No.81
仕上げる予定のない堀鹿:その2
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
花帰葬、春告げの鳥ルートパロ。
「次に私が生まれたら、必ず殺して下さい」
「……何を、言っている?」
あくまでも穏やかな口調のくせに、その頼み事の物騒さと言ったらない。
一瞬、耳鳴りがし、世界が遠くなった気がした。
「それが済んだらその次もです。これから、この世界が続いて私が生まれる限り……私を殺し続けてくれませんか」
「……断る。何て事を言いやがるよ、おまえ」
「言っている意味は解るでしょう。先輩にしか頼めないんです」
「止めろ、鹿島。そんな事を言うのは」
俺はおまえにそんなことを言わせるために、今まで育て続けたんじゃない。
「この世界を続けるために、先輩に育てられて――殺されていく人生なら、何度繰り返しても悪くないと思うんです」
冗談じゃない。
繰り返し、おまえが俺の手から引き離されて殺されていくところを見て行けと?
そう言いたいのに、口が動かない。
――一度言いだしたことを曲げない、こいつの気質は誰よりも俺が知っている。
「だから……お願いします。先輩。私は先輩に育てられて良かったと思っているんです」
その育てられた記憶を失ったままなのに、よくも言う。
結局、魂の本質ってのは変わらねぇってことなんだろうな。
半ば諦めながらも、気が変わってくれないかと願いながら言ってみる。
「俺は約束を違えるかも知れないぞ?」
「私は先輩を信用しています」
まるで、雛鳥が親鳥に対して向ける無垢な信頼。
迷いのないこの信頼が――今は酷くうらめしく、哀しい。
「……くそ、俺は本当にお前に甘いよな」
結局、白旗を揚げたのは俺だった。
「先輩。……ありがとうございます」
「……いらねぇよ、そんな言葉」
そんな言葉を聞くために、これまで育てて……愛したわけではなかったのに。
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#堀鹿 #ネタメモ #パロディ設定
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
花帰葬、春告げの鳥ルートパロ。
「次に私が生まれたら、必ず殺して下さい」
「……何を、言っている?」
あくまでも穏やかな口調のくせに、その頼み事の物騒さと言ったらない。
一瞬、耳鳴りがし、世界が遠くなった気がした。
「それが済んだらその次もです。これから、この世界が続いて私が生まれる限り……私を殺し続けてくれませんか」
「……断る。何て事を言いやがるよ、おまえ」
「言っている意味は解るでしょう。先輩にしか頼めないんです」
「止めろ、鹿島。そんな事を言うのは」
俺はおまえにそんなことを言わせるために、今まで育て続けたんじゃない。
「この世界を続けるために、先輩に育てられて――殺されていく人生なら、何度繰り返しても悪くないと思うんです」
冗談じゃない。
繰り返し、おまえが俺の手から引き離されて殺されていくところを見て行けと?
そう言いたいのに、口が動かない。
――一度言いだしたことを曲げない、こいつの気質は誰よりも俺が知っている。
「だから……お願いします。先輩。私は先輩に育てられて良かったと思っているんです」
その育てられた記憶を失ったままなのに、よくも言う。
結局、魂の本質ってのは変わらねぇってことなんだろうな。
半ば諦めながらも、気が変わってくれないかと願いながら言ってみる。
「俺は約束を違えるかも知れないぞ?」
「私は先輩を信用しています」
まるで、雛鳥が親鳥に対して向ける無垢な信頼。
迷いのないこの信頼が――今は酷くうらめしく、哀しい。
「……くそ、俺は本当にお前に甘いよな」
結局、白旗を揚げたのは俺だった。
「先輩。……ありがとうございます」
「……いらねぇよ、そんな言葉」
そんな言葉を聞くために、これまで育てて……愛したわけではなかったのに。
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