全年11月20日の投稿[1件]
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オスカーと出会った時のキスブラ。
ビームス家に奉公人として約8年ってことは、出会いはルーキー時代→その場にキースも一緒にいてもおかしくないな、というとこから出来たネタ。
そのうちちゃんと仕上げたい。というかネタはいくつも浮かんでるけど書くのが追いついてない……。
俺たちに少年がぶつかった直後、キースがサイコキネシスを使って、走り去ろうとした少年を瞬時に抑え込んだ。
「なっ、離せっ!」
「……お前、ここら辺根城にしてるなら、警察とヒーローには手ぇ出すなって誰かに言われなかったか? それともこっちがルーキーだからと侮ったか。残念だったな」
「キース! 貴様、一般人相手に……っ」
「これ。お前のだろ?」
「っ!?」
キースが能力で俺のところに寄越した財布は見覚えがある、なんてものではなかった。
とっさに財布を入れていたはずのポケットを探ったが、あるべきものはそこにない。
「俺の、財布……?」
「一応、中確認してみろ。すぐ捕まえたから大丈夫だと思うけど」
「盗られた、のか」
全く気付かなかった。
「中は無事だ。だが――」
窃盗の現行犯だ。このまま見過ごすわけにはいかない。
キースと少年に近寄ろうとしたが、キースがこっちに来るなと手で指し示す。
「いいか。十番街のはずれにCieloって赤い看板出してるバーがある。夕方、店が開いたらそこのマスターにキース・マックスに聞いてきたって言えば、今晩の飯と寝床くらいはどうにかしてくれるはずだ。――行け。もうヒーローに手ぇ出すのはやめとくんだな」
「なっ、おい!」
キースが少年から手を離すと、少年が俺たちをちらっと見た後、直ぐに走り出した。
慌てて、後を追おうとしたが、そこでキースに腕を掴まれる。
「見逃してやれ、ブラッド」
「そうもいかん。俺の財布が無事でも、他の者に対して同じことをしないとは限らない」
「だろうな。手慣れてる様子だったから、まぁさっきのが初めてじゃねぇだろうさ」
「ならば、なおのこと――」
「けど、アイツらはそうしなきゃ生きていけねぇんだよ」
「っ……」
キースが俺の腕を掴んでいる手に力を籠めた。
俺の方を見ない目が宿している暗さに二の句が告げられない。
「ここにいるガキはみんな家がないか、あってもまともに帰れねぇヤツばかりだ。親の庇護なんてもんはねぇ。自分で生きていくための金をどうにかしねぇ限り、野垂れ死ぬしかねぇんだよ」
「…………キース」
「警察が保護して、収容施設にいれられたところで、結局一時的なもんだ。ま、ある程度金稼いで、喧嘩も強いってなりゃ、ヒーローを目指して、環境を変えるってことは出来るけどな。そうするまでに生き延びてなけりゃどうにもなんねぇ」
「…………それはお前の体験談か」
キースの育ってきた環境が、俺とは全く違うことは知っていた。
アカデミーに入る前は、人には堂々と言えないようなこともしたというのも聞いた。
詳細まではしらないが、恐らく今の少年のように窃盗などの経験があったということだろう。
キースが自嘲するような笑みを浮かべた。
「お前みたいな坊ちゃん育ちにゃ想像しにくいだろうけどさ」
その言葉に微かに胸の奥が痛んだ。
物心ついた頃から両親は忙しく、ゆっくり話も出来ず、一抹の寂しさこそあったが、与えられた生活そのものは恵まれた方だっただろうという自覚はある。
少なくとも衣食住の面において、不安を抱いたことは一度もない。
――走り去った少年の腕の細さと傷みが酷かった服を思い出す。
かつてのキースもそうだったのだろうか。
頼れるもののない中で、必死に生き延びてヒーローを目指し、今を手に入れて――。
「……先程の少年一人なら、家に事情を話せば、面倒をみてくれると思う」
「おい、ブラッド?」
俺の言った意味を理解し切れていないのか、キースが首を傾げる。
「ヒーローを目指せるだけの素質もありそうだしな。……お前があの少年に能力を使ったのは、そうでなければ逃げられると判断したからだろう?」
「ブラッド」
「――俺だって、誰も彼もを助けられるなどとは思っていない。だが、助けた一人がヒーローとなることで、いずれ他の誰かを助け、守っていくことなら出来るはずだ。先程の少年と似たような環境で過ごしただろうお前が、今はヒーローとしてそうであるように」
キースはアカデミーの頃から体術に長けている。生半可な相手なら抑えるのに能力を使うことなどしなかったはずだ。
そのキースに能力を使わせたという点で、素質は十分にあると判断出来る。
「……さっきのガキがヒーローを目指すとは限んねぇぞ。そもそも、オレが教えたバーに行くかどうかもわからねぇ」
「そうだな。だが、目指さないとも限らないだろう。今日の仕事が終わったら、Cieloとやらに行ってみる」
「――好きにしろよ。オレはもう知らねぇぞ」
「ああ」
「あー……お前も妙なとこで頑固だよな……。マスターが警戒しそうなら、オレの名前出しとけ。一応、伝えておいてはやる」
「感謝する」
Close
#キスブラ #書きかけ
ビームス家に奉公人として約8年ってことは、出会いはルーキー時代→その場にキースも一緒にいてもおかしくないな、というとこから出来たネタ。
そのうちちゃんと仕上げたい。というかネタはいくつも浮かんでるけど書くのが追いついてない……。
俺たちに少年がぶつかった直後、キースがサイコキネシスを使って、走り去ろうとした少年を瞬時に抑え込んだ。
「なっ、離せっ!」
「……お前、ここら辺根城にしてるなら、警察とヒーローには手ぇ出すなって誰かに言われなかったか? それともこっちがルーキーだからと侮ったか。残念だったな」
「キース! 貴様、一般人相手に……っ」
「これ。お前のだろ?」
「っ!?」
キースが能力で俺のところに寄越した財布は見覚えがある、なんてものではなかった。
とっさに財布を入れていたはずのポケットを探ったが、あるべきものはそこにない。
「俺の、財布……?」
「一応、中確認してみろ。すぐ捕まえたから大丈夫だと思うけど」
「盗られた、のか」
全く気付かなかった。
「中は無事だ。だが――」
窃盗の現行犯だ。このまま見過ごすわけにはいかない。
キースと少年に近寄ろうとしたが、キースがこっちに来るなと手で指し示す。
「いいか。十番街のはずれにCieloって赤い看板出してるバーがある。夕方、店が開いたらそこのマスターにキース・マックスに聞いてきたって言えば、今晩の飯と寝床くらいはどうにかしてくれるはずだ。――行け。もうヒーローに手ぇ出すのはやめとくんだな」
「なっ、おい!」
キースが少年から手を離すと、少年が俺たちをちらっと見た後、直ぐに走り出した。
慌てて、後を追おうとしたが、そこでキースに腕を掴まれる。
「見逃してやれ、ブラッド」
「そうもいかん。俺の財布が無事でも、他の者に対して同じことをしないとは限らない」
「だろうな。手慣れてる様子だったから、まぁさっきのが初めてじゃねぇだろうさ」
「ならば、なおのこと――」
「けど、アイツらはそうしなきゃ生きていけねぇんだよ」
「っ……」
キースが俺の腕を掴んでいる手に力を籠めた。
俺の方を見ない目が宿している暗さに二の句が告げられない。
「ここにいるガキはみんな家がないか、あってもまともに帰れねぇヤツばかりだ。親の庇護なんてもんはねぇ。自分で生きていくための金をどうにかしねぇ限り、野垂れ死ぬしかねぇんだよ」
「…………キース」
「警察が保護して、収容施設にいれられたところで、結局一時的なもんだ。ま、ある程度金稼いで、喧嘩も強いってなりゃ、ヒーローを目指して、環境を変えるってことは出来るけどな。そうするまでに生き延びてなけりゃどうにもなんねぇ」
「…………それはお前の体験談か」
キースの育ってきた環境が、俺とは全く違うことは知っていた。
アカデミーに入る前は、人には堂々と言えないようなこともしたというのも聞いた。
詳細まではしらないが、恐らく今の少年のように窃盗などの経験があったということだろう。
キースが自嘲するような笑みを浮かべた。
「お前みたいな坊ちゃん育ちにゃ想像しにくいだろうけどさ」
その言葉に微かに胸の奥が痛んだ。
物心ついた頃から両親は忙しく、ゆっくり話も出来ず、一抹の寂しさこそあったが、与えられた生活そのものは恵まれた方だっただろうという自覚はある。
少なくとも衣食住の面において、不安を抱いたことは一度もない。
――走り去った少年の腕の細さと傷みが酷かった服を思い出す。
かつてのキースもそうだったのだろうか。
頼れるもののない中で、必死に生き延びてヒーローを目指し、今を手に入れて――。
「……先程の少年一人なら、家に事情を話せば、面倒をみてくれると思う」
「おい、ブラッド?」
俺の言った意味を理解し切れていないのか、キースが首を傾げる。
「ヒーローを目指せるだけの素質もありそうだしな。……お前があの少年に能力を使ったのは、そうでなければ逃げられると判断したからだろう?」
「ブラッド」
「――俺だって、誰も彼もを助けられるなどとは思っていない。だが、助けた一人がヒーローとなることで、いずれ他の誰かを助け、守っていくことなら出来るはずだ。先程の少年と似たような環境で過ごしただろうお前が、今はヒーローとしてそうであるように」
キースはアカデミーの頃から体術に長けている。生半可な相手なら抑えるのに能力を使うことなどしなかったはずだ。
そのキースに能力を使わせたという点で、素質は十分にあると判断出来る。
「……さっきのガキがヒーローを目指すとは限んねぇぞ。そもそも、オレが教えたバーに行くかどうかもわからねぇ」
「そうだな。だが、目指さないとも限らないだろう。今日の仕事が終わったら、Cieloとやらに行ってみる」
「――好きにしろよ。オレはもう知らねぇぞ」
「ああ」
「あー……お前も妙なとこで頑固だよな……。マスターが警戒しそうなら、オレの名前出しとけ。一応、伝えておいてはやる」
「感謝する」
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#キスブラ #書きかけ