No.84, No.83, No.82, No.81, No.80, No.71, No.70[7件]
仕上げる予定のない野堀
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
書く予定なしとはあるけど、どうにか出来たらちゃんと話にしたい気はする。(これもか)
「野崎。おまえの家のシュレッダー、CDやDVDも裁断出来たよな? 処分したいから、悪いがちょっと貸してくれ。裁断したゴミは持ち帰る」
いい加減、増えてきたAVを多少処分しようと、野崎の家に持ち込ませて貰った。
俺の家にはシュレッダーなんてものはないし、下手な処分の仕方をすると家族に見つかる。
一応、事前にシュレッダーを使わせて貰いたい旨は告げてあったが、野崎は不機嫌そうに俺が持ってきたAVを手にした。
「処分したいってこういうのだったんですか」
「……何だよ、何が言いたい」
奥歯に物が挟まったような言い方に、こっちも少し苛立ちを感じた。
俺が持ってきたAVのラインナップは『魅惑のガーターベルト』とか、『悩殺! 婦人警官の美脚』とか、まぁそんな好みが分かりやすい類なんだが。
野崎とセックスするような仲になって、それなりに経つが、こいつだって俺が足というパーツが好きなことくらい知っている。
だから、問題ねぇだろうと思ったんだが、野崎の方はそうでもないらしい。
「……先輩は、俺とのセックスに不満なんですか」
「はぁ? おまえだって男ならオナニーとセックスが別物なぐらい分かんだろ!? 別におまえとのセックスに不満があるから、こういうの使ってるわけじゃねぇぞ!?」
「分かります。……分かりますけど、分かりたくないです」
「おい!」
肩を押されて、よろめかされて。
あっという間に、俺の視界は部屋の天井としかめ面した野崎の顔で埋められた。
「……俺は先輩とセックスするようになってから、一人でする時も大体先輩のこと考えながらしてるんですが、先輩はそうじゃないってことですか」
「野崎」
やべぇ。こいつ目が据わってる。
こんな時にこいつとセックスすると、後でまともに動けない羽目になるから、しんどいんだがな。
さて、どうしたもんか。
Close
#野堀 #ネタメモ #R15
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
書く予定なしとはあるけど、どうにか出来たらちゃんと話にしたい気はする。(これもか)
「野崎。おまえの家のシュレッダー、CDやDVDも裁断出来たよな? 処分したいから、悪いがちょっと貸してくれ。裁断したゴミは持ち帰る」
いい加減、増えてきたAVを多少処分しようと、野崎の家に持ち込ませて貰った。
俺の家にはシュレッダーなんてものはないし、下手な処分の仕方をすると家族に見つかる。
一応、事前にシュレッダーを使わせて貰いたい旨は告げてあったが、野崎は不機嫌そうに俺が持ってきたAVを手にした。
「処分したいってこういうのだったんですか」
「……何だよ、何が言いたい」
奥歯に物が挟まったような言い方に、こっちも少し苛立ちを感じた。
俺が持ってきたAVのラインナップは『魅惑のガーターベルト』とか、『悩殺! 婦人警官の美脚』とか、まぁそんな好みが分かりやすい類なんだが。
野崎とセックスするような仲になって、それなりに経つが、こいつだって俺が足というパーツが好きなことくらい知っている。
だから、問題ねぇだろうと思ったんだが、野崎の方はそうでもないらしい。
「……先輩は、俺とのセックスに不満なんですか」
「はぁ? おまえだって男ならオナニーとセックスが別物なぐらい分かんだろ!? 別におまえとのセックスに不満があるから、こういうの使ってるわけじゃねぇぞ!?」
「分かります。……分かりますけど、分かりたくないです」
「おい!」
肩を押されて、よろめかされて。
あっという間に、俺の視界は部屋の天井としかめ面した野崎の顔で埋められた。
「……俺は先輩とセックスするようになってから、一人でする時も大体先輩のこと考えながらしてるんですが、先輩はそうじゃないってことですか」
「野崎」
やべぇ。こいつ目が据わってる。
こんな時にこいつとセックスすると、後でまともに動けない羽目になるから、しんどいんだがな。
さて、どうしたもんか。
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#野堀 #ネタメモ #R15
仕上げる予定のないみこかし
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
書く予定なしとはあるけど、どうにか出来たらちゃんと話にしたい気はする。
「おい、御子柴。鹿島見なかったか」
堀先輩が、廊下の窓から俺に話しかけてきた。
2-Gでは毎度お馴染みの光景だ。
今日は、もう放課後になって大分経っているから、教室には俺以外には人がいなくなっていたけども。
「あ、先輩。いや、今日は授業終わった後は見てないっすね。いつものお迎えですか」
「ああ。くそ、逃げられたかな。悪いけど、もしあいつ見かけたら部活に来いっつっといてくれ」
「了解っす」
堀先輩が立ち去り、完全に気配がなくなったところで吐息を吐いた。
一応、念の為に小さく声をかける。
「……行ったぞ」
「ありがとう、御子柴。助かった」
カーテンの影から出てきたのは、堀先輩に探されていた当の本人。カーテンに隠れる前よりも顔が赤い。……熱、上がってそうだ。
「おまえな……具合悪いなら悪いって、ちゃんと言えばいいんじゃねぇの? そういうの分かんねぇ人じゃないだろ?」
「分かってるよ、そんなの。ただ、私が先輩に心配かけたくないだけ」
「……俺はいいのかよ」
「うん、御子柴は御子柴だから」
そう言うと、鹿島が俺の肩に寄りかかってきた。首に掛かる吐息が熱い。
立っているのもいい加減しんどいだろうと、静かに教室の床に腰を下ろすと鹿島も俺に合わせて座り込んだ。
「保健室行くか?」
「ううん、あと三十分もすれば先輩も諦めて、部活に戻るだろうから、そうしたらひっそり見つからないようにして帰る」
「……家まで送ってやるよ」
「ありがとう」
Close
#みこかし #ネタメモ
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
書く予定なしとはあるけど、どうにか出来たらちゃんと話にしたい気はする。
「おい、御子柴。鹿島見なかったか」
堀先輩が、廊下の窓から俺に話しかけてきた。
2-Gでは毎度お馴染みの光景だ。
今日は、もう放課後になって大分経っているから、教室には俺以外には人がいなくなっていたけども。
「あ、先輩。いや、今日は授業終わった後は見てないっすね。いつものお迎えですか」
「ああ。くそ、逃げられたかな。悪いけど、もしあいつ見かけたら部活に来いっつっといてくれ」
「了解っす」
堀先輩が立ち去り、完全に気配がなくなったところで吐息を吐いた。
一応、念の為に小さく声をかける。
「……行ったぞ」
「ありがとう、御子柴。助かった」
カーテンの影から出てきたのは、堀先輩に探されていた当の本人。カーテンに隠れる前よりも顔が赤い。……熱、上がってそうだ。
「おまえな……具合悪いなら悪いって、ちゃんと言えばいいんじゃねぇの? そういうの分かんねぇ人じゃないだろ?」
「分かってるよ、そんなの。ただ、私が先輩に心配かけたくないだけ」
「……俺はいいのかよ」
「うん、御子柴は御子柴だから」
そう言うと、鹿島が俺の肩に寄りかかってきた。首に掛かる吐息が熱い。
立っているのもいい加減しんどいだろうと、静かに教室の床に腰を下ろすと鹿島も俺に合わせて座り込んだ。
「保健室行くか?」
「ううん、あと三十分もすれば先輩も諦めて、部活に戻るだろうから、そうしたらひっそり見つからないようにして帰る」
「……家まで送ってやるよ」
「ありがとう」
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#みこかし #ネタメモ
仕上げる予定のない堀鹿:その3
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
ただの(やや下品な)バカップルネタ。
夜中、ふと目を覚ますと隣の先輩はまだ眠ってた。
枕元に置いてあったスマホで時間を確認してみたところ、現在時刻は午前四時を回ったところ。
起きるには早いし、二度寝をするにはちょっと目がさえてしまった。
少しの間、先輩の様子を窺ってみるも、先輩の方は起きる気配はない。
……これは、今のうちかな。
そうっと先輩を起こさないようにベッドから出て、静かにベッドサイドに置いてあるゴミ箱を探ってみる。
上の方にあった、ティッシュを避けてみると――使用済みで口の部分を縛ったゴムが出てきた。
先輩、いつもさっさと処理して、私に見せないように捨てちゃうから、使い終わった後、どうなってるのかを見るのは実は初めてだ。
そうか、男の人が一回に出す量ってこの位なのかぁ。
興味深くじっとそれを眺めていたら。
「…………一体何やってるんだよ、おまえ」
「え」
いつの間に起きてきたのか、私の直ぐ後ろに、些か不機嫌そうな先輩がいた。
「いや、その、終わった後のゴムがどうなってるのか見たことなかったから気になって」
「わざわざゴミ箱漁ってまで見るなよ、バカかおまえ。んなもん、見るようなものでもねぇだろ!?」
「だって、先輩、直ぐ処理しちゃうじゃないですか。だから、どうなってるのかなーって」
「見られたくないから、見せないようにしてんだろうが! こっちにだって羞恥心ってもんがなぁ」
呆れた口調で言うのに、ちょっとカチンと来た。
こっちには散々恥ずかしいことさせまくってるのに、自分だけ羞恥心とか言い出すって何!?
「あー! いっつも私が恥ずかしいから、自分で濡れたとこ拭きますって言ってるのに、やりたいからって強引に拭いちゃう人がそれ言いますか!? 私だって、あれ凄く恥ずかしいのに!」
「うるせぇ! そっちはいいんだよ」
「良くないです!」
Close
#堀鹿 #ネタメモ #R15
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
ただの(やや下品な)バカップルネタ。
夜中、ふと目を覚ますと隣の先輩はまだ眠ってた。
枕元に置いてあったスマホで時間を確認してみたところ、現在時刻は午前四時を回ったところ。
起きるには早いし、二度寝をするにはちょっと目がさえてしまった。
少しの間、先輩の様子を窺ってみるも、先輩の方は起きる気配はない。
……これは、今のうちかな。
そうっと先輩を起こさないようにベッドから出て、静かにベッドサイドに置いてあるゴミ箱を探ってみる。
上の方にあった、ティッシュを避けてみると――使用済みで口の部分を縛ったゴムが出てきた。
先輩、いつもさっさと処理して、私に見せないように捨てちゃうから、使い終わった後、どうなってるのかを見るのは実は初めてだ。
そうか、男の人が一回に出す量ってこの位なのかぁ。
興味深くじっとそれを眺めていたら。
「…………一体何やってるんだよ、おまえ」
「え」
いつの間に起きてきたのか、私の直ぐ後ろに、些か不機嫌そうな先輩がいた。
「いや、その、終わった後のゴムがどうなってるのか見たことなかったから気になって」
「わざわざゴミ箱漁ってまで見るなよ、バカかおまえ。んなもん、見るようなものでもねぇだろ!?」
「だって、先輩、直ぐ処理しちゃうじゃないですか。だから、どうなってるのかなーって」
「見られたくないから、見せないようにしてんだろうが! こっちにだって羞恥心ってもんがなぁ」
呆れた口調で言うのに、ちょっとカチンと来た。
こっちには散々恥ずかしいことさせまくってるのに、自分だけ羞恥心とか言い出すって何!?
「あー! いっつも私が恥ずかしいから、自分で濡れたとこ拭きますって言ってるのに、やりたいからって強引に拭いちゃう人がそれ言いますか!? 私だって、あれ凄く恥ずかしいのに!」
「うるせぇ! そっちはいいんだよ」
「良くないです!」
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#堀鹿 #ネタメモ #R15
仕上げる予定のない堀鹿:その2
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
花帰葬、春告げの鳥ルートパロ。
「次に私が生まれたら、必ず殺して下さい」
「……何を、言っている?」
あくまでも穏やかな口調のくせに、その頼み事の物騒さと言ったらない。
一瞬、耳鳴りがし、世界が遠くなった気がした。
「それが済んだらその次もです。これから、この世界が続いて私が生まれる限り……私を殺し続けてくれませんか」
「……断る。何て事を言いやがるよ、おまえ」
「言っている意味は解るでしょう。先輩にしか頼めないんです」
「止めろ、鹿島。そんな事を言うのは」
俺はおまえにそんなことを言わせるために、今まで育て続けたんじゃない。
「この世界を続けるために、先輩に育てられて――殺されていく人生なら、何度繰り返しても悪くないと思うんです」
冗談じゃない。
繰り返し、おまえが俺の手から引き離されて殺されていくところを見て行けと?
そう言いたいのに、口が動かない。
――一度言いだしたことを曲げない、こいつの気質は誰よりも俺が知っている。
「だから……お願いします。先輩。私は先輩に育てられて良かったと思っているんです」
その育てられた記憶を失ったままなのに、よくも言う。
結局、魂の本質ってのは変わらねぇってことなんだろうな。
半ば諦めながらも、気が変わってくれないかと願いながら言ってみる。
「俺は約束を違えるかも知れないぞ?」
「私は先輩を信用しています」
まるで、雛鳥が親鳥に対して向ける無垢な信頼。
迷いのないこの信頼が――今は酷くうらめしく、哀しい。
「……くそ、俺は本当にお前に甘いよな」
結局、白旗を揚げたのは俺だった。
「先輩。……ありがとうございます」
「……いらねぇよ、そんな言葉」
そんな言葉を聞くために、これまで育てて……愛したわけではなかったのに。
Close
#堀鹿 #ネタメモ #パロディ設定
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
花帰葬、春告げの鳥ルートパロ。
「次に私が生まれたら、必ず殺して下さい」
「……何を、言っている?」
あくまでも穏やかな口調のくせに、その頼み事の物騒さと言ったらない。
一瞬、耳鳴りがし、世界が遠くなった気がした。
「それが済んだらその次もです。これから、この世界が続いて私が生まれる限り……私を殺し続けてくれませんか」
「……断る。何て事を言いやがるよ、おまえ」
「言っている意味は解るでしょう。先輩にしか頼めないんです」
「止めろ、鹿島。そんな事を言うのは」
俺はおまえにそんなことを言わせるために、今まで育て続けたんじゃない。
「この世界を続けるために、先輩に育てられて――殺されていく人生なら、何度繰り返しても悪くないと思うんです」
冗談じゃない。
繰り返し、おまえが俺の手から引き離されて殺されていくところを見て行けと?
そう言いたいのに、口が動かない。
――一度言いだしたことを曲げない、こいつの気質は誰よりも俺が知っている。
「だから……お願いします。先輩。私は先輩に育てられて良かったと思っているんです」
その育てられた記憶を失ったままなのに、よくも言う。
結局、魂の本質ってのは変わらねぇってことなんだろうな。
半ば諦めながらも、気が変わってくれないかと願いながら言ってみる。
「俺は約束を違えるかも知れないぞ?」
「私は先輩を信用しています」
まるで、雛鳥が親鳥に対して向ける無垢な信頼。
迷いのないこの信頼が――今は酷くうらめしく、哀しい。
「……くそ、俺は本当にお前に甘いよな」
結局、白旗を揚げたのは俺だった。
「先輩。……ありがとうございます」
「……いらねぇよ、そんな言葉」
そんな言葉を聞くために、これまで育てて……愛したわけではなかったのに。
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#堀鹿 #ネタメモ #パロディ設定
仕上げる予定のない堀鹿:その1
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
『それは秘めたる演目の』 で話の中に使った劇の練習風景。
「私が生きているのは貴方の為。貴方の全てを私に下さるのなら……」
舞台の練習で台本を読んでいたら、パシッと丸めた台本を机に叩きつける音がした。
先輩が苦い顔をして、私を見てる。
「ストップ! そうじゃない、鹿島。もうちょっと、切羽詰まった苦しい感じを出せ」
「苦しい、ですね。もう一度お願いします」
「おう」
深呼吸して、姿勢を正し、もう一度同じ台詞を繰り返す。
「私が生きているのは貴方の為。……貴方の全てを私に下さるのなら、他には何も……」
「違う!」
再び、制止の声が飛んできたので、台詞を中断させた。
本当に、こういう演技指導での先輩は容赦がない。
相手役のお姫様にいたっては、顔が引き攣って怯えてしまっている。
私としては、先輩の妥協を許さない真摯な姿勢も、凄く好きな部分ではあるんだけども。
「……仕方ねぇ。一度俺がやってやるから、ニュアンス読み取れ」
「えっ!? 先輩がやってくれるんですか!? わー!」
「おまえが姫役な。相手役で感じた方がいいだろ」
「はい! お願いします!!」
先輩直々に演技してくれるなんて久しぶりだ。
しかも、相手役を私がやっていいなんてテンションが上がる。
立ち位置を姫役の方にして、先輩と向かい合うと、先輩が一瞬だけ口元に笑みを浮かべたあと――役者の顔になった。
「私が生きているのは貴方の為」
低く凜とした声に、一瞬で辺りが静まりかえる。
その場にいた全員が、瞬時に先輩の演技に引きずり込まれた。
「……貴方の全てを私に下さるのなら」
切ない表情が胸を焦がす。真っ直ぐに見つめられて、目が離せない。
「他には何も望みません。……貴方だけが欲しいのです」
先輩は私に全く触れていないのに、その言葉に引き込まれて、全身が熱くなるのを感じた。
あくまでも、演技のはずなのに。
Close
#堀鹿 #ネタメモ
Twitterの『リプが来たカップリングごとに今思いついたor書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを晒す』タグで書いたもの。
『それは秘めたる演目の』 で話の中に使った劇の練習風景。
「私が生きているのは貴方の為。貴方の全てを私に下さるのなら……」
舞台の練習で台本を読んでいたら、パシッと丸めた台本を机に叩きつける音がした。
先輩が苦い顔をして、私を見てる。
「ストップ! そうじゃない、鹿島。もうちょっと、切羽詰まった苦しい感じを出せ」
「苦しい、ですね。もう一度お願いします」
「おう」
深呼吸して、姿勢を正し、もう一度同じ台詞を繰り返す。
「私が生きているのは貴方の為。……貴方の全てを私に下さるのなら、他には何も……」
「違う!」
再び、制止の声が飛んできたので、台詞を中断させた。
本当に、こういう演技指導での先輩は容赦がない。
相手役のお姫様にいたっては、顔が引き攣って怯えてしまっている。
私としては、先輩の妥協を許さない真摯な姿勢も、凄く好きな部分ではあるんだけども。
「……仕方ねぇ。一度俺がやってやるから、ニュアンス読み取れ」
「えっ!? 先輩がやってくれるんですか!? わー!」
「おまえが姫役な。相手役で感じた方がいいだろ」
「はい! お願いします!!」
先輩直々に演技してくれるなんて久しぶりだ。
しかも、相手役を私がやっていいなんてテンションが上がる。
立ち位置を姫役の方にして、先輩と向かい合うと、先輩が一瞬だけ口元に笑みを浮かべたあと――役者の顔になった。
「私が生きているのは貴方の為」
低く凜とした声に、一瞬で辺りが静まりかえる。
その場にいた全員が、瞬時に先輩の演技に引きずり込まれた。
「……貴方の全てを私に下さるのなら」
切ない表情が胸を焦がす。真っ直ぐに見つめられて、目が離せない。
「他には何も望みません。……貴方だけが欲しいのです」
先輩は私に全く触れていないのに、その言葉に引き込まれて、全身が熱くなるのを感じた。
あくまでも、演技のはずなのに。
Close
#堀鹿 #ネタメモ
調律師堀×良家の令嬢な鹿島でパロ。Twitterでフォロワーさんがあげていたネタから。
まともにやろうと思ったら、シリーズ化しそうな勢いだったので、とりあえず、冒頭部分とエロシーンだけふらっと書いてみました。
エロシーン中途半端ですみません。
上客だから、絶対に失礼のないようにしろ、とは確かに言われてきた。
裕福な客にも少なからず当たったことはあったし、多少の覚悟はしてきたつもりだったが、予想以上だった。
「個人の家とは思えねぇなぁ……。間違ってないよな、俺」
立派な門構えの奥に佇む依頼人の家は、家というよりお屋敷と言った方がしっくりくる。
音大なんて、それなりに裕福な家の出身者が少なからずいたし、ピアノ科の連中はほぼ自宅にグランドピアノを所有している。
そこそこ広い家なんて、見慣れてたつもりだが、流石に圧倒された。
チャイムを鳴らす手が微かに震えてしまったのが、自分でも分かる。
『はい、どちら様ですか』
「調律師の堀と申します。この時間に調律の手配をご依頼頂いたかと思うのですが」
『お待ちしておりました。ただいま参りますので、少々お待ちを』
淡々と形式ぶった口ぶりからして使用人かな。
これだけでかい家なら有り得そうだ。
ややあって、スーツ姿の初老の男性が玄関先まで出て来た。
「お待たせいたしました。本日はよろしくお願いいたします」
「いえ、こちらこそよろしくお願いいたします。確か、調律するピアノは二台とお伺いしたのですが……」
「はい、こちらになります」
歩き始めた相手に合わせ、こちらも隣を歩く。
「本宅に練習用のスタインウェイが、そしてあちらに見えます離れの方にベーゼンドルファーを置いてあります」
「どっちもグランドピアノ、ですよね」
「はい」
スタインウェイとベーゼンドルファーの二台持ちかよ。
しかも、スタインウェイが練習用かよ!
こりゃ、スタンダードモデルでもないんじゃねぇの。
スタインウェイは、先日大学で調律する仕事で触ったが、ベーゼンに触るのは結構久しぶりだ。
名器に触れる喜びと幾ばくかの嫉妬が混じり合う。
演奏家――殊にクラシックの分野で演奏家を目指すなら、条件がある。
まず、才能があるというのは大前提。そして、コネ。
これは、音大に入学したり、元々師事していた先生なりで、大抵どうにか足がかりは掴める。
楽器を練習する時間を捻出するのも、まぁどうにかなる。
一番問題なのはぶっちゃけ金だ。
国公立の音大なら、まだ学費等は安く抑えられるが、問題は学費だけじゃない。
そもそも、音大に入る時点で独学でどうにかなるやつなんて、いないと言って良い。
自分の楽器のレッスン費用、ソルフェージュ等のレッスン費用、ピアノ科じゃなければ、自分の楽器に加えて、ピアノも副科で必須になるからピアノのレッスン費用、そして、楽器の購入費用やら、それらのメンテナンスにかかる費用、演奏する楽譜や、練習用の教本などなど。
そんな様々な費用は大学に入っても、ほぼ変わらない。
寧ろ、定期演奏会のメンバーに選ばれたり、門下生でのコンサートに出演することになったり、コンクールに出ることになったりと、人前で演奏する機会が増えるため、衣装代とか、それらのコンサート等での打ち合わせやリハを行うことでの会場費やら、交通費やら。
ハッキリ言って、湯水の如くに金は出て行く。
仮に奨学金を貰えたとしても、限度があるのだ。
俺なんかもそこでダメになったクチだ。
どうにか、希望の音大に現役で滑り込めたはいいものの、結局大学二年で中退した。
それでも、どうにか音楽に関わる仕事をしたくて選んだのが調律師だった。
昼はバイトに明け暮れ、夜は調律師の学校に通うことで、どうにか調律師という職に就くことが出来た。
給料の面で言えば、決してよくはないものの、好きなものに関わっていけるという嬉しさを考えたらどうでもいい。
ただ、こんな風に――当たり前のように音楽を続けていける金があるんだろうなと容易く想像出来るような人間がいることに、時折嫉妬してしまうのは人として仕方ねぇと思いたい。
屋敷の中に案内されると、隅々までいい調度品を揃えているのが、そういったものに詳しくない俺でも分かる。
神経使いそうな仕事だなーと思っていると、俺たちの方に高校生くらいの少女が歩み寄ってきた。
「お嬢様。ピアノの調律師の方がいらっしゃいました」
「はーい。お待ちしてました! 今日は両親留守なんで、私が案内しますね」
朗らかに受け答える少女は端正な顔立ちをしていた。
金持ちの上に、美形とか勝ち組じゃねぇかと思いつつ、どこかでこの顔が記憶に引っかかっていた。
あれ、この家の名字って確か……。
「申し遅れました。私ここの娘の鹿島遊っていいます」
……記憶に引っかかっていたわけだ。
こいつ、確か先日この近くのホールで行われたピアノコンクールで一位取ってたやつじゃなかったっけか。
偶然、仕事の空きが出来た時間にちょっと寄ったが、確かにこいつの演奏は群を抜いていた。
「あ、あとは私やりますから下がってていいですよー」
「了解いたしました。よろしくお願いいたします、お嬢様」
男がその場を立ち去ると、少女――鹿島遊が馴れ馴れしく俺の手を掴んだ。
「こっちです、どうぞ」
「お、おい」
咎めようにも、相手は上客だというのを思い出して堪える。
鹿島が俺の手を引くままに、二階まで上がり、左に曲がって、突き当たりの部屋まで連れてこられた。
部屋に入ると防音仕様になっている割にはそこそこ広い。
ホント金あるんだな、と溜め息を吐きたくなったのを抑え込んだ。
そして、グランドピアノも案の定スタンダードモデルじゃない。
詳細は忘れたが記念に作られた限定モデルの一つだ。
これが練習用ってとんだお大尽だな。
しかし、こういう機会でもないと触れないような代物だ。
有り難く仕事に入らせて貰うこととしよう。
「じゃ、早速調律しますんで」
「はい、お願いしますね!」
床に調律道具を広げて、早速やろうとしたが、鹿島は俺の方をじっと見たまま動こうとしない。
「……その、何か?」
「あー、調律するところ見ていてもいいですか? 今まで、私調律するところに居合わせたことなくて」
「まぁ、構いませんが……その、お嬢さん」
「敬語いらないですよー。私の方が年下ですし。呼び方も鹿島で構いませんから」
「じゃあ、鹿島。見ているならもう少し離れていて貰ってもいいか。あまり近い場所にいられるとやりずらい」
「はーい」
これが、俺と鹿島の最初の出会いだった。
***
防音室ってのはつくづく便利だと思う。
まぁ、防音とは言っても、完全に音を遮断するわけでなく、ピアノを弾いていれば弾いていることが分かってしまうくらいのものだ。
だから、こうして。
「や……あああっ!」
鹿島が嬌声を上げるのに合わせて、ピアノの音を鳴らす。
如何にも調律を真面目にしています、って風を装って。
こうすれば、まさか防音室の中でセックスに及んでいるなんて思われない。
ピアノの椅子に俺が座った上に鹿島を後ろ向きに乗せ、貫いているなんて、誰が予想出来るだろうか。
俺だって、初めてこの家を訪れたときには予想なんてしていなかった。
「綺麗にピアノ磨き上げてるから、反射して丸見えだな、ここ」
「や、だ……言わな…………でくだ……」
指で繋がった部分に触りながら、ピアノに映っている鹿島に笑いかける。
触れた場所からは温かい蜜が溢れて、俺の指を濡らす。
泣きそうな顔はこいつがめちゃくちゃ感じているからだと、もう知っている。
こいつが大事にしているピアノを調律した指で、こいつの身体の隅々に触れ、もう触っていない場所なんて残っていない。
――ここで練習するたびに思い出すじゃないですか……酷いです。
最初にここで抱いた時にそんなことを言われたが、それこそが目的だ。
何もかも当たり前のように与えられ、それに応じられるだけの才能を持った女。
そんな女をこの手で好きに扱っているという事実が俺を昂ぶらせる。
濡れた指でクリトリスを挟み込むと小さな悲鳴が聞こえた。
もう一方の手で、すかさずピアノを鳴らす。
あ。今の音、心持ち高いな。あとで調整しねぇと。
「良い声で啼くよなぁ、おまえ」
「お……願いしま…………も」
「もう?」
「っ……」
「教えただろ、ちゃんと。こういう時はどう言えば良いかって」
「あ……あっ」
挟み込んだ指で、クリトリスをゆっくりと擦る。
微かに露出した部分には触れないように焦らしながら。
「動いて、下さ……い。奥まで…………来て……っ!」
「…………ちゃんと言えるじゃねぇ、かっ」
「うああああ!!」
鹿島の嬌声と同時に属七の和音を鳴らし、クリトリスを押しつぶしながら、腰を強く突き上げた。
Close
#堀鹿 #R18 #書きかけ
まともにやろうと思ったら、シリーズ化しそうな勢いだったので、とりあえず、冒頭部分とエロシーンだけふらっと書いてみました。
エロシーン中途半端ですみません。
上客だから、絶対に失礼のないようにしろ、とは確かに言われてきた。
裕福な客にも少なからず当たったことはあったし、多少の覚悟はしてきたつもりだったが、予想以上だった。
「個人の家とは思えねぇなぁ……。間違ってないよな、俺」
立派な門構えの奥に佇む依頼人の家は、家というよりお屋敷と言った方がしっくりくる。
音大なんて、それなりに裕福な家の出身者が少なからずいたし、ピアノ科の連中はほぼ自宅にグランドピアノを所有している。
そこそこ広い家なんて、見慣れてたつもりだが、流石に圧倒された。
チャイムを鳴らす手が微かに震えてしまったのが、自分でも分かる。
『はい、どちら様ですか』
「調律師の堀と申します。この時間に調律の手配をご依頼頂いたかと思うのですが」
『お待ちしておりました。ただいま参りますので、少々お待ちを』
淡々と形式ぶった口ぶりからして使用人かな。
これだけでかい家なら有り得そうだ。
ややあって、スーツ姿の初老の男性が玄関先まで出て来た。
「お待たせいたしました。本日はよろしくお願いいたします」
「いえ、こちらこそよろしくお願いいたします。確か、調律するピアノは二台とお伺いしたのですが……」
「はい、こちらになります」
歩き始めた相手に合わせ、こちらも隣を歩く。
「本宅に練習用のスタインウェイが、そしてあちらに見えます離れの方にベーゼンドルファーを置いてあります」
「どっちもグランドピアノ、ですよね」
「はい」
スタインウェイとベーゼンドルファーの二台持ちかよ。
しかも、スタインウェイが練習用かよ!
こりゃ、スタンダードモデルでもないんじゃねぇの。
スタインウェイは、先日大学で調律する仕事で触ったが、ベーゼンに触るのは結構久しぶりだ。
名器に触れる喜びと幾ばくかの嫉妬が混じり合う。
演奏家――殊にクラシックの分野で演奏家を目指すなら、条件がある。
まず、才能があるというのは大前提。そして、コネ。
これは、音大に入学したり、元々師事していた先生なりで、大抵どうにか足がかりは掴める。
楽器を練習する時間を捻出するのも、まぁどうにかなる。
一番問題なのはぶっちゃけ金だ。
国公立の音大なら、まだ学費等は安く抑えられるが、問題は学費だけじゃない。
そもそも、音大に入る時点で独学でどうにかなるやつなんて、いないと言って良い。
自分の楽器のレッスン費用、ソルフェージュ等のレッスン費用、ピアノ科じゃなければ、自分の楽器に加えて、ピアノも副科で必須になるからピアノのレッスン費用、そして、楽器の購入費用やら、それらのメンテナンスにかかる費用、演奏する楽譜や、練習用の教本などなど。
そんな様々な費用は大学に入っても、ほぼ変わらない。
寧ろ、定期演奏会のメンバーに選ばれたり、門下生でのコンサートに出演することになったり、コンクールに出ることになったりと、人前で演奏する機会が増えるため、衣装代とか、それらのコンサート等での打ち合わせやリハを行うことでの会場費やら、交通費やら。
ハッキリ言って、湯水の如くに金は出て行く。
仮に奨学金を貰えたとしても、限度があるのだ。
俺なんかもそこでダメになったクチだ。
どうにか、希望の音大に現役で滑り込めたはいいものの、結局大学二年で中退した。
それでも、どうにか音楽に関わる仕事をしたくて選んだのが調律師だった。
昼はバイトに明け暮れ、夜は調律師の学校に通うことで、どうにか調律師という職に就くことが出来た。
給料の面で言えば、決してよくはないものの、好きなものに関わっていけるという嬉しさを考えたらどうでもいい。
ただ、こんな風に――当たり前のように音楽を続けていける金があるんだろうなと容易く想像出来るような人間がいることに、時折嫉妬してしまうのは人として仕方ねぇと思いたい。
屋敷の中に案内されると、隅々までいい調度品を揃えているのが、そういったものに詳しくない俺でも分かる。
神経使いそうな仕事だなーと思っていると、俺たちの方に高校生くらいの少女が歩み寄ってきた。
「お嬢様。ピアノの調律師の方がいらっしゃいました」
「はーい。お待ちしてました! 今日は両親留守なんで、私が案内しますね」
朗らかに受け答える少女は端正な顔立ちをしていた。
金持ちの上に、美形とか勝ち組じゃねぇかと思いつつ、どこかでこの顔が記憶に引っかかっていた。
あれ、この家の名字って確か……。
「申し遅れました。私ここの娘の鹿島遊っていいます」
……記憶に引っかかっていたわけだ。
こいつ、確か先日この近くのホールで行われたピアノコンクールで一位取ってたやつじゃなかったっけか。
偶然、仕事の空きが出来た時間にちょっと寄ったが、確かにこいつの演奏は群を抜いていた。
「あ、あとは私やりますから下がってていいですよー」
「了解いたしました。よろしくお願いいたします、お嬢様」
男がその場を立ち去ると、少女――鹿島遊が馴れ馴れしく俺の手を掴んだ。
「こっちです、どうぞ」
「お、おい」
咎めようにも、相手は上客だというのを思い出して堪える。
鹿島が俺の手を引くままに、二階まで上がり、左に曲がって、突き当たりの部屋まで連れてこられた。
部屋に入ると防音仕様になっている割にはそこそこ広い。
ホント金あるんだな、と溜め息を吐きたくなったのを抑え込んだ。
そして、グランドピアノも案の定スタンダードモデルじゃない。
詳細は忘れたが記念に作られた限定モデルの一つだ。
これが練習用ってとんだお大尽だな。
しかし、こういう機会でもないと触れないような代物だ。
有り難く仕事に入らせて貰うこととしよう。
「じゃ、早速調律しますんで」
「はい、お願いしますね!」
床に調律道具を広げて、早速やろうとしたが、鹿島は俺の方をじっと見たまま動こうとしない。
「……その、何か?」
「あー、調律するところ見ていてもいいですか? 今まで、私調律するところに居合わせたことなくて」
「まぁ、構いませんが……その、お嬢さん」
「敬語いらないですよー。私の方が年下ですし。呼び方も鹿島で構いませんから」
「じゃあ、鹿島。見ているならもう少し離れていて貰ってもいいか。あまり近い場所にいられるとやりずらい」
「はーい」
これが、俺と鹿島の最初の出会いだった。
***
防音室ってのはつくづく便利だと思う。
まぁ、防音とは言っても、完全に音を遮断するわけでなく、ピアノを弾いていれば弾いていることが分かってしまうくらいのものだ。
だから、こうして。
「や……あああっ!」
鹿島が嬌声を上げるのに合わせて、ピアノの音を鳴らす。
如何にも調律を真面目にしています、って風を装って。
こうすれば、まさか防音室の中でセックスに及んでいるなんて思われない。
ピアノの椅子に俺が座った上に鹿島を後ろ向きに乗せ、貫いているなんて、誰が予想出来るだろうか。
俺だって、初めてこの家を訪れたときには予想なんてしていなかった。
「綺麗にピアノ磨き上げてるから、反射して丸見えだな、ここ」
「や、だ……言わな…………でくだ……」
指で繋がった部分に触りながら、ピアノに映っている鹿島に笑いかける。
触れた場所からは温かい蜜が溢れて、俺の指を濡らす。
泣きそうな顔はこいつがめちゃくちゃ感じているからだと、もう知っている。
こいつが大事にしているピアノを調律した指で、こいつの身体の隅々に触れ、もう触っていない場所なんて残っていない。
――ここで練習するたびに思い出すじゃないですか……酷いです。
最初にここで抱いた時にそんなことを言われたが、それこそが目的だ。
何もかも当たり前のように与えられ、それに応じられるだけの才能を持った女。
そんな女をこの手で好きに扱っているという事実が俺を昂ぶらせる。
濡れた指でクリトリスを挟み込むと小さな悲鳴が聞こえた。
もう一方の手で、すかさずピアノを鳴らす。
あ。今の音、心持ち高いな。あとで調整しねぇと。
「良い声で啼くよなぁ、おまえ」
「お……願いしま…………も」
「もう?」
「っ……」
「教えただろ、ちゃんと。こういう時はどう言えば良いかって」
「あ……あっ」
挟み込んだ指で、クリトリスをゆっくりと擦る。
微かに露出した部分には触れないように焦らしながら。
「動いて、下さ……い。奥まで…………来て……っ!」
「…………ちゃんと言えるじゃねぇ、かっ」
「うああああ!!」
鹿島の嬌声と同時に属七の和音を鳴らし、クリトリスを押しつぶしながら、腰を強く突き上げた。
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