No.47
キスブラ版ワンドロライ第13回でのお題から『共有』を使って書いた話です。
ヤッてはいないけど、性描写がちょっと含まれるのでR-15くらいで。
数年後、キスブラが同棲し始めたという前提の元に書いてます。
「キース、準備はいいか」
「おう。いつでも行けるぜ。つうか、借りといてなんだけど、やっぱりこういう服どうも落ち着かねぇな」
「仕方あるまい。明後日には荷物も届くようだし、一、二日くらいは我慢しろ」
「へいへい、わかってるって」
キースが今着ているのは、下着を除く全てが俺の服だ。
キースと俺は服の趣味が全く異なるのもあって、本人は落ち着かないと言うが、良く似合っているし、時々はこうして俺の服を着るキースを見たいくらいだが、それを口にすると反発されるのは目に見えているのでやめておいた。
二人で一緒に住むことを決め、セントラルに新たにマンションを借り、引っ越して来たのが昨日のことだ。
が、キースが引っ越しに利用した業者の方でトラブルが発生し、他の客との荷物が混じってしまい、分別に時間が掛かっているとのことで、本来は今日のうちに届くはずだったキースの荷物は、明後日に届くという連絡が入った。
さすがに下着については、荷物遅延の連絡が入った時点で身近な店から数枚購入したが、他の衣類まではその店だとほとんど置いていなかったこともあって貸した。
俺たちの体格は近く、サイズの問題は全くないのだし、これから買い物に行くことを除けば、明後日までは仕事以外の外出予定もない。
家を出て、地下の駐車場に向かい、車に乗り込んで、ナビにショッピングセンターの情報を入れる。
道の混雑状況から最適なルートを導き出したナビが所要時間を告げ、車を走らせると、助手席に座っていたキースがそういえば、と口を開いた。
「日用品だけどさ。オレたちがそれぞれで使ってたヤツ、使い切った後どうする? 同じヤツ使うようにして纏めちまうか? シャンプーとかはこだわりがあれば分けるとしても、食器用の洗剤なんかは分けるの逆に面倒だろ?」
「そうだな。俺はお前が使っていたボディソープを継続して使うのであれば、他はどちらのものに変えても構わない。統一出来る物はしてしまった方が今後買い物する際にも都合がいいだろう」
「……ん? ボディソープってオレの? お前の、じゃなくて?」
「ああ。……香りが気に入っているからな」
キースの家に泊まった際にずっと使っていたのもあって、俺としても馴染みがある。
キースは喫煙者だから、一緒にいるとどうしても煙草の匂いの方が強く出るが、それでもふとした拍子にボディソープの方の香りを感じることもあったし、何より――セックスの際はシャワーを浴びてすぐ、というのが大半だから、触れ合った際には煙草よりもボディソープの香りの方が強く出る。
別々に住んでいた時はわざわざ同じ物で揃えるのは躊躇われたが、住まいが一緒であれば、同じ物で揃える理由としては十分だろう。
「…………うわ、エロ」
「……何故、そうなる」
キースの使っているボディソープを選んだ理由に下心がなかったわけではないから、微かに動揺はしたが、表情には出さなかったはずだ。
「ええ……考えてなかった、なんて言わせねぇぞ。オレ、普段は酒と煙草の匂いしかしねぇだろ。ボディソープの香りがわかるタイミングなんて限られてるじゃねぇか。それこそ、セックスの前後とか――ああ、あとフェラの時なんか特に分かりやすいよな。毛に匂い絡みつくから」
「…………キース」
車の中とはいえ、外でするような話ではない。
信号で止まった際に睨み付けたが、キースは涼しげな顔だ。
「なんだよ、お前が最初に言ったんじゃねぇか」
「俺はボディソープの話をしただけだが」
「そうだなー。香りが気に入っているって言った割には、自分で買わずに別のを使っていたってボディソープの話な。こっちはずっと同じ物を何年も使っているってのに、お前が買わないまんまで、あえて別のを使っていたって理由をちゃんと教えてくれるなら、ここで話切り上げてやってもいいぜ」
「…………そこまで言うのであれば、理由など察しているんだろう」
「どうだろうなぁ。案外間違ってるかもしれねぇし、お前の口から説明して欲しいとこだな、オレとしちゃ」
俺の耳に触れてきたキースの手を撥ね除けてしまいたいが、そんなタイミングで信号が変わる。
こちらが手が出せないのをいいことに、キースの指は離れていかない。
さすがに運転中だから、本当に危なくなるような動き方はしないが、話していた内容が内容なだけに、ただ触れられているだけでも妙な意識をしてしまう。
諦めて白旗を挙げたのは俺の方だった。
「…………買い物が終わって家に戻ったら説明する。だから、一旦その指を離せ」
「よし、言質は取ったからな。ちゃんと説明しろよ。ああ、買い物するならボディソープも買っていこうな。オレが使っていたヤツ、まだ届いてねぇし」
俺が使っていたボディソープならまだある、と喉元まで出かけたが、結局は口を閉ざす。
こうなると、今、キースが着ているのが俺の服だというのもまずかった。
それこそ脱ぐ前から柔軟剤による同じ香りで、必要以上に意識してしまいそうだ。
せめて、買い物を終わらせる前に何か反撃の糸口を見つけようと考えながら、ショッピングセンターへと向かった。
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#キスブラ #ワンライ
ヤッてはいないけど、性描写がちょっと含まれるのでR-15くらいで。
数年後、キスブラが同棲し始めたという前提の元に書いてます。
「キース、準備はいいか」
「おう。いつでも行けるぜ。つうか、借りといてなんだけど、やっぱりこういう服どうも落ち着かねぇな」
「仕方あるまい。明後日には荷物も届くようだし、一、二日くらいは我慢しろ」
「へいへい、わかってるって」
キースが今着ているのは、下着を除く全てが俺の服だ。
キースと俺は服の趣味が全く異なるのもあって、本人は落ち着かないと言うが、良く似合っているし、時々はこうして俺の服を着るキースを見たいくらいだが、それを口にすると反発されるのは目に見えているのでやめておいた。
二人で一緒に住むことを決め、セントラルに新たにマンションを借り、引っ越して来たのが昨日のことだ。
が、キースが引っ越しに利用した業者の方でトラブルが発生し、他の客との荷物が混じってしまい、分別に時間が掛かっているとのことで、本来は今日のうちに届くはずだったキースの荷物は、明後日に届くという連絡が入った。
さすがに下着については、荷物遅延の連絡が入った時点で身近な店から数枚購入したが、他の衣類まではその店だとほとんど置いていなかったこともあって貸した。
俺たちの体格は近く、サイズの問題は全くないのだし、これから買い物に行くことを除けば、明後日までは仕事以外の外出予定もない。
家を出て、地下の駐車場に向かい、車に乗り込んで、ナビにショッピングセンターの情報を入れる。
道の混雑状況から最適なルートを導き出したナビが所要時間を告げ、車を走らせると、助手席に座っていたキースがそういえば、と口を開いた。
「日用品だけどさ。オレたちがそれぞれで使ってたヤツ、使い切った後どうする? 同じヤツ使うようにして纏めちまうか? シャンプーとかはこだわりがあれば分けるとしても、食器用の洗剤なんかは分けるの逆に面倒だろ?」
「そうだな。俺はお前が使っていたボディソープを継続して使うのであれば、他はどちらのものに変えても構わない。統一出来る物はしてしまった方が今後買い物する際にも都合がいいだろう」
「……ん? ボディソープってオレの? お前の、じゃなくて?」
「ああ。……香りが気に入っているからな」
キースの家に泊まった際にずっと使っていたのもあって、俺としても馴染みがある。
キースは喫煙者だから、一緒にいるとどうしても煙草の匂いの方が強く出るが、それでもふとした拍子にボディソープの方の香りを感じることもあったし、何より――セックスの際はシャワーを浴びてすぐ、というのが大半だから、触れ合った際には煙草よりもボディソープの香りの方が強く出る。
別々に住んでいた時はわざわざ同じ物で揃えるのは躊躇われたが、住まいが一緒であれば、同じ物で揃える理由としては十分だろう。
「…………うわ、エロ」
「……何故、そうなる」
キースの使っているボディソープを選んだ理由に下心がなかったわけではないから、微かに動揺はしたが、表情には出さなかったはずだ。
「ええ……考えてなかった、なんて言わせねぇぞ。オレ、普段は酒と煙草の匂いしかしねぇだろ。ボディソープの香りがわかるタイミングなんて限られてるじゃねぇか。それこそ、セックスの前後とか――ああ、あとフェラの時なんか特に分かりやすいよな。毛に匂い絡みつくから」
「…………キース」
車の中とはいえ、外でするような話ではない。
信号で止まった際に睨み付けたが、キースは涼しげな顔だ。
「なんだよ、お前が最初に言ったんじゃねぇか」
「俺はボディソープの話をしただけだが」
「そうだなー。香りが気に入っているって言った割には、自分で買わずに別のを使っていたってボディソープの話な。こっちはずっと同じ物を何年も使っているってのに、お前が買わないまんまで、あえて別のを使っていたって理由をちゃんと教えてくれるなら、ここで話切り上げてやってもいいぜ」
「…………そこまで言うのであれば、理由など察しているんだろう」
「どうだろうなぁ。案外間違ってるかもしれねぇし、お前の口から説明して欲しいとこだな、オレとしちゃ」
俺の耳に触れてきたキースの手を撥ね除けてしまいたいが、そんなタイミングで信号が変わる。
こちらが手が出せないのをいいことに、キースの指は離れていかない。
さすがに運転中だから、本当に危なくなるような動き方はしないが、話していた内容が内容なだけに、ただ触れられているだけでも妙な意識をしてしまう。
諦めて白旗を挙げたのは俺の方だった。
「…………買い物が終わって家に戻ったら説明する。だから、一旦その指を離せ」
「よし、言質は取ったからな。ちゃんと説明しろよ。ああ、買い物するならボディソープも買っていこうな。オレが使っていたヤツ、まだ届いてねぇし」
俺が使っていたボディソープならまだある、と喉元まで出かけたが、結局は口を閉ざす。
こうなると、今、キースが着ているのが俺の服だというのもまずかった。
それこそ脱ぐ前から柔軟剤による同じ香りで、必要以上に意識してしまいそうだ。
せめて、買い物を終わらせる前に何か反撃の糸口を見つけようと考えながら、ショッピングセンターへと向かった。
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