避難所 短編・書きかけ置き場

No.52, No.51, No.50, No.49, No.48, No.47, No.467件]

ブラキス版ワンドロ&ワンライ第12回(最終回)でのお題から『指切り』+第11回のお題の『キス』を使って書いた話です。
ロスト・ゼロ後、ディノがいなくなってから間もなくくらいの頃。+20分ほど。
企画&運営ありがとうございました!

ディノがいなくなって以降、キースはそれまであまり口にしなかった酒に溺れるようになり、よく酔い潰れるようになった。
今日もキースがよく訪れるバーで酔い潰れたと連絡を貰い、キースを迎えに行き、ヤツの家までこうして連れて帰ってきた。
10期生としてタワーで数年の共同生活を送った後、キースは所属することになったウエストに家を借りて生活するようになったが、ここ数ヶ月は訪れる度に床に転がる酒瓶の数が増えているような気がする。
あれほど、酒に溺れるのはごめんだと、父親のようにはなりたくないと言っていたというのに。
キースの飲み方は酒を楽しむというよりも、自分を傷つけているようにも見える。
微かに胸の奥に感じた痛みを押し込め、ベッドにキースを放り込み、キッチンから水を持ってこようとしたところで、酔い潰れていたはずのキースが俺の腕を掴んだ。
予想していなかった動きに加え、思いの外、力が籠められていたことで、よろめいてキースに覆い被さるような形になる。
とっさに腕をついて、キースを潰さないようにはしたが、キースの方が俺の体に腕を回して体を密着させた。

「おい、キース離せ」
「やだ、行くなって……」
「水を持ってくるだけだ。すぐ戻る」
「行くなよ、ブラッド……お前は……ここ、に……いて」

益々、力の籠められた腕。
強引に腕を振りほどくことも出来ただろうが、行くなと口にしたときの響きが妙にもの悲しく聞こえたせいか、振りほどくことに躊躇いが生じた。
数分もすれば、完全に眠りに落ちて力も入らなくなるだろうと諦め、体の力を抜いて体重をそのままキースに預ける。
自分と大して変わらない体格の男だ。結構な重さを感じているだろうに、キースが笑ったのが伝わった。
――キースの笑い声を聞いたのは久し振りのような気がする。
ただ、やはりどこかその笑う声に悲しい響きが混じっているように思えた。
表情を確認しようと思ったが、頭を上げようとしたところでキースがそれを止める。
今の顔を見られたくないのかと判断して、再び体の力を抜いた。

「…………これでいいか」
「ん……そうそう、これでいい……お前はどこにもいかない……ってやく、そく……」
「キース」
「おいて、いくな……よ……約束した、からな……」

キースの指が俺の小指を握りこんだ。
約束、と言いながらの行動だから、本人はこれで指切りのつもりなのかもしれない。
もっとも、酔っ払っているキースに行動の如何を問いかけたところで無駄だろう。
明日にはきっと何もかも忘れている。
俺がこの家までキースを運んだことも、キースが俺に行くなとねだったことも、一方的に投げつけた約束も。
読み通り、キースが眠りに落ちて、力の緩み始めた指からそっと小指を抜き取り、そのまま指を離す前に少しだけキースの小指に自分の小指を絡めた。

「――置いてなどいくものか」

ディノについて本当のことを告げてやれない後ろめたさはあるが、それでもキースに今言うわけにはいかない。
事実を言ってしまえば、俺を置いていってしまうのはきっとお前だ。
それだけはさせない。させてたまるものか。

「お前を置いてなどいかないから、お前も俺を置いていくな」
「…………ん……」

キースに聞かせるためではなく、自分に言い聞かせるように呟いた言葉にキースが反応した。
まともな返事などではないとわかっているが、それでも少しだけ心が落ち着いたのを自覚する。
置いていくなと、もう一度心の中で呟きながら、すっかり煙草と酒の匂いが纏わり付いたキースの髪を軽く撫でてからそっと口付けた。
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#ブラキス #ワンライ

キスブラ版ワンドロライ第20回でのお題から『きんぴら』を使って書いた話です。
西のドラマCD試聴で、キースが禁ピザをきんぴらに聞き間違えたのって絶対ブラッドの影響ですよね……w

「キンピラ?」

和食はだしをとったり、切り方に拘りがあったりと、何かと手順が面倒くさいから作れねぇ、と前々からブラッドには言ってあったが、ヤツはどうにも諦めきれなかったらしい。
ある日、前触れもなしにこれなら和食でも簡単な方だから、とブラッドが持ってきたレシピがキンピラゴボウって料理だった。
根菜類をメインにし、甘辛く炒めた料理だという。

「これなら、だしは使わずに出来る料理だがどうだ? 切り方も繊細な類のものではない。調味料もゴボウもリトルトーキョーなら購入出来る。ご飯のおかずだけでなく、酒のつまみとしても合う料理だそうだ」

酒のつまみという言葉に興味をひかれ、レシピに目を通すと確かに手順としてはそう面倒なものじゃなかった。
ただ、ゴボウって野菜には馴染みがない上に、画像を見た限りじゃあんまり美味そうに見えねぇ。
泥がこびりついていて、ぱっと見は木の根っこみてぇだ。

「ゴボウ……ってこれちゃんと食えんのか?」
「食材にしているのは日本ぐらいらしいな。だが、食物繊維が豊富でミネラルも含まれるし、リトルトーキョーなら問題なく手に入る。勿論、他にも必要なものはこちらで一通り用意するから――」

作って欲しいと言われちまうと、断るのも気が引ける。
酒のつまみとしても合うとなれば、正直興味もあるし。
何より、ブラッドがどうにかオレが作りそうな和食を探して、こうしてレシピを持ってきたってことを考えると、中々可愛いことすんなって思っちまったのもあった。
今も表情はそう変わってないが、凄ぇ期待した目でこっちを見てる。
しゃーねぇなぁ。

「んー……ま、いいか。今度のオフの時でいいよな? そのレシピのファイル、後でオレのとこに送っといてくれ」
「ああ。感謝する。日本酒も何か調達して行こう」
「お。マジか。そっちが楽しみだわ」

ふわ、と目元を綻ばせたブラッドに、だったら、もう一品ぐらいそのゴボウを使った料理探して作ってみるかとこっそり内心で決めた。

***

オフ当日。
オレは朝から休みだったが、午前中は仕事だったブラッドが、仕事終わりに食材を調達してくれたから、夕食に合わせてブラッドご希望のキンピラゴボウ、そしてそれと一緒に作ったもう一品の和食を出すとブラッドが明らかに目を輝かせた。

「これ、は」
「ゴボウに関してのレシピ探してたら、牛肉の八幡巻きってのがあって、使う調味料もキンピラゴボウとほぼ被ってたから一緒に作ってみた。まぁ、調味料が被ってるだけあって、ベースの味にそう変化があるわけじゃねぇけど、こっちはこっちで赤ワインにも合うとか見かけちまったからさ」

ついでとばかりに白飯と吸い物の一つも用意しちまった。
まぁ、白飯はブラッドが家に持ち込んだ炊飯器使ったし、吸い物も白だしって調味料をベースにしていて、わざわざだしをとったやつじゃねぇから、かなり手軽なもんではあるが、結局は完全に和食の献立だ。
ブラッドが持ってきた日本酒と、こっちで用意してあった赤ワインも一緒にテーブルに出して並べると、ブラッドがまだ酒も飲んでねぇのに、微かに頬を染めている。
思ったよりテンション上がったみてぇだな、こりゃ。
こんな反応をされるのは正直悪くない。

「…………ありがとう、キース」
「おう。じゃ早速食おうぜ。初めて作ったヤツだから、出来までは保証しねぇけど」
「そう言って、お前の料理が失敗していた記憶もないがな。いただきます」
「いただきますっと」

すっかりブラッドの影響で覚えちまった日本式のあいさつをしながら、たまには和食もいいかとこっそり思ったりなんかした。
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#キスブラ #ワンライ

キスブラ版ワンドロライ第19回でのお題から『花見酒』『温泉』を使って書いた話です。
※数年後の時間軸で、既に二人とも研修チームのメンターではない&キスブラが一緒に住んでるというのを想定の下に書いてます。
 
オレとブラッド、二人が同時に取れた長期休暇は少し桜の時期には早く、花見酒を楽しむのはちょっとばかり難しいと予想していたが、ここ数日で急に暖かくなったとかで、いざ目的地に訪れてみれば、ちょうど満開のタイミングだったのは運が良かった。
今回泊まる宿は客室に温泉を引いた露天風呂がついていて、しかも一杯だけなら風呂で酒を飲んでもいいとくれば、飲まない手はねぇ。
まだ外は明るいが、日が沈んじまう前にまず一回風呂に入って飲もうって提案はブラッドも断らなかったから、宿に着いて早々に二人で風呂に浸かっている。
露天風呂からは大きめの桜の木が見えて、単純にその桜を眺めるのもいいが、風向きのせいで時折桜の花片がこっちまで飛んできて、湯船に浮かぶのもいい。
こういうのを『風流』とか言うんだっけか?
ブラッドも景色をちゃんと見たいのか、コンタクトは外してるが風呂用の眼鏡を持ち込んで来ている。

「あー……酒は美味いし、風呂からの眺めもいいし最高だなぁ。これで酒がもう一杯飲めりゃ言うことねぇんだけど」
「温泉に浸かりながら飲むのは一度に一杯まで、がこの旅館のルールだ」
「わあってるって。一杯だけだから、こうしてちびちび飲んでんじゃねぇか」

そうは言っても個室だから、こっそり飲めばわかんねぇだろうけど、まぁそういうのをブラッドが許すはずねぇんだよな。
せっかくの旅行でお小言を聞きたくはねぇし、ここは大人しくしとくに限る。
今回みたいに二人揃っての長期休暇なんて、今度いつ取れるかわかんねぇし、ブラッドにしてみりゃ念願の日本旅行だ。
空港降りた時から、どことなく楽しげにしているブラッドの機嫌を損ねるようなことをするのも気が咎める。

「…………ただ、一度に一杯ということは、夜にまた温泉に浸かるのであれば、その時にもう一杯飲む分には構わないということだろう。お前が夕食後にやたらに飲み過ぎなければの話だが」
「お、いいねぇ。夜桜を肴に一杯! せっかくだし、次は何か違う銘柄の酒持ってきて貰って、温泉に入った後は部屋でそのまま飲み明か……」

そこまで言って、ふと気付いた。
日本を旅行するなら、訪れる場所はブラッドの好きにしていいが、美味い日本酒を楽しみたいと言ったのはオレだ。
結果、訪れる場所や宿を決めたのはほぼブラッドだが――。

「……もしかして、お前さ。温泉に入りながら飲める宿、わざわざ探してくれたの?」

普段は家で風呂に入りながら酒を飲むのは極力やめておけとブラッドに言われている。
ブラッドと一緒に住むようになったとき、ブラッドの希望で浴室は日本風のものにしたが、入浴しながらの飲酒はどうしても体への負担もかかるから、せめて自分がいるときに少し飲むだけにしろと。
実際、下手に風呂場で酔っ払って寝たとしたら世話になる相手は間違いなくブラッドだし、そうなったらブラッド側としちゃ面倒だよなと、あんまり家で風呂に入りながら飲むことはしてこなかったんだけど。

「美味い日本酒を楽しみたいと言ったのはお前だろう。今回の旅行は場所にしろ、食事にしろ、ほとんど俺の希望を通したのだし、そのくらいはと思ってな」
「おお……マジか。嬉しいことしてくれるねぇ」

ブラッドの頬が紅く染まってるのは風呂で上気してるだけとも取れるが、微かにオレから視線を逸らしたあたり、多分照れてる。
オレが飲んでいる一方、ブラッドがほとんど酒に手をつけてないのも、恐らくオレの様子を気にしてのことだ。
ホントは旅行先で酔い潰れられるのなんざごめんだろうに。

「サンキュ、ブラッド」
「……そう思うのなら、酒は適度にしておけ。夜は長い」
「へいへい」

その長い夜は夜桜だけを楽しむなってことだろう。適度、ってのはその後に動ける余力を残せって意味だ。
ブラッドは表情がわかりにくいことも多いが、いい加減長い付き合いだ。そんくらいは察する。
わかってると言う代わりに、酒を一度盆の上に置き、ブラッドの眼鏡を外してキスを交わした。
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#キスブラ #ワンライ

忙しくて数日ほど趣味の文章を全然書けてなかったので、ただ推しのエロが書きたかった。
書きたいとこだけ書いたキスブラで69。
時間出来たらまともに仕上げる。多分。

普段の姿からは中々想像出来ないだろう、快感に溺れて乱れてるブラッドのツラを見るのが一番興奮するのは確かだが、こうしてシックスナインしてる状態で相手の顔が見えねぇままにジワジワ責めてやるのも中々にくるもんがある。
一方的にフェラされるとなると、ブラッドは結構上手いからあっさりこっちがイカされる、なんてパターンもあったりするが、シックスナインだと自分も一緒に口でされることで余裕がなくなるらしく、かなりの確率で途中で音を上げる。
今日もじきにそうなりそうだ。
さっきからブラッドの舌の動きがたどたどしいものになってる。
このタイミングのブラッドの顔見られねぇのがつくづく惜しい。

「キー、ス」
「ん? どうした? そろそろギブアップか?」

わざと煽るような言い方をしながらそう返すと、ブラッドが一瞬息を飲んだのが聞こえたが、オレが一旦ヤツのペニスから口を離したことでちょっと余裕を取り戻したのか、舌が再び動き出す。

「…………まだ、だ……っ」
「あっそ」
「っ……!」

やや深めにブラッドのモノを咥え込んで、カリの辺りを舌先でくすぐるように動かすと、またブラッドの舌が動きを止める。
わざと唾液を多めに絡ませて吸い込むと同時に、ひくついてる孔を指先で軽く叩いてやった。

「キースっ、そっちは、触ら……」
「ねぇ、なんて約束はしてねぇし、今一緒に触っといた方が時間の短縮にもなるだろ? お前の好きな『効率的』ってヤツでさ」
「あ、うあ!」

ブラッドのペニスを緩く咥えたまま、ローションのボトルをサイコキネシスを使って手元に引き寄せ、指先に少し垂らしてから孔の周囲を撫でる。

「ふ……うっ…………んんっ」

ブラッドの口が完全にオレのモノから離れて、顔が太股に押し当てられてるのが伝わった。
内股の肌を吸っているのは、なけなしの意地なのか、少しでもオレに快感を与えようとしてるのか、まぁ多分両方か。
鈴口を舌先で突きながら、指も一本だけ挿れて浅いところで動かすと、ブラッドが小さい悲鳴を上げた。
こりゃ、そろそろだな。

「やめ、ろ。……もう、十分、だ」
「何が? 十分?」
「……口も、指も、だ」
「そうか? もうちょっと慣らした方がいいんじゃねぇの? こっちはさ」
「んうっ!」

口はペニスから離して、浅いところだけで動かしていた指を付け根までつっこんで、奥を軽くノックする。

「や、めっ、キース、それ以上されたら、出て、しま、う……っ」
「別に出してもい……うおっ!?」

抗議のつもりか、ブラッドの手がオレのペニスの根元を強めに掴む。
さすがに加減はされてるが、ちょっと痛いくらいの刺激に一瞬身が竦んだ。

「お前、それ潰す気かよ!?」
「潰されたくなければ、さっさと挿れろ。ローションを多めにつければもう挿入る」
「へぇへぇ……っとに、この暴君が」

今ので萎えなかったのを幸いに思えよ、コイツと思いはしたが、口には出さない。
体勢を変える寸前、先っぽにキスされたので固さを増した自覚があったからだ。
オレも大概だよなと思いながら、ゴムを着けて、ローションをまぶす。
足を開いたブラッドの中心に目をやると、白い肌がほんのりピンクに染まっている中で唯一と言っていい微かに黒ずんだ孔がひくひくと誘うように動いている。
先っぽをくっつけてやれば、期待を秘めた吐息が零れた。

「やらし……」
「ん……んんっ!」

そうしたのはオレなんだよな、と思いながら熱いブラッドの中に体を沈めていった。
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#キスブラ #R18

キスブラ版ワンドロライ第15回でのお題から『本音』『バレンタインデー』を使って書いた話です。
バレンタインデー限定のホームボイスネタが含まれます。

「…………何だ、この有様は」

バレンタインデーから数日後。
お互いのオフに合わせる形でキースの家を訪れたら、そこには解かれた包装と酒瓶で山が出来上がっていた。
元々、整理整頓の得意ではないキースの家やタワーの研修チーム部屋が散らかっているのは日常茶飯事だが、今日は特に酷い状態だ。
足の踏み場もないとはこのことだろう。
雑多に散らばっている包装に使われていた箱や包み紙を軽く纏め、どうにか道を作ってキースの元まで行くと、俺が来るのを待っている間に少し飲んでいたらしいキースが、少し赤みがかった顔でニヤリと笑った。

「バレンタインデーに市民から貰ったヤツだよ。オレなんかに贈って寄越すような市民はちゃんと好み覚えててくれてんだよなー。大体が酒かウイスキーボンボンをくれたんだよ。これでしばらくは飲むのに困らねぇ」
「……そういうことか」

キースは積極的にファンサービスを行うタイプではないが、曲がりなりにもメジャーヒーローだ。
特にルーキー研修終了後からはずっとウエストセクターに所属し、ここ数年はウエストセクターのバーを中心に日々飲み歩いていることもあって、他地域はともかくウエストではそれなりに知名度が高い。
キースが甘い物を好まず、酒を好むことは、特にバーでキースを見かけることがある者なら容易にわかるだろう。
よくよく見れば、確認出来る範疇の酒は大体が良いものだとラベルからわかるし、別途分けて置かれていたメッセージカードも結構な量になっている。
どれもキースのことを考えた上で贈られているのが伝わって来た。
ウエストのセクターランキングが順調なのもあってか、例年よりも多いような気がする。
恐らく、タワーの部屋にもまだプレゼントはあるはずだ。

「今年は随分貰ったようだな」
「はぁ? お前がそれ言うのかよ? アカデミー時代から抱えきれない量のプレゼント貰ってたお前が。今回だってどうせ沢山貰ってるんだろうが」
「否定はしない。少なくはないだろうな」
「だよなー。知ってた。ま、それはそれとしてお前もくれるんだろ?」

当たり前のように手を差し出して来た相手に、つい溜め息を吐きながら、持参していた紙袋ごと渡す。
受け取ったキースが直ぐさま袋から中身を取りだし、包装を取り除く。
箱を開けた途端にキースの目の色が変わった。

「おお、日本酒とチョコの組み合わせか」
「ああ。そのチョコは同梱されている日本酒を使って作られたものだそうだ」

日本酒であれば、他の者からのプレゼントとは恐らく被らないだろうと選んだ一品だ。

「いいねぇ。サンキュ。じゃ、早速……っと。お、チョコの方も甘さ控えめでいいな。こりゃ、日本酒の方も期待出来そうだ。なぁブラッド」
「? 何…………っ!」

手招きされて、キースにもう少し近寄ると頭をおさえられ、唇を重ねられる。
酒とチョコの混じった香りを纏った舌が唇をこじ開け、俺の口の中に溶けかけたチョコを押し込んできた。
ふわ、と甘い香りが一際強くなる。
口の中のチョコを転がすのと同時に、舌で歯茎や上顎も擦られて、チョコが溶けきった頃にはすっかり息が上がってしまい、気付いた時にはいつの間にかベッドの上だった。
どうやら、口付けを交わしている間にサイコキネシスで移動させられていたらしい。
油断のならない男だ。

「……酔っ払いとはしたくないが」
「大して酔ってねぇのくらいわかってんだろ。記憶飛ぶほど飲んじゃいねぇし、勿論、勃たなくなるような状態でもねぇ」
「んっ」

俺に覆い被さったキースが腰を押し付けてくる。
布地越しでも既に固さも熱も持っていると伝わるそれに、こっちもつられて反応してしまう。

「キー、ス」
「プレゼントは有り難いけど、どうしてもこの時期はカロリーオーバーが気になるよなー。ってことで、早速運動して消費するとしようぜ。俺からお前にやる分のチョコはもうちょっと冷蔵庫で冷やしときたいしさ」
「……何か作ってくれたの、か」

早くも体を這い始めた指に翻弄される前に確認したくて問いかけたら、キースが目を細めた。
バレンタインデーに何かを贈りあうことはしても、それが手作りだったことはまだない。
イベントごとは面倒がる傾向もあるし、何かをくれるだけでも十分だと思っていたのだが、どうやら今年は少し勝手が違うようだ。

「まぁな。何かは後のお楽しみってやつだけど。――楽しみだろ?」
「ああ。楽しみ、だ」

キースの作るものに外れはない。
冷蔵庫にあるというチョコが楽しみというのは紛う方ない本音だ。
だが、それ以上にわざわざ手をかけて作ってくれたことが嬉しい。
きっと、俺が他の者とのプレゼントとは被らないようにと選んだのと同じように、キースも他者とは被らないようにとそれを作ってくれたのだろうから。
癖のあるアッシュブロンドを撫でながら、俺からもキスを仕掛け、部屋の惨状には一先ず目を瞑り、束の間の行為に没頭しようと決めた。
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#キスブラ #ワンライ

キスブラ版ワンドロライ第13回でのお題から『共有』を使って書いた話です。
ヤッてはいないけど、性描写がちょっと含まれるのでR-15くらいで。
数年後、キスブラが同棲し始めたという前提の元に書いてます。

「キース、準備はいいか」
「おう。いつでも行けるぜ。つうか、借りといてなんだけど、やっぱりこういう服どうも落ち着かねぇな」
「仕方あるまい。明後日には荷物も届くようだし、一、二日くらいは我慢しろ」
「へいへい、わかってるって」

キースが今着ているのは、下着を除く全てが俺の服だ。
キースと俺は服の趣味が全く異なるのもあって、本人は落ち着かないと言うが、良く似合っているし、時々はこうして俺の服を着るキースを見たいくらいだが、それを口にすると反発されるのは目に見えているのでやめておいた。
二人で一緒に住むことを決め、セントラルに新たにマンションを借り、引っ越して来たのが昨日のことだ。
が、キースが引っ越しに利用した業者の方でトラブルが発生し、他の客との荷物が混じってしまい、分別に時間が掛かっているとのことで、本来は今日のうちに届くはずだったキースの荷物は、明後日に届くという連絡が入った。
さすがに下着については、荷物遅延の連絡が入った時点で身近な店から数枚購入したが、他の衣類まではその店だとほとんど置いていなかったこともあって貸した。
俺たちの体格は近く、サイズの問題は全くないのだし、これから買い物に行くことを除けば、明後日までは仕事以外の外出予定もない。
家を出て、地下の駐車場に向かい、車に乗り込んで、ナビにショッピングセンターの情報を入れる。
道の混雑状況から最適なルートを導き出したナビが所要時間を告げ、車を走らせると、助手席に座っていたキースがそういえば、と口を開いた。

「日用品だけどさ。オレたちがそれぞれで使ってたヤツ、使い切った後どうする? 同じヤツ使うようにして纏めちまうか? シャンプーとかはこだわりがあれば分けるとしても、食器用の洗剤なんかは分けるの逆に面倒だろ?」
「そうだな。俺はお前が使っていたボディソープを継続して使うのであれば、他はどちらのものに変えても構わない。統一出来る物はしてしまった方が今後買い物する際にも都合がいいだろう」
「……ん? ボディソープってオレの? お前の、じゃなくて?」
「ああ。……香りが気に入っているからな」

キースの家に泊まった際にずっと使っていたのもあって、俺としても馴染みがある。
キースは喫煙者だから、一緒にいるとどうしても煙草の匂いの方が強く出るが、それでもふとした拍子にボディソープの方の香りを感じることもあったし、何より――セックスの際はシャワーを浴びてすぐ、というのが大半だから、触れ合った際には煙草よりもボディソープの香りの方が強く出る。
別々に住んでいた時はわざわざ同じ物で揃えるのは躊躇われたが、住まいが一緒であれば、同じ物で揃える理由としては十分だろう。

「…………うわ、エロ」
「……何故、そうなる」

キースの使っているボディソープを選んだ理由に下心がなかったわけではないから、微かに動揺はしたが、表情には出さなかったはずだ。

「ええ……考えてなかった、なんて言わせねぇぞ。オレ、普段は酒と煙草の匂いしかしねぇだろ。ボディソープの香りがわかるタイミングなんて限られてるじゃねぇか。それこそ、セックスの前後とか――ああ、あとフェラの時なんか特に分かりやすいよな。毛に匂い絡みつくから」
「…………キース」

車の中とはいえ、外でするような話ではない。
信号で止まった際に睨み付けたが、キースは涼しげな顔だ。

「なんだよ、お前が最初に言ったんじゃねぇか」
「俺はボディソープの話をしただけだが」
「そうだなー。香りが気に入っているって言った割には、自分で買わずに別のを使っていたってボディソープの話な。こっちはずっと同じ物を何年も使っているってのに、お前が買わないまんまで、あえて別のを使っていたって理由をちゃんと教えてくれるなら、ここで話切り上げてやってもいいぜ」
「…………そこまで言うのであれば、理由など察しているんだろう」
「どうだろうなぁ。案外間違ってるかもしれねぇし、お前の口から説明して欲しいとこだな、オレとしちゃ」

俺の耳に触れてきたキースの手を撥ね除けてしまいたいが、そんなタイミングで信号が変わる。
こちらが手が出せないのをいいことに、キースの指は離れていかない。
さすがに運転中だから、本当に危なくなるような動き方はしないが、話していた内容が内容なだけに、ただ触れられているだけでも妙な意識をしてしまう。
諦めて白旗を挙げたのは俺の方だった。

「…………買い物が終わって家に戻ったら説明する。だから、一旦その指を離せ」
「よし、言質は取ったからな。ちゃんと説明しろよ。ああ、買い物するならボディソープも買っていこうな。オレが使っていたヤツ、まだ届いてねぇし」

俺が使っていたボディソープならまだある、と喉元まで出かけたが、結局は口を閉ざす。
こうなると、今、キースが着ているのが俺の服だというのもまずかった。
それこそ脱ぐ前から柔軟剤による同じ香りで、必要以上に意識してしまいそうだ。
せめて、買い物を終わらせる前に何か反撃の糸口を見つけようと考えながら、ショッピングセンターへと向かった。
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#キスブラ #ワンライ

キスブラ版ワンドロライ第12回でのお題から『手料理』『頼み事』『ワイン』を使って書いた話です。
+15分。
 
頂き物だっていうワインに合う和風のつまみを作って欲しい――とブラッドに言われたのは先週のことだ。

「父が付き合いのある他国の外交官から贈って貰ったワインだそうだが、二本貰ったから一本は俺に譲ると貰い受けてきた」
「贈って貰った……って、これ凄ぇ高いヤツじゃねぇかよ……」

オレが飲むのはビールが多いとはいえ、ワインや日本酒なんかも飲むことがある。
リカーショップに行きゃ、買わない酒も目に入るし、それが飛び抜けた値段だったりなんかしたら、嫌でも記憶に残る。
ブラッドの親父さんが贈って貰ったってワインは、オレの月収半月分は軽く飛ぶような代物だ。
ヒーロー、特にメジャーヒーローともなれば、それなりの金額を貰っているのに。
それを二本も贈って寄越す相手ってどんなんだよ。

「ああ。お前は知っていたか」
「そりゃ、店で目にすることくらいはあるからなー。買おうと思ったことはさすがにねぇけど」
「そうか。俺も金額を聞いて一度は断ったが、酒が好きな者が飲んだ方がワインも本望だろうと言われれば、それも一理あるなと受け取ってきた。両親も酒は嗜むが、特別好むというわけでもないからな」

一瞬、ブラッドの言葉を聞き流しそうになったが、酒が好きな者が飲んだ方が、って内容に引っかかった。

「……待て。酒が好きなヤツってそれ……」
「お前を想定してのことだろうな。両親の中ではお前は酒好き、ディノはピザ好きで覚えられている」
「そうかよ」

まぁ、アカデミーの頃からの付き合いだし、ルーキー時代に呼ばれた何かのパーティーでブラッドの父親に直接会ったこともあるから、知っててもおかしくはねぇんだけど。

「そして、どうせ良いワインを飲むのであれば、美味く飲みたい。お前がワインに合うつまみを作ってくれるなら、ちょうどいいだろう」
「あー、マリアージュってヤツか」

ワインと料理の相性を結婚に例えて、そう呼ばれるって教えてくれたのはジェイだ。
ルーキー時代、オレたち三人が酒が飲めるようになった時に、ヒーローだと今後何かとパーティー等に呼ばれる機会も多くなるからと、酒の楽しみ方を最初に色々と教えてくれた。
マリアージュの話もその時に聞いたし、研修チーム部屋で共同生活をおくっていた当時、部屋でワインを開けて、飲みながらつまみを作ったりしたこともある。
あの時のワインは安物だったが、それでも料理との相性次第で変わるっていうのは実感した。

「美味く飲みたいってのはわかったけど、つまみは和風がいいってのは完全にお前の趣味だよな?」
「…………ダメか?」
「いや、ダメってこたねぇけど……ワインに和風のつまみって合うのか?」

日本酒ならルーツ的にわからなくもねぇけど、ワインと和食という組み合わせは経験がねぇからか、どうもピンと来ない。

「合うものもあるようだ。例えば、こういうのなんかはどうだろう」

ブラッドが手にしていたタブレットを操作し、何かのサイトを表示してからオレに寄越した。
元は日本語で書かれていただろうサイトは翻訳されていて、オレにも内容がわかるようになっていた。
レシピなんかもいくつか掲載されている。
こりゃ、オレに話持ってくる前にガッツリチェックしてたな、ブラッドのヤツ。
ま、ブラッドと飲める機会もそんな多くねぇし、この先飲む機会があるかどうかもわかんねぇような高い酒飲ませて貰うなら、多少面倒なもんでも作ってやるとするか。

「で、お前が食いたいのってどれだよ?」
「……いいのか?」
「どうせ、目星つけてあんだろ。来週のオフでいいよな? 材料なんかも揃えられるか確認しねぇとなんねぇし」

グリーンイーストのリトルトーキョーなら、調味料なんかは結構揃うが、食材によっては季節に左右されるもんも少なからずある。

「ああ。感謝する」

表情こそ大した差はねぇが、ブラッドの声が弾んでるのが伝わってきた。

***

「うわ……美味……。いや、美味いのは想像してたけど、マジで料理と合うな」

ブラッドの頼み事からほぼ一週間後。
事前にチェックしていた食材を昼のうちにブラッドと一緒にグリーンイーストまで買いに行って、オレの家で一緒に作り、夕食として作ったつまみとワインを楽しんでいるが、想像以上のモンだった。
最初、ワインだけ口にしたときは、美味いのは美味いけど、これまでにもパーティーで口にしてきたヤツとそう大差ねぇかも?なんて思ってたぐらいだったが、料理と合わせた瞬間驚いた。
味の世界の広がり方が、これまで経験してきたのとは比較になんねぇレベルだ。
作ったつまみも味見しながらだったから、味はわかっていたつもりだが、こっちもこっちでワインと合わせることによって美味さがより引き立つ。
こりゃ、酒もつまみも進む一方だなと思っていたら、ブラッドも普段よりも酒の進みが早い。
ソファに隣り合って座ってるから、飲み食いするスピードが分かりやすい。

「ああ。最高だな。お前の料理が美味いのは今に始まったことではないが、今まで食ってきた中でも一際美味い」
「酒がめちゃくちゃ良いからなー。……これ、今日で全部空けちまってもいいのか?」
「構わん。料理の方が足りなくなりそうだがな」
「和風じゃなくてもいいなら、あり合わせので何か作ってやるよ」
「それは楽しみだ」

ブラッドの空になったワイングラスにワインを注ぎながら、残ってる食材でこのワインに合いそうなメニューを考えていたら、不意にブラッドが体を寄せて、オレの肩にことんと頭を乗せてくる。
酔ってるせいなのか、食事中にこんな風に甘えてくるのは珍しい。
ワインを注ぎ終わってから、乗っかった頭を撫でてやると微かに笑い声がした。
午後から買い物とつまみ作りにかかりきりだったけど、たまにはこんなオフも悪くないと思いながら、ブラッドの髪にそっとキスをした。
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#キスブラ #ワンライ

■Information

@yukiha_hrksの書きかけ&pixivUP前の短編置き場。ジャンルもカプも雑多。
しばらくはエリオス(キスブラ他)が多くなりそう。
完成するかもしれないし、しないかもしれない。
らくがきは適度な頃に消し。
各ワンドロライで書いた分については後日サイト等にも置きます。
※こちらはポイピクが重いときの避難所です。
置いているものは大体一緒です。
Junkや未整頓だったサイトのEntryからも移行作業中。
タイムスタンプはサイトに置いている分はサイトの記録から、置いてない分は元ファイルの作成日。
https://whitealice.xyz/

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