避難所 短編・書きかけ置き場

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2021年10月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

キスブラ版ワンドロライ第49回(Webオンリーとのコラボ回)でのお題から『キス』を使って書いた話です。
アカデミー時代から体の関係があった前提。R-15くらいで。執筆時間大体1時間(多分)
ただ二人が朝からいちゃいちゃしてるだけの話になったw

…………懐かしい夢を見ていた。
目が覚めた時、真っ先に視界に入った天井でさっきまでのは夢だったと直ぐに認識出来たが、妙にリアリティがあったように思う。
夢の内容はアカデミーの頃のキースと共に夜を過ごしていたもの。
つい先程まで夢にいた相手は、現実ではごく近くで気持ち良さそうに寝息を立てている。
夢を見た理由には心当たりがあった。
昨夜はキースの家に泊まったが、シャワーを借りた際、アカデミー時代にヤツが使用していたボディソープ――いや、体だけではなく髪も顔も洗えるというものだからボディソープというのとは少し違うのだろうが――を久し振りに使ったせいだろう。

――キース、あのボディソープは……。
――ああ、メーカーの何周年だかで復刻したんだってよ。懐かしくてつい買っちまった。そうそう、こんな匂いだったよな。
――んっ…………。

俺より先に風呂から上がっていたキースは、俺を待っていた間に煙草を吸っていなかったらしく、いつもならキスすると一層強く香ってくる煙草の匂いではなく、微かな歯磨き粉の味と共に懐かしいボディソープの匂いが纏わり付いてきた。
安物で嫌いじゃないが、香りが強いんだと当時言ってもいたからか、ヒーローとして【HELIOS】に勤務するようになってからはいつの間にか使わなくなっていたが、久し振りにかいだ匂いは様々な記憶を引き摺り出して、昨夜は気分がいつもより昂ぶってしまった。
キースもそうだったのか、やけに密着するような体位をしたがっていたように思う。
……キースと最初に肌を重ねてから、もう十年以上経つのか。
最初はキス一つでも随分とぎこちなかったはずだが、年月を経た今はもう良くも悪くも慣れたものだ。
寝顔はあの頃とあまり変わらないなと思いながら、少しだけ体を起こして、キースの髪に口付ける。
眠る前に散々かいだ匂いを感じながら、指でもそっと髪に触れた。
あくまでも起こさないように静かに触れたつもりだったが、キースから離れようとした寸前で、ベッドの中でキースの手が俺の腰に回され、閉ざされていた目が開く。

「……っ、すまない、起こしたか」
「んー……まぁ起こされたっていうか、ちょうど目が覚めたって感じだな。もうちょっとだけ寝ようぜ、まだ起き出すにはちぃと早いだろ」
「んっ」

腰に置かれていた手が上へと移動し、肩を掴んで起こしていた体をベッドの中に戻せと言わんばかりに力が籠められた。
大人しく従えば、顔が寄せられて、自然と目を閉じる。
当たり前のように触れてきたキースの唇は少し乾いていたが、唇を触れ合わせているうちに気にならなくなってくる。
少しだけ舌で唇の間からつついたら、その舌に吸い付かれて、甘い刺激が体を突き抜けていった。
これ以上は戯れで済まなくなると唇を離そうとしたが、キースにはやめるつもりがないらしく、離しかけた唇は追われ、再び重なって、今度はそのまま舌が口内を撫でていく。擽るように、または突くように、と動きを少しずつ変化させながら。

「…………っ……ふ」

つい零れてしまう声に、笑った気配がし、つられて目を開けて――もう寝直すつもりなど、キースにはないのを悟った。
ペリドットの目は明らかな情欲の色を映している。
いや、キースが口にした『寝よう』という意味が、そもそもそちらを示していたのかもしれない。
ならば、俺の方からもキースの口内を舌で刺激しようと動き始めると、キースの方は舌の動きを止めた。
好きにしろということだろうと解釈して、しばらく舌を動かしていると、キースも微かに吐息を零した。

「ん…………お前、ホント上手くなったよなー、キス」

キースも俺と同じようにボディソープの匂いから、過去を懐かしく思ったのか、そんな言い方をする。

「……誰がそうしたと」
「まぁ、俺しかいねぇよな。……ブラッド。今日オフだし、このまま続けていいだろ? 朝飯、白飯と味噌汁にしてやるからさ」

普段なら朝から作るのは面倒がるメニューを口にしながら、キースの手が俺の背中を滑り落ちていった。
数時間前も散々触れられているのに、それだけでも体の芯が熱くなっていくのを実感する。

「…………卵焼き、もだ」

震えてしまいそうになる声をどうにかおさえて、要求をつけくわえると間近にある目が笑った。

「つけてやるって。だし巻きな。目玉焼きでもいいけど」
「……だし、巻き…………が、いい」
「はいよ。あとは……ほうれんそうのおひたしだっけ? あれも作るか」
「っ……」

再び、唇が重なったのと腰が触れ合ったのは同時。
お互いに張り詰めているのがしっかりと伝わる。
微かに薫ったボディソープの匂いを始まりの合図に本格的に動き始めた。
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#キスブラ #ワンライ

2020年12月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

キスブラ版ワンドロライ第6回でのお題から『ハンテン』を使って書いた話です。
何か、ハンテンというよりこたつの話になったw
逆視点追加バージョンNovel にあります。
※pixivにも纏めたら、こことポイピクから削除します。

ブラッドが今日はオフだから、本来は昨日が締め切りだった報告書は明日提出すればいいか、なんて思っていたところ、当のブラッドからサウスの研修チーム部屋まで報告書を持ってこいって連絡が入った。
だったら、昼休みのタイミングで先に報告書を提出しとくかと、サウスの研修チーム部屋に行ったら、数日ここを訪れていなかった間に、見慣れない物が共有スペースの中央に置いてあった。
最初、低めのテーブルかと思ったが、脚があるはずの部分には布団が覆い被さっていて、見えないようになっている。
朧気に記憶に引っかかるが、名称が出て来ない。何ていうんだっけ、これ。
多分、ブラッドに教えて貰った日本の暖房器具だったと思うんだが――。
そう考えていたところで、キッチンの方にいたブラッドがオレのところまで来た。

「ああ、来たのか。ちょうど昼飯にポトフを作っていたところだが、お前も食っていくか?」
「お、食う食う。今日寒いから外出るの億劫だし、昼飯どうしようかと思ってたんだよな。こんな日だとタワー内にある店は絶対混むしさ。で、これ何だっけ? 前に教えて貰った気がするけど、名前出て来ねぇんだよな」
「『こたつ』だ。日本の暖房器具の」
「あ、それだ。お前が48手やってみたいとか言ったときに、日本人の小柄な体格ならともかく、オレたちの体格だと使っても試すのはキツそうだってなったやつな」

日本の性技書?に、48手っていうやつがあって、その中にこのこたつってのを使うのがあったんだよな。
こうして実際に見てみると、オレたちじゃ難しそうだってのは間違ってなかったなと思う。テーブルの脚の低さを考えると、オレたち二人分の足を入れて、かつ動くとなるとスペースに余裕がなさ過ぎる。

「……他に言うことはないのか。昼から出す話題でもないだろう」
「思い出しちまったんだから仕方ねぇだろ。他のヤツラもいねぇんだからそんくらい見逃してくれって。結局買ったのかよ」
「単純に暖房器具としてな。もう少しで出来るから、こたつに入って待ってろ。それと今のうちに報告書にミスがないか確認しておけ。寒ければ、そこに置いてあるハンテンを着るといい」
「ハンテン? これも日本のか?」

こたつのテーブルに乗っかっている、ぱっと見ちっちゃな布団っぽく見えるやつは着るものだったらしい。

「ああ。日本の室内での防寒着だ。アキラに教わって取り寄せた物をオスカーにもやったが、以来この部屋にいる時はずっと着ているな」
「あー、オスカー寒がりだもんなぁ。お、こりゃ確かに暖かいわ」

ハンテンってやつに袖を通し、靴を脱いで足をこたつの中につっこむと全身がポカポカと温まってくる。

「うわー、こりゃいいな……ここから出たくなくなりそうだ。お前、この状態で仕事していて嫌になんねぇ?」

テーブルの上には他にもブラッドが使っていただろうノートパソコンやタブレット、数枚の書類が置かれていて、昼飯作るまでは仕事してたんだろうってのは想像ついた。

「適度に温度の調節はしている。あと、俺が休みの日に仕事をしていた原因の一端は貴様にもあるのだが」
「おっと、悪ぃ。報告書にミスがないか確認、な」

下手に小言が続かねぇよう、報告書を取りだして内容をチェックする。大丈夫なはず、だ。多分。

「確認したぜ、大丈夫なはずだ。これ、ここの書類の上に乗っけて大丈夫か?」
「ああ。それでいい。ポトフが出来たから、自分の分は自分で持って……あ、こら」

多分自分用にブラッドが手にしていた、ポトフとパンの入った皿をサイコキネシスでここまで運び、ついでにもう1セット分もサイコキネシスで運んだ。
呆れた顔でブラッドがフォークとスプーンだけ二人分手にしてこっちに来る。

「軽率に能力を使うなと何度言えば」
「他のヤツがいない時くらいいいだろ。ほらほら冷めねぇうちに食おうぜ」

流石に熱々のポトフを食いながらだと暑くなりそうだと、ハンテンを脱いでこれまた能力でソファに置く。

「…………お前がこたつとハンテンを使うようになったら、その能力との合わせ技でろくにこたつから出て来なくなりそうだな」
「いやー、ちょっとこの温かさは魅力的だろ。自宅用に買うのはありかもな」

ウエストの研修チーム部屋でも勿論いいんだが、あえて自宅と口にした意味をブラッドが気付くかどうか。
表情に変化はなかったが、僅かな沈黙の後に発した言葉は心なしか弾んでいるように聞こえた。

「……もし、本当にお前が自宅に置くつもりなら、三分の二は俺が出してもいい」
「半分で十分だっての。じゃ、買うかー。こたつの脚が長めのやつな」
「探してみよう」

これは意味が伝わったな。次、オフが重なるのっていつだっけ。
それまでにこたつを調達出来るといいなと思いながら、熱々のポトフを堪能した。
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#キスブラ #ワンライ

■Information

@yukiha_hrksの書きかけ&pixivUP前の短編置き場。ジャンルもカプも雑多。
しばらくはエリオス(キスブラ他)が多くなりそう。
完成するかもしれないし、しないかもしれない。
らくがきは適度な頃に消し。
各ワンドロライで書いた分については後日サイト等にも置きます。
※こちらはポイピクが重いときの避難所です。
置いているものは大体一緒です。
Junkや未整頓だったサイトのEntryからも移行作業中。
タイムスタンプはサイトに置いている分はサイトの記録から、置いてない分は元ファイルの作成日。
https://whitealice.xyz/

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