまた抱き合えばいいだけの話だ。今日はまだこれからだしな。
裁縫道具と作りかけの衣装を片付けてから、二人で食堂に向かった。
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#紅敬 #ワンライ

2021年3月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

第二百七十六回紅敬版深夜の創作一本勝負、お題『銭湯』を使って書きました。
今回のコラボに絡んだ話になります。
紅月らしい素敵なコラボをありがとうございます!

紅月が出す新曲の販促として、街中にある銭湯とコラボする――と蓮巳の旦那から聞いた時は予想外のことに驚いた。
銭湯とのコラボというのにも驚いたが、それがいわゆるスーパー銭湯の類じゃないってところも意外だ。
ただ、コラボ先の銭湯は過去にも別のコンテンツとコラボした経験もあって、店のスタッフも常連客も慣れており、営業時間にしてもよくある銭湯よりもずっと長い、という話を聞くとそれも納得したし、何より、銭湯の壁に描かれているペンキ絵を今度出す新曲をイメージして改めて描くって話に、旦那がそこに興味持って、コラボの件を了承したんだなとわかっちまった。
蓮巳の旦那はあれで絵心があって、これまでにもちょっとしたイラストとかを描いたりしてたし、漫画なんかも描いたことがあるらしい。
実際、銭湯が休みになる日を使って、その新曲をイメージしたペンキ絵を描くと聞いて、蓮巳がその様子をぜひ見学させて貰いたいと食い気味に事務所に持ちかけていたと朔間から聞いたときには、その様子が目に浮かんで思わず笑っちまった。
とはいえ、当たり前のようにお前も描くところを見に来るだろう?と言われりゃ、行かねぇって選択肢もねぇ。
ただ、銭湯の休みは平日だったのもあり、生憎と神崎は学院での試験日と被ってるってことで、神崎だけは試験が終わり次第の合流となる。
午後からペンキ絵を描き始め、その作業が終了次第、一部の湯船にお湯を張ってくれるから、新しいペンキ絵を見ながら広い湯船で貸し切り状態の一番風呂に入れるとくりゃ、蓮巳じゃなくても楽しみってもんだ。
そして、ペンキ絵を描く当日。
旦那と一緒に昼飯を食ったその足で銭湯に向かい、作業を始めた職人の邪魔になんねぇように、少し離れて後ろの方から様子を眺めていたが、しばらくは揃って無言だった。
赤富士の形が大まかに描かれた段階で、ずっと黙っていた蓮巳が凄い、と小さく呟いたのが聞こえた。

「……下書きとかねぇんだなぁ、これ」

俺の方もつられて、何となく小声で言葉を返す。
俺に絵心はねぇが、それでもこの広い壁に下書きもなしに赤富士や舞う紅葉、鮮やかに咲く蓮の花なんかが次々と描かれていくのが凄ぇってわかる。
曲やユニットのイメージから選んだ、いくつかのモチーフを取り入れて欲しいっていう話は先方に通してあるようだが、そのモチーフは頭ん中だけで組み合わせてあるらしく、下書きは勿論、参考になるような絵や写真なんかも職人の手元にはない。
黙々と職人がペンキ絵を仕上げていく様はただただ圧巻だ。
基本、どんなペンキ絵も銭湯の休みの日を利用して一日で描ききるってんだから、絵を仕上げるスピードも想像していた以上に早い。
このペースなら神崎が来るまでに、ほとんど仕上がっちまうかもしれねぇ。

「ああ。この広さを下書きなしに描けるとは恐れ入る。銭湯自体の数が昔に比べ減少したのもあってか、今や銭湯のペンキ絵を描ける職人は日本全国でも三人しかいないそうだ」
「全国で三人……ってマジかよ」

だったら、目の前で描いているのはその貴重な三人のうちの一人ってことになる。
こりゃ、思っていた以上に珍しいモンを目にしてんだな。
多分、旦那はそれを知ってたから見学したいって言ったんだろう。
今もそう見る機会のない光景に興奮してんのか、目が輝いてるし、俺と話しながらも視線はずっと壁の方から離れずにいる。
仕上がっていくペンキ絵は勿論見応えがあるが、こんな蓮巳も同じくらい見応えがある。
壁に新たにモチーフが描かれるたびに表情に変化が出て、可愛いったらねぇな。
つい口元が緩みそうになったのを慌てて抑えたが、旦那がずっと壁を見ているのは幸いだった。
多分、後で風呂に入ったときはずっとこの絵の話してんだろうなぁと予想しながら、俺も壁へと視線を戻した。
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#紅敬 #ワンライ

キスブラ版ワンドロライ第21回でのお題から『ヒーロー能力』を使って書いた話です。
ルーキー時代にヒーロー能力を使ってセックスする話。(前戯まで)R-18。
多分、コトが済んだ後は怒濤のお小言タイムw

一度試したが最後、二度目はまず許さねぇだろうなという確信だけはあったから、本来の目的は言葉にせず、ブラッドに目隠しした状態で一度ヤッてみねぇかと話を持ちかけた。
ブラッドとはアカデミー時代から何度かセックスしてきたものの、そう奇をてらったようなことはしなかった。
が、元々は気になることがあれば、すぐに調べたがるヤツのことだ。
まして、若い男ともなればいくらブラッドといえど、普段は試さないやり方に興味が全く無いということもないだろうとの読みは外してなかったらしい。
オレの提案に訝しむ様子は見せたが、即却下とはならなかった。
本気で嫌ならブラッドは一瞬の躊躇いもなしに一刀両断するところだが、それがないのなら、これはチャンスだとここぞとばかりに畳みかけてみる。

「動きが見えねぇことで、次はどこ触ったりするのかっていう予測が出来ねぇってのも悪くねぇだろ? 絶対に体に傷つけるような真似はしねぇからさ」
「当たり前だ。されてたまるか。…………目隠しは最後までしておくのか」
「いーや? お前が嫌だって思ったら、その時点で外していいぜ。ま、外すなら出来るだけ遅い方がいいけどな。どうだ?」
「…………いいだろう。不快だと思ったら、その時点で外す」
「おう。サンキュ」

終わった後がちょっと怖ぇなと内心で思いながらも、アカデミー時代にバイトで必要になって買った安物の黒いネクタイを目隠しに使う。
オレがブラッドの視界を遮るのには、抵抗もせずに大人しいもんだ。

「目のとこキツくねぇか? あと、コレ見えたりしてねぇ?」
「問題ない。見えてもいない」
「よし。じゃ、始めるぞー」
「ん…………っ!?」

ブラッドの顎に指を這わせて、これからキスすると思わせたところで触るのはペニスだ。
バスローブの上から撫でてやると、まだ柔らかかったそこが布地越しにも芯を持っていくのが伝わる。
さりげなく裾を割って、直接指を局部に滑りこませ、タマんとこを擽るようにしてやるとブラッドが吐息をこぼしながらも、オレの位置を手探りで確認しながら触ってくる。
このぐらいはまだ予想の範疇だろう。
ブラッドがオレの首筋に手を這わせているうちに、音を立てねぇよう気をつけながら、こっそり隠して置いたヤツをサイコキネシスを使って手元に引き寄せる。
シリコン製のローターを電源を入れないままでブラッドの乳首近くまで寄せて、乳首に触れさせると同時にスイッチを入れた。
一番弱い振動のはずだが、衝撃からかブラッドの体が跳ねる。

「ひっ! なんっ、あっ……!?」
「お、悪くなさそうだな」
「何を、持ち込ん、だ」
「大人の玩具ってヤツだな。シリコンだし、痛くはねぇだろ?」
「そんなもの使うとは聞いて――」
「言ってねぇけど、使わねぇとも言ってないだろ」
「うあ!」

一段階振動の強度を上げると、首筋に触れてたブラッドの指が離れて、乳首に触れさせてるローターを外そうとしたから、その前にローターを一旦避けて、ブラッドに口付ける。

「っ、キー、ス……」

多分、抗議の声を上げてぇんだろうけど、そうするには少し早いとも思ったのかも知れない。
絡めた舌は拒まれず、少しの躊躇の後にブラッドも舌の動きに応じて動かしてきた。
そんな状態につけこむような真似をするのもちょっとばかり気が咎めたが、多分次は許してくれねぇだろうからと開き直って、先程避けたローターを今度はブラッドのペニスの付け根に触れさせた。
声こそ上げなかったが、舌の動きは完全に止まってる。
再び振動を弱くして、付け根から先っぽへとローターをサイコキネシスで動かしながら、バスローブの腰紐を解いて、乳首を軽く摘まむとブラッドの眉が吊り上がった。

「きさ、ま。ヒーロー能力、をこんな……っ、こと、に使う、など……!」
「あ、やっぱバレたか」

この動きは両手だけじゃ無理だもんな。
ま、小言は後で聞くから、もうしばらくは楽しませてくれと、心の中でだけ呟いて行為をそのまま続けた。
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#キスブラ #ワンライ #R18

ブラキス版ワンドロ&ワンライ第12回(最終回)でのお題から『指切り』+第11回のお題の『キス』を使って書いた話です。
ロスト・ゼロ後、ディノがいなくなってから間もなくくらいの頃。+20分ほど。
企画&運営ありがとうございました!

ディノがいなくなって以降、キースはそれまであまり口にしなかった酒に溺れるようになり、よく酔い潰れるようになった。
今日もキースがよく訪れるバーで酔い潰れたと連絡を貰い、キースを迎えに行き、ヤツの家までこうして連れて帰ってきた。
10期生としてタワーで数年の共同生活を送った後、キースは所属することになったウエストに家を借りて生活するようになったが、ここ数ヶ月は訪れる度に床に転がる酒瓶の数が増えているような気がする。
あれほど、酒に溺れるのはごめんだと、父親のようにはなりたくないと言っていたというのに。
キースの飲み方は酒を楽しむというよりも、自分を傷つけているようにも見える。
微かに胸の奥に感じた痛みを押し込め、ベッドにキースを放り込み、キッチンから水を持ってこようとしたところで、酔い潰れていたはずのキースが俺の腕を掴んだ。
予想していなかった動きに加え、思いの外、力が籠められていたことで、よろめいてキースに覆い被さるような形になる。
とっさに腕をついて、キースを潰さないようにはしたが、キースの方が俺の体に腕を回して体を密着させた。

「おい、キース離せ」
「やだ、行くなって……」
「水を持ってくるだけだ。すぐ戻る」
「行くなよ、ブラッド……お前は……ここ、に……いて」

益々、力の籠められた腕。
強引に腕を振りほどくことも出来ただろうが、行くなと口にしたときの響きが妙にもの悲しく聞こえたせいか、振りほどくことに躊躇いが生じた。
数分もすれば、完全に眠りに落ちて力も入らなくなるだろうと諦め、体の力を抜いて体重をそのままキースに預ける。
自分と大して変わらない体格の男だ。結構な重さを感じているだろうに、キースが笑ったのが伝わった。
――キースの笑い声を聞いたのは久し振りのような気がする。
ただ、やはりどこかその笑う声に悲しい響きが混じっているように思えた。
表情を確認しようと思ったが、頭を上げようとしたところでキースがそれを止める。
今の顔を見られたくないのかと判断して、再び体の力を抜いた。

「…………これでいいか」
「ん……そうそう、これでいい……お前はどこにもいかない……ってやく、そく……」
「キース」
「おいて、いくな……よ……約束した、からな……」

キースの指が俺の小指を握りこんだ。
約束、と言いながらの行動だから、本人はこれで指切りのつもりなのかもしれない。
もっとも、酔っ払っているキースに行動の如何を問いかけたところで無駄だろう。
明日にはきっと何もかも忘れている。
俺がこの家までキースを運んだことも、キースが俺に行くなとねだったことも、一方的に投げつけた約束も。
読み通り、キースが眠りに落ちて、力の緩み始めた指からそっと小指を抜き取り、そのまま指を離す前に少しだけキースの小指に自分の小指を絡めた。

「――置いてなどいくものか」

ディノについて本当のことを告げてやれない後ろめたさはあるが、それでもキースに今言うわけにはいかない。
事実を言ってしまえば、俺を置いていってしまうのはきっとお前だ。
それだけはさせない。させてたまるものか。

「お前を置いてなどいかないから、お前も俺を置いていくな」
「…………ん……」

キースに聞かせるためではなく、自分に言い聞かせるように呟いた言葉にキースが反応した。
まともな返事などではないとわかっているが、それでも少しだけ心が落ち着いたのを自覚する。
置いていくなと、もう一度心の中で呟きながら、すっかり煙草と酒の匂いが纏わり付いたキースの髪を軽く撫でてからそっと口付けた。
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#ブラキス #ワンライ

■Information

@yukiha_hrksの書きかけ&pixivUP前の短編置き場。ジャンルもカプも雑多。
しばらくはエリオス(キスブラ他)が多くなりそう。
完成するかもしれないし、しないかもしれない。
らくがきは適度な頃に消し。
各ワンドロライで書いた分については後日サイト等にも置きます。
※こちらはポイピクが重いときの避難所です。
置いているものは大体一緒です。
Junkや未整頓だったサイトのEntryからも移行作業中。
タイムスタンプはサイトに置いている分はサイトの記録から、置いてない分は元ファイルの作成日。
https://whitealice.xyz/

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